63 / 198
兄たちの制裁
7
しおりを挟む
「音芽のくせに、ずいぶん青春してんじゃん」
呑気にも今頃追いついてきた奏芽に、内心もっと焦れバカ兄貴、と思ってしまう。
が、そんな実兄の声に、腕の中の音芽がピクッと過剰なくらい大きく反応したのが分かって――。
「奏芽、兄……」
小さい頃からこの兄にいじめられ続けてきた音芽は、奏芽に弱みを見せるのを極端に恐れるところがある。
恐らく涙目で俺にしがみついている今の姿も、彼女にとってはそんな恥部のひとつなんだろう。
奏芽の出現に慌てて俺から離れようと身みろいできて。
すぐにでも俺の腕から逃れて自力で立とうとする音芽を、でも俺はそれが分かっていて尚、離したくないと思ってしまったんだ。
ごめんな、音芽。
お前が奏芽にどう思われようが、俺は正直知ったこっちゃねぇんだよ。
それよりも。
せっかく鶴見から取り上げて腕の中に収めたお前を、離したくないという気持ちの方が勝ってる。
こんなこと思ってるってバレたら、きっと自己中だって怒られちまうな。
否定はしねぇよ。
利己的な俺は、音芽がそれを望んでいないと重々分かっていながら、彼女を抱く腕に更に一層力を込める。
「ハルが面白いモン見れるから非番なら来いっていうから来てみたけど……久々にお前の泣き顔見られて兄ちゃん大満足だわー♡」
バカ。このタイミングでそんなこと言って音芽を煽るなよ。
奏芽が意地悪くそんな言葉を告げた途端、音芽が俺の腕の中でゾクリと身体を震わせた。
奏芽。
これ以上妹を動揺させてどうするよ?
さすがにムカッとして音芽をギュッと抱きしめたまま奏芽を睨んだら、音芽には見えない角度でチロッと舌を出されてしまった。
くそっ! 奏芽のやつ、やっぱ確信犯かよ!
「は、温和……腕。一人で立てるから大丈夫よ?」
ついに態度だけではらちがあかないと思ったのか、音芽が子犬のような目で俺を見つめてくる。
ヤバイ、ほだされそうだけど……ここは無視、でいい、よ、な?
必死に葛藤をする俺の心が理解出来ないわけではなかろうに、奏芽のやつがそんな俺を見ててククッと喉の奥で笑いを堪えながら
「音芽、しばらくそのまま大人しく抱かれといてやれって。でないとしょっちゅう泣きつかれて俺が困る」
とか言ってきやがって。
バカ! お前なに余計なこと言ってんだよ!
「奏芽黙れ」
そんな動揺を悟られないように低めの声で感情を表に出さないように牽制したつもりだけど、音芽に焦りがバレていないだろうか。
腕の中の音芽が、俺と奏芽のやり取りにピクッと反応したのが分かって、俺は一人ソワソワと気持ちをざわつかせた。
呑気にも今頃追いついてきた奏芽に、内心もっと焦れバカ兄貴、と思ってしまう。
が、そんな実兄の声に、腕の中の音芽がピクッと過剰なくらい大きく反応したのが分かって――。
「奏芽、兄……」
小さい頃からこの兄にいじめられ続けてきた音芽は、奏芽に弱みを見せるのを極端に恐れるところがある。
恐らく涙目で俺にしがみついている今の姿も、彼女にとってはそんな恥部のひとつなんだろう。
奏芽の出現に慌てて俺から離れようと身みろいできて。
すぐにでも俺の腕から逃れて自力で立とうとする音芽を、でも俺はそれが分かっていて尚、離したくないと思ってしまったんだ。
ごめんな、音芽。
お前が奏芽にどう思われようが、俺は正直知ったこっちゃねぇんだよ。
それよりも。
せっかく鶴見から取り上げて腕の中に収めたお前を、離したくないという気持ちの方が勝ってる。
こんなこと思ってるってバレたら、きっと自己中だって怒られちまうな。
否定はしねぇよ。
利己的な俺は、音芽がそれを望んでいないと重々分かっていながら、彼女を抱く腕に更に一層力を込める。
「ハルが面白いモン見れるから非番なら来いっていうから来てみたけど……久々にお前の泣き顔見られて兄ちゃん大満足だわー♡」
バカ。このタイミングでそんなこと言って音芽を煽るなよ。
奏芽が意地悪くそんな言葉を告げた途端、音芽が俺の腕の中でゾクリと身体を震わせた。
奏芽。
これ以上妹を動揺させてどうするよ?
さすがにムカッとして音芽をギュッと抱きしめたまま奏芽を睨んだら、音芽には見えない角度でチロッと舌を出されてしまった。
くそっ! 奏芽のやつ、やっぱ確信犯かよ!
「は、温和……腕。一人で立てるから大丈夫よ?」
ついに態度だけではらちがあかないと思ったのか、音芽が子犬のような目で俺を見つめてくる。
ヤバイ、ほだされそうだけど……ここは無視、でいい、よ、な?
必死に葛藤をする俺の心が理解出来ないわけではなかろうに、奏芽のやつがそんな俺を見ててククッと喉の奥で笑いを堪えながら
「音芽、しばらくそのまま大人しく抱かれといてやれって。でないとしょっちゅう泣きつかれて俺が困る」
とか言ってきやがって。
バカ! お前なに余計なこと言ってんだよ!
「奏芽黙れ」
そんな動揺を悟られないように低めの声で感情を表に出さないように牽制したつもりだけど、音芽に焦りがバレていないだろうか。
腕の中の音芽が、俺と奏芽のやり取りにピクッと反応したのが分かって、俺は一人ソワソワと気持ちをざわつかせた。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる