《書籍化》転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか

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155 空の魔石は…

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精霊樹の精様が手を取った最後の一人。 

『あなたが、ギンを大きな空の魔石に案内してくれたんでしょう?』
そう言いながら頭を優しく撫でる。
『あなたが、私の子ねぇ』
泣きそうな顔をしている子の頭を撫で続けます。

『はい。この水の精霊樹の精霊です』
小さい声で答えます。

『ごめんなさいねぇ。ずっとひとりだったのね』

水の精霊樹の精霊は涙をポロポロ零している。その涙はころころと透明な石となって転がり落ちていく。

『ずっと、暗かったの。ある日、天井が少し崩れたら光が差すようになって、そしたら小さかった樹が急に大きくなったの』
小さな声で絞り出すように水の精霊樹の精霊が話し始めた。

精霊樹の精様は、ずっと頭を撫でながら話を聞いている。もちろん、じぃじたちも真剣に耳を傾けている。

『真っ暗だった水の中が明るくなって暫くは嬉しかったの。でも、やっぱり誰もいなくて寂しくて、ず~っと樹の中にいたの』
『そう…』
『それでも樹は大きくなって、ある日、枝の先がムズムズした気がしたの。何だろうと思ったら、初めて私以外の命を感じたの。私、嬉しくて一生懸命その枝に力を送ったの』

泣きながら話していた声に力が篭ってきた

『日に日に命の形が分かるようになってくるとすごく嬉しかったの。その内それが、ひとつ、ふたつ、みっつと数も分かるようになった。三人がいよいよ生まれた時、嬉しくて嬉しくて私、初めて外に出て三人に抱きついたの。三人に抱きつけるように同じ姿で』

『それがさっきまでの姿なのだの』
じぃじが静かに声をかけると、精霊はコクリと頷いて話を続ける。

『四人で楽しく過ごせるようになって、周りに水中植物が増えるとお魚さんが住むようになったり、地上にいたじぃじたちも来てくれるようになったの。精霊樹の力も増えて、新しい水の妖精も生まれて楽しかった。でも、私たちの本来の姿だと、大きくて仲良くなってくれないかもしれないと思ったの』

『だから、本来の姿を隠して妖精の姿でいたのだのぉ』
亀じぃも優しい声で話しかけてきてくれる。

『ごめんなさい。みんなと一緒にいられて嬉しかったの。優しくして貰えて嬉しかったの。もう、ひとりになるのは嫌だったの』
またポロポロ泣き出してしまった。ごめんなさい、ごめんなさいと泣く度に落ちる涙は石となって転がり落ちていく。

『謝らなくて良いよ。むしろ…』
『そうだのぉ むしろ謝らねばならぬはワシらの方だのぉ』
『すまんかったの。気づいてやれんくて』
『随分と長いこと、辛かったのぉ。すまんかった。気づいてやれんかったワシらを許してくれるかのぉ』
じぃじたちは頭を下げて許しを乞う

精霊は目を瞬かせて、しゃくりあげながら聞く
『ひっく  ど、どうして?』
なぜ、逆に自分が許しを求められているのかさっぱり分からないのだ。

『この空の魔石、なぜ精霊樹の近くで多く見つかるのか不思議に思っていたんじゃぁ。だが、たった今、その謎は解けた。これは、お主の涙だのぉ』
『こんなに沢山、中には水にもまれ形が崩れているものもある。それだけひとりで泣いていたということであろう?』
『こんな幼子同然の子がどんなに辛い思いをしていたか、こんなジジイが二人揃って気づかなんだ…本当に済まなかったのぉ』
『お主たちもじゃ、四人だけでよくがんばったの。許してくれるかの?』
じぃじと亀じぃは再び頭を下げた。

『許してくれるの?』
『またじぃじと』
『亀じぃって』
『呼んでもいいの?』
精霊の四人は本当に?と、震える声で聞く。

『もちろんじゃ』
『そう呼んでもらえんとワシらも寂しいしのぉ』
にっこり笑ってその言葉を受け止めてくれるじぃじたち。

『『『『う、うわ~ん』』』』
ぽんっと音をたてて小さい姿になると四人でじぃじと亀じぃに抱きついた。
『ごめんなさい~』
『ありがとう~』
『じいじも』
『亀じぃも』
『『『『みんな大好き!!』』』』
うわ~んと泣いて抱きつく。

『ワシらも』
『大好きだからのぉ』
『大切な孫たちみたいなもんじゃ』
『いなくなられたら寂しくてかなわんよ』
じぃじたちの目にも光るものが…

じっと見守っていた精霊樹の精様と六人の水の妖精たち。
『いや~ねぇ。私達も忘れないでくれる~?』

『そうだよ~』
『わたしたちだって~』
『みんな』
『だいすきなんだから~』
『それ~』
『とつげき~』
『『『『『『わ~!!』』』』』』

妖精たちもみんなギューギュー祭りに参加していた。

『『『『えへへへ』』』』
『『ほっほ』』
笑い声が響く水の中。
もう、悲しい空の魔石は生まれそうにない。

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