罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

ちびっ子生徒会長

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 ある日の放課後……学園の屋上で風原さんに告白して、あっさりフラれた僕は、ひとり校舎の中を歩いていた。

 別にフラれたからって落ち込んでるわけじゃない、むしろまったく気にしていなかった。
 だって、あれは罰ゲームの告白だったんだから。

(でも……風原さんとは少し顔をあわせにくいかな……)

 僕が思っていたのはその程度のことだった。

 そんなことを考えながら教室に向かっていると、脚立に登って蛍光灯へと手を伸ばす女の子が目に入った。

 その女の子は見た目にして身長が140センチ程度だろうか、ブロンドの髪をポニーテールへと結び、脚立の天板に乗っている。

「むぎ……!むぎぎぎぎ……!」

(なんだか危ないなぁ……)

 そう思いながら眺めていた時だった……。

「ぬあ……っ!?」

 突然その女の子はバランスを崩して脚立から落ちる……!

「危ない……!」

 僕は叫ぶと同時にその女の子へと向かって走った。
 そして……。

「んにゃ……!」
「ぐえ……っ!」

 僕の上に女の子が落ちてきた。

「あ……あれ……?痛くない……?」

 女の子は状況が理解できずに辺りを見渡す。

 代わりに僕の背中が痛い……。

「あ……あの……そろそろ退いてほしいんだけど……」

「ぬわぁぁぁ……!なんだお前は……!なんでミレイの下にいるんだ……っ!?さてはミレイのぱ……パンツを覗くつもりだったんだな……っ!?」

 ミレイと名乗るその女の子は僕の上から飛び退くと、顔を赤くしながら腕組みをし、睨みつけてくる。

(なんで助けた上に睨まれないと行けないんだろう……?)

 酷い言われようだ……僕は理不尽さを感じながら起き上がる。

「いや……、僕は脚立から落ちそうになった君を助けようとしただけで……」

「なんと……!ミレイを助けようとしてくれていたのか……!それは悪かった……、ミレイは如月きさらぎ・ミレイ・柚葉ゆずは、本校の3年生で生徒会長だ!」

「えぇ……っ!?」

 ミレイ……もとい、如月先輩の言葉を聞いて僕は心底驚いた……!

 え……?このちっこい見た目で3年……っ!?
 しかも生徒会長……っ!?

 確かによく見れば彼女の腕には「生徒会長」と書かれた腕章があった。

「お前……、いま失礼なこと考えていただろ……?」

 僕の心の中を見透かしたかのように如月先輩はジト目で僕を睨んでくる。

「い……いえ、決してそのようなことは……」

 僕は冷や汗を流しながら彼女から視線を逸らす。

「……まあいい、それよりお前の名前はなんだ?」

「えっと、御堂 彼方です」

「そうか、なら御堂!蛍光灯の交換を手伝え!」

「ええっ!?なんで僕が……っ!?」

「残念ながらミレイの身長では手が届かない……、しかし御堂なら脚立つに登れば余裕だろう!」

 如月先輩は腕組みをしながら僕を見つめる。

(まあ……でも、確かに如月先輩の身長では無理だろうし、最悪怪我をする可能性も否定できないか……)

 僕は先輩の低身長を見て妙に納得していた。

「おい御堂……やっぱり失礼なこと考えてるだろ……!」

 先輩は再びジト目で僕を見つめてくる……。

「さ、さて!蛍光灯、交換しますね!」

 僕は如月先輩の視線から逃れるように交換用の蛍光灯を受け取ると、脚立へと登って取り換える。

「如月先輩、交換終わりました!」

「おお、御堂助かったぞ!」

 僕は蛍光灯の交換を済ませると、如月先輩はにこやかな笑顔を浮かべていた。

(なんていうか……表情がコロコロと変わる先輩だな……)

「それでは先輩、僕はこれで……」

「ああ……!気をつけて帰るんだぞ!」

 如月先輩はそう言うと脚立を持って……持って……

「むぎぎぎ……!持ちにくい……!」

 ……持てなかった。

「あの……、如月先輩、僕が脚立持ちましょうか……?」

「御堂……何から何まで本当に済まない……」

 見るに見かねた僕は協力を申し出ると、先輩は少し申し訳なさそうな顔をしていた。

 ……ていうか、これ、どうやって持ってきたんだ?

 そんな疑問を感じながら僕は校舎裏にある倉庫へと脚立を片付けたのだった。
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