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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
ミレイとの距離と高藤の企み
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キス未遂から数日経った頃、青葉ケ丘学園の本校では、学園祭に向けた準備が本格的に動き始めていた。
生徒会は学園祭のパンフレットやそのデザイン、実行委員会の設立や各クラスから選任された実行委員との打ち合わせ、予算決め等かなり慌ただしく動いていた。
他にも、模擬店の申請書の整理やステージ企画のタイムテーブル調整など、生徒会室は常に誰かが出入りしている。
僕も仮メンバーとはいえ、生徒会の一人。
とは言え、僕の方にそこまで重要なポジションが与えられるはずも無く、僕はデザインされたパンフレットの印刷を職員室で行っていた。
パンフレットは4枚で一セット、しかもそれを学園の生徒数プラス教員と予備の分も含めかなりの枚数を印刷しなければならない。
まあ、それはコピー機がしてくれるのでいいのだけど、僕は別の意味でため息をついていた……。
ため息の理由はコピー機ではなく……如月先輩のことだった。
(はあ……)
最近如月先輩と中々会えない……。
尤も生徒会室に行けば会えるのだけど、なんとなく……いや、確実に避けられてる気がする。
目も合わせてくれないし、用があるときはイオリを通して伝えてくる。
僕が生徒会室に入ると、先輩は書類を手にすぐに出ていく。
その背中は、まるで僕を避けるようで——遠く、冷たく感じた。
(僕何か先輩に嫌われることしたかなぁ……)
はぁ……。
僕は心の中でため息をつく。
心当たりがあるとすれば例のキス未遂。
本当はあの時先輩はキスじゃなくて別の意味があったのかなぁ……。
それを僕が勘違いして、それで先輩に嫌われて避けられてるとか……?
うう……先輩に避けられてると思うだけで、胸がぎゅっと締めつけられる。
(でも……先輩を支えるって決めたんだ……!例え避けられていたとしても僕はしっかりと先輩を支えるんだ……!)
……精神的には、けっこうキツいけど。
コピーを済ませた僕はパンフレットの山を抱えて生徒会室を目指す。
生徒会室にもコピー機はあるのだけど、残念ながら他の人が使っていた。
それに……変に生徒会室でコピーをしていて、如月先輩に露骨に避けられるのも精神的に堪えるし、ある意味では職員室で良かったような気もする。
「よう、御堂。忙しそうだな」
生徒会室に向かっている僕に、高藤が声をかけてくる。
「なんだ、高藤か……」
僕は高藤の顔を見ると思わずため息が出る。
いや、高藤には悪いとは思っているんだけど、こればかりは仕方ない。
「なんだとは言い草だな……。それより、学園祭で面白いイベントを企画しているのだが、御堂も参加しないか?」
高藤はニヤリと不敵な笑みを浮かべながら誘ってくる。
こういう時のコイツって大体ロクなこと考えていないんだよな……。
「断るよ、それに僕は生徒会の仕事で忙しいんだ」
「ふむ、ならば仕方あるまい……。だが、今回のイベントのメインはお前に務めてもらう予定だ。黒井学園での一件……忘れてはいないだろう?あの借り、そろそろ返してもらうぞ」
不敵な笑みから一転、今度は何かを企むような笑みを向けてくる。
黒井学園での一件は忘れてはいない。
高藤がいなければ全面的にこちらが悪くなっていた筈だ。
「もちろん覚えてるよ……」
「ならば結構。俺も今企画中のイベントに向けて忙しいのでな、ではさらばだ」
高藤はそう言い残すとどこかへと歩き去っていく。
僕は高藤の背中を見ながら一抹の不安を感じていた……いや、不安しか感じなかった……。
高藤の背中を見送りながら、僕の胸の奥にじわじわと広がるのは確かな不安だった。
生徒会は学園祭のパンフレットやそのデザイン、実行委員会の設立や各クラスから選任された実行委員との打ち合わせ、予算決め等かなり慌ただしく動いていた。
他にも、模擬店の申請書の整理やステージ企画のタイムテーブル調整など、生徒会室は常に誰かが出入りしている。
僕も仮メンバーとはいえ、生徒会の一人。
とは言え、僕の方にそこまで重要なポジションが与えられるはずも無く、僕はデザインされたパンフレットの印刷を職員室で行っていた。
パンフレットは4枚で一セット、しかもそれを学園の生徒数プラス教員と予備の分も含めかなりの枚数を印刷しなければならない。
まあ、それはコピー機がしてくれるのでいいのだけど、僕は別の意味でため息をついていた……。
ため息の理由はコピー機ではなく……如月先輩のことだった。
(はあ……)
最近如月先輩と中々会えない……。
尤も生徒会室に行けば会えるのだけど、なんとなく……いや、確実に避けられてる気がする。
目も合わせてくれないし、用があるときはイオリを通して伝えてくる。
僕が生徒会室に入ると、先輩は書類を手にすぐに出ていく。
その背中は、まるで僕を避けるようで——遠く、冷たく感じた。
(僕何か先輩に嫌われることしたかなぁ……)
はぁ……。
僕は心の中でため息をつく。
心当たりがあるとすれば例のキス未遂。
本当はあの時先輩はキスじゃなくて別の意味があったのかなぁ……。
それを僕が勘違いして、それで先輩に嫌われて避けられてるとか……?
うう……先輩に避けられてると思うだけで、胸がぎゅっと締めつけられる。
(でも……先輩を支えるって決めたんだ……!例え避けられていたとしても僕はしっかりと先輩を支えるんだ……!)
……精神的には、けっこうキツいけど。
コピーを済ませた僕はパンフレットの山を抱えて生徒会室を目指す。
生徒会室にもコピー機はあるのだけど、残念ながら他の人が使っていた。
それに……変に生徒会室でコピーをしていて、如月先輩に露骨に避けられるのも精神的に堪えるし、ある意味では職員室で良かったような気もする。
「よう、御堂。忙しそうだな」
生徒会室に向かっている僕に、高藤が声をかけてくる。
「なんだ、高藤か……」
僕は高藤の顔を見ると思わずため息が出る。
いや、高藤には悪いとは思っているんだけど、こればかりは仕方ない。
「なんだとは言い草だな……。それより、学園祭で面白いイベントを企画しているのだが、御堂も参加しないか?」
高藤はニヤリと不敵な笑みを浮かべながら誘ってくる。
こういう時のコイツって大体ロクなこと考えていないんだよな……。
「断るよ、それに僕は生徒会の仕事で忙しいんだ」
「ふむ、ならば仕方あるまい……。だが、今回のイベントのメインはお前に務めてもらう予定だ。黒井学園での一件……忘れてはいないだろう?あの借り、そろそろ返してもらうぞ」
不敵な笑みから一転、今度は何かを企むような笑みを向けてくる。
黒井学園での一件は忘れてはいない。
高藤がいなければ全面的にこちらが悪くなっていた筈だ。
「もちろん覚えてるよ……」
「ならば結構。俺も今企画中のイベントに向けて忙しいのでな、ではさらばだ」
高藤はそう言い残すとどこかへと歩き去っていく。
僕は高藤の背中を見ながら一抹の不安を感じていた……いや、不安しか感じなかった……。
高藤の背中を見送りながら、僕の胸の奥にじわじわと広がるのは確かな不安だった。
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