霊和怪異譚 野花と野薔薇

野花マリオ

文字の大きさ
135 / 310
野花怪異談集全100話

93話「感謝の樹」

しおりを挟む

「1」※この怪異談は死力観察の当日話にあたる作話です。
 
     ーー「石山県仲山市高月町噴水広場前」ーー


 そこそこ交通量多い盛んな町並み。
     恒例の真夏日和の蝉の合唱が騒がしい。
 八木楓、 永木桜、榊原羅奈、黒木あかね、そして無視家こと梅田虫男もこの町に訪れるのである。
「ひゃああ暑い~」
「ちょっとはだけないでよ」
 この30℃も超える暑さに木影に入り込もうとする楓達。
    通行人も閑散とする中でふと羅奈の視線を指す方向に見慣れない白のワンピースを着た幼女がとある木を眺めていた。
 羅奈はふと気になり、しばらく観察してると、どうやら木の枝にかかっているうさぎ型のアルミ風船が気になるようだ。
 羅奈はふと幼女の元に向かう。
「……あ」
「お姉ちゃんが取ってあげるよ」
 と、羅奈は良かれと思い身体の身のこなしで軽々と木の枝にかかってる風船を手に取り幼女に手渡した。
「羅奈ー!」と桜に呼びかける声で羅奈は幼女に軽く手を振って離れて楓達の元へ急いで向かった。


「2」

「羅奈はさっき木に登ってなにをしてたの?」
「え?私は女の子が風船が木にかかっていたから取ってあげただけよ」
 喫茶店内で楓達と何気ない会話するが、その羅奈の行為に桜は首をかしげていた。
 楓と虫男、そしてあかねは見てなかったのかそれほど気にしてはなかった。

「3」

「先生ゴチになりましたー♪」
「ああ。気をつけて帰るんだぞ」

 野花市のバス停で降りて桜と羅奈は楓達と別れて各自帰路に向かう。
 羅奈は1人で歩いてるとあんなに暑かった日差しが涼しく感じた。

 ……いや、ぞわりとするほどの寒気が感じるのだ。

 その時に重い体感するほどの感覚がずっしりくるのだ。

 その羅奈の足元の影に引っ張るような触手が彼女を離さない。

 いやだいやだと捕らえるソレは羅奈は必死に逃れるようとする。

「やめなさい」

 その馴染みの声がする彼女の呼びかけにより、急に解放されて身軽になった羅奈。

「あかねさん!」
「大丈夫、羅奈さん」

 彼女は霊能者だったので事なき得た。
 ふとあかねが羅奈に介抱すると、羅奈の耳元にざわりと囁いた。

『……もう少しで一緒になれたのに』

「4」

「……事情はわかったわ。あの子はあなたに感謝したくてやってみたいね」
「え?そ、それはどういう」

 あかねが霊視すると羅奈に説明する。
 羅奈に襲ったモノは感謝を込めて自分と同じ仲間にして同化しようとしたのだ。
 羅奈にとってはありがた迷惑だが彼らにとっての恩はとても名誉である。
 そんな彼らにより喰われた人たちは数多くいたのだ。
 しばらく羅奈の元に幼女が現れて謝罪する夢を見たが幼女の顔はどんなだったか思い出すことはなかった。

 感謝の樹   完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

百の話を語り終えたなら

コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」 これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。 誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。 日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。 そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき—— あなたは、もう後戻りできない。 ■1話完結の百物語形式 ■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ ■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感 最後の一話を読んだとき、

静かに壊れていく日常

井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖── いつも通りの朝。 いつも通りの夜。 けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。 鳴るはずのないインターホン。 いつもと違う帰り道。 知らない誰かの声。 そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。 現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。 一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。 ※表紙は生成AIで作成しております。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/2:『そうしき』の章を追加。2026/1/9の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/1:『いえい』の章を追加。2026/1/8の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/31:『たこあげ』の章を追加。2026/1/7の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/30:『ねんがじょう』の章を追加。2026/1/6の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/29:『ふるいゆうじん』の章を追加。2026/1/5の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/28:『ふゆやすみ』の章を追加。2026/1/4の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

処理中です...