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レッツゴー改革!
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領地のお屋敷に着きました。一泊しました。いい朝です!
執務室に入りましたけど、領地経営をまかされているじいやがいない。あら?
お年寄りは朝が早いはずではなくて?
「じいやー! じいやー!」
「はいはい、はいと。はいお嬢様。なんでございましょう」
手をハンカチで拭いながら扉から入ってくる。
トイレ行っていたみたい、お年寄りはトイレ近いっていうものね。そんな時にごめんなさいね。
「ちょっと出かけてくるわ! これ、予定表ね。テルナ」
「はい。セバチーさま。こちら本日のお嬢様のざっくりとした予定でございます」
受け取ってふんふんと読んでいくじいや。だがその目がわたくしに移って、しわで縁どられた目がかっぴらいた。
「お、お嬢様、スカートをおはきくださいませ! いくら町歩きといえど、庶民の女性ですらスカートをはきますぞ」
「いやよ! 汚れちゃうじゃない!」
ドレスは美しいものなのよ?
これから行くところは貴族屋敷のように掃除婦がせっせきゅっきゅと綺麗にしているような場所じゃないのよ? 汚しに行くようなものじゃない。いやよ。私ドレスは美しさを保ってこそ美しいと思うの。
汚れるなら汚れても美しく見える、それ用の服装をするべきだわ。ちょっとオシャレも加えるけどね。
「そんな、冒険者か騎士のような格好をして……」
「似合わなくって?」
「お嬢様はなんでもお似合いになりますなぁ」
「かわいい?」
「これはこれで凛々しくて素敵でございますお嬢様」
「うふふありがと!」
ころっと甘くなっちゃうじいや大好きよ!
ちなみにわたくし、茶桃色と言って、髪が傷むと桃色になり、はえたばかりの根元に近いほど茶色という特殊な髪色をしてますの。要するに毛先ほど桃色なのよ。かわいいでしょ?
でもこれ痛んでる色なの。悲しいでしょ?
目は桃色よ。かわいいでしょ?
まー見た目なんて今どうでもいいのよ。かわいいってことだけ主張したかったの!うふふ!
いざ領地へ! 行ってきます!
我が家の改革に当たってまずするべきは、そう、お金を得ることです!
物事には優先順位というものがあるのですわ。
いくら孤児を救いたかろうが、学校作りたかろうが、金がなくては戦はできぬのよ!
我が家はなんやかや言っても公爵家。
街はそれなりに栄えてますの。お金もそれなりにありますけども、わたくしがしようと思っていることを達成するには底上げが必要なのですわ。
まぁ長期的に見てすべきことならあるでしょうけれど? でももっとわかりやすく稼ごう! というならば、そう、ダンジョン活性化ですわ!
ダンジョン産のアイテムは高く売れますの。オークションなんかの手数料で領地にもお金入るんですのよ。
領地には二つもダンジョンがあるのですけど、一つはそこそこ活気があるもののもう一つがねー、人気ないのよねー、せっかくダンジョンなのに。難攻不落なんですって。
でもそれだけに一攫千金は夢じゃない!
貴族にしか使えない転移魔法(貴族の通う学園でしか教えていないためなので、がんばれば庶民も使える)で侍女一人と護衛二人を引き連れて、さびれたダンジョン町へゴーよ!
「たのもー!」
冒険者ギルドに来ました。
さびれています。
とてもさびれていますわ。閑古鳥が鳴いていますわ。わたくし閑古鳥の鳴き声知りませんけど。冒険者ギルドなのに仲間募集の冒険者ひとりもいないわ。受付しかいないわ。あと臭いわ。なにこれ。
「臭いですわ!」
「ですよね」
受付のお嬢さんが泣きそうな顔で同意しました。かわいそうに。
「どういうことですの? いろいろおかしいですけど、まずはこの臭い! あなた、説明なさい」
「聞いてくれます? 聞いてくれますお嬢さま!? これねーうちのギルドマスターの仕業なんですよぉー」
「な、まさか、これ、この充満するにおいがまさか、ギルドマスターひとりの放屁(オナラのことね)が原因だというの!?」
「さすがにそれはないです」
「そ、そう」
真顔でつっこまれてしまいましたわ。わりと真面目に考えていたわたくし悲しい。
「うち管轄のダンジョンって倍々ダンジョンじゃないですか」
「階層ごとに二倍の強さになっていく仕様でしたわね」
「そーなんです。それで深い階層まで行ける冒険者が居なくって、かといって低階層も稼げるようなところでもなくって。それでマスターが、うちにしかない低階層素材から新たなすごい薬が開発されれば、うちも潤うに違いない! って日夜研究に励んでいる結果がこの臭いなんですよ! 臭いのが嫌で、深層までもぐれる冒険者もどんどん足が遠のいていく始末です」
「悪循環ね!」
「まさに!」
「でもでもいい考えじゃないかしら? 新薬! ギルドマスターはその手に精通してますの?」
「いえ全く」
「このあたりに錬金術師はいませんの?」
「いないっすわー。そんな高給取り都会に定住に決まってますわー」
「そうなのね」
「お嬢さまは今日は田舎見学ですか?」
「わたくしは領地経営のための社会見学ですわ!」
「まーエライ。いい貴族様になってくださいねー。どこのお家の方なんですか?」
「ここよ!」
「ここ??」
「わたくしシバンニ公爵家の娘ですわ!」
「へ……」
執務室に入りましたけど、領地経営をまかされているじいやがいない。あら?
お年寄りは朝が早いはずではなくて?
「じいやー! じいやー!」
「はいはい、はいと。はいお嬢様。なんでございましょう」
手をハンカチで拭いながら扉から入ってくる。
トイレ行っていたみたい、お年寄りはトイレ近いっていうものね。そんな時にごめんなさいね。
「ちょっと出かけてくるわ! これ、予定表ね。テルナ」
「はい。セバチーさま。こちら本日のお嬢様のざっくりとした予定でございます」
受け取ってふんふんと読んでいくじいや。だがその目がわたくしに移って、しわで縁どられた目がかっぴらいた。
「お、お嬢様、スカートをおはきくださいませ! いくら町歩きといえど、庶民の女性ですらスカートをはきますぞ」
「いやよ! 汚れちゃうじゃない!」
ドレスは美しいものなのよ?
これから行くところは貴族屋敷のように掃除婦がせっせきゅっきゅと綺麗にしているような場所じゃないのよ? 汚しに行くようなものじゃない。いやよ。私ドレスは美しさを保ってこそ美しいと思うの。
汚れるなら汚れても美しく見える、それ用の服装をするべきだわ。ちょっとオシャレも加えるけどね。
「そんな、冒険者か騎士のような格好をして……」
「似合わなくって?」
「お嬢様はなんでもお似合いになりますなぁ」
「かわいい?」
「これはこれで凛々しくて素敵でございますお嬢様」
「うふふありがと!」
ころっと甘くなっちゃうじいや大好きよ!
ちなみにわたくし、茶桃色と言って、髪が傷むと桃色になり、はえたばかりの根元に近いほど茶色という特殊な髪色をしてますの。要するに毛先ほど桃色なのよ。かわいいでしょ?
でもこれ痛んでる色なの。悲しいでしょ?
目は桃色よ。かわいいでしょ?
まー見た目なんて今どうでもいいのよ。かわいいってことだけ主張したかったの!うふふ!
いざ領地へ! 行ってきます!
我が家の改革に当たってまずするべきは、そう、お金を得ることです!
物事には優先順位というものがあるのですわ。
いくら孤児を救いたかろうが、学校作りたかろうが、金がなくては戦はできぬのよ!
我が家はなんやかや言っても公爵家。
街はそれなりに栄えてますの。お金もそれなりにありますけども、わたくしがしようと思っていることを達成するには底上げが必要なのですわ。
まぁ長期的に見てすべきことならあるでしょうけれど? でももっとわかりやすく稼ごう! というならば、そう、ダンジョン活性化ですわ!
ダンジョン産のアイテムは高く売れますの。オークションなんかの手数料で領地にもお金入るんですのよ。
領地には二つもダンジョンがあるのですけど、一つはそこそこ活気があるもののもう一つがねー、人気ないのよねー、せっかくダンジョンなのに。難攻不落なんですって。
でもそれだけに一攫千金は夢じゃない!
貴族にしか使えない転移魔法(貴族の通う学園でしか教えていないためなので、がんばれば庶民も使える)で侍女一人と護衛二人を引き連れて、さびれたダンジョン町へゴーよ!
「たのもー!」
冒険者ギルドに来ました。
さびれています。
とてもさびれていますわ。閑古鳥が鳴いていますわ。わたくし閑古鳥の鳴き声知りませんけど。冒険者ギルドなのに仲間募集の冒険者ひとりもいないわ。受付しかいないわ。あと臭いわ。なにこれ。
「臭いですわ!」
「ですよね」
受付のお嬢さんが泣きそうな顔で同意しました。かわいそうに。
「どういうことですの? いろいろおかしいですけど、まずはこの臭い! あなた、説明なさい」
「聞いてくれます? 聞いてくれますお嬢さま!? これねーうちのギルドマスターの仕業なんですよぉー」
「な、まさか、これ、この充満するにおいがまさか、ギルドマスターひとりの放屁(オナラのことね)が原因だというの!?」
「さすがにそれはないです」
「そ、そう」
真顔でつっこまれてしまいましたわ。わりと真面目に考えていたわたくし悲しい。
「うち管轄のダンジョンって倍々ダンジョンじゃないですか」
「階層ごとに二倍の強さになっていく仕様でしたわね」
「そーなんです。それで深い階層まで行ける冒険者が居なくって、かといって低階層も稼げるようなところでもなくって。それでマスターが、うちにしかない低階層素材から新たなすごい薬が開発されれば、うちも潤うに違いない! って日夜研究に励んでいる結果がこの臭いなんですよ! 臭いのが嫌で、深層までもぐれる冒険者もどんどん足が遠のいていく始末です」
「悪循環ね!」
「まさに!」
「でもでもいい考えじゃないかしら? 新薬! ギルドマスターはその手に精通してますの?」
「いえ全く」
「このあたりに錬金術師はいませんの?」
「いないっすわー。そんな高給取り都会に定住に決まってますわー」
「そうなのね」
「お嬢さまは今日は田舎見学ですか?」
「わたくしは領地経営のための社会見学ですわ!」
「まーエライ。いい貴族様になってくださいねー。どこのお家の方なんですか?」
「ここよ!」
「ここ??」
「わたくしシバンニ公爵家の娘ですわ!」
「へ……」
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