チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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二章 冒険者の少女

ダンジョンでの一夜

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 左の道へと進んで行くと、広間のような所へとたどり着いた。

 下の方を見るとここにも骨が散らばっているが、人骨ではないようだ。

「この骨は……、オーガグリズリーね……」

「え……?大蜘蛛ってオーガグリズリーより強いんですか……?」

『場所によるな……。森や平地のような場所で真っ向から戦えばオーガグリズリーの圧勝だ。奴等は素早い上に、その爪は鋼鉄をも引き裂くからな。だが、このような暗いダンジョンでは話は別だ。大蜘蛛のほうが圧倒的に有利になる』

 つまり、ここに迷い込んだオーガグリズリーが大蜘蛛の餌食になったという事か……。
 もしかしたら、私を襲ったオーガグリズリーは命からがら逃げて来たのかもしれない……。

 逆に言えば、ここにオーガグリズリーの骨があると言うことは、このダンジョンはオーガグリズリーがいると言う北の地へと続いていると言う事になる。

「ん……?と言うことはこの広間にも大蜘蛛が居るってことですかっ!?」

『……どうやらそうらしいな。天井に3匹ほどいるな』

「ちょ……っ!そういう事は早く言いなさいよっ!!みんな目を瞑ってっ!『フラッシュボム』っ!」

 ミリアさんは上へとフラッシュボムを投げ、広間に凄まじい閃光が放たれると、直ぐ様ミリアさんは魔力弓を構えた。

「はあっ!!」

 そして、魔力の矢を放つと、矢は3つに分かれ大蜘蛛達の頭を撃ち抜く!

 頭を撃ち抜かれた大蜘蛛達は地面へと落ちると、そのまま動かなくなった。

 その後ミリアさんは一応燃やしておくと言い、炎の魔法で3匹とも燃やしたのだった。


「思ったんですけど、なんで大蜘蛛は近くの森に出てこないんですか?」

 先程の広間の先にある通路を進みながら私は疑問を投げかけた。

「大蜘蛛は光を嫌うの。それに、このダンジョンにはわざわざ冒険者がやって来る。森に出てくる必要がないのよ」

「え……?それってつまり……!」

『そうだ、大蜘蛛の1番の餌は冒険者だ。このダンジョンを攻略しようと多くの冒険者がこのダンジョンに挑むだろう。それを大蜘蛛は待っているんだ』

「多分このダンジョンも前から見つかってはいたんでしょうけど、行ったきり帰ってこない人が多かったから未発見扱いだったんじゃないかしら?」

「え……、じゃあ、今までに多くの人が大蜘蛛に食べられたってことですか……っ!?じゃあ、ここって凄く危険な場所じゃないんですかっ!?」

『まあ、そうなるな……。並の冒険者なら大蜘蛛に喰われておしまいだ』

 ミリアさんやジェストさんは平然と言うけど、私達はいまとんでもない所を冒険しているようだ……。


 ◆◆◆


 あれから幾つもの通路、幾つもの広間を抜け、かなりの数の大蜘蛛を倒しながら進んで行くと、行き止まりへと辿り着いた。

 入口から入ってどのくらい歩いたのか分からない、今が夜なのか、まだ陽が出ているのかすらこの洞窟の中では伺い知れる事は出来ないが、ずっと歩き続けてきたため、疲れがピークに達していた。

「はあ……、はあ……。こ……この辺りで休憩にしませんか……?」

「そうね……、この道はこの通路で行き止まりみたいだし、ここで仮眠でも取るとしようかしらね」

『なんだ、もう疲れたのか?俺はまだまだ疲れてないぞ。というか、この体は疲れ知らずみたいだな……』

「そりゃ、リビングアーマーが疲れるわけ無いわよ……」

『……それもそうか。なら、食事を取って仮眠しておくと良い。見張りは俺に任せておけ。何かあれば起こす』

 ジェストさんはそう言いながら背負っていたカゴを下ろした。

「ジェストさん、すみません。お願いします……」

「さて、カナちゃん。食事にしましょ。今日は兎の干し肉よ!」

 ミリアさんはカゴから干し肉を2つ取り出した。

「ミリアさん、調理はどうするんですか?」

 そう言えば、カゴの中に調理器具が入っていない。

「そんなの、焼いておしまいよ。焼くのは炎の魔法で焼けば食べれるわよ。それじゃあ、いただきま~す♪」

「は……、はあ……」

 ミリアさんは早速魔法で干し肉を焼いていたので、私も真似をして魔法で干し肉を焼いて食べることにした。
 後で聞くと、食べ物は保存の効く干し肉やラスクのような乾燥したパンのみらしい。

 食事を取った後、仮眠しようとするも、ダンジョンの中は寒く、マントを布団代わりにしてもなかなか寝付けないでいた。

「カナちゃん、寝れないの?」

 そんな私に気がついたのか、ミリアさんが声を掛けてきた。

「はい……、寒くて……」

「そう……。なら、こっちにいらっしゃい。2人の体温なら少しは暖かくなるわ」

「はい……」

 ミリアさんの側にいくと、ギュッと抱きしめてくれた。
 それがとても暖かく、心も体もミリアさんに預けることにした……。

(ん……?)

 何かが私の下腹部を這っている……。

「あの……ミリアさん、何してるんですか……?」

「あら、バレちゃった……?こうやって気持ちよくなるともっと暖かくなるわよ♡」

 ミリアさんがズボンの上から私の大事な所を触ってくる。

「ちょっと……!ミリアさんやめてください……っ!」

「あら~?私から離れるとまた寒くなるわよ……?寒い時は人肌で暖まるのが一番なのよ……?」

 いつの間にか胸当てを外すされ、服の中にミリアさんの手が入り込んでくる。

「ジェストさん……!助けてください……っ!ミリアさんが……っ!!」

『……俺は知らん』

「カナちゃん。今日もい~っぱい可愛がってア・ゲ・ル♡」

「い……イヤーーーー……っ!!」

 そして私はまた成す術もなく、ミリアさんに襲われてしまうのだった……。(泣)
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