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第127話 アルスラーン・ヴァン・テオドリック公爵から見た甥のアリスター
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窓から差し込む陽光が、深紅のカーテンを透かして室内を染めていた。書類を捌く手を止めたアルスラーン・ヴァン・テオドリック公爵は、ゆっくりと椅子に背を預けた。
扉の向こう、足音が近づいてくる。
「叔父上、お時間をいただけますか?」
かつて「ボク」と自称し、天真爛漫に笑っていた少年の声が、今や凛とした響きを伴って響いた。アルスラーンは静かに「入れ」と応じる。
扉が開き、入ってきたのは、礼装に身を包んだアリスター。金の髪は整えられ、胸元には一輪の白薔薇が飾られている。背筋は伸び、足取りには迷いがない。
ほんの数年前まで、宴の席で小鳥のように舞い、言葉巧みに人心をくすぐっていた“王子殿下”とは、まるで別人だった。
「――まるで、別人のようだな」
ぽつりと、アルスラーンが呟いた。
アリスターは驚いたように目を見開く。
「そう見えますか?」
「見えるとも。特にその目がな」
確かに、アリスターの目は変わっていた。かつての煌びやかさと自負心は影を潜め、その奥に確固たる意志と覚悟が宿っている。
「女は男を変えるというが……エリーゼ殿は、実に良い伴侶を得たようだ」
アリスターは少し照れたように笑った。
「彼女がいなければ、ボクは……いや、私は、今こうしていられなかったでしょう。彼女が、世界を変える目をしていたから、私も変わろうと思った」
「そうか」
アルスラーンは微笑みながらも、その胸に去来する感慨を噛みしめる。
彼がアリスターを初めて抱いたのは、まだほんの赤子の頃だった。小さな命は、兄――先王の腕に抱かれ、微かに笑っていた。
その子が、やがて王となる。そのことに何の疑いもなかった。だが、運命は残酷にも裏切った。
冤罪。追放。婚約破棄。命さえ狙われ、名誉は地に堕ちた。
――それでも、この子は折れなかった。
「王族とは、生まれながらにして責を背負う存在だ。栄光も、汚名も、その身に刻まれる」
「ええ……痛いほど、わかりました」
アリスターは手袋を外し、左の手の甲を見せた。そこには、かつて尋問の際に刻まれた焼印の跡がわずかに残っている。
「この傷は、私が愚かだった証です。ですが……」
彼は微笑み、静かに語る。
「もう、隠すつもりはありません。これは、過去を背負った証であり、王たる者として忘れてはならぬ痛みなのですから」
その言葉に、アルスラーンは目を細める。
「……王たる者、か。そうだな、ようやく“その口”が語るに相応しい重みを得たようだ」
部屋の静寂に、時計の針が微かに時を刻む音が響く。
「私はな、アリスター。……兄上が即位された頃より、何度も思った。“この王国は、果たしてこのままで良いのか”と」
「叔父上……?」
「だが、私は従い続けた。王に忠誠を尽くすことが、弟であり臣下としての道だと信じた」
その声音には、悔恨にも似た苦味が滲む。
「だが――お前が、こうして目の前に立った今、私はようやく自分の選ぶべき道を知った気がする。お前こそが、王たる資格を持つ者だ」
アリスターは、深く頭を垂れる。
「そのお言葉に恥じぬよう、命をかけて応えます」
「その意気だ。……だが、忘れるな。今の王都には、お前を陥れようとする者たちが蠢いている。中には、王家の血筋を引く者さえ含まれているのだ」
アリスターは静かに頷く。
「“紅の仮面”の動向も探っています。岩宿ダンジョンの封印の鍵が、結婚式で帝国に引き渡される計画も、阻止しなければならない」
「その情報屋――ヴェルトとか言ったか。奴は信用できるのか?」
「……信用はしていません。ただ、彼には彼なりの“大儀”がある。利用する覚悟はあります」
それを聞いたアルスラーンは、ふっと笑う。
「随分と“王らしく”なったものだ」
その言葉に、アリスターはわずかに微笑んだ。
「“王子”としての人生は、追放された時に終わりました。今はただ、皆と共に未来を作る“人間”でありたいのです」
その言葉にこそ、真に王たる資格が宿っていると、アルスラーンは感じた。
かつては守られる存在だった少年が、今や人を守り、導く男へと変わった。
それは、王としての威厳ではなく、血の重みでもなく――
ただ、一人の人間として誰かを守ると誓った覚悟。
その覚悟こそが、“王の資質”なのだと。
「アリスター。お前が進むその道は、険しく、時に裏切りと孤独に満ちるだろう。だが……このアルスラーン・ヴァン・テオドリックは、お前にすべてを託す覚悟だ」
「……ありがとうございます、叔父上」
アリスターは深く礼をし、扉を開いて部屋を去っていった。
その背に、陽光が差し込む。
アルスラーンは、しばしその光を見つめた。
――あれが、テオドリック王国の未来を照らす光であることを、彼は確信していた。
扉の向こう、足音が近づいてくる。
「叔父上、お時間をいただけますか?」
かつて「ボク」と自称し、天真爛漫に笑っていた少年の声が、今や凛とした響きを伴って響いた。アルスラーンは静かに「入れ」と応じる。
扉が開き、入ってきたのは、礼装に身を包んだアリスター。金の髪は整えられ、胸元には一輪の白薔薇が飾られている。背筋は伸び、足取りには迷いがない。
ほんの数年前まで、宴の席で小鳥のように舞い、言葉巧みに人心をくすぐっていた“王子殿下”とは、まるで別人だった。
「――まるで、別人のようだな」
ぽつりと、アルスラーンが呟いた。
アリスターは驚いたように目を見開く。
「そう見えますか?」
「見えるとも。特にその目がな」
確かに、アリスターの目は変わっていた。かつての煌びやかさと自負心は影を潜め、その奥に確固たる意志と覚悟が宿っている。
「女は男を変えるというが……エリーゼ殿は、実に良い伴侶を得たようだ」
アリスターは少し照れたように笑った。
「彼女がいなければ、ボクは……いや、私は、今こうしていられなかったでしょう。彼女が、世界を変える目をしていたから、私も変わろうと思った」
「そうか」
アルスラーンは微笑みながらも、その胸に去来する感慨を噛みしめる。
彼がアリスターを初めて抱いたのは、まだほんの赤子の頃だった。小さな命は、兄――先王の腕に抱かれ、微かに笑っていた。
その子が、やがて王となる。そのことに何の疑いもなかった。だが、運命は残酷にも裏切った。
冤罪。追放。婚約破棄。命さえ狙われ、名誉は地に堕ちた。
――それでも、この子は折れなかった。
「王族とは、生まれながらにして責を背負う存在だ。栄光も、汚名も、その身に刻まれる」
「ええ……痛いほど、わかりました」
アリスターは手袋を外し、左の手の甲を見せた。そこには、かつて尋問の際に刻まれた焼印の跡がわずかに残っている。
「この傷は、私が愚かだった証です。ですが……」
彼は微笑み、静かに語る。
「もう、隠すつもりはありません。これは、過去を背負った証であり、王たる者として忘れてはならぬ痛みなのですから」
その言葉に、アルスラーンは目を細める。
「……王たる者、か。そうだな、ようやく“その口”が語るに相応しい重みを得たようだ」
部屋の静寂に、時計の針が微かに時を刻む音が響く。
「私はな、アリスター。……兄上が即位された頃より、何度も思った。“この王国は、果たしてこのままで良いのか”と」
「叔父上……?」
「だが、私は従い続けた。王に忠誠を尽くすことが、弟であり臣下としての道だと信じた」
その声音には、悔恨にも似た苦味が滲む。
「だが――お前が、こうして目の前に立った今、私はようやく自分の選ぶべき道を知った気がする。お前こそが、王たる資格を持つ者だ」
アリスターは、深く頭を垂れる。
「そのお言葉に恥じぬよう、命をかけて応えます」
「その意気だ。……だが、忘れるな。今の王都には、お前を陥れようとする者たちが蠢いている。中には、王家の血筋を引く者さえ含まれているのだ」
アリスターは静かに頷く。
「“紅の仮面”の動向も探っています。岩宿ダンジョンの封印の鍵が、結婚式で帝国に引き渡される計画も、阻止しなければならない」
「その情報屋――ヴェルトとか言ったか。奴は信用できるのか?」
「……信用はしていません。ただ、彼には彼なりの“大儀”がある。利用する覚悟はあります」
それを聞いたアルスラーンは、ふっと笑う。
「随分と“王らしく”なったものだ」
その言葉に、アリスターはわずかに微笑んだ。
「“王子”としての人生は、追放された時に終わりました。今はただ、皆と共に未来を作る“人間”でありたいのです」
その言葉にこそ、真に王たる資格が宿っていると、アルスラーンは感じた。
かつては守られる存在だった少年が、今や人を守り、導く男へと変わった。
それは、王としての威厳ではなく、血の重みでもなく――
ただ、一人の人間として誰かを守ると誓った覚悟。
その覚悟こそが、“王の資質”なのだと。
「アリスター。お前が進むその道は、険しく、時に裏切りと孤独に満ちるだろう。だが……このアルスラーン・ヴァン・テオドリックは、お前にすべてを託す覚悟だ」
「……ありがとうございます、叔父上」
アリスターは深く礼をし、扉を開いて部屋を去っていった。
その背に、陽光が差し込む。
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