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第22話 獣人の村民 ラクトは語る!
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あの二人が村に来た日から、何かが変わった。
俺はラクト。獣人の村の生まれで、父さんと一緒に狩りを手伝ってる。十六になったばかりの、まだひよっこだ。でも、それでも誓える。俺の生き方は、あの旅人たちに出会って、まるっきり変わったんだ。
最初に見たときは、なんだか信じられなかった。
村の門に立っていたのは、人間の男と女――人間なんて、旅商人以外でここに来ることなんてまずない。しかも男はやけにキラキラしてて、まるで舞台の劇に出てくる貴族様みたいだったし、女の人は小柄なのに腰にでっかい剣を下げてて、しかも右腕と左足が……金と銀に光ってた。
最初は、ただただ怖かった。
だって、人間って言ったら、森を焼いて、仲間を捕まえて売り飛ばした奴らの仲間だって思ってたし、実際そう教わってきた。でも、村長が彼らを見て、何も言わずに中へ案内した時点で、俺は少しだけ「違うのかも」って思った。
その晩、俺は夕食を運ぶ係で、あの金髪の男――アリスターさんに皿を持ってったんだ。そしたら、あっちは俺の耳としっぽを見てニコニコして、
「おお、キミ、可愛いね! きっと女の子たちにモテるタイプでしょ!」
って軽口を叩いてきた。
――可愛い?
正直、耳やしっぽのことで人間にからかわれたことは何度もあるけど、「可愛い」なんて言われたのは初めてだった。俺は、きょとんとしてしまった。まるで悪意がなかったから。
それから少しだけ打ち解けた。アリスターさんは、俺に魔法の話をしてくれた。炎の魔法は、怒りで燃やすんじゃなく、心の熱さで操るんだって。なんか難しいことも言ってたけど、「おまえみたいに好奇心がある奴は伸びるよ」って言ってくれたのが嬉しかった。
そしてもう一人の旅人――エリーゼさん。
彼女は、俺が見たどんな戦士よりも、静かで、そして強そうだった。派手じゃない。声もそんなに大きくない。だけど、あの目。あの目を見た時、背筋がゾクッとした。
翌日、森にバジリスクを討ちに行くという話を聞いた時、俺は反対だった。
「やめたほうがいい! あんな魔物に挑むなんて、無謀だ!」
叫んだ俺に、エリーゼさんは、優しく笑ってこう言った。
「でも、村の人が困ってるんでしょう? わたしが剣を振るのは、それを守るためよ。大丈夫。必ず帰ってくるから」
その言葉を、俺はずっと覚えてる。
そして彼女は、本当に帰ってきた。アリスターさんと並んで、ちっとも傷なんて負わずに。バジリスクを収納から取り出して土産として持ってきた。まるでちょっと遠出してきただけみたいな顔で。
……あのとき、俺は決めた。
――俺も、あんな風になりたい。
ただ強いだけじゃない。誰かのために剣を取れるような、そんな戦士になりたいって。
それまでは、狩りでうまく矢が当たらないと父さんに怒られてばかりで、自分なんか戦士になんかなれっこないって思ってた。でも、エリーゼさんだって、最初からあんなに強かったわけじゃないってわかった。訓練して、努力して、強くなったんだ。
アリスターさんも、「最初は魔法で木を燃やしちゃって怒られた」とか、「王子だったけど、魔法以外はダメダメだった」とか、笑って話してくれた。
旅立つ前の夜、俺はアリスターさんに頼んで、魔法のコツを教えてもらった。小さな火花だけど、俺の手から確かに光が生まれたんだ。感動で涙が出た。するとアリスターさんが、真顔でこう言った。
「最初の火花を忘れないで。いつか君が、誰かの希望になる日が来る」
それが、俺の“はじまり”だった。
あの二人が去ってから、村の空気も少し変わった。
大人たちは、「また人間に頼ってしまった」とつぶやきながらも、どこかで感謝してる。子供たちは、「次に旅人が来たら、わたしも剣を見せてもらうんだ!」なんて目を輝かせてる。狩人の兄さんたちも、森に入るときの背筋がしゃんとしてきた。
そして俺も、毎朝早く起きて剣の素振りをするようになった。まだまだ下手くそだけど、心の中には“目指す姿”がある。
金と銀の光をまとって森を駆けた、あの少女。
人を笑顔にする魔法を使いこなし、軽やかに生きる青年。
――いつか、俺もああなれるように。
誰かを守れる強さと、迷わず剣を取れる心を持って、今度は俺自身が旅人となって、誰かの村を救えるように。
そう、誓った。
俺はラクト。獣人の村の生まれで、父さんと一緒に狩りを手伝ってる。十六になったばかりの、まだひよっこだ。でも、それでも誓える。俺の生き方は、あの旅人たちに出会って、まるっきり変わったんだ。
最初に見たときは、なんだか信じられなかった。
村の門に立っていたのは、人間の男と女――人間なんて、旅商人以外でここに来ることなんてまずない。しかも男はやけにキラキラしてて、まるで舞台の劇に出てくる貴族様みたいだったし、女の人は小柄なのに腰にでっかい剣を下げてて、しかも右腕と左足が……金と銀に光ってた。
最初は、ただただ怖かった。
だって、人間って言ったら、森を焼いて、仲間を捕まえて売り飛ばした奴らの仲間だって思ってたし、実際そう教わってきた。でも、村長が彼らを見て、何も言わずに中へ案内した時点で、俺は少しだけ「違うのかも」って思った。
その晩、俺は夕食を運ぶ係で、あの金髪の男――アリスターさんに皿を持ってったんだ。そしたら、あっちは俺の耳としっぽを見てニコニコして、
「おお、キミ、可愛いね! きっと女の子たちにモテるタイプでしょ!」
って軽口を叩いてきた。
――可愛い?
正直、耳やしっぽのことで人間にからかわれたことは何度もあるけど、「可愛い」なんて言われたのは初めてだった。俺は、きょとんとしてしまった。まるで悪意がなかったから。
それから少しだけ打ち解けた。アリスターさんは、俺に魔法の話をしてくれた。炎の魔法は、怒りで燃やすんじゃなく、心の熱さで操るんだって。なんか難しいことも言ってたけど、「おまえみたいに好奇心がある奴は伸びるよ」って言ってくれたのが嬉しかった。
そしてもう一人の旅人――エリーゼさん。
彼女は、俺が見たどんな戦士よりも、静かで、そして強そうだった。派手じゃない。声もそんなに大きくない。だけど、あの目。あの目を見た時、背筋がゾクッとした。
翌日、森にバジリスクを討ちに行くという話を聞いた時、俺は反対だった。
「やめたほうがいい! あんな魔物に挑むなんて、無謀だ!」
叫んだ俺に、エリーゼさんは、優しく笑ってこう言った。
「でも、村の人が困ってるんでしょう? わたしが剣を振るのは、それを守るためよ。大丈夫。必ず帰ってくるから」
その言葉を、俺はずっと覚えてる。
そして彼女は、本当に帰ってきた。アリスターさんと並んで、ちっとも傷なんて負わずに。バジリスクを収納から取り出して土産として持ってきた。まるでちょっと遠出してきただけみたいな顔で。
……あのとき、俺は決めた。
――俺も、あんな風になりたい。
ただ強いだけじゃない。誰かのために剣を取れるような、そんな戦士になりたいって。
それまでは、狩りでうまく矢が当たらないと父さんに怒られてばかりで、自分なんか戦士になんかなれっこないって思ってた。でも、エリーゼさんだって、最初からあんなに強かったわけじゃないってわかった。訓練して、努力して、強くなったんだ。
アリスターさんも、「最初は魔法で木を燃やしちゃって怒られた」とか、「王子だったけど、魔法以外はダメダメだった」とか、笑って話してくれた。
旅立つ前の夜、俺はアリスターさんに頼んで、魔法のコツを教えてもらった。小さな火花だけど、俺の手から確かに光が生まれたんだ。感動で涙が出た。するとアリスターさんが、真顔でこう言った。
「最初の火花を忘れないで。いつか君が、誰かの希望になる日が来る」
それが、俺の“はじまり”だった。
あの二人が去ってから、村の空気も少し変わった。
大人たちは、「また人間に頼ってしまった」とつぶやきながらも、どこかで感謝してる。子供たちは、「次に旅人が来たら、わたしも剣を見せてもらうんだ!」なんて目を輝かせてる。狩人の兄さんたちも、森に入るときの背筋がしゃんとしてきた。
そして俺も、毎朝早く起きて剣の素振りをするようになった。まだまだ下手くそだけど、心の中には“目指す姿”がある。
金と銀の光をまとって森を駆けた、あの少女。
人を笑顔にする魔法を使いこなし、軽やかに生きる青年。
――いつか、俺もああなれるように。
誰かを守れる強さと、迷わず剣を取れる心を持って、今度は俺自身が旅人となって、誰かの村を救えるように。
そう、誓った。
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