【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん

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俺の立ち位置

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 音芽おとめは、そんな俺の思いなんて気付かないみたいに、にわかにソワソワし始めて。

 昨日自分絡みで奏芽あにとトラブルのあった男が、その日のうちに事故に遭ったと言われたら、必然的に自分のことと絡めて考えてしまうんだろう。

 何も言わなくても、音芽が「私たちのせい?」とか「酷い状態だったらどうしよう?」とか……あれこれ思い巡らせているのが、その不安そうな表情から手に取るように分かる。

 オロオロと視線を揺らしながら、逢地おおち先生のほうへ身を乗り出したまま固まってしまった音芽に、「大丈夫だ」と伝えてやりたくて、俺は音芽の手を軽く握ってやった。

 そんなことにですら驚いたようにビクッと肩を揺らせる音芽が、愛しくてたまらない。

 このちっこいのは、俺が守ってやらねぇと。

 ――ホント、鶴見つるみのヤローは命には別状ねぇし、お前が気にすることは微塵も無いんだからな?

 そんな気持ちを込めて、触れた手に優しくポンポンと触れると、音芽がやっと気が抜けたようにそろそろと席に座る。


「ショック……ですよね」

 そんな音芽の様子に気付いた逢地おおち先生が、気遣わしげな表情を向けるけれど、今の音芽にはきっとそれすら堪えるはずだ。


 だが、鶴見のことで頭が一杯なんだろう。

 ふるふると震えているように見える音芽の様子に気付かないまま、逢地おおち先生が頬をほんのりと赤く染めて言葉を続ける。

鶴見つるみ先生もね、混乱してらしたんだと思うんです。意識が戻られてすぐ、何故か私に電話を掛けていらして……。正直びっくりしてしまいました」


 懸想している相手が、ライバル視していた音芽おとめではなく、逢地先生じぶんを真っ先に頼ってくれたと言うのは、確かに彼女にとってはデカいことなんだろう。

 実際には朦朧とした意識の中、たまたま電話帳の五十音の並びで一番上に来ていた「逢地おおち」先生に連絡が入ったと言うのが真相らしいが。


 けどまぁ、例え音芽の苗字が「相原あいはら」とかで、鶴見のヤローが俺の音芽に真っ先に連絡を寄越してきていたとしても、俺が行かせなかったけどな。


 鈍感な音芽は、逢地おおち先生が頬を染めている理由にも、今の言葉で無意識に自分ライバル牽制けんせいしていることにも、きっと気付いていない。


 音芽の、逢地おおち先生を見つめる申し訳なさそうな、どこか泣きそうな表情から、俺はそう判断した。

 きっと音芽のやつ、逢地おおち先生も鶴見の怪我を知ってショックを受けたのを思い出して緊張のあまり紅潮してるとか思ってんだろうな。


 ある意味、逢地おおち先生からバシバシ伝わってくる鶴見への恋情に気付けないコイツ、すげぇなと思う。


 俺、こんな鈍感娘をよく落とせたよな、とかどこか他人事ひとごとのように思ってしまった。
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