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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
身バレしたミレイ
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チームルームを出たあと、僕はカナタをヴァルミールへ移動させ、さらに街外れの森へと進ませた。
画面の視点を変え後ろを確認するとミレイユさんがしっかりとついてきている。
フィールドが平原から森へと変わると、多くの木々が立ち並んでいるせいか少し画面が薄暗くなる。
『ミレイユさん、そろそろオーガグリズリーが出てくる辺りだよ。僕が近接で叩きますのでミレイユさんは後衛をお願い』
『わかりましたわ』
パーティーチャットを打ち込んで周囲を見渡すと、画面に一体の敵の姿が見えてくる。
その敵は灰色熊みたいな見た目に頭には二本の角が生えている。
オーガグリズリーだ。
僕はオーガグリズリーをターゲットに固定し、カナタを走らせる。
攻撃ボタンを押すと、剣が唸りを上げて敵に振り下ろされた。
オーガグリズリーは体力だけは高いので一撃では倒せない。
しかも攻撃力も高いためカナタのレベルが高くてもそれなりにダメージを受けてしまう。
オーガグリズリーが攻撃モーションに入るとコントローラーを操作してカナタを回避行動に入らせると、後ろからミレイユさんの放った矢が飛んでくる!
そしてその後も僕とミレイユさんの攻撃を数回当てるとオーガグリズリーは倒れた。
『ふう、倒せたね』
『はい、意外とこの敵はしぶといのですね』
『体力が高いからね。さあドンドン倒していこう』
『はい、宜しくお願い致します』
その後も僕のカナタとミレイユさんとで何体ものオーガグリズリーを倒していく……。
『ミレイユさん、レベル上がってる?』
『はい、お陰様で28まで上がりました』
『それはよかった』
この辺りの推奨レベルは30だからレベルが少し低いミレイユさんはレベルが上がりやすい。
あまり推奨レベルとの差があり過ぎると経験値ペナルティがかかって獲得経験値が減るけど、レベル26のミレイユさんならペナルティの制限はかからないはずとは思っていたけど、予想通りでよかった。
『もう少し続ける?』
『はい、お願いしま……ぬわぁぁぁ……っ!?』
突然ミレイユさんらしからぬチャットが流れてきたため、視点を変えるとそこにはレアモンスターである般若グリズリーの姿があった。
般若グリズリーはオーガグリズリーのレア個体で色が赤く大きさも少し大きい。
おまけに推奨レベルは40とかなり手強い。
『ミレイユさん!あれはかなり強力なレア個体だよ!今のミレイユさんでは厳しいかもしれないから一度退こう!』
『イヤだっ!ミレイは逃げない……!どんな強敵にでも立ち向かうのだっ!』
ミレイユさんは般若グリズリーへと弓を構えた。
……ん?
(今……“ミレイ”って言った? ミレイユじゃなくて……?)
なんかとんでもないチャットが流れてきたような……?
そんなことより……!
『ミレイユさん……!』
僕はカナタを般若グリズリーへと向かわせる!
カナタの攻撃はミレイユさんの放った矢とほぼ同時に当たると、般若グリズリーは咆哮を上げながらカナタへと攻撃してくる……!
く……!
回避できず、攻撃を受けたカナタの体力が1/4も削られる。
(流石に般若グリズリーは攻撃力が高い……!)
でも……っ!
僕はカナタを操作して敵の攻撃を避けつつ隙をついて攻撃を当てていく。
何度も攻撃を受けながら、回復薬で持ちこたえ、ミレイユさんの矢が背後から支えてくれる。
少しずつ、確実に般若グリズリーの体力を削って追い詰めている。
『これで……終わりだっ!』
カナタの放った最後の一撃では般若グリズリーはようやく倒れた……。
「か……勝った……!」
僕は画面を見ながら思わずガッツポーズを取ると、改めて画面に映るミレイユさんを見る。
『あの……失礼を承知で聞きますが、ミレイユさんってもしかして……如月先輩……ですか?』
僕はパーティーチャットでミレイユさんへと問うも彼女はしばらく押し黙っていた。
『……申し訳ありません。本日はこれで、ログアウトさせていただきます』
それだけを言うとミレイユさんは逃げるようにログアウトしてしまった……。
僕はさっきまでミレイユさんがいたところを見つめる……。
あの口調、そして自分のことを「ミレイ」と言っていたこと……その全てから考えるとたぶんミレイユさんは如月先輩の可能性が高い……。
僕は
(でも……なんであのお嬢様口調を……?)
そこまでは分からないけど、もしかしたらそう言うキャラ設定に合わせているれない。
画面の前で腕組みをしながミレイユさんについて推測をしていると、突然部屋のドアがノックされる。
(誰だろう……?)
「お兄ちゃん!遊ぼうよっ!」
僕はそう思いながらドアを開けると、義妹の由奈ちゃんが勢いよく飛び込んできたのだった……。
~サイドストーリー~
──柚葉──
ログアウトしたミレイは、パソコンの前で頭を抱えていた。
ゲームの余韻も冷めぬうちに、現実の焦りが押し寄せてくる。
「ぬあぁぁぁ……!ミレイ、つい身バレしかねないような発言をしてしまったぁぁっ!」
身バレ防止のために、わざわざ面倒くさいお嬢様言葉まで使っていたというのに……!
つい興奮して素の自分が出てしまった!
あの"カナタ"と言うやつはたぶん今日あった御堂のはずだ……!
あいつは確か下の名前を彼方と言っていた。
あまり人のことは言えないが、まんま自分の名前をキャラクターに使うとは安直な奴だと思ってはいたが、こんなことになるとはおもわなかった……!
律にこの事を知られたらまた煩く文句を言われてしまう……!
なんとかせねば……。
「そ……そうだ……!明日にでも御堂を呼び出して口止めしよう!」
そうだ、それがいいっ!
でも……もしあのカナタが御堂じゃなかったら……?
「ミレイは……ミレイはどうすればいいんだぁぁぁーー……!」
ミレイは一人頭を抱えて悶絶していたのだった……。
画面の視点を変え後ろを確認するとミレイユさんがしっかりとついてきている。
フィールドが平原から森へと変わると、多くの木々が立ち並んでいるせいか少し画面が薄暗くなる。
『ミレイユさん、そろそろオーガグリズリーが出てくる辺りだよ。僕が近接で叩きますのでミレイユさんは後衛をお願い』
『わかりましたわ』
パーティーチャットを打ち込んで周囲を見渡すと、画面に一体の敵の姿が見えてくる。
その敵は灰色熊みたいな見た目に頭には二本の角が生えている。
オーガグリズリーだ。
僕はオーガグリズリーをターゲットに固定し、カナタを走らせる。
攻撃ボタンを押すと、剣が唸りを上げて敵に振り下ろされた。
オーガグリズリーは体力だけは高いので一撃では倒せない。
しかも攻撃力も高いためカナタのレベルが高くてもそれなりにダメージを受けてしまう。
オーガグリズリーが攻撃モーションに入るとコントローラーを操作してカナタを回避行動に入らせると、後ろからミレイユさんの放った矢が飛んでくる!
そしてその後も僕とミレイユさんの攻撃を数回当てるとオーガグリズリーは倒れた。
『ふう、倒せたね』
『はい、意外とこの敵はしぶといのですね』
『体力が高いからね。さあドンドン倒していこう』
『はい、宜しくお願い致します』
その後も僕のカナタとミレイユさんとで何体ものオーガグリズリーを倒していく……。
『ミレイユさん、レベル上がってる?』
『はい、お陰様で28まで上がりました』
『それはよかった』
この辺りの推奨レベルは30だからレベルが少し低いミレイユさんはレベルが上がりやすい。
あまり推奨レベルとの差があり過ぎると経験値ペナルティがかかって獲得経験値が減るけど、レベル26のミレイユさんならペナルティの制限はかからないはずとは思っていたけど、予想通りでよかった。
『もう少し続ける?』
『はい、お願いしま……ぬわぁぁぁ……っ!?』
突然ミレイユさんらしからぬチャットが流れてきたため、視点を変えるとそこにはレアモンスターである般若グリズリーの姿があった。
般若グリズリーはオーガグリズリーのレア個体で色が赤く大きさも少し大きい。
おまけに推奨レベルは40とかなり手強い。
『ミレイユさん!あれはかなり強力なレア個体だよ!今のミレイユさんでは厳しいかもしれないから一度退こう!』
『イヤだっ!ミレイは逃げない……!どんな強敵にでも立ち向かうのだっ!』
ミレイユさんは般若グリズリーへと弓を構えた。
……ん?
(今……“ミレイ”って言った? ミレイユじゃなくて……?)
なんかとんでもないチャットが流れてきたような……?
そんなことより……!
『ミレイユさん……!』
僕はカナタを般若グリズリーへと向かわせる!
カナタの攻撃はミレイユさんの放った矢とほぼ同時に当たると、般若グリズリーは咆哮を上げながらカナタへと攻撃してくる……!
く……!
回避できず、攻撃を受けたカナタの体力が1/4も削られる。
(流石に般若グリズリーは攻撃力が高い……!)
でも……っ!
僕はカナタを操作して敵の攻撃を避けつつ隙をついて攻撃を当てていく。
何度も攻撃を受けながら、回復薬で持ちこたえ、ミレイユさんの矢が背後から支えてくれる。
少しずつ、確実に般若グリズリーの体力を削って追い詰めている。
『これで……終わりだっ!』
カナタの放った最後の一撃では般若グリズリーはようやく倒れた……。
「か……勝った……!」
僕は画面を見ながら思わずガッツポーズを取ると、改めて画面に映るミレイユさんを見る。
『あの……失礼を承知で聞きますが、ミレイユさんってもしかして……如月先輩……ですか?』
僕はパーティーチャットでミレイユさんへと問うも彼女はしばらく押し黙っていた。
『……申し訳ありません。本日はこれで、ログアウトさせていただきます』
それだけを言うとミレイユさんは逃げるようにログアウトしてしまった……。
僕はさっきまでミレイユさんがいたところを見つめる……。
あの口調、そして自分のことを「ミレイ」と言っていたこと……その全てから考えるとたぶんミレイユさんは如月先輩の可能性が高い……。
僕は
(でも……なんであのお嬢様口調を……?)
そこまでは分からないけど、もしかしたらそう言うキャラ設定に合わせているれない。
画面の前で腕組みをしながミレイユさんについて推測をしていると、突然部屋のドアがノックされる。
(誰だろう……?)
「お兄ちゃん!遊ぼうよっ!」
僕はそう思いながらドアを開けると、義妹の由奈ちゃんが勢いよく飛び込んできたのだった……。
~サイドストーリー~
──柚葉──
ログアウトしたミレイは、パソコンの前で頭を抱えていた。
ゲームの余韻も冷めぬうちに、現実の焦りが押し寄せてくる。
「ぬあぁぁぁ……!ミレイ、つい身バレしかねないような発言をしてしまったぁぁっ!」
身バレ防止のために、わざわざ面倒くさいお嬢様言葉まで使っていたというのに……!
つい興奮して素の自分が出てしまった!
あの"カナタ"と言うやつはたぶん今日あった御堂のはずだ……!
あいつは確か下の名前を彼方と言っていた。
あまり人のことは言えないが、まんま自分の名前をキャラクターに使うとは安直な奴だと思ってはいたが、こんなことになるとはおもわなかった……!
律にこの事を知られたらまた煩く文句を言われてしまう……!
なんとかせねば……。
「そ……そうだ……!明日にでも御堂を呼び出して口止めしよう!」
そうだ、それがいいっ!
でも……もしあのカナタが御堂じゃなかったら……?
「ミレイは……ミレイはどうすればいいんだぁぁぁーー……!」
ミレイは一人頭を抱えて悶絶していたのだった……。
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