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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
連絡先を教えてください
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如月先輩の後を追って、生徒会室の前までやってきた。
「ここなら誰もいないはずだ」
如月先輩はドアを開けると、僕は彼女と共に生徒会室の中へと入る。
「失礼します」
中は広さこそ普通の教室と変わらないけど、長テーブルがロの字型に並び、周囲にはパイプ椅子が配置されていた。
長テーブルには生徒会長や副会長、書記に会計など役職の書かれた札が置かれている。
あとは教室と同じホワイトボードと、後ろの方には掃除用具が入っていると思われるロッカーが設置されていた。
室内は如月先輩の言うように誰の姿もなかった……。
「適当なところに座ってくれ」
如月先輩は「生徒会長」と書かれた札の席に座ると僕を適当な席に座るよう促す。
(適当な席と言われても……)
僕は何の札も置かれていない席にひとまず座ると手に持っていた弁当を広げる。
弁当を食べていると、如月先輩は広げた自分の弁当を食べることなく僕へと視線を向けてくる……。
なにげに彼女の鼻がヒクヒクと動いている様がどこか小動物っぽくて可愛い。
「如月先輩、なにか……?」
「あ……いや、御堂のお弁当は親が作ってくれているのか?」
「いえ、自分で作ってます。毎朝、簡単にですけど」
「何……っ!?自分で作っているのか……っ!?」
「ええ、まあ……」
先輩の問いに答えると、彼女は目を丸くして驚いていた。
ついこの前父さんが再婚したものの、それまではずっと僕が父さんと自分の弁当を作っていた。
もちろんそれは弁当だけにとどまらず、仕事で忙しい父さんに代わって家事全般僕が行っていたからだ。
「な……なるほど、御堂は見かけによらず器用なのだな」
(……見かけによらずは余計だと思う)
僕はそう思いながら心の中で苦笑する。
「さて……、それよりも本題に入るわけだが……」
如月先輩は手を組んで口元を隠すと真剣な眼差しを僕へと向けてくる。
彼女の視線に、言葉以上の圧を感じ——僕は思わず息を飲んだ。
(これが……如月先輩の……生徒会長としてのプレッシャーなのか……?)
「御堂……昨日のことは忘れてくれないか……?」
昨日のこと……それはつまりエリシアでのことを指していた。
「どういう事ですか……?」
「……そうだな、説明もなしに忘れてくれでは無理があるな。ミレイは見ての通りハーフでアメリカ人の父と日本人の母を両親にもつ」
「それはまあ……、見れば大体分かりますが……」
髪の色もそうだし、なにより「如月・ミレイ・柚葉」という、ミドルネームを持ってるくらいだからそれはなんとなくわかる。
「それでその父親と言うのが資産家で、ミレイはいわゆるお嬢様なのだ……」
「え……?ぅえぇぇぇぇぇぇーーーー……っ!?」
突然のことに僕は思わず素っ頓狂な声を上げる。
「御堂!そんなに驚くことはないだろうっ!?」
「す……すみません……」
そうは言うけど、意外すぎて思わず声が出てしまった……。
「まあ、ミレイ自身自分がお嬢様だという自覚は無いのは確かなのだが……」
「はあ……、それとゲームとなんの関係があるんですか?」
「エリシア・オンラインが面白そうだからしようとしたら弟からダメ出しされたんだ……。不特定多数の人が交流するネットゲームをしてはミレイが資産家の娘として狙われるのではないかっと言ってきたんだ……」
「ネットゲームは相手の素性とかわかりませんからね……」
「どうしてもしてみたかったミレイは何度も弟を説得して条件付きで許してもらえたんだ」
「条件付き……?」
「絶対に身バレしないって約束で、ミレイは“ミレイユ”として——普段絶対使わないお嬢様言葉で話してたんだ」
「ところが、それが昨日僕にバレたから弟さんに知られる前に口止めをしたかったと……そういう訳ですか?」
「そうだ……」
なるほど……、大体の話は分かった……。
それにしても言ってることはわかるとしても、過保護な弟さんだな……。
如月先輩の話を聞き、僕は腕組みをしながら心の中でため息をつく。
「そういう訳でこの通りだ御堂!お前に身バレしたということを黙っていてはくれないだろうか……っ!?その代わりなんでも言う事を聞くから……!」
なんでも言う事を聞く……ですと……?
如月先輩の言葉に僕は息を呑むと頭の中にピンク色の妄想が繰り広げられる……。
頭の中では、あんなことやこんなことまで……。
(……て、ダメだダメだっ!人の弱みに付け込んでそんなことをするなんて最低じゃないかっ!)
僕は欲望に飲まれそうになるのを必死に堪える。
「なら……如月先輩、一つだけと願いがあります」
僕は席を立つと如月先輩は少し体をビクっとさせながら僕を見つめる……。
「な……なんだ御堂……?へ……変な要望は聞けないぞ……っ!?」
僕は身構える先輩に近寄るとポケットからスマホを取り出す。
「先輩、連絡先を交換してください」
「へ……?」
何を想像していたのか、僕の言葉に如月先輩の目が点になる。
「ですから、黙ってる代わりに連絡先を教えてください」
「ま……まあ、それくらいなら……別に……」
僕は如月先輩と連絡先を交換し、少し遅めの昼食をとりながらその新しい繋がりを、静かに噛みしめていた。
「ここなら誰もいないはずだ」
如月先輩はドアを開けると、僕は彼女と共に生徒会室の中へと入る。
「失礼します」
中は広さこそ普通の教室と変わらないけど、長テーブルがロの字型に並び、周囲にはパイプ椅子が配置されていた。
長テーブルには生徒会長や副会長、書記に会計など役職の書かれた札が置かれている。
あとは教室と同じホワイトボードと、後ろの方には掃除用具が入っていると思われるロッカーが設置されていた。
室内は如月先輩の言うように誰の姿もなかった……。
「適当なところに座ってくれ」
如月先輩は「生徒会長」と書かれた札の席に座ると僕を適当な席に座るよう促す。
(適当な席と言われても……)
僕は何の札も置かれていない席にひとまず座ると手に持っていた弁当を広げる。
弁当を食べていると、如月先輩は広げた自分の弁当を食べることなく僕へと視線を向けてくる……。
なにげに彼女の鼻がヒクヒクと動いている様がどこか小動物っぽくて可愛い。
「如月先輩、なにか……?」
「あ……いや、御堂のお弁当は親が作ってくれているのか?」
「いえ、自分で作ってます。毎朝、簡単にですけど」
「何……っ!?自分で作っているのか……っ!?」
「ええ、まあ……」
先輩の問いに答えると、彼女は目を丸くして驚いていた。
ついこの前父さんが再婚したものの、それまではずっと僕が父さんと自分の弁当を作っていた。
もちろんそれは弁当だけにとどまらず、仕事で忙しい父さんに代わって家事全般僕が行っていたからだ。
「な……なるほど、御堂は見かけによらず器用なのだな」
(……見かけによらずは余計だと思う)
僕はそう思いながら心の中で苦笑する。
「さて……、それよりも本題に入るわけだが……」
如月先輩は手を組んで口元を隠すと真剣な眼差しを僕へと向けてくる。
彼女の視線に、言葉以上の圧を感じ——僕は思わず息を飲んだ。
(これが……如月先輩の……生徒会長としてのプレッシャーなのか……?)
「御堂……昨日のことは忘れてくれないか……?」
昨日のこと……それはつまりエリシアでのことを指していた。
「どういう事ですか……?」
「……そうだな、説明もなしに忘れてくれでは無理があるな。ミレイは見ての通りハーフでアメリカ人の父と日本人の母を両親にもつ」
「それはまあ……、見れば大体分かりますが……」
髪の色もそうだし、なにより「如月・ミレイ・柚葉」という、ミドルネームを持ってるくらいだからそれはなんとなくわかる。
「それでその父親と言うのが資産家で、ミレイはいわゆるお嬢様なのだ……」
「え……?ぅえぇぇぇぇぇぇーーーー……っ!?」
突然のことに僕は思わず素っ頓狂な声を上げる。
「御堂!そんなに驚くことはないだろうっ!?」
「す……すみません……」
そうは言うけど、意外すぎて思わず声が出てしまった……。
「まあ、ミレイ自身自分がお嬢様だという自覚は無いのは確かなのだが……」
「はあ……、それとゲームとなんの関係があるんですか?」
「エリシア・オンラインが面白そうだからしようとしたら弟からダメ出しされたんだ……。不特定多数の人が交流するネットゲームをしてはミレイが資産家の娘として狙われるのではないかっと言ってきたんだ……」
「ネットゲームは相手の素性とかわかりませんからね……」
「どうしてもしてみたかったミレイは何度も弟を説得して条件付きで許してもらえたんだ」
「条件付き……?」
「絶対に身バレしないって約束で、ミレイは“ミレイユ”として——普段絶対使わないお嬢様言葉で話してたんだ」
「ところが、それが昨日僕にバレたから弟さんに知られる前に口止めをしたかったと……そういう訳ですか?」
「そうだ……」
なるほど……、大体の話は分かった……。
それにしても言ってることはわかるとしても、過保護な弟さんだな……。
如月先輩の話を聞き、僕は腕組みをしながら心の中でため息をつく。
「そういう訳でこの通りだ御堂!お前に身バレしたということを黙っていてはくれないだろうか……っ!?その代わりなんでも言う事を聞くから……!」
なんでも言う事を聞く……ですと……?
如月先輩の言葉に僕は息を呑むと頭の中にピンク色の妄想が繰り広げられる……。
頭の中では、あんなことやこんなことまで……。
(……て、ダメだダメだっ!人の弱みに付け込んでそんなことをするなんて最低じゃないかっ!)
僕は欲望に飲まれそうになるのを必死に堪える。
「なら……如月先輩、一つだけと願いがあります」
僕は席を立つと如月先輩は少し体をビクっとさせながら僕を見つめる……。
「な……なんだ御堂……?へ……変な要望は聞けないぞ……っ!?」
僕は身構える先輩に近寄るとポケットからスマホを取り出す。
「先輩、連絡先を交換してください」
「へ……?」
何を想像していたのか、僕の言葉に如月先輩の目が点になる。
「ですから、黙ってる代わりに連絡先を教えてください」
「ま……まあ、それくらいなら……別に……」
僕は如月先輩と連絡先を交換し、少し遅めの昼食をとりながらその新しい繋がりを、静かに噛みしめていた。
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