最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

文字の大きさ
597 / 804
★ピタラス諸島第四、ロリアン島編★

584:本気モード

しおりを挟む
『オビャッ!? オビャッ!?? オビャビャビャッ!?!?』

 頭上に光る巨大な十字型の封印結界に阻まれて、飛び立とうにも飛び立てずに、モシューラは困惑した鳴き声を上げた。
 それでも尚、六枚の羽をバッサバッサと羽ばたかせ、腐蝕の原因である赤い鱗粉を大量に撒き散らしながら、モシューラはもがく。

「ポポゥ!? やっぱり五人じゃきついポよ!! カービィちゃん、モッモちゃん、なんとかしてポォ!!!」

 背後で叫ぶノリリア。
 封印結界を維持する為に、青い光を放つ杖を上空に向けたポーズのまま、空中で止まって身動きが取れないらしい。
 そして、守護魔法で守られているとはいえ、大量の鱗粉を浴びたが為に、ノリリアの体はそのピンク色の毛が所々黒ずみ始めている。
 俗に神の呪いと呼ばれるその現象は、以前グレコが蜥蜴へきえき神の心臓を喰らった時に見られたものだ。

 このままだと、ノリリアの命が危ないっ!?
 ノリリアだけじゃない、アイビーもインディゴもマシコットも、カービィも俺も、みんな危ないっ!??

「モッモ! なんか出来ねぇのかっ!?」

 こちらも、杖を上空に向けたままの体制で、無茶振りするカービィ。

「なっ!? なんかって言われてもっ!!?」

 俺の思考回路は停止寸前だ。

 こんな危機迫る状況で、無力な俺に何をしろとっ!?
 そもそも何故、俺にどうにか出来ると思ってんだ!??
 俺なんか、何にも出来ない最弱のピグモルなんだぞっ!?!?

「おまい、前言ってたよな!? おいらと出会う前、グレコさんとギンロとおまいの三人で、虫型の邪神を倒したって!! そん時はどうやったんだっ!!?」

 カービィと出会う前!?
 虫型の邪神って……、カマーリスの事かっ!!?

「あっ! あの時は!! ギンロがカマーリスの首を斬ったんだ!!!」

 今でも忘れない、巨大な蟷螂とうろう神カマーリスに果敢に立ち向かい、三つある頭を全て斬り落とした、あのギンロの雄姿を。

 だけど今、ギンロは気を失ってて無理だ!
 それに目の前のモシューラは、カマーリスよりもデカいし、何より発している瘴気が多過ぎて濃過ぎて、やば過ぎるっ!!
 こんなのを倒すなんて……、いったい何をどうすればいいんだっ!!?

「モッモ! バルンよっ!!」

 突然耳元でグレコの声がした。
 絆の耳飾りで交信してきたのだ。

「グレコ!?」

「バルンを呼ぶのよっ! カマーリスの時を思い出して!! バルンなら、邪神に対抗できるはずっ!!!」

 バルン!? 
 ……あっ!?? あぁあっ!?!?
 そうか、バルンだっ!!!

 現状にテンパリすぎて思い出せなかったけど、カマーリスと戦った時、水が効かないと分かった俺は、火の精霊サラマンダーのバルンを召喚した。
 そしてバルンに最大限の力を発揮する事を許したら、いつもは小っちゃなトカゲみたいな姿のバルンが、なんと真っ赤なドラゴンに変身したのだ。
 その姿になったバルンの炎は凄まじく、カマーリスの腹部をドロドロに溶かしていた。

「カービィ! 火の精霊を呼ぶよっ!! バルンなら、邪神を倒せるかもっ!!?」

「おぉっ! ローズの炎を食っちまったあいつかっ!? あいつならやれそうだなっ!! 呼べ呼べぇっ!!!」

 よぉ~っし!
 一か八かだっ!!

「火の精霊! サラマンダーのバルン!!」

 大声で叫ぶ俺。
 すると、目の前にボボボッと青い炎が現れたかと思うと……

『我、火の精霊サラマンダーなり。契約者の命にて、悪き者を討ち滅ぼす』

 いつもとは明らかに違う低い声が聞こえて、眩しい程の赤い光と共に、真っ赤な鱗を持つドラゴンが炎の中から現れた。
 背に生える翼で空中を優雅に滑空し、尾の先にある炎は青く燃え上がっている。

「あいつがっ!? 前と全然違うくないかっ!??」

 バルンの変貌に驚くカービィ。

「あれが、本気モードのバルンなんだっ!」

 説明が下手糞かも知れないけど、それ以上の事は俺にも分からんっ!

『我が炎を受けよっ! 業火の炎うぉおぉぉっ!!』

 雄叫びを上げながら、モシューラの羽目掛けて、バルンは口から大量の青い炎を噴き出した。
 轟々と燃える青い炎に焼かれて、モシューラは悲鳴を上げる。

『オビャーーーー!? オビャビャーーーーー!!?』

 青い炎を浴びたモシューラの羽は、見る見るうちにドロドロと溶けていく。
 あまりの苦痛に、モシューラは羽ばたくのを止めて、ピラミッドの上に力無く伏せた。

「おしっ! 効いてるみたいだぞっ!?」

「うんっ! いっけぇぇぇっ!! バルーーーン!!!」

 モシューラの周りをグルグルと旋回しながら、その巨体に何度も青い炎を噴き付けるバルン。
 悲鳴を上げながら、苦しそうにもがくモシューラは、反撃しようと足を伸ばす。
 しかし、バルンがそれに捕まる事はない。
 大きさこそ随分と劣るが、バルンの飛行速度はとても速く、苦し紛れに動かしているだけのモシューラの足になど捕らえられるはずがないのだ。
 それに加えて、バルンの赤い鱗の体は瘴気をものともしない。
 空中を高速で自由自在に移動して、何度も攻撃を繰り返すその鮮やかな戦法と、優勢な現状に、俺とカービィはテンション上がりまくりだ。

「いいぞバルン! やれやれぇえっ!!」

「頑張れバルーーーン!!!」

 モシューラは既に、六枚の羽のほとんどがバルンの炎によって溶けてしまい、身動きすら取れなくなっている。
 勝敗は既に決したと思われた、その時だった。

『わしの友を……、苦しめるなぁああぁぁぁっ!!!!!』

 どこからか雷鳴のごとき怒号が聞こえたかと思うと、一筋の光が俺の目の前を掠めていった。
 その光は、まるで流れ星のように美しく、煌めく七色をしていて……
 上空を飛行していたバルンの胸を、スンッ! と貫いた。

『グゥオォォォ!?!?』

 悲鳴とも取れるバルンの声が、辺りに響き渡る。
 そしてその体から赤い光をカッ! と放ったかと思うと、ドラゴンであったはずのその姿は、一瞬で、いつもの小さなトカゲに戻ってしまった。
 翼を無くしたバルンは、暗い空から真っ逆さまに落下して……

「なっ!? バルンっ!??」

「危ねぇっ!」

 カービィは瞬時に杖を下ろし、箒を急発進させる。
 反動で飛ばされないようにと、カービィにしがみ付く俺。
 なんとか間一髪、バルンの落下地点に滑り込んだ俺たち。
 すると俺の元に、小さなバルンがぽすんと落ちてきた。

「バルン!? バルン大丈夫っ!??」

 腕の中のバルンを、ユサユサと揺する俺。
 その体は冷たくて、実体がないかのように半透明になっている。
 半開きになった口からはダランと長い舌を垂らし、閉じかかったつぶらな瞳が俺をジッと見つめていた。

『モッ、モ……。ごめん、うぉ……。ちょ、っと……、眠、い、うぉ……』

 そう言うとバルンは、スーッとその姿を消してしまった。
 いつもなら、ボォッ! と燃え上がって豪快に消えるはずのバルンが、まるで炎が鎮火したかのような静かな消え方をした事で、俺は更に動揺する。
 
 そんな……、まさか、死……?

 頭の中が真っ白になる俺。
 するとカービィが、サッと杖を取り出して、前方に向かって無言で構える。
 見るとそこには、全身に虹色の光を帯びて、物凄く怒ったような顔をしているイグが、フワフワと空中に浮いていた。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...