白衣の下 第二章 妻を亡くした黒崎先生、田舎暮らしを満喫していたやさき、1人娘がやばい男に入れ込んだ。先生どうする⁈

高野マキ

文字の大きさ
14 / 23

未練と決別

しおりを挟む

藍川夢が岬診療所を退職した翌日から新しい看護師が来る事になっていた。


新任看護師の経歴に付いては謎も多いが、紹介者の黒崎ミチコは、

  
「歳は若いが看護師としてのキャリアは申し分ない」と、
太鼓判を押す。

釣りに出た先生の代わりに面接した藍川夢も、ミチコと同じく

  
「先生の仕事をそつなくフォロー出来る人材だと思います」

と、合格点を出した。

(雲母(きらら)遥…ふざけた名前だな…先祖は農民か、石切職人か……北海道出身…山猿みたいな風貌だな…ふぅ…)


先生は履歴書の証明写真に目を通し直接会っていない新しい看護師を診療所で待っていた。


(藍川なら…8時半には出勤していたのだが………)
 

藍川夢に未練タラタラな先生は、新しい看護師の欠点という程でも無い〝アラ〟探しに執着してしまう。



時刻は診察時間の午前9時になろうとしていた。




 「おっ、おはようございまぁ~すっ!」


(“遅よう”じゃないのか…9時1分前だぞ)


「初めましてっ!“きららはるか”ですっぅ、遅くなりましてっ…すみませんっ!!じつは……………」



息せき切り現れた新任看護師は、ざっくり編んだニットジャケットに何かを抱え込んでいた。

むっちりした脚にぴちぴちのブルージーンズ。真っ黒い剛毛っぽい縮れっ毛を後頭部で引っ詰め化粧っ気のない頬が真っ赤だった。ジャケットの中に何かを隠し持っているため腹部が盛り上がっている。

  

先生は思わず吹き出しそうになった。

     (…まるで女金太郎…)

先生は最初が肝心だと、わざと恐面を無理矢理作り



「初っ端から遅刻寸前か…いい度胸だなっ…お前、何を抱えてるんだっ 見せろっ!」




 「せっ先生っ! その前にヒビテンと、ブルーシートと…実は下の農道で車にひかれれた‘タヌキ’をレスキューしまして… 骨折だけかと…」


    
    「たっ、たぬきぃ!」



雲母遥は大事そうに瀕死のタヌキを抱き抱えていたのだ。




「ばっ、バカヤローっ 何故診察室へ連れて来たぁ!!!!ー!っ、
ダニが落ちるだろっ 車庫へ行けっぇ 車庫だぁ――っ俺が用意するからっ!診察室から出て行けーっ!」




(新しいバディとの初仕事が、 動物実験か…最低だなーーー)

『まぁ――っ!お兄様ぁっ、それできららさんのペースに嵌まって 〝タヌキ” のオペなさったのぉ?』


      「まあな…」

 電話から黒崎ミチコが愉快がる。

 『で…いかがでしたの、彼女の仕事ぶりは?』


「ふん…見かけは山猿だが……………動物相手だがまあ…合格だ、タヌキのわかりにくい静脈のラインをすぐに取りやがった…ベビーの急患も対応出来そうだな」


『まぁ…それは良かった。お兄様は山猿と彼女の見かけを揶揄されますが…………彼女…ものすごくセクシーですから、ご用心あそばせね!』


(誰がセクシーだ、…女金太郎めっ…)

先生はすっかり仕事への意欲が低下してきた。藍川夢に手酷く振られた心の傷を 〝雲母〟さんが埋められるかは、定かでない。

診察室を施錠して居室に入ると、以前なら藍川夢が何やかやと、先生の昼食の準備までしてから帰っていた。

今は、ダイニングテーブルの上は朝の食べ残したパンがそのまま残っていた。


昼食も夢に任せっきりだった癖が抜けていない先生はもう居ない看護師に思いを馳せる。

(…いなくなって初めて知るか…まぁ また二年前に戻るだけさ…)


ダイニングとサニタリーの間の扉が開いていた。



(ったくぅ…金太郎めっ! 使っい放っなしか……っくぅ……)


 
 先生がサニタリーを覗くと…


    「うっわあぁっ!」



「あれっ! 先生ぇっ!先生もお風呂ですか?…とってもいいお湯でぇ…つい湯舟を使わせて頂きましたっ…温泉気分を味わえましたぁ―」

雲母看護師は屈託無く、一糸纏わぬ裸の姿で先生に笑顔を向けた。


その姿は百戦錬磨のエロドクターをも唸らせる芸術的な美しい裸体だった。

一瞬魅了されながら先生は、すぐに視線を逸らすと…

「雲母っ!お前っぇ ちょっとは恥じらえっ…!!!!」


「ああ、先生…すみませんっ、ついアルバイトの癖で~」

雲母看護師はゆっくりと先生の目の前で下着を着け出す。



(おいっブラジャーからかっ!…下がまる見えだぞっ)



なんだかんだで先生はその裸体から目を逸らすことができずに、涎を垂らさんばかりに、雲母看護師の着替えを見ていた。

その躯はまさに見応えあるルノワールの浴女そのものだった。

雪国生まれだけあって抜けるような白い肌に程よい肉付きと腰のくびれ、女性らしい円みある輪郭とめり張りある凹凸の組み合わせ。完全なるモデュール。

臍から下腹部の脂肪が盛り上がり黒々とした豊かなデルタ地帯がむっちりした両太股の間に消えていく。真っ白い湿った柔肌に豊かで長い縮れ髪が濡れて張り付く姿は芸術的エロスの極地。

     


  (クッソ………ヤリてぇ~なぁ)




「先生っ …先生程の著名な美男ドクターは、ナースの裸なんて見慣れているでしょ? 私は全然平気ですから…観て下さい」




「お前なぁ…突っ込み過ぎだ…っ  雲母(きらら)はナースの他に何のバイトしているんだ?」





「先生っ ちょっとブラジャ―のホック留めて下さいよ…アルバイトはね…美大生のデッサンモデルです~結構いいので」


(なんで…俺がブラジャ―のホックを留めなきゃいけねぇんだぁ!)

文句の一つも出そなところ、先生は彼女の見事な肢体に触れてみたい…よこしまな欲望に負けた。



(これだったんだな…ミっちゃんの忠告は…)


雲母看護師の背後から流れる黒髪を掬いあげて彼女のうなじに見とれながらブラジャ―のホックを留める先生の股間は…激しく反り返ってきた。

   (くっ …痛ぇ―)


 「先生…ひょっとしてムラムラしてませんかぁ…?」

雲母看護師はボクサータイプのショーツに片脚を潜らせようと躯を丸めたので背後にいた先生の下腹部に臀部が触れていた。



「…してるぞ俺も男だからな…今履いたお前の下着をもう一度脱がせたい…ぞ」

先生の方に向き直った彼女はニッコリと微笑み…



「じゃ…これからパートナーとして挨拶代わりに…“しますぅ”? 」

無邪気にセックスを誘ってくる目の前の女に若くない先生の性欲が一瞬で萎えた。


  
 「…だめだ…萎えた―…」

先生はセクシーボディを前にして天井を仰いだ。





「え~残念…アタシのお尻が感じた〝坊や〟すご~く逞しそうだったのに…じゃぁ…先生ぇ またぁ…その気になったら私の〝アソコ〟の調子診察して下さ~い―」


(…うわっこの女ぁ何言ってるのか自覚してねぇなっ…)

彼女は手早く私服に着替えると



「先生っ…また来週お願いします」



      (格好を見ると、着太りして金太郎だが…わからないもんだ…女は…)




雲母遥(きららはるか)は、地元北海道の国立大学医学部看護学科を卒業した後、上京してK大学附属病院で三年間手術室担当看護師をしていたが…そこから三年間の空白の履歴は黒崎ミチコ以外誰も知らない。
先生もあえて詮索する気も無かった。


(ダメだ…清香のおっぱいで復活するぞっ!)


「ねえ…先生ぇ さっきからスマートフォンがブルプルしてるの、気になるわ…」



「いいんだ…どうせろくな電話じゃないさ…今夜は休みっ休みっ――なっもう一回、可愛がってくれよ…なぁ 」



天城湯ヶ島温泉馴染み旅館の一室で先生は芸妓清香姉さんの躯の上で何度も果てていた。


「先生っ…どうしたの?今夜の先生は凄く激しいんだから…」





先生は脚を投げ出し目を閉じて清香姉さんに全てを委ねている。


(…しかし、金太郎の身体…やべぇよな…襲ってしまいそうだ…)


先生の頭の中は 雲母看護師の裸体をどうやって拡げていこうか妄想が満開状態で 直ぐに下半身が起き上がってきた。



「あ~だめぇ…また着信よ…気が散るから出て下さい…先生」




    

   「クッソっ…誰だっ!!」


清香姉さんからスマートフォンを受け取り着信相手が娘だとわかった。

娘の顔を思い浮かべると性欲を貪っていた男から、枯れた父親の姿に急速に戻っていく。


  「清香…悪い…娘からだよ、今夜はお開きだ…」



  「ええ、ええ…残念だけど、そうしましょ…素敵なパパに戻ってね…先生っ、愛してる」

     ………………

       


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

救助隊との色恋はご自由に。

すずなり。
恋愛
22歳のほたるは幼稚園の先生。訳ありな雇用形態で仕事をしている。 ある日、買い物をしていたらエレベーターに閉じ込められてしまった。 助けに来たのはエレベーターの会社の人間ではなく・・・ 香川「消防署の香川です!大丈夫ですか!?」 ほたる(消防関係の人だ・・・!) 『消防署員』には苦い思い出がある。 できれば関わりたくなかったのに、どんどん仲良くなっていく私。 しまいには・・・ 「ほたるから手を引け・・!」 「あきらめない!」 「俺とヨリを戻してくれ・・!」 「・・・・好きだ。」 「俺のものになれよ。」 みんな私の病気のことを知ったら・・・どうなるんだろう。 『俺がいるから大丈夫』 そう言ってくれるのは誰? 私はもう・・・重荷になりたくない・・・! ※お話に出てくるものは全て、想像の世界です。現実のものとは何ら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ただただ暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しく思います。 すずなり。

明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)

松丹子
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。 平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり…… 恋愛、家族愛、友情、部活に進路…… 緩やかでほんのり甘い青春模様。 *関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…) ★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。 *関連作品 『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点) 『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)  上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。 (以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』

星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】 経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。 なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。 「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」 階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。 全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに! 「頬が赤い。必要だ」 「君を、大事にしたい」 真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。 さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!? これは健康管理?それとも恋愛? ――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...