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第47話 ラフィーナ=メルテンス伯爵令嬢
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ラフィーナ=メルテンスは、静かな部屋で温かいお茶を前にしていた。
施療院の一室に設けられた客間で、彼女はスプレーマムの4人に再会した。
ギルドマスターとの話しも終えたことと、療養中にも関わらず、訪問しなければならなかった。魔族が関わるならば、早々に――話さねばならないことがあったからだ。
「本当に……改めて、お礼を言わせてください。私を助けてくださって、ありがとうございます」
深々と頭を下げるラフィーナに、エリーゼが微笑んで首を振った。
「助けたいと思ったから、助けただけよ。……それより、話してくれる? あの遺跡のことを」
ラフィーナは頷いた。瞳の奥には、学者としての好奇心と、恐怖とが入り混じる光が揺れている。
「“空の祭壇”……それが、あの場所の古い名です。王国の記録には存在しませんが、東方に伝わる口承伝承には幾度か登場しています。曰く、“天を駆ける神々の門が封じられた場所”と」
「神々の門……? まるで神話みたいだな」
マスキュラーが眉をひそめると、アリスターが指を立てた。
「でも、古代って案外そういう“伝承”と“現実”が結びついてたりするもんだよ。ね?」
「ええ。実際に、私が確認した限り、三階層の構造と装飾文様、それに光を放つルーン……すべてが、古代王朝時代の神性遺構と一致しています。特に、あの中央の石台――あれは、封印台です」
「やっぱり……封印されてたんだ、何かが」
エリーゼが息を呑む。
「ええ。あの魔族が“偶然あそこにいた”とは思えません。むしろ、目的があったと考えるべきです。おそらくは、封印を解こうとしていた……あるいは、何かを取り出そうとしていた」
ラフィーナは手元のノートを開き、スケッチされた文様と記号を見せた。
「これ……中央の台座に刻まれていたルーンの複製です。“天より墜ちし異形、封じられしは空の門”と、読めます」
「異形……?」
「神話において、“空から墜ちたもの”とは、しばしば神々に敵対した存在――堕天者や、外界の魔神を指します。もしそれが実在したなら、王国の初期王朝は何らかの方法でそれを封じた……空の祭壇は、まさにその封印装置なのです」
マスキュラーが腕を組み、うなった。
「ってことはよ、あそこにいた魔族たち……封印を壊して、そいつを目覚めさせようとしてたんじゃねぇか?」
「可能性は高いです。あの遺跡、長い間忘れられていたのに……なぜ、今になって?」
アリスターが鋭い視線を向ける。
「魔族の動き、ドラゴンの出現、そして遺跡の封印……偶然にしては、重なりすぎている」
「私も……そう思います。正直、身の毛がよだつほどの恐怖を感じました。あの場には、何か“こちらを見ている”ような、意思のようなものがあった……」
ラフィーナの手が震える。彼女は静かに深呼吸し、続けた。
「……古代王朝の末期には、“天空戦争”という伝説があります。神々と異形が空中都市で争い、世界が裂けかけたと。敗れた異形は大地に墜ち、王たちは封印を築いた。それが空の祭壇。……もし、それが真実であったなら――」
「その異形が、目覚めようとしている……?」
エリーゼの声に、誰も即答できなかった。重苦しい沈黙のなかで、唯一、ラフィーナが小さく呟く。
「私は、調査を続けたい。もう一度、あの遺跡に戻って、真実を知りたい……でも、私ひとりでは、また……」
「なら、オレたちがついてるじゃねぇか」
マスキュラーが朗らかに笑った。
「そうよ。ラフィーナ嬢、私たちと一緒にまた行きましょう。今度は、ちゃんと準備して、仲間として」
エリーゼの声に、ラフィーナは目を見開いた。そして、微笑む。少し涙ぐんだその笑顔は、命を救われた者ではなく、未来を共に切り拓く仲間のそれだった。
「……はい。ありがとうございます。私、きっとお役に立ってみせます」
こうして、“空の祭壇”に秘められた謎――そして封印された“異形”の正体に迫るため、スプレーマムとラフィーナの新たな冒険が幕を開けることとなる。
施療院の一室に設けられた客間で、彼女はスプレーマムの4人に再会した。
ギルドマスターとの話しも終えたことと、療養中にも関わらず、訪問しなければならなかった。魔族が関わるならば、早々に――話さねばならないことがあったからだ。
「本当に……改めて、お礼を言わせてください。私を助けてくださって、ありがとうございます」
深々と頭を下げるラフィーナに、エリーゼが微笑んで首を振った。
「助けたいと思ったから、助けただけよ。……それより、話してくれる? あの遺跡のことを」
ラフィーナは頷いた。瞳の奥には、学者としての好奇心と、恐怖とが入り混じる光が揺れている。
「“空の祭壇”……それが、あの場所の古い名です。王国の記録には存在しませんが、東方に伝わる口承伝承には幾度か登場しています。曰く、“天を駆ける神々の門が封じられた場所”と」
「神々の門……? まるで神話みたいだな」
マスキュラーが眉をひそめると、アリスターが指を立てた。
「でも、古代って案外そういう“伝承”と“現実”が結びついてたりするもんだよ。ね?」
「ええ。実際に、私が確認した限り、三階層の構造と装飾文様、それに光を放つルーン……すべてが、古代王朝時代の神性遺構と一致しています。特に、あの中央の石台――あれは、封印台です」
「やっぱり……封印されてたんだ、何かが」
エリーゼが息を呑む。
「ええ。あの魔族が“偶然あそこにいた”とは思えません。むしろ、目的があったと考えるべきです。おそらくは、封印を解こうとしていた……あるいは、何かを取り出そうとしていた」
ラフィーナは手元のノートを開き、スケッチされた文様と記号を見せた。
「これ……中央の台座に刻まれていたルーンの複製です。“天より墜ちし異形、封じられしは空の門”と、読めます」
「異形……?」
「神話において、“空から墜ちたもの”とは、しばしば神々に敵対した存在――堕天者や、外界の魔神を指します。もしそれが実在したなら、王国の初期王朝は何らかの方法でそれを封じた……空の祭壇は、まさにその封印装置なのです」
マスキュラーが腕を組み、うなった。
「ってことはよ、あそこにいた魔族たち……封印を壊して、そいつを目覚めさせようとしてたんじゃねぇか?」
「可能性は高いです。あの遺跡、長い間忘れられていたのに……なぜ、今になって?」
アリスターが鋭い視線を向ける。
「魔族の動き、ドラゴンの出現、そして遺跡の封印……偶然にしては、重なりすぎている」
「私も……そう思います。正直、身の毛がよだつほどの恐怖を感じました。あの場には、何か“こちらを見ている”ような、意思のようなものがあった……」
ラフィーナの手が震える。彼女は静かに深呼吸し、続けた。
「……古代王朝の末期には、“天空戦争”という伝説があります。神々と異形が空中都市で争い、世界が裂けかけたと。敗れた異形は大地に墜ち、王たちは封印を築いた。それが空の祭壇。……もし、それが真実であったなら――」
「その異形が、目覚めようとしている……?」
エリーゼの声に、誰も即答できなかった。重苦しい沈黙のなかで、唯一、ラフィーナが小さく呟く。
「私は、調査を続けたい。もう一度、あの遺跡に戻って、真実を知りたい……でも、私ひとりでは、また……」
「なら、オレたちがついてるじゃねぇか」
マスキュラーが朗らかに笑った。
「そうよ。ラフィーナ嬢、私たちと一緒にまた行きましょう。今度は、ちゃんと準備して、仲間として」
エリーゼの声に、ラフィーナは目を見開いた。そして、微笑む。少し涙ぐんだその笑顔は、命を救われた者ではなく、未来を共に切り拓く仲間のそれだった。
「……はい。ありがとうございます。私、きっとお役に立ってみせます」
こうして、“空の祭壇”に秘められた謎――そして封印された“異形”の正体に迫るため、スプレーマムとラフィーナの新たな冒険が幕を開けることとなる。
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