罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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亜希の章 ツンデレな同居人

雑貨屋デートと偶然のペアチケット

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 昼過ぎ……昼食を済ませたあと、僕は亜希と一緒に買い物へと来ていた。
 なんでも文房具を買いたいとかで、商店街にある雑貨屋へと訪れていた。

 まあ、僕としてもずっと家にいるよりはこうして買い物に出るのもいいかもしれない。

 そして、当の亜希はというと、シャーペンを手に取りかれこれ30分は悩んでいた……。

「あ……このウサギ柄のシャーペン可愛い~!こっちの猫の足跡柄のもいいわ~……どっちにしようか迷うわ……。ねえ、彼方はどっちがいいと思う?」

 ……どっちでもいいよ。

 正直そう思うのだけど、そんな事を言ったら亜希の機嫌を損ないそうだから真剣に選ぶ必要があるだろう……。

「そうだね……亜希はどっちがいいの?」

「そうね……、私はこのウサギ柄が可愛いと思うわ。でも、こっちの猫の足跡のも可愛いのよね……、それとこの犬の足跡のもいいわ」

 選択肢が増えたっ!?

 まさかの展開だった……!
 このままうかうかしていたらさらに選択肢が増えてしまいそうだ……。

 僕はふと目を文具の方へとやると一つの激ゴムが目に入る。
 それは猫の足跡柄のケースをしている。

「そうだね……、シャーペンはそのウサギ柄のにして、消しゴムをこの猫の足跡柄にしたらどうかな?」

「わぁ~、猫の足跡柄の消しゴムもあったのね……!彼方のおかげでいいものが見つけられたわ、ありがとうね」

「ま……まあ……、偶然見つけただけだよ……」

 僕はその消しゴムを手に取ると亜希は目を輝かせ、ニコリと笑みを浮かべる。
 その笑みにドキっとしてしまった僕は、照れ隠しでそっぽわ向きながらぶっきらぼうに答えた。

「ところで彼方は何か買うものとかはないの?」

「そうだな……、そろそろマウスパッドを買い換えようかなとは思っていたところかな……」

「そう、ならお礼に私が見繕ってあげるわ。……これなんかどうかしら?」

 亜希はそう言うと一つのマウスパッドを手に取り僕へと手渡してくれた。
 そのマウスパッドはシンプルな形なのだけど、色がピンク色。

 ……なんでピンク?
 まあいいか……。

「ありがとう、亜希」

 僕はマウスパッドを受け取ると、ウサギ柄のシャーペンと猫の足跡柄の消しゴムを持った亜希と共にレジへと向かった。

 どうやら亜希は可愛いものが好きみたいだ。
 同居し始めてまだ日にちが経っていないとはいえ、亜希のことを僕はまだ全然知らないんだなと思う。

 レジへと向かう途中、僕はとあるものへと目が止まった。

「ん……?これは……」

 それは雑貨屋の一角にあるヴァリアント・ブレイドというアニメに出てくる楓というキャラクターのアクリルスタンドだった。
 そのキャラクターは赤に近いピンクの武装装甲を身にまとい、同じ色の髪色をしていた。

(なんかこれ……亜希やミアキに似てるような気がする……)

 僕はなんとなくそれを手に取ると、マウスパッドとアクリルスタンドのお金を払うためレジへと向かった。


 ◆◆◆


「なんか結局色々買っちゃったわね……」

「そ……そうだね……」

 夕日の差す商店街を僕と亜希は並んで歩いていた。

 それぞれの手にはいくつもの買い物袋が下げられている。
 雑貨屋のあと様々な店へと寄り、気がつけば色々と買ってしまっていた……。

 勿論お金はそれなりに使ったのだけど、それよりも亜希とこうして買い物に行ったということがなんとなく楽しかったし、意外な一面が知れたのはどこか嬉しかった。

 ていうかこれ……で……デート……なんじゃないかな……?

 そう思うと途端に僕の顔が赤くなるのを感じる。

「ところで彼方、この福引券どうしようか……」

 亜希の手には商店街でもらった福引券の補助券が何枚かある。
 僕のも合わせれば2回くらいは引けるのかな……?

「折角だし引いてみようか……」

「そうね」

 僕達は福引の補助券を握りしめて福引へと向かった……のだけど……。

「おめでとうございまーーすっ!3等のプールペアチケットの当たりですっ!」

 福引所のお兄さんの威勢のいい声と共に鐘が鳴らされ僕と亜希は呆気にとられていた……。

 最初僕が引いたのは残念賞のポケットティッシュ……しかし、亜希が引くとなんと3等のプールのペアチケットが当たってしまったのだっ!

 なんていうか……亜希って運が良すぎない……?

「いやぁ、お二人は運が良いですね!カップルでプール……!いやうらやましいっ!」

「な……!か……カップル……!」

 カップルと言われ亜希の顔が瞬時に真っ赤になる……。

「と……とりあえず亜希どうしようか……」

「う……う~ん……」

 僕はプールのペアチケットを見ながら亜希へと問うと彼女は腕組みをしながら悩んでこそいたけどその目は確かにペアチケットへと向かれていた。

「と……とりあえず一旦帰ろうか……」

「そ……そうね……!」

 プールのペアチケットを買い物袋へとしまうとはひとまず家へと帰ることにしたのだった……。
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