悪役令嬢はモブ化した

F.conoe

文字の大きさ
4 / 18

閑古鳥さようならダンジョン

しおりを挟む
と、いうわけで初期投資いたしました。
まず領都にいる錬金術師のところの弟子2号くんをかの町へ派遣。防臭のしっかりされたアトリエを提供し、低階層素材でなんかできないか研究してもらうことになりました。2号くんは錬金術師によくいる感じの研究大好き人間なので、喜んで研究しているそうな。
なお2号くんに師匠の一番弟子の座を奪われるのではないかと戦々恐々していた肝のちっさい1号くんは領都でのびのび仕事しております。

次に宿屋。
元からあった宿屋をつぶしてはかわいそうなので、領都から有名宿屋のコンサルタントを引っ張ってきて、宿の改革を命じました。経営上は地方宿屋が有名宿屋の傘下入りという形になっていますが、改革費用は半分領主持ちです。

このコンサルタントが優秀でしてね、ダンジョンではなく近くの山にあった花畑を観光名所として売り出しました。観光客が訪れる宿として、ダンジョン関係なく経営回復してしまいました。
「天空の花畑」という名のついた山の花畑は、小さな山のくぼ地一面に桃色の花が敷き詰められたように咲いていて、それはそれは美しいんですのよ。
今ではそこにミツバチ放って養蜂業もはじまりました。
「天空のハチミツ」お土産に人気ですのよ。
もちろんお宿もVIP対応可。スイートルーム完備です。

そして目玉のダンジョン攻略。
このついでに孤児対策をからめてみました。
神官というものは実技能力の高いものほど信心も深くていい人なんです。これに神殿内での階級は関係ありません。
そこで、領内の孤児院のうち、経営困難におちいっているところの子を半数ずつ連れてきまして、孤児院の併設された神殿をここに新設。

この子達に十分な教育と生育環境を我が家で保証する代わりに、Aランク以上の冒険者にダンジョン攻略パーティへの参加を頼まれたら、手助けしてくれる神官募集。ということにしました。
またこのダンジョン攻略に必要な神官側の心得(血への耐性とかですね)も低階層で鍛えるというフォロー付きです。
すると
我も我もと、こころざし立派な神官が集まってくれましたわ。
なんか、神殿の階級無視で集めているところにも惹かれたそうです。そういう考えもありますわね。

ちなみに経営困難の孤児院は子供の数が減ったので困難というほどではなくなりました。
さらにこころざし立派な神官たちが、ダンジョン攻略での分け前をあちこちに寄付したい(でも神殿ではピンハネされそうなので領主様お願い)というので私の方で孤児たちに平等に恵みが行くように手配しました。

ですがなにぶん、ダンジョンの稼ぎが軌道に乗ったらその稼ぎはケタ違いのものになってしまいますので
そうなったら他家の領地にまで手を出して欲しいという要望も来ることでしょう。
それまでにとなりの貴族とは仲良くならなくてはねぇ。
ま、まずは私を認めさせなくてはね。
やれるところまでやっちゃいましょう。



そんなこんなしていたらあれから半年もたってしまいましたわ。

かつてまばらにしか人のいなかったダンジョンの町を、今では多数の冒険者たちが歩いています。
先日と同じメンバーで冒険者ギルドの扉を開けようとすると、中から冒険者が扉をあけて出てきました。

「おっとごめんよ」

「かまいませんわ」

はちあわせ! 入り口で人とはちあわせですわ!
あの閑散かんさんとしていたギルドで!
おめでたいわぁ。

中に入れば、ガヤガヤと人の話し声。
人数は少なめですけれど、ここは特殊ダンジョンですものね。これでも多い方だと思いますわ。
むしろほどよくすいていて良いのではなくて?

先週、錬金術師の二番弟子の彼が「ハゲ予防薬」(回復はしない)を開発して、その材料にこのダンジョン素材が必要だということで、低ランクの冒険者も今は訪れているんですの。

受付のお嬢さんも、頬杖つくひまもなく笑顔で働いています。
空だったとなりの受付にも女性が1人。
彼女たちの後ろではせっせと仕事する職員が3人は見えますわ。

冒険者の数もそれほどではないので、手が空いたあの受付のお嬢さんのところへ行きます。

「おひさしぶりね」

「あ! お嬢さま!? わぁ! 来てくださったのですね。ありがとうございます。お会いしたかったです。私お礼を言いたくて、また会えるかなぁって思っておりまして。本当にありがとうございました。ギルドが活性化したのもそうですし、そのおかげで私の給料がアップしたのもそうなんですけど、においが、あの臭いがなくなったっていうのがもう、もう! 本当にありがとうございます!」

「ふふふふ、うまくいってよかったわぁ。この調子でうまくいくといいのだけど」

「きっと大丈夫ですよ! お嬢さまなら!」

「ふふ、ありがとう」

ギルドを出て、孤児院併設の神殿へ行く。
わたくしがアルリアと知った神官たちに祈られまくられて、今ならアンデッドゾーンも突破できそうな気がするわ。行かないけどね。

わーわー楽しそうにかまってちゃんしてくる可愛い子供達に、わたくしの王子様にふられましたエピソードを語って聞かせて
「どんまい」
となぐさめられてから、改革した宿屋のスイートに一泊して帰りました。
いいお宿になってるわね。でもまだまだね。公爵令嬢を満足させるにはまだ足りないものがあるわ。そう。

「シャンプーをハゲ予防薬入りのものに変えてください」

「かしこまりましたお嬢さま」

別にわたくし悩んでませんわよ?
でもここで使用することにより、購買意欲が高まったり、ハゲ予防薬発祥の地というインパクトを与えることもできるでしょ?
名産は推していかないとね?

そうそう、そういえばダンジョンの8階層に出るアイテムや魔物はランダムでしたわ。
高ランク冒険者によるエリクサーの実取り放題にはなりませんでした。人間エルフ化計画も不可能そうですわね。
でもそのおかげで市場価格は安定して高値をキープしているし、同レベルのレアアイテムが出てくるので冒険者の収入としてはそう問題にはならないようですわ。

それにエリクサーの実には劣りますけれど最高位のポーション(回復薬)のレア素材「はぐれ雲」という雲みたいな白い粒子の塊の素材や、マナポーション(魔力回復薬)の素材やらやらあるので、高ランク冒険者たちが他のダンジョンを攻略する準備として活用という使われ方もしはじめましたわ。
え、ここのダンジョンをさらにもぐるのはしないのかって?
うふふふ、それは死に行くようなものですわ……ここ何階層まであるのかしらね?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

処理中です...