147 / 187
柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
高藤兄弟に暴かれる黒井学園側の真実
しおりを挟む
高藤は不敵な笑みを浮かべながら、生徒会室へと足を踏み入れ、岸破生徒会長を見据えた。
「高藤……!どうしてお前が……っ!?」
高藤の登場に僕は思わず声を上げる。
「言ったはずだ御堂、あとは俺に任せろと。さて……そこの黒井学園の生徒会長は事実を隠している。俺はそれを暴きに来た」
岸破生徒会長は額に青筋を立てながら高藤を睨みつける。
「ふん……青葉ケ丘は謝罪じゃなく、ケンカを売りに来たってことか?そういうことでいいんだな、如月生徒会長?」
「ち……違う……!高藤、もうやめるんだ……!」
如月先輩は高藤を止めようとするも彼はさらに言葉を続ける。
「ケンカを売りに来たとは、これはまた異な事を言う。そもそも今回の一件は黒井学園側が引き起こしたものだ」
「俺たちが引き起こしただと……?何を根拠にそんなことを言う?」
高藤の言葉に、岸破の眉がぴくりと動いた。
「根拠?それなら、こちらにある」
高藤は指を鳴らすと彼の後ろから由奈ちゃんとその友人と思われる付属中学の女子生徒二人、それと高藤と瓜二つの人物が現れた!
「由奈ちゃん……っ!?それに……高藤が2人っ!?」
突然の事に僕の頭がついていかない。
「初めまして。付属中学の生徒会長、高藤です。本校の高藤の弟になります」
「弟……っ!?」
まさかの高藤の弟の登場に僕の怒りはいつの間にか消え失せていた。
「さて、この度の一件についての事実を説明致しましょう。事の始まりは一昨日の夕方、付属中学の女生徒が帰宅中に黒井学園の生徒会1年がナンパしてきたのがすべての始まりです。女生徒たちは嫌がっていましたが黒井学園の生徒はしつこく彼女たちにつきまとい、それを見つけた本校の生徒会の3年が彼女たちを救い出した。それが真実です」
「ま……待ってくれ……!なら生徒会の3年の暴行事件というのは……!」
高藤弟の説明に如月先輩は声を上げる。
確かに僕もそれは気になるところだ。
高藤弟の言うことが本当なら、なぜ暴行事件につながったのか……、それが僕には分からなかった。
「……なぜ暴行事件につながったのか、ですか?」
高藤弟は静かに頷くと、由奈ちゃんの方を見た。
「御堂さん、説明を」
「……はい」
由奈ちゃんは一歩前に出ると、少し震える声で語り始めた。
「一昨日の夕方、あたしたちは駅前の通りを歩いていました。そこに黒井学園の生徒が現れて……最初は軽い声かけだったんです。でも、断ってもついてきて……腕を掴まれて……怖くて、逃げようとしたんです。そしたら——」
由奈ちゃんは言葉を詰まらせると、別の女生徒が言葉を続ける。
「そのとき、通りかかったのが本校の生徒会の3年生でした。私たちの様子に気づいて、間に入ってくれて……でも、黒井の生徒が逆上して、手を出してきたんです」
「それで……応戦した、ということか」
如月先輩が小さく呟く。
「はい。もちろん、暴力はよくないことだと思います。でも、あのとき助けてくれなかったら、私たちはどうなっていたか……」
由奈ちゃん達三人の声は震えていたが、言葉には確かな意志があった。
「……ふざけるなっ!」
岸破生徒会長が机を叩いて立ち上がる。
「そんな話、今さら持ち出して何になる!証拠はあるのか!? その場にいたのはお前たちだけだろう!」
「証拠ならある」
高藤がニヤリと笑みを浮かべるとスマホの動画を見せる。
「これは駅前の防犯映像だ。関係者の協力で確認済み。必要なら、正式に提出する。黒井学園の生徒が青葉ケ丘学園付属中学の女生徒の腕を掴み、揉み合いになっている様子が映っていた。本校の生徒が割って入ったのも記録されている」
「……っ!」
岸破生徒会長の顔が引きつる。
「もちろん、正式な映像は校長経由で提出する。だが、ここで重要なのは“真実”だ。青葉ケ丘の生徒が手を出したのは事実だが、それは女生徒を守るためだった。それを一方的に“暴行事件”と断じ、謝罪を強要するのは——正義ではない」
生徒会室の空気が、凍りついたように静まり返る。
僕は、如月先輩の横顔を見る。
その瞳は、静かに揺れていた。怒りでも、悲しみでもない。
ただ、真実の重みに耐えようとする——凛とした強さだった。
「……岸破生徒会長、私は青葉ケ丘の生徒会長として、責任を果たすつもりでここに来ました。でも、今ここにあるのは、あなたが語った“事実”とは違うものです。それでも、あなたは我が校に謝罪を求めますか?」
如月先輩が、静かに口を開く。
岸破生徒会長は、何も言わなかった。
拳を震わせながら、何かを飲み込むように視線を落とした
「そうだ、ついでに一つ言っておきましょう。ここは県立高校でしたね。県の方にも報告をしてあります。あとは県の方々がここにやって来るでしょう。舞台は整った。あとは、幕が下りるのを待つだけですね」
高藤弟は不敵な笑みを浮かべながら、由奈ちゃんたちと共に生徒会室を後にした。
その背中は、すでに勝者の風格をまとっていた。
「高藤……!どうしてお前が……っ!?」
高藤の登場に僕は思わず声を上げる。
「言ったはずだ御堂、あとは俺に任せろと。さて……そこの黒井学園の生徒会長は事実を隠している。俺はそれを暴きに来た」
岸破生徒会長は額に青筋を立てながら高藤を睨みつける。
「ふん……青葉ケ丘は謝罪じゃなく、ケンカを売りに来たってことか?そういうことでいいんだな、如月生徒会長?」
「ち……違う……!高藤、もうやめるんだ……!」
如月先輩は高藤を止めようとするも彼はさらに言葉を続ける。
「ケンカを売りに来たとは、これはまた異な事を言う。そもそも今回の一件は黒井学園側が引き起こしたものだ」
「俺たちが引き起こしただと……?何を根拠にそんなことを言う?」
高藤の言葉に、岸破の眉がぴくりと動いた。
「根拠?それなら、こちらにある」
高藤は指を鳴らすと彼の後ろから由奈ちゃんとその友人と思われる付属中学の女子生徒二人、それと高藤と瓜二つの人物が現れた!
「由奈ちゃん……っ!?それに……高藤が2人っ!?」
突然の事に僕の頭がついていかない。
「初めまして。付属中学の生徒会長、高藤です。本校の高藤の弟になります」
「弟……っ!?」
まさかの高藤の弟の登場に僕の怒りはいつの間にか消え失せていた。
「さて、この度の一件についての事実を説明致しましょう。事の始まりは一昨日の夕方、付属中学の女生徒が帰宅中に黒井学園の生徒会1年がナンパしてきたのがすべての始まりです。女生徒たちは嫌がっていましたが黒井学園の生徒はしつこく彼女たちにつきまとい、それを見つけた本校の生徒会の3年が彼女たちを救い出した。それが真実です」
「ま……待ってくれ……!なら生徒会の3年の暴行事件というのは……!」
高藤弟の説明に如月先輩は声を上げる。
確かに僕もそれは気になるところだ。
高藤弟の言うことが本当なら、なぜ暴行事件につながったのか……、それが僕には分からなかった。
「……なぜ暴行事件につながったのか、ですか?」
高藤弟は静かに頷くと、由奈ちゃんの方を見た。
「御堂さん、説明を」
「……はい」
由奈ちゃんは一歩前に出ると、少し震える声で語り始めた。
「一昨日の夕方、あたしたちは駅前の通りを歩いていました。そこに黒井学園の生徒が現れて……最初は軽い声かけだったんです。でも、断ってもついてきて……腕を掴まれて……怖くて、逃げようとしたんです。そしたら——」
由奈ちゃんは言葉を詰まらせると、別の女生徒が言葉を続ける。
「そのとき、通りかかったのが本校の生徒会の3年生でした。私たちの様子に気づいて、間に入ってくれて……でも、黒井の生徒が逆上して、手を出してきたんです」
「それで……応戦した、ということか」
如月先輩が小さく呟く。
「はい。もちろん、暴力はよくないことだと思います。でも、あのとき助けてくれなかったら、私たちはどうなっていたか……」
由奈ちゃん達三人の声は震えていたが、言葉には確かな意志があった。
「……ふざけるなっ!」
岸破生徒会長が机を叩いて立ち上がる。
「そんな話、今さら持ち出して何になる!証拠はあるのか!? その場にいたのはお前たちだけだろう!」
「証拠ならある」
高藤がニヤリと笑みを浮かべるとスマホの動画を見せる。
「これは駅前の防犯映像だ。関係者の協力で確認済み。必要なら、正式に提出する。黒井学園の生徒が青葉ケ丘学園付属中学の女生徒の腕を掴み、揉み合いになっている様子が映っていた。本校の生徒が割って入ったのも記録されている」
「……っ!」
岸破生徒会長の顔が引きつる。
「もちろん、正式な映像は校長経由で提出する。だが、ここで重要なのは“真実”だ。青葉ケ丘の生徒が手を出したのは事実だが、それは女生徒を守るためだった。それを一方的に“暴行事件”と断じ、謝罪を強要するのは——正義ではない」
生徒会室の空気が、凍りついたように静まり返る。
僕は、如月先輩の横顔を見る。
その瞳は、静かに揺れていた。怒りでも、悲しみでもない。
ただ、真実の重みに耐えようとする——凛とした強さだった。
「……岸破生徒会長、私は青葉ケ丘の生徒会長として、責任を果たすつもりでここに来ました。でも、今ここにあるのは、あなたが語った“事実”とは違うものです。それでも、あなたは我が校に謝罪を求めますか?」
如月先輩が、静かに口を開く。
岸破生徒会長は、何も言わなかった。
拳を震わせながら、何かを飲み込むように視線を落とした
「そうだ、ついでに一つ言っておきましょう。ここは県立高校でしたね。県の方にも報告をしてあります。あとは県の方々がここにやって来るでしょう。舞台は整った。あとは、幕が下りるのを待つだけですね」
高藤弟は不敵な笑みを浮かべながら、由奈ちゃんたちと共に生徒会室を後にした。
その背中は、すでに勝者の風格をまとっていた。
20
あなたにおすすめの小説
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
体育館倉庫での秘密の恋
狭山雪菜
恋愛
真城香苗は、23歳の新入の国語教諭。
赴任した高校で、生活指導もやっている体育教師の坂下夏樹先生と、恋仲になって…
こちらの作品は「小説家になろう」にも掲載されてます。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる