129 / 198
俺の初めて
3
しおりを挟む
***
答えあぐねている音芽を見ていたら、彼女の、汗で首筋に張り付いた襟足が目について、思わず指先にクルクルと絡めたくなる。
「……やんっ、くすぐったい」
そう抗議の声を上げて首をすくめる音芽が可愛くて、この身体の主導権を全部俺が握ってしまえたら、しんどい時に無理させなくて済むのに、という衝動に駆られて。
なかなか風呂の返事をしてこない音芽に、
「だるくて一人で入れそうにないなら一緒に入ってやるけど……? ――身体ももちろん俺が洗ってやるし」
敢えて下心なんてないのだと〝お兄ちゃん〟面をしてそう言って、心の奥底では「どんなふうに俺に抱かれた痕跡が残っているか、身体の隅々まで調べさせろよ」とか思っていたりする。
けど残念。
「あっ。あのっ。ひ、ひとりで入れる、からっ」
音芽がソワソワしながらそう言ってきて、ギュッと身体を縮こめた。
聞き分けのいい兄を装った以上、ここで食い下がれなくなっちまった俺は内心舌打ちをしながら音芽を抱き締めていた手を緩めた。
それでもやっぱりどうしても悔しくて、言わずにはいられない。
「な、音芽。お前いい加減こっち向けよ」
吐息が音芽の前髪を揺らすくらい間近でそう乞えば、
「え、えっと私、いま、きっと酷い顔になってそうでっ。……それに……それに……温和とあんな……って考えたらすごく恥ずかしくてっ」
とか。
――だから無理だとでも言いたいんだろうか?
うつむいたまま俺の胸元に額を押し当ててイヤイヤするとか。
可愛すぎてこっちが悶絶しちまうだろ!
「……いや、お前……恥ずかしかったのは……お互い様なんだけど」
何かさ、俺まで照れるからそう言う反応、やめてもらっていいですか?
あー、マジでやべぇ。意識したら顔が熱くなってきた……!
そんな状態なのに。
まるで俺の現状を確認するみたいに恐る恐るこっちを見上げてきた音芽の大きな目と、彼女の前髪越しに目が合って。
瞬間、音芽が瞳を見開いて息を飲んだのが分かった。
「は、温和も……恥ずかしい、の?」
ややして、窺うように小声でそう問いかけてきた音芽に、俺は「お、お前とは……初めてだろーが」ってぶっきら棒に応えるので精一杯だった。
答えあぐねている音芽を見ていたら、彼女の、汗で首筋に張り付いた襟足が目について、思わず指先にクルクルと絡めたくなる。
「……やんっ、くすぐったい」
そう抗議の声を上げて首をすくめる音芽が可愛くて、この身体の主導権を全部俺が握ってしまえたら、しんどい時に無理させなくて済むのに、という衝動に駆られて。
なかなか風呂の返事をしてこない音芽に、
「だるくて一人で入れそうにないなら一緒に入ってやるけど……? ――身体ももちろん俺が洗ってやるし」
敢えて下心なんてないのだと〝お兄ちゃん〟面をしてそう言って、心の奥底では「どんなふうに俺に抱かれた痕跡が残っているか、身体の隅々まで調べさせろよ」とか思っていたりする。
けど残念。
「あっ。あのっ。ひ、ひとりで入れる、からっ」
音芽がソワソワしながらそう言ってきて、ギュッと身体を縮こめた。
聞き分けのいい兄を装った以上、ここで食い下がれなくなっちまった俺は内心舌打ちをしながら音芽を抱き締めていた手を緩めた。
それでもやっぱりどうしても悔しくて、言わずにはいられない。
「な、音芽。お前いい加減こっち向けよ」
吐息が音芽の前髪を揺らすくらい間近でそう乞えば、
「え、えっと私、いま、きっと酷い顔になってそうでっ。……それに……それに……温和とあんな……って考えたらすごく恥ずかしくてっ」
とか。
――だから無理だとでも言いたいんだろうか?
うつむいたまま俺の胸元に額を押し当ててイヤイヤするとか。
可愛すぎてこっちが悶絶しちまうだろ!
「……いや、お前……恥ずかしかったのは……お互い様なんだけど」
何かさ、俺まで照れるからそう言う反応、やめてもらっていいですか?
あー、マジでやべぇ。意識したら顔が熱くなってきた……!
そんな状態なのに。
まるで俺の現状を確認するみたいに恐る恐るこっちを見上げてきた音芽の大きな目と、彼女の前髪越しに目が合って。
瞬間、音芽が瞳を見開いて息を飲んだのが分かった。
「は、温和も……恥ずかしい、の?」
ややして、窺うように小声でそう問いかけてきた音芽に、俺は「お、お前とは……初めてだろーが」ってぶっきら棒に応えるので精一杯だった。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる