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第一話 京都へ
⑥
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……午後5時……
事件が発生してから時間が随分経った。
事件の恐怖からはまだ誰も解放はされていない。
刑事に言われた通り、事件関係者はビリヤード場で待機している。
そんな時、ようやく刑事が戻ってきた。
川村刑事は縁を呼んだ。
「新井場さん……ちょっと……」
縁は川村刑事の元へ向かった。
桃子は縁を心配そうに見ている。
縁は言った。
「どうでしたか?刑事さん…」
川村刑事は頭をかいて、言った。
「あんさんの言う通りやったわ…」
「では……」
「鑑識が発見した数は……19個やった…」
縁は親指と人差し指で顎を摘まんだ。
「やはり……」
轟刑事は言った。
「ほんまに、これで犯人がわかったんか?」
「ええ……わかりましたよ…」
二人の刑事は顔を見合わせた。
縁は言った。
「後、確認ですが……目撃情報は?」
川村刑事は言った。
「まだや……」
「そうですか……」
そう言うと縁はビリヤード場にいる皆に言った。
「皆さん……犯人がわかりましたよ…」
縁の言葉に皆が反応した。
桃子が言った。
「わかったって……本当か?縁…」
「ああ……わかった……」
絵莉が言った。
「いったい誰なん?」
「それを今から説明します…」
縁は刑事二人を含めて、皆に話始めた。
「これは偶然起きた、強盗殺人未遂ではありません……小林弘子さんを狙った殺人未遂です…」
ホテル支配人の大塚が言った。
「どう言う事なんです?」
縁は言った。
「僕がまず最初に引っ掛かったのは2点……犯人は何故、現金だけを持ち去ったのか……高価なネックレスは持ち去らずに、現金だけを……」
轟刑事が言った。
「ネックレスは……足がつきやすいからや、ないのか?」
「その可能性も確かにありますが……そして、もう一つ……何故、白昼堂々とこんな事をしたのか?」
二つ目については皆が黙ってしまった。
確かに縁の言うように、白昼堂々と強盗を行うのはリスクが高い……そんな事をするのは矛盾している。
縁はついては。
「それらの事から、僕は内部犯の可能性を考えました…」
川村刑事が言った。
「でもそれだけやったら、ちょっと弱いなぁ…」
「確かに確証を持つまでは至りません……しかし、目撃情報が今になっても出て来ないので……僕は確信しました、犯人はホテル内にいると…」
桃子が言った。
「どう言う事だ?」
縁は桃子に言った。
「だって…外には相当な数の人がいるんだぜ…誰も怪しい人間の存在に気が付かないはずがない…」
しかし川村が言った。
「儂らもそう思ったけど……しかし、内部の人間やないんや…」
縁は言った。
「硝煙反応が誰からも出なかったから……」
川村刑事は驚いた様子で言った。
「何や……知っとったんか?」
「はい、随分前から…」
轟刑事が言った。
「でも君が、硝煙反応が出た人間が犯人やって、言うたんやぞ!」
「確かに……。でも、硝煙反応は出なかった。硝煙反応が出ない以上、犯人は外部犯……しかし、目撃情報は一切ない……明らかに矛盾しています……」
轟刑事が言った。
「何が言いたいんや?」
縁は言った。
「犯人は硝煙反応を消したんですよ…」
轟刑事は鼻で笑った。
「はんっ!アホか……拳銃を使ったら必ず硝煙反応は出るんや…」
「確かに……言われるように、トイレには微かに硝煙の臭いが残っていました」
轟刑事は憮然として言った。
「ほな、硝煙反応は出るはずやっ!」
「しかし、体に付着させなければ、硝煙反応は出ません。犯人はある方法を使って……硝煙反応が体に付かないようにしたんです」
川村刑事が言った。
「どうやったんや?」
「これを見て下さい……」
そう言うと縁はポケットからスマホを取りだし、少し操作した。
そして、縁は皆にスマホの画面を見せた。
そこにはトイレで撮った用具入れの写真があった。
縁は言った。
「用具入れに……掃除用のゴム手袋と、ビニールシートがありました」
絵莉が言った。
「それがどうしたん?」
縁は言った。
「僕は弘子さんを見て違和感を覚えました。撃たれていたのは、肩と腹部……殺す気なら頭を狙うはずですが……」
川村刑事は言った。
「確かにそうや……それに当たった箇所も離れてる……」
縁は説明した。
「からくりはこうです……犯人はビニールシートに腕が通るくらいの切り込みを入れ、ゴム手袋をした手で銃を持った…」
皆はいつの間にか縁の話を聞き入っている。
縁は続けた。
「そして、その手をビニールシートの切り込みから突き出し、弘子さんを撃った…」
轟刑事は言った。
「そうか……それやったら、硝煙はビニールシートに付いて、体には付かん…」
桃子も言った。
「ビニールシートで視界が遮られているから……正確に頭を狙えず、肩と腹部になったのか」
縁は言った。
「これで硝煙反応は何の意味も無くなりました……すぐに用具入れにある、ビニールとゴム手袋の硝煙反応を……」
「わかった」
轟刑事はそう言うと現場のトイレへ向かった。
川村刑事は鑑識に連絡した。
連絡を終えた川村刑事は縁に言った。
「ほな、犯人はだれや?」
縁は言った。
「犯人はゴム手袋とビニールシートを用意できる人物になります」
すると、轟刑事がトイレから戻ってきた。手にはビニールシートとゴム手袋があった。
縁は支配人の大塚に言った。
「支配人……あれはこのホテルの物で間違いないですか?」
大塚は目を凝らして言った。
「はい、ゴム手袋は…ハッキリしませんが、ビニールシートはこのホテルの物です……角に『ホテルB1』と記載されています。あれは、私が書いた物です……」
縁は言った。
「つまり、犯人は……あのビニールシートの存在を知っていた人間になります……そうですよね?」
縁はゆっくりと指を指して言った。
「バーテンの及川順矢さんっ!」
皆の視線は一気に順矢に集中した。
順矢は目を見開いている。
絵莉は言った。
「ウソやろ?……順ちゃんが?……ウソやろ?」
順矢は苦笑いで言った。
「ちょっ、ちょっと待ってや……俺が犯人やて?……勘弁してや…」
川村刑事は言った。
「あんさん……害者と知り合いやろ?」
順矢は激昂した。
「ふざけんなやっ!弘子の知り合いなだけで、犯人扱いかいっ!?」
絵莉も言った。
「そっ、そうや!それだけて順ちゃんが犯人て……あんた、適当な事言うとったら……許さんで!」
順矢は縁に言った。
「そうやっ!お前が言うとったんは、状況証拠やろ?決定的証拠があるんか!?」
縁は動じずに言った。
「ありますよ……そこに…」
縁は順矢のズボンの裾を指差した。
順矢は言った。
「はぁ?お前、何言うてんねん?」
「だからそこですよ、あなたのズボンの裾の折り目の中に……あるものが入っているはずですよ…」
順矢はしゃがんで裾を探りながら言った。
「はぁ?何やねん!こいつ………えっ?」
順矢は何かを発見した。
「これは…………」
川村刑事が言った。
「及川さん……見せてもらえますか?」
順矢は強く握っている手を、広げた……。
順矢の手のひらには、パワーストーンが1個乗っていた。
縁は言った。
「見ての通り、パワーストーンです」
桃子が言った。
「それは小林夫人がしていた…」
「ああ、そうだよ……弘子さんが着けていた、『ラピスラズリ』9月の誕生石だよ…」
川村刑事が言った。
「なるほど……害者のそばに落ちとった、球の内の一つか……それがバラバラになった時、床を跳ねてズボンの裾に入ったんか……」
絵莉が言った。
「順ちゃん…………」
順矢はこの期に及んで高笑いをした。
「あははははは……アホか…俺は弘子の知り合いやぞ、俺が弘子のパワーストーンを持ってて、それをたまたまズボンの裾に落としたんや…こんなもん証拠になるかっ……」
縁は言った。
「それはあり得ないんですよ……」
順矢の表情は強張った。
「何やと?」
「鑑識さんの話によると……現場にあったのは19個だったそうです…それと僕が持っている1個で球の数は20個……」
縁はハンカチにくるまっていた球を見せた。
順矢は言った。
「それが、どないしてん?」
「弘子さんは験担ぎや、おまじないを熱心にする人です……」
桃子が言った。
「そうか……数か…」
縁は口角を上げて言った。
「そう……桃子さんの言う通り、一般的にパワーストーンのブレスレットは球を整数7の3倍の21個を使います、バランスよくパワーストーンの効果を出すために……」
縁は続けた。
「つまり、験担ぎに執着のある弘子さんが20個という数を、使うわけがないっ!」
縁は畳み掛けた。
「よって、あなたの持っているそのラピスラズリが……弘子さんのブレスレットの21個目の球なんですよっ!」
順矢は顔面蒼白になり、その場に崩れ落ちた。
縁は轟刑事に言った。
「轟刑事、店の奥を調べて下さい……まだ拳銃があるはずです…」
「よっ、よし!わかった……」
そう言うと轟刑事は店の奥へ向かった。
地面に手をついたまま順矢は言った。
「あの時……ブレスレットがバラバラにならんかったら……」
縁は言った。
「そうとは限りませんよ……あなたのズボンのからラピスラズリが出なかった場合は……違う証拠を示そうと思ってましたから…」
順矢は言った。
「違う……証拠?」
「お札ですよ……おそらくあなたは、強盗に見せかけるために、弘子さんの財布からお札を抜き取った。そして、それを自分の財布に隠しておく…」
「その通りや……」
縁は言った。
「しかし、そのお札には細工がしてある」
桃子が言った。
「ターバンか……」
「そう……お札には一枚一枚、ターバン折がされている……つまり、あなたの財布からしわくちゃのお札の指紋を調べれば…」
川村刑事が言った。
「小林弘子の指紋が出るわけかぁ…」
順矢は言った。
「はは……どっちにしろ、あかんかったか……いつから俺を怪しんでた?」
「トイレでゴム手袋とビニールシートを発見した時です……しかし、確証をもてたのはそれを見てからです」
順矢は言った。
「それ?」
縁は順矢の左手首を指した。
「ええ……その『モルガナイト』を…」
順矢は言った。
「そうかぁ……これかぁ……結局外せんかったなぁ……」
川村刑事は言った。
「動機はなんや?」
順矢は立ち上がって言った。
「しいて言うなら……このモルガナイトやなぁ……」
そして、順矢は犯行に至った経緯を話始めた。
事件が発生してから時間が随分経った。
事件の恐怖からはまだ誰も解放はされていない。
刑事に言われた通り、事件関係者はビリヤード場で待機している。
そんな時、ようやく刑事が戻ってきた。
川村刑事は縁を呼んだ。
「新井場さん……ちょっと……」
縁は川村刑事の元へ向かった。
桃子は縁を心配そうに見ている。
縁は言った。
「どうでしたか?刑事さん…」
川村刑事は頭をかいて、言った。
「あんさんの言う通りやったわ…」
「では……」
「鑑識が発見した数は……19個やった…」
縁は親指と人差し指で顎を摘まんだ。
「やはり……」
轟刑事は言った。
「ほんまに、これで犯人がわかったんか?」
「ええ……わかりましたよ…」
二人の刑事は顔を見合わせた。
縁は言った。
「後、確認ですが……目撃情報は?」
川村刑事は言った。
「まだや……」
「そうですか……」
そう言うと縁はビリヤード場にいる皆に言った。
「皆さん……犯人がわかりましたよ…」
縁の言葉に皆が反応した。
桃子が言った。
「わかったって……本当か?縁…」
「ああ……わかった……」
絵莉が言った。
「いったい誰なん?」
「それを今から説明します…」
縁は刑事二人を含めて、皆に話始めた。
「これは偶然起きた、強盗殺人未遂ではありません……小林弘子さんを狙った殺人未遂です…」
ホテル支配人の大塚が言った。
「どう言う事なんです?」
縁は言った。
「僕がまず最初に引っ掛かったのは2点……犯人は何故、現金だけを持ち去ったのか……高価なネックレスは持ち去らずに、現金だけを……」
轟刑事が言った。
「ネックレスは……足がつきやすいからや、ないのか?」
「その可能性も確かにありますが……そして、もう一つ……何故、白昼堂々とこんな事をしたのか?」
二つ目については皆が黙ってしまった。
確かに縁の言うように、白昼堂々と強盗を行うのはリスクが高い……そんな事をするのは矛盾している。
縁はついては。
「それらの事から、僕は内部犯の可能性を考えました…」
川村刑事が言った。
「でもそれだけやったら、ちょっと弱いなぁ…」
「確かに確証を持つまでは至りません……しかし、目撃情報が今になっても出て来ないので……僕は確信しました、犯人はホテル内にいると…」
桃子が言った。
「どう言う事だ?」
縁は桃子に言った。
「だって…外には相当な数の人がいるんだぜ…誰も怪しい人間の存在に気が付かないはずがない…」
しかし川村が言った。
「儂らもそう思ったけど……しかし、内部の人間やないんや…」
縁は言った。
「硝煙反応が誰からも出なかったから……」
川村刑事は驚いた様子で言った。
「何や……知っとったんか?」
「はい、随分前から…」
轟刑事が言った。
「でも君が、硝煙反応が出た人間が犯人やって、言うたんやぞ!」
「確かに……。でも、硝煙反応は出なかった。硝煙反応が出ない以上、犯人は外部犯……しかし、目撃情報は一切ない……明らかに矛盾しています……」
轟刑事が言った。
「何が言いたいんや?」
縁は言った。
「犯人は硝煙反応を消したんですよ…」
轟刑事は鼻で笑った。
「はんっ!アホか……拳銃を使ったら必ず硝煙反応は出るんや…」
「確かに……言われるように、トイレには微かに硝煙の臭いが残っていました」
轟刑事は憮然として言った。
「ほな、硝煙反応は出るはずやっ!」
「しかし、体に付着させなければ、硝煙反応は出ません。犯人はある方法を使って……硝煙反応が体に付かないようにしたんです」
川村刑事が言った。
「どうやったんや?」
「これを見て下さい……」
そう言うと縁はポケットからスマホを取りだし、少し操作した。
そして、縁は皆にスマホの画面を見せた。
そこにはトイレで撮った用具入れの写真があった。
縁は言った。
「用具入れに……掃除用のゴム手袋と、ビニールシートがありました」
絵莉が言った。
「それがどうしたん?」
縁は言った。
「僕は弘子さんを見て違和感を覚えました。撃たれていたのは、肩と腹部……殺す気なら頭を狙うはずですが……」
川村刑事は言った。
「確かにそうや……それに当たった箇所も離れてる……」
縁は説明した。
「からくりはこうです……犯人はビニールシートに腕が通るくらいの切り込みを入れ、ゴム手袋をした手で銃を持った…」
皆はいつの間にか縁の話を聞き入っている。
縁は続けた。
「そして、その手をビニールシートの切り込みから突き出し、弘子さんを撃った…」
轟刑事は言った。
「そうか……それやったら、硝煙はビニールシートに付いて、体には付かん…」
桃子も言った。
「ビニールシートで視界が遮られているから……正確に頭を狙えず、肩と腹部になったのか」
縁は言った。
「これで硝煙反応は何の意味も無くなりました……すぐに用具入れにある、ビニールとゴム手袋の硝煙反応を……」
「わかった」
轟刑事はそう言うと現場のトイレへ向かった。
川村刑事は鑑識に連絡した。
連絡を終えた川村刑事は縁に言った。
「ほな、犯人はだれや?」
縁は言った。
「犯人はゴム手袋とビニールシートを用意できる人物になります」
すると、轟刑事がトイレから戻ってきた。手にはビニールシートとゴム手袋があった。
縁は支配人の大塚に言った。
「支配人……あれはこのホテルの物で間違いないですか?」
大塚は目を凝らして言った。
「はい、ゴム手袋は…ハッキリしませんが、ビニールシートはこのホテルの物です……角に『ホテルB1』と記載されています。あれは、私が書いた物です……」
縁は言った。
「つまり、犯人は……あのビニールシートの存在を知っていた人間になります……そうですよね?」
縁はゆっくりと指を指して言った。
「バーテンの及川順矢さんっ!」
皆の視線は一気に順矢に集中した。
順矢は目を見開いている。
絵莉は言った。
「ウソやろ?……順ちゃんが?……ウソやろ?」
順矢は苦笑いで言った。
「ちょっ、ちょっと待ってや……俺が犯人やて?……勘弁してや…」
川村刑事は言った。
「あんさん……害者と知り合いやろ?」
順矢は激昂した。
「ふざけんなやっ!弘子の知り合いなだけで、犯人扱いかいっ!?」
絵莉も言った。
「そっ、そうや!それだけて順ちゃんが犯人て……あんた、適当な事言うとったら……許さんで!」
順矢は縁に言った。
「そうやっ!お前が言うとったんは、状況証拠やろ?決定的証拠があるんか!?」
縁は動じずに言った。
「ありますよ……そこに…」
縁は順矢のズボンの裾を指差した。
順矢は言った。
「はぁ?お前、何言うてんねん?」
「だからそこですよ、あなたのズボンの裾の折り目の中に……あるものが入っているはずですよ…」
順矢はしゃがんで裾を探りながら言った。
「はぁ?何やねん!こいつ………えっ?」
順矢は何かを発見した。
「これは…………」
川村刑事が言った。
「及川さん……見せてもらえますか?」
順矢は強く握っている手を、広げた……。
順矢の手のひらには、パワーストーンが1個乗っていた。
縁は言った。
「見ての通り、パワーストーンです」
桃子が言った。
「それは小林夫人がしていた…」
「ああ、そうだよ……弘子さんが着けていた、『ラピスラズリ』9月の誕生石だよ…」
川村刑事が言った。
「なるほど……害者のそばに落ちとった、球の内の一つか……それがバラバラになった時、床を跳ねてズボンの裾に入ったんか……」
絵莉が言った。
「順ちゃん…………」
順矢はこの期に及んで高笑いをした。
「あははははは……アホか…俺は弘子の知り合いやぞ、俺が弘子のパワーストーンを持ってて、それをたまたまズボンの裾に落としたんや…こんなもん証拠になるかっ……」
縁は言った。
「それはあり得ないんですよ……」
順矢の表情は強張った。
「何やと?」
「鑑識さんの話によると……現場にあったのは19個だったそうです…それと僕が持っている1個で球の数は20個……」
縁はハンカチにくるまっていた球を見せた。
順矢は言った。
「それが、どないしてん?」
「弘子さんは験担ぎや、おまじないを熱心にする人です……」
桃子が言った。
「そうか……数か…」
縁は口角を上げて言った。
「そう……桃子さんの言う通り、一般的にパワーストーンのブレスレットは球を整数7の3倍の21個を使います、バランスよくパワーストーンの効果を出すために……」
縁は続けた。
「つまり、験担ぎに執着のある弘子さんが20個という数を、使うわけがないっ!」
縁は畳み掛けた。
「よって、あなたの持っているそのラピスラズリが……弘子さんのブレスレットの21個目の球なんですよっ!」
順矢は顔面蒼白になり、その場に崩れ落ちた。
縁は轟刑事に言った。
「轟刑事、店の奥を調べて下さい……まだ拳銃があるはずです…」
「よっ、よし!わかった……」
そう言うと轟刑事は店の奥へ向かった。
地面に手をついたまま順矢は言った。
「あの時……ブレスレットがバラバラにならんかったら……」
縁は言った。
「そうとは限りませんよ……あなたのズボンのからラピスラズリが出なかった場合は……違う証拠を示そうと思ってましたから…」
順矢は言った。
「違う……証拠?」
「お札ですよ……おそらくあなたは、強盗に見せかけるために、弘子さんの財布からお札を抜き取った。そして、それを自分の財布に隠しておく…」
「その通りや……」
縁は言った。
「しかし、そのお札には細工がしてある」
桃子が言った。
「ターバンか……」
「そう……お札には一枚一枚、ターバン折がされている……つまり、あなたの財布からしわくちゃのお札の指紋を調べれば…」
川村刑事が言った。
「小林弘子の指紋が出るわけかぁ…」
順矢は言った。
「はは……どっちにしろ、あかんかったか……いつから俺を怪しんでた?」
「トイレでゴム手袋とビニールシートを発見した時です……しかし、確証をもてたのはそれを見てからです」
順矢は言った。
「それ?」
縁は順矢の左手首を指した。
「ええ……その『モルガナイト』を…」
順矢は言った。
「そうかぁ……これかぁ……結局外せんかったなぁ……」
川村刑事は言った。
「動機はなんや?」
順矢は立ち上がって言った。
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