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11話
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「……あら?」
小高い丘の上、帝都の外れにある古道。
紅葉の散る坂道を歩いていたルゥナ=フェリシェは、足元に転がっていた小石に気づかず、ツルリと滑った。
そのまま、ふわりと草むらに倒れ込む。
「まぁ……ちょっと足を踏み外してしまいましたわ」
彼女が転んだその数秒後――
ゴゴゴゴ……!!
背後の岩壁が鳴動し、大きな岩が崩れ落ちた。
ちょうどそのとき、斜面の下には帝国騎士団の一団が隊列を組んでいた。
「落石ッ!? 全員退避――!」
その岩の進路には、まだ馬を下りたばかりの若い騎士がいた。
「間に合わない……!」
と、思われたその瞬間――
上から転がってきた“何か”が、その騎士を押し倒して崖の影へ転がし込んだ。
ズドォォン!!
岩は、真っ直ぐに地面を叩きつけて砕けた。
土煙が晴れたとき、そこには草に埋もれて起き上がろうとするルゥナと、唖然とする若い騎士の姿が。
「ご無事で何よりですわ」
彼女は、何が起きたのか分からぬまま、きちんとスカートを整えて、そう告げた。
「……命を、救われた……?」
その場にいた全騎士が、目を見開いた。
*
「本日十六時、黒鉄丘にて“聖なる加護を持つ女”が騎士の命を救う!」
「詳細は!? 姿は!? 名は!?」
「優雅な令嬢風の姿。日傘を持ち、転んだ拍子に“奇跡”を起こしたとのこと!」
「なんだその情報は!?」
*
一方、ルゥナは村のベンチでお茶を楽しんでいた。
「……ふぅ、やっぱり地面の温度は秋が一番心地よいですわね」
そんな彼女のもとに、件の若い騎士が駆けつけ、深々と頭を下げる。
「救っていただいたお礼を……どうか、何なりと!」
「……え? いえ、わたくし、ただ転んだだけでしてよ?」
「いいえ! あれは意図ある行動です! あなたは我が命の恩人です!!」
「まあ……そう仰っていただけるのは、光栄ではございますけれど……」
困ったように笑うルゥナに、周囲の村人までもが拍手を贈る。
「あなたこそ、帝国の守り手に祝福を与えし乙女だ!」
「“落石の聖女”と呼ばせてください!」
「……落石……わたくし、そういう印象になっておりますの?」
また一つ、奇跡の逸話が帝都を駆け巡る。
そして彼女は今日もまた、「少し滑っただけ」で人を救ってしまうのだった。
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そのまま、ふわりと草むらに倒れ込む。
「まぁ……ちょっと足を踏み外してしまいましたわ」
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ゴゴゴゴ……!!
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ちょうどそのとき、斜面の下には帝国騎士団の一団が隊列を組んでいた。
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その岩の進路には、まだ馬を下りたばかりの若い騎士がいた。
「間に合わない……!」
と、思われたその瞬間――
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ズドォォン!!
岩は、真っ直ぐに地面を叩きつけて砕けた。
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「ご無事で何よりですわ」
彼女は、何が起きたのか分からぬまま、きちんとスカートを整えて、そう告げた。
「……命を、救われた……?」
その場にいた全騎士が、目を見開いた。
*
「本日十六時、黒鉄丘にて“聖なる加護を持つ女”が騎士の命を救う!」
「詳細は!? 姿は!? 名は!?」
「優雅な令嬢風の姿。日傘を持ち、転んだ拍子に“奇跡”を起こしたとのこと!」
「なんだその情報は!?」
*
一方、ルゥナは村のベンチでお茶を楽しんでいた。
「……ふぅ、やっぱり地面の温度は秋が一番心地よいですわね」
そんな彼女のもとに、件の若い騎士が駆けつけ、深々と頭を下げる。
「救っていただいたお礼を……どうか、何なりと!」
「……え? いえ、わたくし、ただ転んだだけでしてよ?」
「いいえ! あれは意図ある行動です! あなたは我が命の恩人です!!」
「まあ……そう仰っていただけるのは、光栄ではございますけれど……」
困ったように笑うルゥナに、周囲の村人までもが拍手を贈る。
「あなたこそ、帝国の守り手に祝福を与えし乙女だ!」
「“落石の聖女”と呼ばせてください!」
「……落石……わたくし、そういう印象になっておりますの?」
また一つ、奇跡の逸話が帝都を駆け巡る。
そして彼女は今日もまた、「少し滑っただけ」で人を救ってしまうのだった。
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