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顔
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初めて就職した時の話。
とある施設に入職して3~4ヶ月が経った頃。
夜勤をする様になった。
まぁ、お年寄りが多い施設だったので夜もちょこちょこと起きてくる人が居たりする。
最初の数回は、先輩と夜勤を一緒にしながら業務を覚えていくような感じであった。
時々意地悪な先輩が
「知ってる?……ここの施設……奥の部屋出るんだよ~コレ。」
と、手を前にブラブラさせ幽霊の様な真似をする。
冗談を言ってからかっているようだった。
ニヤニヤしながら言っているので『ウソ』だという事はお見通し。
「へぇ~そうなんですね!先輩は見たことあるんですか?」
なんて冗談にのってみたり。
中には本当に「見た」「出た」と言う人も居た。
時々お年寄りが
「子供が泣いている……どこで泣いているのかい?あんた見なかった?」
「人が!人がベットの下に入り込んでいる!追い出して!ここでは寝られない!!」
時々そんな事を夜中に話す方も居た。
そんな時はきちんと話を聞き、落ち着いてもらう。寄り添いを行ったりしていた。
時には嘘をついたり……
「子供は親が連れて行ったよ~」
と、ウソをついたり、落ち着いてもらう為に一度ベットを離れてもらったり。
大体寝てから時間が経った夜中だったりするので、トイレを勧めたりする。
暫くすると大体の人は落ち着いてくれる。
施設自体が、元々お墓だった場所(一部)。
なので、時に変わったモノが見えてしまっても仕方ないのかな?と自分に言い聞かせていた。
夜勤の独り立ちをして、フロアー毎に一人ずつの体制に。
扉を隔てて数十人の部屋を初めて一人で担当した。
中庭があり、中庭を隔ててぐるりと部屋を見て回る事ができる。
中庭を挟んで向う側を窓から見ることも出来る様な作りだ。
初めての独り立ち。その日の夜勤は特に問題なく終了した。
その後も慣れるまでは~と、少ない人数のフロアーを一人で受け持つ事が度々あった。
夜と言うこともあってたまに中庭側を通り越して向こう側を見ると、窓ガラスにうっすら向こう側の窓にまで自分が反射して写る事がある。
一瞬驚くということも度々あった。
廊下は夜は薄暗く、夜間灯が飛び飛びで点灯している。
それに加えて、廊下を照らすのは非常灯。
EXITのマークに白い電気。
廊下を真っ白に照らしていた。
数カ所に非常灯はついており、ほんのり明るい廊下をしっかりと照らしてくれる。
なんだか真夜中に安心出来る相棒の様にも感じる心強い存在だった。
ある日の夜勤中。
相方が仮眠を取っている時。
独りであちこち見回り中に、あの少人数フロアーの中庭窓側を歩きながら、一部屋一部屋異常がないか確認しながら歩いていた。
ぐるりと全部屋を回り、入り口へ戻ろうとした瞬間。
手洗い場のある場所。
とても広いフロアーで向こう側の窓に顔が写ったのである。
最初は自分の顔が映り込んだと思っていたのだが、段々と廊下の向こう側からこちらへと向かってくる。
目が覚めたお年寄りかと思って、自分も近づいてみた。
突然の怖気。
背中に走る鳥肌。
今までに感じた事のない鳥肌が全身に立つ。
(見てはいけない!!)
本能がそう告げるが、お年寄りかどうかは確認しないといけない。
足音も何もなく、ニヤニヤと笑うソレは薄暗い夜間灯に照らされている。
中庭が見える窓の近く。
足がすくみ私は立ち止まる。
相手は曲がり角を曲がってもうそこ迄来ている。鳥肌が酷い。
『見てはダメだ!』
相変わらずそういう思いはあるのだが、目を逸らす事も出来ない。
相手は曲がってすぐ私の目の前へ……
巨大な顔だった。
喜怒哀楽全てを次から次へとコロコロ変えているような?
大きな口を開けて酷く笑っているような?酷く怒った顔のような?哀しみに満ちた顔のような……楽しそうにしている顔のような?
そんな巨大な顔だけのモノ。
凄い勢いで近づいてくるので動けずに
(食べられる!?)
「ヒッ!」
小さな声を上げるのみで動けずに居た。
すると、全身を包むぐらいの巨大な顔は笑いながら私をすり抜けていった。
微かに風が通り抜けた……
ただそれだけだったのだが、全身を飲み込むぐらいの巨大な顔面の幽霊。
(わ、笑ってた……)
あまりの衝撃的な出来事に、暫く動けずに立ち尽くしていた。
その後、鳥肌は止まらず。
入り口近くの非常灯の明るい光に暫く癒された後に仕事を続ける。
仮眠から起きてきた夜勤の相方に報告する事も出来ず。
(伝えると夜勤業務に支障が出るため言わなかった。)
その後、その巨大な顔面の幽霊が出てくる事は無かったのだが……
数年経った今でも誰にも言えずに居る。
今でも鮮明にはっきりと覚えている。あの表情の幽霊は一体何だったのだろうか?
思い出すたびに酷い鳥肌に見舞われる。
二度と出会いたくない顔ではあるが、一体何を訴えたかったのだろうか……?
今となっては知る術はないのだが、関わりたくないのが本音だ。
きっと次に会うときは、ナニかを持っていかれるような気がしてならない……。
もしかしたら、あの時既にナニかを奪われたのかもしれない……得体のしれないモノにはご注意下さい。
とある施設に入職して3~4ヶ月が経った頃。
夜勤をする様になった。
まぁ、お年寄りが多い施設だったので夜もちょこちょこと起きてくる人が居たりする。
最初の数回は、先輩と夜勤を一緒にしながら業務を覚えていくような感じであった。
時々意地悪な先輩が
「知ってる?……ここの施設……奥の部屋出るんだよ~コレ。」
と、手を前にブラブラさせ幽霊の様な真似をする。
冗談を言ってからかっているようだった。
ニヤニヤしながら言っているので『ウソ』だという事はお見通し。
「へぇ~そうなんですね!先輩は見たことあるんですか?」
なんて冗談にのってみたり。
中には本当に「見た」「出た」と言う人も居た。
時々お年寄りが
「子供が泣いている……どこで泣いているのかい?あんた見なかった?」
「人が!人がベットの下に入り込んでいる!追い出して!ここでは寝られない!!」
時々そんな事を夜中に話す方も居た。
そんな時はきちんと話を聞き、落ち着いてもらう。寄り添いを行ったりしていた。
時には嘘をついたり……
「子供は親が連れて行ったよ~」
と、ウソをついたり、落ち着いてもらう為に一度ベットを離れてもらったり。
大体寝てから時間が経った夜中だったりするので、トイレを勧めたりする。
暫くすると大体の人は落ち着いてくれる。
施設自体が、元々お墓だった場所(一部)。
なので、時に変わったモノが見えてしまっても仕方ないのかな?と自分に言い聞かせていた。
夜勤の独り立ちをして、フロアー毎に一人ずつの体制に。
扉を隔てて数十人の部屋を初めて一人で担当した。
中庭があり、中庭を隔ててぐるりと部屋を見て回る事ができる。
中庭を挟んで向う側を窓から見ることも出来る様な作りだ。
初めての独り立ち。その日の夜勤は特に問題なく終了した。
その後も慣れるまでは~と、少ない人数のフロアーを一人で受け持つ事が度々あった。
夜と言うこともあってたまに中庭側を通り越して向こう側を見ると、窓ガラスにうっすら向こう側の窓にまで自分が反射して写る事がある。
一瞬驚くということも度々あった。
廊下は夜は薄暗く、夜間灯が飛び飛びで点灯している。
それに加えて、廊下を照らすのは非常灯。
EXITのマークに白い電気。
廊下を真っ白に照らしていた。
数カ所に非常灯はついており、ほんのり明るい廊下をしっかりと照らしてくれる。
なんだか真夜中に安心出来る相棒の様にも感じる心強い存在だった。
ある日の夜勤中。
相方が仮眠を取っている時。
独りであちこち見回り中に、あの少人数フロアーの中庭窓側を歩きながら、一部屋一部屋異常がないか確認しながら歩いていた。
ぐるりと全部屋を回り、入り口へ戻ろうとした瞬間。
手洗い場のある場所。
とても広いフロアーで向こう側の窓に顔が写ったのである。
最初は自分の顔が映り込んだと思っていたのだが、段々と廊下の向こう側からこちらへと向かってくる。
目が覚めたお年寄りかと思って、自分も近づいてみた。
突然の怖気。
背中に走る鳥肌。
今までに感じた事のない鳥肌が全身に立つ。
(見てはいけない!!)
本能がそう告げるが、お年寄りかどうかは確認しないといけない。
足音も何もなく、ニヤニヤと笑うソレは薄暗い夜間灯に照らされている。
中庭が見える窓の近く。
足がすくみ私は立ち止まる。
相手は曲がり角を曲がってもうそこ迄来ている。鳥肌が酷い。
『見てはダメだ!』
相変わらずそういう思いはあるのだが、目を逸らす事も出来ない。
相手は曲がってすぐ私の目の前へ……
巨大な顔だった。
喜怒哀楽全てを次から次へとコロコロ変えているような?
大きな口を開けて酷く笑っているような?酷く怒った顔のような?哀しみに満ちた顔のような……楽しそうにしている顔のような?
そんな巨大な顔だけのモノ。
凄い勢いで近づいてくるので動けずに
(食べられる!?)
「ヒッ!」
小さな声を上げるのみで動けずに居た。
すると、全身を包むぐらいの巨大な顔は笑いながら私をすり抜けていった。
微かに風が通り抜けた……
ただそれだけだったのだが、全身を飲み込むぐらいの巨大な顔面の幽霊。
(わ、笑ってた……)
あまりの衝撃的な出来事に、暫く動けずに立ち尽くしていた。
その後、鳥肌は止まらず。
入り口近くの非常灯の明るい光に暫く癒された後に仕事を続ける。
仮眠から起きてきた夜勤の相方に報告する事も出来ず。
(伝えると夜勤業務に支障が出るため言わなかった。)
その後、その巨大な顔面の幽霊が出てくる事は無かったのだが……
数年経った今でも誰にも言えずに居る。
今でも鮮明にはっきりと覚えている。あの表情の幽霊は一体何だったのだろうか?
思い出すたびに酷い鳥肌に見舞われる。
二度と出会いたくない顔ではあるが、一体何を訴えたかったのだろうか……?
今となっては知る術はないのだが、関わりたくないのが本音だ。
きっと次に会うときは、ナニかを持っていかれるような気がしてならない……。
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