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やましいことなんてない、はずなんだ
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俺も乾燥機のスイッチオンや、乾燥後の食器の棚入れなど、何度かやったことがある。
けれどコーヒーやお湯の補充も含めて、圧倒的にそういうことをしてくれている機会が多いのは、他ならぬ音芽だった。
あいつは家事全般が得意な上に気配り上手だから、職場でもそう言うのを遺憾なく発揮していて、実際「鳥飼先生はきっと良い奥さんになるよね」とあちらこちらの先生方から言われているのを耳にするくらいなのだ。
今まではそれを聞くたび「無駄口叩いてねぇで黙って仕事しろよ」とかギスギスした気持ちでいた俺だったが、音芽を手中に収めた今なら純粋に思える。
――そうだろ? でも悪いな。あれは俺の妻になる女なんだよ。
と。
朝、乾燥機に放り込んでおいたはずのマグカップが、ちゃんと棚に戻っていて、きっと俺の音芽が片してくれたんだろうなと思ったら、口元が自然緩みそうになった。
それを努めて表に出さないように気をつけながらコーヒーメーカーからコーヒーを注ぐと、マグカップを片手に机へ戻った。
***
「霧島……センセ、……お、待たせ……しましたっ」
保健室から小走りに駆けて戻ってきたらしい音芽が、机に手をついて肩で喘ぐように呼吸を整えながら、その間も惜しいとばかりに俺に声をかけてくる。
俺はその姿に心臓を鷲掴みにされまくりつつも、その動揺を誤魔化すみたいに
「鳥飼先生、廊下を走るのは感心しませんね」
と意地悪な言い方しかしてやれない。
音芽が俺のために急いで来てくれたことが嬉しくてニヤけそうになるのを懸命に堪えながら、彼女にそれを悟られないよう、一瞬だけ呼吸を乱した色っぽい音芽の姿をチラリと見上げてから、努めて静かな声音でそう言って。
結局さして捗らなかった『学年だより』を、さも一仕事終えた風に保存してパソコンの電源を落とした。
「ご、ごめんなさい……」
そんな素直じゃない俺に、まっすぐで可愛い俺の音芽が、小声で謝罪してくるのがまたツボにハマりすぎて。
「ま、急いで帰って来ようって気概は嫌いじゃないですけどね」
と思わず笑みを浮かべてほだされてしまった。
ヤベェ、今のは予定外だわ……と内心舌打ちしつつチラリと音芽の様子を窺ったら、頬を赤く染めた音芽が、まるでそれを隠したいみたいに頬っぺたを両手で挟む姿が視界に飛び込んで来て。
ちょっ、マジ、その仕草! どんだけ俺を悶えさせる気だよ!と大声で叫びたくなった。
けれどコーヒーやお湯の補充も含めて、圧倒的にそういうことをしてくれている機会が多いのは、他ならぬ音芽だった。
あいつは家事全般が得意な上に気配り上手だから、職場でもそう言うのを遺憾なく発揮していて、実際「鳥飼先生はきっと良い奥さんになるよね」とあちらこちらの先生方から言われているのを耳にするくらいなのだ。
今まではそれを聞くたび「無駄口叩いてねぇで黙って仕事しろよ」とかギスギスした気持ちでいた俺だったが、音芽を手中に収めた今なら純粋に思える。
――そうだろ? でも悪いな。あれは俺の妻になる女なんだよ。
と。
朝、乾燥機に放り込んでおいたはずのマグカップが、ちゃんと棚に戻っていて、きっと俺の音芽が片してくれたんだろうなと思ったら、口元が自然緩みそうになった。
それを努めて表に出さないように気をつけながらコーヒーメーカーからコーヒーを注ぐと、マグカップを片手に机へ戻った。
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「霧島……センセ、……お、待たせ……しましたっ」
保健室から小走りに駆けて戻ってきたらしい音芽が、机に手をついて肩で喘ぐように呼吸を整えながら、その間も惜しいとばかりに俺に声をかけてくる。
俺はその姿に心臓を鷲掴みにされまくりつつも、その動揺を誤魔化すみたいに
「鳥飼先生、廊下を走るのは感心しませんね」
と意地悪な言い方しかしてやれない。
音芽が俺のために急いで来てくれたことが嬉しくてニヤけそうになるのを懸命に堪えながら、彼女にそれを悟られないよう、一瞬だけ呼吸を乱した色っぽい音芽の姿をチラリと見上げてから、努めて静かな声音でそう言って。
結局さして捗らなかった『学年だより』を、さも一仕事終えた風に保存してパソコンの電源を落とした。
「ご、ごめんなさい……」
そんな素直じゃない俺に、まっすぐで可愛い俺の音芽が、小声で謝罪してくるのがまたツボにハマりすぎて。
「ま、急いで帰って来ようって気概は嫌いじゃないですけどね」
と思わず笑みを浮かべてほだされてしまった。
ヤベェ、今のは予定外だわ……と内心舌打ちしつつチラリと音芽の様子を窺ったら、頬を赤く染めた音芽が、まるでそれを隠したいみたいに頬っぺたを両手で挟む姿が視界に飛び込んで来て。
ちょっ、マジ、その仕草! どんだけ俺を悶えさせる気だよ!と大声で叫びたくなった。
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