最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島、後日譚★

758:謁見命令

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 ガクブルガクブルガクブルガクブルガクブル……

 ふ、震えが……、と、止まらないっ!
 いったい何故……? ど、どう……??
 何がどうして!? こうなったぁあぁぁっ!!?

 目の前にあるのは、鮮やかなパステルカラーで彩られた、大層重厚そうな、見上げる程にデッカい石造りの城壁。
 その一部、城門とも呼べよう透明の、クリスタルのような、七色の輝きを放つ巨大な扉の前に、俺は今、立っております。
 
「白薔薇の騎士団団長ローズ・コーネリア様! 及び副団長ノリリア・ポー様!! 時の神の使者モッモ様!!! 及びそのお連れである虹の魔導師カービィ様!!!! 只今御登城~!!!!!」

 マウンテンゴリラみたいな風貌の、物々しい鎧を身に付けた巨大な獣人が、馬鹿デカい吠え声でそう叫んだ。
 体長およそ5メートル、横幅も同じくらいか或いはそれ以上であろう、城門の扉の前に仁王立つその姿はまさにキングコング。
 たぶん、お城を守る衛兵か何かなのだろうけど、持っている武器が黄金の棍棒だし、額にバッテン印の傷跡があるし、目だけで相手をやっちゃえそうなほどに目力が凄くて、且つめちゃくちゃ人相が悪いから……
 正直なところ、無理して正装している賊にしか見えません、はい。
  
 すると、マウンテンゴリラの吠え声に呼応して、城門の扉がゆっくりと開き始める。
 その開き方もまた異質。
 今の今まで目の前にあったクリスタルの城門の扉が、下の方から順番に、ピカピカと光を放ちながら、その場からスーッと消えていくではないか。
 そうして頭上高くまであったはずのその扉は、ものの数秒で、その全てが消えて無くなった。

 なんっ!? 消えたっ!!?
 いや、溶けたっ!!??
 まさか……、幻だったのかっ!?!!?

 目をパチパチさせながら、困惑する俺。
 そして現れる、巨大なお城……
 扉が消えた先に続くのは、城壁や街並みと同じく、パステルカラーの石が敷き詰められた石畳。
 その鮮やかな道の先に、荘厳な、七色に光り輝くクリスタルのお城が建っているのだ。
 夜の闇の中にあって、一際輝きを放つその存在感たるやもう……、まるでダイヤモンドの山のようだ。
(そんな山、見た事無いんですけどねっ!)
 この世のものとは思えない、夢幻の様な煌びやかな光景に、俺はゴクリと生唾を飲んだ。

 …………さて、最初に戻ろうか。
 何がどうしてこうなった?

 俺の右隣には、半分酔っ払ったままのカービィ。
 左隣には、かな~り緊張している様子のノリリア。
 そして、ノリリアの左隣には、かな~り! かな~り不機嫌そうな!! 白薔薇の騎士団が団長、ゴスロリ幼女のローズが立っている。
 その腕に、もはやただの古びた人形にしか見えないほどにやつれた、ウサギの人形コニーちゃんを抱いて……

 冷や汗がダラダラ、両足はガクガク、体はプルプル震えるし、前歯は小刻みにカタカタと音を鳴らしている。
 俺の全身が、問い掛けている。

 何故っ!?
 何がどうしてっ!!?
 こうなったんだっ!?!?
 誰かっ、教えてくださいぃいっ!!???







 時を遡る事小一時間前……

 時刻は既に、夜の10時半を回っていた。
 魔法王国フーガの王都フゲッタの、西大通りの端にある深夜営業の屋台にて、本日二度目の酒盛りをしていたモッモ様御一行の元に、慌てたカサチョがやって来たのだ。
 そして彼はこう言った。

「ウルテル国王より、謁見命令が下ったでござるよ。カビやんとモッモは、この後深夜0時に、王城の玉座の間へと馳せ参じる様にと伝令が……。今すぐギルド本部へと戻り、準備をするでござるっ!」

 えっとぉ~、……あん?

 ビックリしたのと、カサチョの言っている事が突拍子過ぎて、理解出来ずに固まる俺。
 するとカービィが……

「おいらとモッモだけがぁ? ローズとノリリアはぁ~??」

 酒臭い息を吐きながら、語尾のびのびで尋ねた。
 まるで緊張感の無いその様子に、先に声を上げたのはグレコだった。

「どうして!? 何故この国の王が、モッモに謁見を!!?」

 此方はあまり酔いが回っていないらしく、ハッキリとした口調と態度である。
 というか……、何故だか少しキレておられます、はい。

「理由は拙者にも分からぬ。分からぬが……、ウルテル国王直々の勅命故、何人なんぴと足りとも逆らう事は出来ぬでござるよ。つい先程、拙者とノリリアで王城へ赴き、古代魔導書レメゲトンが第一部、悪魔の書ゴエティアを返上したばかりでござるが、その後すぐ伝令が届いた故、恐らくその事で何かあったのやも知れぬ……。カビやんの言う通り、謁見命令は団長とノリリア殿にも下されているでござるよ。四人揃って玉座の間に馳せ参じよ……、との事でござる」

 おいおいおい……、ノリリアは兎も角、あのローズ団長までもかよ……
 え? ちょっと待ってよ、そうなると……??
 げげっ!? またローズとカービィがご対面する事になるんじゃっ!!?
 それってめっちゃヤバいんじゃっ!?!?

「我らが同行する事は許されぬのか? 我らはモッモの守護者ガーディアン故、いついかなる時も、モッモを守る使命がある」

 この場で唯一素面しらふのギンロが、キリリとした様子で尋ねた。
 けどまぁ……、たぶん、守護者って言葉を使いたかっただけだと思われる、うん。

「王城への登城、及び国王との謁見には、指名された者以外の同行は不可能でござるよ。よって、カビやんとモッモ以外は、拙者と共にギルド本部で待機でござる」

 う~わ、マジかぁ……
 なんだかいろいろと絶望的なんだけど……
 え~、どうしたらいいのこれ?
 
 ちなみに今、この場で正常なのは素面のギンロと、まださほど飲んで無いらしくシャキッとしているグレコだけである。
 カービィは結構酔っているらしく、表情がぽわ~んとしてるし、テッチャは顔色こそ変わってないが、さっきから黙っている様子を見ると、たぶん頭が働いていない。
 ティカはというと……、少し前から、干からびたトカゲの死骸の様に、椅子にもたれて酔い潰れていた。

「同行が禁止されているのなら仕方がないわね……。カービィ! あなた、しっかりしなさいよっ!!」

 ぽわ~んとしているカービィの頭を、遠慮なくバシッ! としばくグレコ。

「アウチッ!? グレコさんの愛のビンタ! 頂きましたぁあっ!!」

 喜ぶ変態カービィ。
 うん、起きてはいるけど、駄目だこりゃ。
 こんな調子でローズと対面なんて、嫌な予感しかしないんだけど……

「うむ、致し方無い。では、我らはその……、ギルドこんぶとやらで待たせて貰うとしようぞ」

 ギンロ惜しいっ! 
 ギルド昆布じゃなくて、ギルド本部だよっ!!

「そうね、急いで戻りましょう。マスター、お勘定をお願い」

 屋台のおっちゃんをマスター呼びするなんて、後にも先にもグレコぐらいでしょうね。
 屋台のおっちゃん、なんだか気恥ずかしそう。

「ここはわしが出しておくでぇ~のぉ~。カービィとモッモはぁ~、先に行けぇ~」

 懐から札束の入った財布を取り出して、ちゃっかりカッコつけるテッチャ。
 ここは素直に甘えておこう……、ゴチになりま~す。

「んじゃ~、先に戻るかぁ~。モッモ~、腕輪で行こぉ~うっ!」

 カービィの提案に頷く俺。
 するとカサチョが、ずいっと俺に顔を近付けて、小さな声でこう言った。

「ローズ団長は今、就寝していた所を無理矢理に起こされて機嫌が最悪故、カビやんを見た途端に怒りが爆発する恐れがあるでござるよ。くれぐれも……、くれぐれも、気をつけて…………」

 元々青いカサチョの顔が、もっと真っ青に見えて、俺はぶるるっと身震いした。

 ……いやでもさ、何をどう気を付けろと?
 相手はあの恐ろしいローズ団長でしょ??
 俺が気を付けた所で、何も変わらないでしょう???
 てか……、え~、そんな事言われたら戻りたく無いんだけどぉ~。

 心の中で、もやもやと葛藤する俺。
 しかしながら、いつも通りのヘラヘラ具合で、俺の隣に立つカービィはこう言った。

「だ~いじょ~ぶだぁってぇ~! 大丈夫大丈夫っ!! ノーーーーー、プロブレンッムゥウッ!!!」

 親指を立てて見せるその姿が、俺に更なる不安感を与えた事は、言うまでも無いだろう。
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