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音芽の訪問
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何の用があるのかは知らねぇけど、もうじきここに音芽が来るんだと思うと、俺はどうしても落ち着かなくて。
あいつ、ダサい格好をして来いって言った俺の言いつけを、ちゃんと守ってくれるだろうか?
音芽のことは小さい頃からよく知っているけれど、物凄く押しに弱くて命令されると嫌といえないところがある反面、時折どんなに俺が強く言っても聞かないことがあるのも事実で。
そのボーダーが俺にはよく分からないから行動が読めなくて焦らされるんだ。
音芽のことを意識し始めた頃に、彼女に対する衝動を抑えられる自信が持てなくて、俺に近づくなと結構キツめに言ったことがあった。けど、その言いつけは守ってくれたとは言い難かったな。
確かにそれまでのように「ハル兄!」と気安くくっついて来ることは減ったけれど、まるで俺の後を追うように音芽が進学先や就職先を選んできたのもまた事実で。
さて、今日はどうだろうな?
頑なに可愛い服にこだわろうとしていたところを鑑みるに、言うことを聞かない、に軍配が上がりそうな気がする。
まぁ、もしそうだったら追い返すまでだけどな。
何の話かは知らないが、音芽の貞操より大事な話ってことはねぇだろ。
どうしても話したきゃ、すぐ隣なんだし、着替えてくればいいだけの話だ。
シャワーを浴びただけの身体に、こもる熱がなかなかスッキリしないのは、音芽のことが気になっているからに他ならない。
昔っから可愛かったけど、マジな話、最近のあいつは「可愛すぎてムカつく」の域に達していると思う。
見た目はもちろん、やることなすこと可愛すぎて俺をどうしたいんだ?と思わされっぱなしだ。
けど、そういう風に見えるのって……もしかして音芽のやつ、恋でもしてんのか?
相手は誰だよ。
邪魔してやるから俺に話せよ。
本当は他の男なんて見るな、俺を見ろ、と言いたい。
けど、俺は音芽との生温い今の関係を壊したくないとも思っていて。
確実に成功するっていう見込みがない限り、今の関係を壊してまでこの気持ちを表に出すつもりはないんだ。
かと言って、今のままだと音芽を他の男に奪われそうな不安のせいで、あいつを好きだという気持ちがダダ漏れてしまいそうで恐ろしくもあって。
***
そうこうしていたら部屋のチャイムが鳴る音がして、俺は大きく吐息をついた。
今夜も気持ちを隠し通せますように。
そう願いながら、インターホンに応じる。
『音芽です』
俺の「はい」という声に、音芽の愛らしい声が名乗りを告げる。
本来ならモニター付きの画面に、来訪者の顔が映るはずなんだが、何故か小豆色の服がちらりと見えるだけで顔などはハッキリ見えなかった。
立ち位置がおかしいのか?
疑問に思いはしたものの、ちらりと見えた色が自分が指定したスウェットの色と同じだったから、俺は不覚にも少し油断したんだ。
あいつ、ダサい格好をして来いって言った俺の言いつけを、ちゃんと守ってくれるだろうか?
音芽のことは小さい頃からよく知っているけれど、物凄く押しに弱くて命令されると嫌といえないところがある反面、時折どんなに俺が強く言っても聞かないことがあるのも事実で。
そのボーダーが俺にはよく分からないから行動が読めなくて焦らされるんだ。
音芽のことを意識し始めた頃に、彼女に対する衝動を抑えられる自信が持てなくて、俺に近づくなと結構キツめに言ったことがあった。けど、その言いつけは守ってくれたとは言い難かったな。
確かにそれまでのように「ハル兄!」と気安くくっついて来ることは減ったけれど、まるで俺の後を追うように音芽が進学先や就職先を選んできたのもまた事実で。
さて、今日はどうだろうな?
頑なに可愛い服にこだわろうとしていたところを鑑みるに、言うことを聞かない、に軍配が上がりそうな気がする。
まぁ、もしそうだったら追い返すまでだけどな。
何の話かは知らないが、音芽の貞操より大事な話ってことはねぇだろ。
どうしても話したきゃ、すぐ隣なんだし、着替えてくればいいだけの話だ。
シャワーを浴びただけの身体に、こもる熱がなかなかスッキリしないのは、音芽のことが気になっているからに他ならない。
昔っから可愛かったけど、マジな話、最近のあいつは「可愛すぎてムカつく」の域に達していると思う。
見た目はもちろん、やることなすこと可愛すぎて俺をどうしたいんだ?と思わされっぱなしだ。
けど、そういう風に見えるのって……もしかして音芽のやつ、恋でもしてんのか?
相手は誰だよ。
邪魔してやるから俺に話せよ。
本当は他の男なんて見るな、俺を見ろ、と言いたい。
けど、俺は音芽との生温い今の関係を壊したくないとも思っていて。
確実に成功するっていう見込みがない限り、今の関係を壊してまでこの気持ちを表に出すつもりはないんだ。
かと言って、今のままだと音芽を他の男に奪われそうな不安のせいで、あいつを好きだという気持ちがダダ漏れてしまいそうで恐ろしくもあって。
***
そうこうしていたら部屋のチャイムが鳴る音がして、俺は大きく吐息をついた。
今夜も気持ちを隠し通せますように。
そう願いながら、インターホンに応じる。
『音芽です』
俺の「はい」という声に、音芽の愛らしい声が名乗りを告げる。
本来ならモニター付きの画面に、来訪者の顔が映るはずなんだが、何故か小豆色の服がちらりと見えるだけで顔などはハッキリ見えなかった。
立ち位置がおかしいのか?
疑問に思いはしたものの、ちらりと見えた色が自分が指定したスウェットの色と同じだったから、俺は不覚にも少し油断したんだ。
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