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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
事態の収束と感情の芽生え
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夕暮れの黒井学園。
校舎は夕日に染まり、空気はまだ昼間の暑さを残している。
生徒会室を出た僕と如月先輩は、校門前で高藤と向き合っていた。
「高藤、さっきは本当に助かったよ」
「ふ、気にするな俺はただ友の危機に駆けつけたまでだ」
僕は高藤にお礼を述べると、彼はズボンのポケットに手を突っ込んだまま、不敵な笑みを浮かべている。
普段はトラブルーメーカーな奴だが、今だけはその余裕が少しだけ頼もしく見えた。
「だが、本当に君のおかげで助かった。生徒会長として礼を言わせてもらう」
「いえ、俺の方こそ遅れて申し訳ありませんでした。証拠を集めるのに思いのほか時間がかかってしまったものですから」
「いや、本当に助かった。君が来てくれなかった今ごろどうなっていたか……」
如月先輩は僕をジロっと睨むとバツが悪そうに苦笑する他なかった。
そして、先輩は高藤に向けて柔らかな笑みを浮かべる。
その瞬間——僕の胸の奥が、チクリと痛んだ。
(……なんだろう、この痛み。胸がざわつく感じがする)
理由は分からない。
ただ、胸に手を当てながら、僕は青葉ケ丘学園へ戻るためバスに乗り込んだ。
後日——件の暴行事件について、黒井学園側に責任があったことが明らかになると、例の生徒会の3年生たちは「問題を起こしたことには変わりない」として、生徒会を辞任した。
生徒達は生徒会と如月先輩を再び支持しだしたのだけど、その掌返しのような反応に僕は複雑な思いを抱かずにはいられなかった。
~サイドストーリー~
──柚葉──
御堂と別れたあと、私は自宅である屋敷の門をくぐると、40代前半の二人の男女が出迎えてくれる。
「お帰りなさいませ、ミレイ様」
そう言って頭を下げたのは執事である「桜井 誠司」さん。
「今日もお疲れさまでした」
そう言い笑顔を向けてくれるのはメイドの「志乃」さん。
執事の誠司さんとメイドの志乃さんは夫婦の関係。
子供のいない二人は、仕事で家を空けがちな両親に代わって、私と律を実の子供のように大切にしてくれている。
今日は精神的にハードな1日だったけど、二人の顔を見ると、今日の疲れが少しだけ和らいだ。
「ただいま、誠司さん、志乃さん」
私は二人に帰宅の挨拶をすると、屋敷の2階にある自分の部屋に向かう。
「ふう……」
部屋に戻り、ベッドに腰を下ろす。
思い出されるのは、黒井学園での出来事。
岸破生徒会長の罵声……。
その威圧に体は震え、脚がすくんだ。
本当は怖かった、逃げ出したかった、そして——今にも泣き出しそうにもなった。
でも、生徒会長として、それは許されなかった。
心が折れそうになったその瞬間——御堂が、私の前に立ってくれた。
彼の背中は、大きくて、頼もしかった。
あの瞬間、私は初めて“守られる”という感覚を知った。
「御堂彼方……」
私は御堂の名前を口に出すとなぜか顔が赤くなり、胸が少しドキドキしてくるのを感じる。
「なにこれ……ミレイは……こんなの知らない……」
私は両手で胸を押さえると少し前かがみになる。
でも……胸の鼓動が、なぜか心地よく響いていた。
校舎は夕日に染まり、空気はまだ昼間の暑さを残している。
生徒会室を出た僕と如月先輩は、校門前で高藤と向き合っていた。
「高藤、さっきは本当に助かったよ」
「ふ、気にするな俺はただ友の危機に駆けつけたまでだ」
僕は高藤にお礼を述べると、彼はズボンのポケットに手を突っ込んだまま、不敵な笑みを浮かべている。
普段はトラブルーメーカーな奴だが、今だけはその余裕が少しだけ頼もしく見えた。
「だが、本当に君のおかげで助かった。生徒会長として礼を言わせてもらう」
「いえ、俺の方こそ遅れて申し訳ありませんでした。証拠を集めるのに思いのほか時間がかかってしまったものですから」
「いや、本当に助かった。君が来てくれなかった今ごろどうなっていたか……」
如月先輩は僕をジロっと睨むとバツが悪そうに苦笑する他なかった。
そして、先輩は高藤に向けて柔らかな笑みを浮かべる。
その瞬間——僕の胸の奥が、チクリと痛んだ。
(……なんだろう、この痛み。胸がざわつく感じがする)
理由は分からない。
ただ、胸に手を当てながら、僕は青葉ケ丘学園へ戻るためバスに乗り込んだ。
後日——件の暴行事件について、黒井学園側に責任があったことが明らかになると、例の生徒会の3年生たちは「問題を起こしたことには変わりない」として、生徒会を辞任した。
生徒達は生徒会と如月先輩を再び支持しだしたのだけど、その掌返しのような反応に僕は複雑な思いを抱かずにはいられなかった。
~サイドストーリー~
──柚葉──
御堂と別れたあと、私は自宅である屋敷の門をくぐると、40代前半の二人の男女が出迎えてくれる。
「お帰りなさいませ、ミレイ様」
そう言って頭を下げたのは執事である「桜井 誠司」さん。
「今日もお疲れさまでした」
そう言い笑顔を向けてくれるのはメイドの「志乃」さん。
執事の誠司さんとメイドの志乃さんは夫婦の関係。
子供のいない二人は、仕事で家を空けがちな両親に代わって、私と律を実の子供のように大切にしてくれている。
今日は精神的にハードな1日だったけど、二人の顔を見ると、今日の疲れが少しだけ和らいだ。
「ただいま、誠司さん、志乃さん」
私は二人に帰宅の挨拶をすると、屋敷の2階にある自分の部屋に向かう。
「ふう……」
部屋に戻り、ベッドに腰を下ろす。
思い出されるのは、黒井学園での出来事。
岸破生徒会長の罵声……。
その威圧に体は震え、脚がすくんだ。
本当は怖かった、逃げ出したかった、そして——今にも泣き出しそうにもなった。
でも、生徒会長として、それは許されなかった。
心が折れそうになったその瞬間——御堂が、私の前に立ってくれた。
彼の背中は、大きくて、頼もしかった。
あの瞬間、私は初めて“守られる”という感覚を知った。
「御堂彼方……」
私は御堂の名前を口に出すとなぜか顔が赤くなり、胸が少しドキドキしてくるのを感じる。
「なにこれ……ミレイは……こんなの知らない……」
私は両手で胸を押さえると少し前かがみになる。
でも……胸の鼓動が、なぜか心地よく響いていた。
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