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第101話 二人の語り合い あいつら、幸せそうだったな
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祝宴の余韻がゆっくりと街に溶けていく。
マケドニアの夜は静かだった。星々が雲ひとつない空を覆い、冷えた風が石畳を撫でていく。人の気配が薄れた教会の裏手、小さな庭園のベンチに、ふたりの男が腰掛けていた。
一人は、仮面の案内人――ヴェルト。
もう一人は、黒髪の剣士――マスキュラー。
どちらからともなく、何も言わずにそこへ来て、そしてただ、しばらく沈黙が流れていた。
「……風、冷てぇな」
先に口を開いたのはマスキュラーだった。腕を組んで背もたれに体を預ける。
「ま、冬が近いしな」とヴェルトが応じる。仮面越しに、表情は読めなかったが、声にどこか温度があった。
「……あいつら、幸せそうだったな」
「そうだな。あれは……祝福されるべき光景だ。どれだけ血と涙をくぐってきたか、俺たちは見てきた」
「……ああ」
ふたりは、静かに夜空を仰いだ。
結婚式では笑顔を向けた。祝宴でも、仲間として盛り上げた。だが、今こうして並んで座っているふたりは、違う役割を背負った者たちだった。誰にも言えぬ想いを、心の底に沈めてきた者同士。
マスキュラーがぽつりと呟く。
「……あいつのドレスさ、あれ、聖女アイリスのもんだったんだろ?」
「ああ。アイリスが役目を終えた後、いつか結婚するために用意していた衣装だ。実現することはなかったが……」
「ダリルが言ってた。“自分も候補だった”って」
「……ああ。信仰の重みに耐えきれなかったダリルは、その事実に今も心を引きずっている。だが、それでも今日、彼自身の祈りであの式を祝えた。それが、アイリスへの……ひとつの供養だ」
「皮肉なもんだよな」
マスキュラーの声には、苦笑が滲んでいた。
「俺なんか、あいつに想いを告げることすらできなかった。言っても意味ねぇって、最初から分かってたけどよ……それでも、ちょっとくらい期待しちまった自分がいたんだ」
ヴェルトは何も言わなかった。ただ、少しだけ首を傾けて、彼の言葉を待った。
「エリーゼがさ、オレに恋愛の話を振ってきたんだよ。買い物の最中に、アリスターとダリルがいなくなって、ふたりきりになった時……」
「……それで?」
「正直に言った。“気になる奴がいる”って。……でも、名前は出さなかった」
ヴェルトは小さく息をつく。
「それで、彼女は?」
「“アリスターとお似合い”って言われたよ。あのとき、オレは……ああ、やっぱりそうだって、思った」
マスキュラーは苦笑いを浮かべながら、足元の砂利を軽く蹴った。
「でもよ、だからって嫌いになれるわけじゃねぇ。むしろ、もっと好きになっちまった気がする。笑ってる顔見るたびに、こっちが救われるんだ。なのに、その笑顔がオレのもんじゃねぇってのが、一番辛ぇ」
ヴェルトは少し沈黙し、それから仮面越しにゆっくりと口を開いた。
「……お前は、強いな」
「は?」
「俺なら――いや、俺はもう、そんな風に想えなかった。大切な人を、奪われたと思った時。俺は、世界を呪った。神を呪った」
仮面の下で、ヴェルトの声はわずかに震えていた。
「……“弟”を処刑された。あの教国で、正義と偽善の名のもとに。あいつは無実だった。だが、俺は何もできなかった。気付いた時には、全てが灰になっていた」
マスキュラーは目を細め、そっとヴェルトを見た。
「……ヴェルト、お前……」
「だから、今も俺はここにいる。あいつの仇を討つために、魔族の封印を止めるために。“復讐”って言葉を使わないのは、ただ……自分の正気を保ちたいだけだ」
ヴェルトの言葉は、闇に溶けるように静かだった。だがその静けさの裏に、冷たい炎のような憎しみと痛みがあった。
「……俺とお前は、違う種類の不器用さを抱えてるんだな」
「かもしれないな」
マスキュラーは、ゆっくりと立ち上がった。
「でも、オレは後悔してねぇよ。想いを伝えなかったことも、側にいたことも、今日、あいつの笑顔を見られたことも、全部……オレの生き様だ」
ヴェルトもまた、立ち上がった。
「……お前のそういうところが、羨ましくもあり、眩しくもある」
マスキュラーは笑った。
「オレは剣しか振れねぇけど、振れる場所があるなら、それで充分だ。誰かの剣になるってのは、オレにとっちゃ、最大の“愛”だ」
ふたりは肩を並べて、夜の石畳を歩き始めた。
背中にはそれぞれの哀しみと決意。
ただ、互いに言葉少なく、黙って歩くその時間が、どこか心地よかった。
――きっと、また戦いが始まる。平穏は続かない。
けれど、今夜だけは。
ふたりの男は、それぞれの痛みを抱えながらも、確かに同じ“夜空”を見上げていた。
マケドニアの夜は静かだった。星々が雲ひとつない空を覆い、冷えた風が石畳を撫でていく。人の気配が薄れた教会の裏手、小さな庭園のベンチに、ふたりの男が腰掛けていた。
一人は、仮面の案内人――ヴェルト。
もう一人は、黒髪の剣士――マスキュラー。
どちらからともなく、何も言わずにそこへ来て、そしてただ、しばらく沈黙が流れていた。
「……風、冷てぇな」
先に口を開いたのはマスキュラーだった。腕を組んで背もたれに体を預ける。
「ま、冬が近いしな」とヴェルトが応じる。仮面越しに、表情は読めなかったが、声にどこか温度があった。
「……あいつら、幸せそうだったな」
「そうだな。あれは……祝福されるべき光景だ。どれだけ血と涙をくぐってきたか、俺たちは見てきた」
「……ああ」
ふたりは、静かに夜空を仰いだ。
結婚式では笑顔を向けた。祝宴でも、仲間として盛り上げた。だが、今こうして並んで座っているふたりは、違う役割を背負った者たちだった。誰にも言えぬ想いを、心の底に沈めてきた者同士。
マスキュラーがぽつりと呟く。
「……あいつのドレスさ、あれ、聖女アイリスのもんだったんだろ?」
「ああ。アイリスが役目を終えた後、いつか結婚するために用意していた衣装だ。実現することはなかったが……」
「ダリルが言ってた。“自分も候補だった”って」
「……ああ。信仰の重みに耐えきれなかったダリルは、その事実に今も心を引きずっている。だが、それでも今日、彼自身の祈りであの式を祝えた。それが、アイリスへの……ひとつの供養だ」
「皮肉なもんだよな」
マスキュラーの声には、苦笑が滲んでいた。
「俺なんか、あいつに想いを告げることすらできなかった。言っても意味ねぇって、最初から分かってたけどよ……それでも、ちょっとくらい期待しちまった自分がいたんだ」
ヴェルトは何も言わなかった。ただ、少しだけ首を傾けて、彼の言葉を待った。
「エリーゼがさ、オレに恋愛の話を振ってきたんだよ。買い物の最中に、アリスターとダリルがいなくなって、ふたりきりになった時……」
「……それで?」
「正直に言った。“気になる奴がいる”って。……でも、名前は出さなかった」
ヴェルトは小さく息をつく。
「それで、彼女は?」
「“アリスターとお似合い”って言われたよ。あのとき、オレは……ああ、やっぱりそうだって、思った」
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「でもよ、だからって嫌いになれるわけじゃねぇ。むしろ、もっと好きになっちまった気がする。笑ってる顔見るたびに、こっちが救われるんだ。なのに、その笑顔がオレのもんじゃねぇってのが、一番辛ぇ」
ヴェルトは少し沈黙し、それから仮面越しにゆっくりと口を開いた。
「……お前は、強いな」
「は?」
「俺なら――いや、俺はもう、そんな風に想えなかった。大切な人を、奪われたと思った時。俺は、世界を呪った。神を呪った」
仮面の下で、ヴェルトの声はわずかに震えていた。
「……“弟”を処刑された。あの教国で、正義と偽善の名のもとに。あいつは無実だった。だが、俺は何もできなかった。気付いた時には、全てが灰になっていた」
マスキュラーは目を細め、そっとヴェルトを見た。
「……ヴェルト、お前……」
「だから、今も俺はここにいる。あいつの仇を討つために、魔族の封印を止めるために。“復讐”って言葉を使わないのは、ただ……自分の正気を保ちたいだけだ」
ヴェルトの言葉は、闇に溶けるように静かだった。だがその静けさの裏に、冷たい炎のような憎しみと痛みがあった。
「……俺とお前は、違う種類の不器用さを抱えてるんだな」
「かもしれないな」
マスキュラーは、ゆっくりと立ち上がった。
「でも、オレは後悔してねぇよ。想いを伝えなかったことも、側にいたことも、今日、あいつの笑顔を見られたことも、全部……オレの生き様だ」
ヴェルトもまた、立ち上がった。
「……お前のそういうところが、羨ましくもあり、眩しくもある」
マスキュラーは笑った。
「オレは剣しか振れねぇけど、振れる場所があるなら、それで充分だ。誰かの剣になるってのは、オレにとっちゃ、最大の“愛”だ」
ふたりは肩を並べて、夜の石畳を歩き始めた。
背中にはそれぞれの哀しみと決意。
ただ、互いに言葉少なく、黙って歩くその時間が、どこか心地よかった。
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