小さな町の不思議・怖い話

みつか

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とある駐車場

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そう遠くない昔の話。

15、6年前の話になるかなぁ……。

「とある市役所で僕は働いていたのだけれども、その市役所ちょっとケチなところで……駐車場が無かったんだよね。
自分で市役所の近く月給駐車場を借りるか、市役所から数百メートル?離れた山の空き地に駐車するかだったんだよね。
山の空き地は無料だけどかなりの距離。歩くと15分は軽くかかる距離。山に向かって歩くからちょっとだけ坂道でさ、しかも周りは墓場に囲まれててさ……日暮れはちょっと怖かったり……ははは。
小さな川を挟んで両側にお墓とちらほら民家と住宅があるような場所。
お墓の中に民家って……住んでる人怖くないのかな?って思ったりしながらさ歩くんだけど、夏場はちょっと暑いけど、山の間?みたいな感じだから影が多いのと川からの風が涼しいのは救いだったな~。逆に冬は寒いけど。はは。」
と、友達の『タクヤ』が話す。

久々に会う俺に照れながら話すタクヤ。
3年ぶりに会ったタクヤは痩せていた。
去年、市役所は辞めたと風の噂で聴いていたのだが……
(自慢話か?)
と、俺は酒を飲みながら耳を傾けていた。
「いまだに忘れられないんだけどさ、月給駐車場借りるより、無料の駐車場の方がお金かからなくて良いじゃん。貯金出来るし、歩くからダイエットにもなるし、一石二鳥!だから僕も他の人と同じように空き地の無料駐車場にしたんだけどさ……ある日ベテランの職員が夜遅くなった時に『見た』って言うんだよ!!コレ!」

と、両手を前に差し出してぶらぶらと動かす。舌を出し目をむき出し、怖い顔をして見せる。

「幽霊が出たのか……?墓場だし、よくある話じゃね?」

俺は、タクヤにぶっきらぼうに答える。
タクヤは、ふざけるのを止め手を自分の足の上にパンっと下げる。『つまらない』という表情をしている。

「……まぁな、墓場だから出るだろーよ。だがよ!幽霊だけじゃ無いんだぜ!!《ひとだま》も出たんだと!怖くね?」

タクヤは、俺に驚いてほしいようだった。

「へー。怖いな。」

棒読みで答えてみた。タクヤの相手は少しつまらない。典型的な話だからだ。

「あれだろ?《ひとだま》は、持ってる電灯の灯りが墓石に反射した光がそう見えたものだし、幽霊は……まぁ、アレだ住民とか?……失礼な話だけどな。」

信用しない俺に、少ししょんぼりするタクヤだが諦めていないらしく続けてくる。

「じゃ、じゃぁ、コレはどうよ?僕の話だぞ!!その日は、明日は休みだからって違う部署の同期何人かで仕事終わりにそのまま飲みに出かけたんだけどさ、飲みは楽しかったよ!でもその内の一人がさぁ……怖い話を始めたんだよ!空き地の駐車場にまつわる怖い話を始めたんだよ~。いやいやいや、僕そこに行くんですけど~って思ってたんだけど、ソイツ止めないんだよね……知らなきゃ知らないで済む話をさぁ~。」

チラッと俺を見る。興味があるかな?って表情で、ワクワクしてる。仕方ない興味があるフリをしてやろう。と、タクヤの目を見て頷いてみた。
やっと興味をもった風な俺にご満悦の様だ。

「そいつが言うにはさ、その空き地の駐車場、昔むか~し明治時代とか?だったかな……なんと!!火葬場だったんだって言うんだよ!しかもしかもさ、その昔は処刑場が隣で刑を実行した後直ぐに火葬出来るからって、処刑場と火葬場がセットだったって言うんだよ~。怖くね?更にさ……夜中に車停めたままにしてると歩くんだと落ち武者とか、処刑された人とかが……車の窓叩いたり、覗いたりするって言うんだよ~。置きっぱなしにしてたら、朝には窓に手形がびっしり……ひぇーー。」

変な声を上げて驚かせようとする。

「で、タクヤの車はどうなったんだ?」

結末を知っているが、あえて聴いてみる事にした。

「まぁ、あれだ……代行の運転業者つかまえて帰るしかないんだけどさ、酔ってる勢いもあってか何人かが、車に一泊してみたら?って話が本当かどうか検証してみてよって言い出してさ、断ったんだけど……僕は帰るつもりだったし、でも金曜日ってのもあって代行運転見つからないし、僕が知らなかっただけで、場所聴いただけで怖がって運転拒否されたり、近づきたくないって言われたりさ……他のヤツはあらかじめ近くの駐車場に持ってきてたり、知り合いの家に泊まるって言うし、解散したあと途方に暮れてたんだよね。ホテルも当日空きがなかったり、泊めてくれる友達も居ないし……そもそも時間が遅かったしさ~。車に戻るしかないじゃん。懐中電灯はいつも持ち歩いてるから暗くても平気だったんだけど……仕方なく車に戻ったんだけど、あんな話聴いたら暗いし、怖いし、絶妙に風のヒューって音とフクロウの『クフ』って鳴き声が怖さを掻き立てるんだよね~。怖いからさ、タオル顔に掛けて車の鍵かけて寝る事にしたんだよ。ウトウトしてたら車の周りを歩く音が聴こえて嫌だなって……段々人の足音の数が増えてさ、見ないように見ないようにしてたら窓をバンバン叩かれて、車も揺れてさぁ~。暫く我慢してたけど、耐えられなくて外に飛び出したらさ……誰も居ないし、窓に手形がびっしり白くなってたの!!しかもさ、懐中電灯に照らされた僕の車に人が乗り込んでるの!怖くない!?そのまま僕走って逃げたんだよね~。車もそのまま……どうなったんだろ?怖くて近づいてないんだよね。へへへ。気になってるんだけどな……。」

最終的に、照れながら話すタクヤ。

「……車は、タクヤの親父さんが回収したよ……」

「へー。そうだったんだ!知らなかった。じゃあ、安心したよ!久しぶりにお前にも会えたしさ、そろそろ行くわ。話せて良かったよ。……一緒に行く?へへへ。……冗談だよ。最期に会えて本当に良かったよ。ありがとな。」

タクヤはにこりと笑うと、手を振りながら向こう側へ歩いていった。

「ごめんなタクヤ。俺まだ行けないからさ、会いに帰ってくるから……俺も話せて良かったよ。ありがとう。」

コトンと、お酒の入ったお猪口をテーブルに置いて涙を拭い、タクヤの後を追うように火葬場へ俺は向かった。

去年、行方不明になって以来やっと見つかったタクヤ。本人が照れながら話した話の後の話。真夜中に走り回って、タクヤはそのまま朝になっても帰らなかったらしい。成人した大人だし土日だった事もあってか、中々捜索もされず失踪扱いになり、家族も相当探したりしたらしいが……今年山奥で変わり果てた姿で見つかったらしい。
検死の結果、足の骨を骨折した後にも動き回って、谷間に落ちて首の骨を骨折して即死だったらしい。
都会に居た俺は、タクヤの訃報を聞いてショックだった。すぐに休みをとって、帰郷した。タクヤにとっては唯一の友人だった俺。今では、毎年帰ってくれば良かったと後悔している。仕事のせいにして中々連絡取れなくて疎遠になってた俺なのに……悪かったと、タクヤに向かって懺悔する。そんな俺に最後に会いに来てくれたタクヤには感謝しかない。寂しかったろうに、一緒に……って言いながら止めるタクヤらしい。
四十九日とお盆、毎年帰って来るからな!とタクヤに誓った。

今現在、某市役所は空き地を駐車場にする事を止め、新しく駐車場を作ったようだ。空き地は今立ち入り禁止になっている。
タクヤは知らなかったが、あの場所は昔から心霊現象が起こる有名な場所だった。特に夜中に車中泊なんてした時には、人間以外の人か警察官が巡回してくると有名だった。
今もなお、山の空き地はひっそりと残っている……








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