チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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二章 冒険者の少女

アラクネ

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 ージェストー

 ミリアとカナはしばらく戯れ合っていたが、いつの間にか眠ったようで、2人そろって静かに寝息を立てている。
 その間、俺には眠気というものが全く訪れない。空腹感も性欲もない。

 これが本当に俺なのかと思うこともあるが、グレンやミリア達と共に旅をした記憶や思い出はしっかりと残っている。

(ん……?)

 どこからかガサガサと大蜘蛛の足音が近づく音がする。

 音のする方へと目をやると約100メートルくらい先に大蜘蛛が近づいてきているようだ。

 この魔力による感知は最大で50メートルまでしか感知出来ないらしいが、目視でもはっきりと見える。

 数は1匹……。2人を起こすか……?
 いや……、もう少し寝かせておいてやるか……。

 俺は大剣を持つと大蜘蛛の始末に向かった。

 大蜘蛛は俺が近づいてきているのに気がついたようで、蜘蛛の糸を俺の足元へと放って来た。

 普通の冒険者ならこの時点で絶望的だが、俺は違うらしい。
 脚を少し強く上げると、いとも容易く大蜘蛛の糸が切れた。

 これはいい……。

 俺はそのまま走り出すと大剣を構え、大蜘蛛へと斬りかかった!

 このリビングアーマーの身体は便利な点もあるが不便な点も当然ある……。

 便利な点は、暗い所でも目が見える、魔力による感知で敵の位置が分かる、腹が減らない、眠くならない、疲れを知らない、限度はあると思うが、重いものでも軽々と持てる。

 実際、人間の頃だと重くて扱いが難しかった大剣を片手剣のように右手だけで軽々と扱えている。

 不便な点は、女を抱けない、美味いものが食えない、匂いが分からない、感触が分からない、そして……、力加減も分からない。

『むんっ!!』

 放った一撃は通路の天井を砕きながら鋼鉄のような強度を誇る大蜘蛛の甲殻をいとも容易く斬り裂き、大蜘蛛は絶命していた。

 こいつを倒したと思ったらさらに5匹程の大蜘蛛が近づいてきていた。
 流石に2人を起こしたほうが良さそうだ。

『二人共起きろっ!敵が来るぞっ!!』


 ◆◆◆


 ーカナー

「はっ!?」

 ジェストさんの声で私とミリアさんは目を覚ました。

 ミリアさんに脱がされた服や胸当て、マントを付け、剣と盾を持つと臨戦態勢へと入った。

「ジェスト!敵はどのくらいっ!?」

 私は武器を構え、ミリアさんの方を見ると、いつの間にか服も鎧も着終わっていた。
 脱ぐのも脱がすのも、そして着るのも早いらしい……。

『大蜘蛛が5体、前の広間からこっちに近づいている!』

「分かったわ!それにしても大蜘蛛が多いわね……!マザーでもいるのかしら……っ!?」

「大蜘蛛のマザー……ですか……?」

『そうだ!大蜘蛛のマザー、アラクネだっ!ヤツがいる限り大蜘蛛は減らん!それどころか増える一方だっ!!』

「ジェスト下がって……!行くわよっ!『ファイヤーボール』っ!!」

 ミリアさんはファイヤーボールを前方へと投げつけると、大蜘蛛がいると思われる所で破裂した。

「やった……っ!?」

『雑魚は倒したみたいだが……、更に奥からデカいのが近づいている……!あれは……っ!?』

「よくも、私の可愛い子供達をたくさん殺してくれたね……。この償いはしっかりとしてもらうよ……」

 奥から何か女性の声が聞こえてくる。

「あれはまさか……、アラクネ……っ!?」

 ファイヤーボールによって燃え盛る炎に照らされて、身長2メートル程の魔物の姿が見える。

 それは上半身は青い肌をした人間の女性だけど、下半身は大蜘蛛よりも大きな蜘蛛だった。
 そして、その後ろには10匹くらいはいるだろうか、たくさんの大蜘蛛の姿も見える。

「あれが……アラクネ……?」

『そうだ!おそらくこのダンジョンはアラクネの巣だっ!』

「おや……?女が2人……。丁度いい、そこの女達には私の可愛い子供達の苗床になってもらうとしようか」

 アラクネは後ろを向くと、蜘蛛のお尻から大量の糸を物凄い速さで射出して来た。

「きゃっ!?」

 ミリアさんはそれを躱すも、私はその糸に身体を縛られ、そのままアラクネの方へと高速で引き寄せられた。

「カナちゃんっ!?」
『カナっ!!』

「ふむ、捕らえられたのは1人だけか……。まあ良い、この女の胎内に沢山の卵を産み付けてやるとするか。お前達、その2人は好きにしていいよ」

 アラクネは引き連れていた大蜘蛛達に指示を出すと、大蜘蛛達はミリアさんとジェストさんに襲いかかる。

「ミリアさん!ジェストさんっ!くそ……!離して!離してよ……っ!!」

 私の体はアラクネの蜘蛛の糸でぐるぐる巻にされているので、もがいても脱出できそうもない……。それでももがかずにはいられなかった。

「少しは静かにしてもらおうか」

「う……!」

 首の後ろに鋭い痛みを感じた。

 そして何かを打ち込まれたようで、意識がだんだんともうろうとなり、私の意識はそこで途絶えた……。
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