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兄たちの制裁
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音芽の気持ちを無視した無理矢理の抱擁に対して、同じように鶴見の意思を無視したキスを見舞っただけなんだろう。
これ以上ない報復を、奏芽は己れの身を呈して行ったわけだ。
奏芽、お前、本人には伝わってねぇけど、めっちゃ音芽のこと好きだよな。
鶴見の青ざめた顔を見て、俺は悔しけど奏芽には敵わないって再認識させられちまった。
***
「じゃあね、そういうことなんでよろしくね~。――俺さ、マジでどっちでもいける口だからぁ~♪」
音芽を泣かせていいのは兄貴の特権を持った俺たちだけなんだよ、としれっと音芽を震えさせることを付け足しながら、奏芽が助手席から立ち上がる。
そこでふと思い出したようにもう一度車内を覗き込んで、
「そうそう。俺たち予定通りパンケーキ食べに行くんだけど、大我ちゃん、どうする?」
問いかける奏芽の満面の笑みに、さしもの鶴見も恐怖を覚えたらしい。
小さく「ヒッ」と悲鳴を上げて……慌てたように「ぼっ、僕はちょっと体調が悪くなったので失礼しますっ」と言った。
まぁ、そうなるよな。
俺は鶴見のおびえたような表情を見て、正直胸がすくような気がした。
「あらぁ~、残念っ。一緒のお皿をつついたらもっと仲良くなれると思ったのにぃ~」
白々しく奏芽が言うのへ、鶴見が慌てたように「すみませんっ!」と謝罪した。
その反応に、奏芽は今度こそ心底満足そうにニヤッと笑うと「じゃあ気をつけて帰ってね」とドアをしめた。
しかし鶴見よ。お前、動揺し過ぎて事故とか遭ってくれるなよ。
そんなことになったら、俺たちの優しい音芽は自分のせいだと思いかねないからな。
そんな迷惑な話はお断りだ。
「ざーんねん。大我ちゃん、一緒に食べないって~」
走り去っていくプレマシーを見送りながら、俺の懸念も知らないで奏芽のやつがわざとらしく眉根を寄せる。
音芽はどんな心境でそんな兄を見ているんだろう。
一応落ち着いているように見えるが、もう頭痛は大丈夫なんだろうか。
ふと音芽の顔を見つめたら、彼女が離して欲しげに小さく身じろいだ。
鶴見もいなくなったことだし、手、ほどいても大丈夫かな。
俺が腕の力を緩めると、音芽はスルリと腕の中からいなくなってしまう。
俺はもう少し彼女を抱いていたいのに、薄情な女だ。
これ以上ない報復を、奏芽は己れの身を呈して行ったわけだ。
奏芽、お前、本人には伝わってねぇけど、めっちゃ音芽のこと好きだよな。
鶴見の青ざめた顔を見て、俺は悔しけど奏芽には敵わないって再認識させられちまった。
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「じゃあね、そういうことなんでよろしくね~。――俺さ、マジでどっちでもいける口だからぁ~♪」
音芽を泣かせていいのは兄貴の特権を持った俺たちだけなんだよ、としれっと音芽を震えさせることを付け足しながら、奏芽が助手席から立ち上がる。
そこでふと思い出したようにもう一度車内を覗き込んで、
「そうそう。俺たち予定通りパンケーキ食べに行くんだけど、大我ちゃん、どうする?」
問いかける奏芽の満面の笑みに、さしもの鶴見も恐怖を覚えたらしい。
小さく「ヒッ」と悲鳴を上げて……慌てたように「ぼっ、僕はちょっと体調が悪くなったので失礼しますっ」と言った。
まぁ、そうなるよな。
俺は鶴見のおびえたような表情を見て、正直胸がすくような気がした。
「あらぁ~、残念っ。一緒のお皿をつついたらもっと仲良くなれると思ったのにぃ~」
白々しく奏芽が言うのへ、鶴見が慌てたように「すみませんっ!」と謝罪した。
その反応に、奏芽は今度こそ心底満足そうにニヤッと笑うと「じゃあ気をつけて帰ってね」とドアをしめた。
しかし鶴見よ。お前、動揺し過ぎて事故とか遭ってくれるなよ。
そんなことになったら、俺たちの優しい音芽は自分のせいだと思いかねないからな。
そんな迷惑な話はお断りだ。
「ざーんねん。大我ちゃん、一緒に食べないって~」
走り去っていくプレマシーを見送りながら、俺の懸念も知らないで奏芽のやつがわざとらしく眉根を寄せる。
音芽はどんな心境でそんな兄を見ているんだろう。
一応落ち着いているように見えるが、もう頭痛は大丈夫なんだろうか。
ふと音芽の顔を見つめたら、彼女が離して欲しげに小さく身じろいだ。
鶴見もいなくなったことだし、手、ほどいても大丈夫かな。
俺が腕の力を緩めると、音芽はスルリと腕の中からいなくなってしまう。
俺はもう少し彼女を抱いていたいのに、薄情な女だ。
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