最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島第四、ロリアン島編★

583:封印結界

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『オビャビャッ! オビャビャビャビャッ!!』

「だっはっはっ! うるせぇ奴だなぁっ!?」

 モシューラの鳴き声が壺にハマったらしく、爆笑しながら飛行するカービィ。
 だけども……

 ヴォンヴォンヴォンヴォンヴォオォォーーーーーン!!!

 あんたの箒の方がうるせぇえわっ!

「アイビーは北! インディゴは東!! マシコットは西へ向かってポ!!! カービィちゃん、モッモちゃん!!!! あたち達は南から……、正面から行くポよっ!!!!!」

 しょしょしょ!? 正面からぁあっ!??

「イェッサァーーー!!!」

 良くねぇわカービィこの野郎っ!!!

 しかし、カービィの背中にしがみ付く事しか出来ない俺に、拒否権など存在しないのである。
 俺とカービィとノリリアは、腐食して真っ黒になったピラミッドの南側、王宮から溢れ出た黒い水が流れる王の道の真正面へと向かった。

 王都の壁を越えると、一気に瘴気が濃くなった。
 辺りは黒い煙にまかれて、眼下の町は酷い有様だ。
 建物は黒く変色してグチャグチャに腐り落ち、ウネウネとした奇妙な植物が至るところに蔓延っている。
 道には無数の市民が倒れていて、既に事切れているのだろう、白いカビの温床となっていた。
 ブリックとライラックが王都の壁門を開けに向かっているはずだが……、果たしてこの中に、生存者などいるのだろうか?
 あまりの惨状に、俺の目には涙が溜まっていた。

『オビャビャビャ! オビャビャビャビャビャビャ!!』

 大音量で奇声を上げ続ける邪神モシューラ。
 その体は既に、全てが外へと出てしまったようだ。
 ピラミッドの天辺、王宮があった場所にいるそれは、毒々しい紫色の羽を六枚も持った、巨大な蛾であった。

 なんだよ、あれは……?
 俺はもっと、小さくて、綺麗な姿を想像していたんだ。
 だってロリアンが、時代の王テペウの隣に居たモシューラは、美しい女だったって言っていたから……
 なのに、今目の前にいるモシューラは、ただの怪物じゃないか。

 その巨体はおそらく、これまで俺が対峙してきたどんな奴よりもでかくて、あの邪神カマーリスですら小さく思えるほどだ。
 虫特有の節のある体は、触覚や目がある頭部、細長い足が生えている胴体と、でっぷりとした下半身に分かれていて、全体がフサフサとした黒い毛に覆われている。
 しかし、それ自体はさほど大きく感じられない。
 巨大な理由は、その背にある六枚の羽だ。
 ピラミッドをすっぽりと覆ってしまうほどに大きいその羽には、眼球のような斑目模様が複数あって、非常に気持ち悪い。
 そして、その羽が事態を更に悪化させているのだと俺は気付く。
 意図してなのか、自然にそうなってしまうのかは分からないが、モシューラの六枚の羽は、常に小刻みに震えているのだ。
 その振動の為に、巨大な六枚の羽からは瘴気と思われる赤い鱗粉が止め処なく発生し、空中へと舞い上がっていた。
 
『オビャビャビャビャビャビャビャーーー!!!』

 唯一、俺が知っている蛾と違うところが、口だ。
 奇妙な鳴き声を放つその口は、蝶や蛾のようなストロー状ではなく、人やその他の動物のものと等しい形をしている。
 しかし、それもまた異質で、まるで裂けたかのように横に広がっているのだ。
 口の中には、怪物と呼ぶに相応しい、無数の牙が生えているのが見えた。

「ノリリア! 確認だが、封印するつもりなんだなっ!?」

 カービィが叫ぶ。

「ポポ! そのつもりポねっ!! けどっ!!!」

「分かってる! 倒せるなら倒してくれ、だよなっ!?」

「そうポ!!!!」

 頷くノリリア。

 君達さ、勝手にいろいろ話進めてるけど……
 それって俺任せなんだよねっ!?
 俺ありきの会話だよねっ!!?
 けど俺……、邪神の倒し方なんて知らないよっ!?!?

「よぉ~っし! 行くぞモッモ!!」

「ふぁっ!? 行くって何処っ!?? にぃいいぃぃぃ~~~!?!?」

 ヴォヴォヴォヴォ、ヴォオオォォーーーン!!!

 ノリリアをその場に残し、馬鹿みたいにスピードを上げるカービィ。
 風圧に負けぬよう、カービィの体に必死にしがみ付く俺。
 そして気が付いた時には、俺を乗せたカービィの箒は、邪神モシューラの巨大な顔面の真ん前まで迫っていた。

「ひゃあぁっ!? かかかっ!?? カービィ!?!? どうするつもりっ!?!!?」

「どうするも何も、話し掛けるっ!」

「はぁあっ!? 話しっ!?? 掛けてどうするのさっ!?!?」

「話が通じるなら、こっちの要望を伝える! 話が通じないなら、攻撃する!! でもって、話が通じても要望を無視された時は、やっぱり攻撃だぁあっ!!!」

「そんっ!? そんなの最初からっ!?? 攻撃すりゃいいんじゃっ!?!?」

「馬鹿野郎っ!? そこは武士の情けだっ!!!」

 はぁあぁぁっ!?
 お前は武士じゃねぇえだろぉっ!??

 心の叫び声も虚しく、モシューラの目には既に、俺達が写り込んでいる。
 虫特有の複眼であるその目は、まるで鏡のように正確に、俺たちの姿を無数に写し出していた。

 やっべっ!?
 めっちゃ近いっ!!?
 けど……、俺たちが小さ過ぎて気付かないかも……?

 モシューラまでの距離があと二十メートルほどに差し迫ったところで、カービィは箒を止めた。
 ドキドキドキと、俺の小さな心臓が音を立てる。
 すると、モシューラが奇声を止めた。
 その目は真っ直ぐに、俺たちを見ている(気がする)。
 すかさずカービィは杖を取り出し、その先端に青い光りを宿らせて、叫んだ。

「蛾神モシューラ! 暴れるのはやめろっ!! ここにいた、おまいを閉じ込めた紅竜人達はみんな死んだ!!! これ以上何を望むっ!!!? 怒りを収めて、鎮まれっ!!!!!」

 モシューラの目に、杖の青い光が写り込む。
 そしてゆっくりと、その大きな口を動かして……

『……憎い。……憎い、憎い、憎い。許せぬ、許せぬ……、許せぬ。……鎮まれぬ。我が怒りは、鎮まれぬっ!』

 地の底から響くような、低くて威厳のある声で、モシューラは叫んだ。

『オビャビャビャビャビャビャーーーーー!!!』

 ギャアアァァァァ!?!?

 再び開かれた大きな口から発せられる奇声に、俺は思わず耳を塞いだ。
 次の瞬間、モシューラは六枚の羽を大きく羽ばたかせて、空を飛ぼうとし始めたではないか。
 先程以上に大量の赤い鱗粉が空中を舞って、地上の腐食に拍車をかける。

「ポポ!? まずいポッ!?? みんなっ! 準備はいいポかっ!?!?」

 背後でノリリアの声が聞こえた。
 振り返ると、随分と遠くで箒を空中に止めているノリリアが、カービィと同じ様に、青い光を先端に宿した杖を頭上に掲げている。
 そして、俺たちに合図するかのように、コクンと小さく頷いた。

「仕方ねぇ……、やるぞっ!? 最大級メギストス!! 封印結界ケラ・コーラー!!!」

 カービィが呪文を唱えると同時に、背後のノリリアも同じ呪文を口にしていた。
 そして、カービィとノリリアの杖の先から、眩しいほどの青い光が空へと一直線に放たれる。
 すると、同じ青い光が北の空にも、西の空にも東の空にも現れて……、それらが上空で交わり、一際大きな光が放たれた。
 あまりの眩しさに目を瞑る俺。

 次に目を開けた時、真っ暗だったはずの上空には、カービィの杖の光を中心とした、十字の形をした馬鹿でかい、眩しいほどの光を放つ魔法陣が浮かび上がっていた。
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