581 / 690
連載
ある日の天界料理日記 番外編
しおりを挟む
聖域でサーヤたちが、お口ぱんぱん、ハムスターほっぺで、エビを食べている頃、天界では⋯
『あらあらまあまあ、うふ、うふふふふふ』
『ぐふ、ぐふふふふふ』
二人の怪しい笑い声が⋯その正体は
『ぐふふふふ⋯凛、料理と食材が続々と届くな。もちろん、食わせてくれるんだろ?』
『あらあらまあまあ、もちろんよ料理長。あなたには、この食材たちを更においしい料理に、昇華させてもらわないといけないのだもの。期待してるわよ』
『おうよ!任せな!』
『それじゃ、まずは賄賂⋯コホン。味見しないとね』
『悪いな。ぐふ、ぐふふふふ』
『あらあらまあまあ、おほほほほほ』
天界のおばあちゃんと、料理長である。
あまりの不気味さに
『しゅ、しゅしゅ主神様っ、バート様っ、どうかお助け下さいっ』
『あの黒い笑いと、ゆらゆら揺れる不気味なオーラで調理場にいられませんっ』
『と、とにかく恐ろしくて⋯』
『『『『『どうかお助けを~っ』』』』』
調理場の料理人や給仕係たちが、イル様とバートさんに泣きついていた。
〖う、う~ん、そもそも、あのお供えって神にくれるものだよね?神ってぼくたちのはずなんだよね?ね?バート〗
『そうですね。本来であればそのはずなのですが⋯やはり、駄⋯主神様に威厳がないのが問題なのでは?』
〖ええ?バートひどいっ!それにまた駄神って言ったでしょ!?いい直せてないからね!?〗
『では、初めから言われないようになさって下さい。しかし、困りましたね』
〖そうだよね。ここで働いてくれてるたくさんの子たちの為にも、調理場に入れないのは困っちゃうよね。怖いけど様子見に行こうか。ボディガードに武神も連れてく?〗
『やめておきましょう。脳筋を連れて行っても、混乱を深めるだけです』バッサリ
〖そ、そうだね?じゃあ、二人で行こう⋯か?〗
イル様とバートさんが、重い気持ちで、料理人たちと調理場へ向かおうとした、その時
バタバタバタバタっ
『⋯⋯まっ』
『⋯ち、くださっ』
〖ねえ、バート?〗
『⋯なんでしょうか?主神様』
バタバタバタバタっ
『⋯⋯さまっ』
『⋯お待⋯くださっ』
〖混乱、手遅れな気、しない?〗
『⋯そうでございますね』
バタバタバタッ バンッ!
『主神様ーっバート殿っ!どうにかしてくだされ~っ!また、また武神共が~っっ!うわぁぁぁんっ』
『天界樹様っお気を確かにっ』ゼェゼェッ
『せめて入室のお伺いをっ』ハァハァッ
〖···やっぱり〗
『···手遅れでしたね』
『うぅぅ~っ』
『『え?』』
〖···こほん。大丈夫だよ。何かあったんでしょ?〗
『⋯天界樹様、如何されましたか?』
〖それに、今回は『武神共』っていったよね?〗
『『共』とは?』
泣きながら飛び込んできたのは、天界樹ちゃんと、天庭の庭師たち。また天界樹ちゃんの大事な枝を武神が折ったのかな?
『うううっ、聞いて下され、また武神が妾の大事な天界樹や、庭の木を~っ、う、うわぁぁぁんっ』
『『天界樹様っ』』
『『おいたわしいっ』』ううっ
う~ん、余程のことがあったのか、泣いてしまって話が出来ないね。
〖うんうん。武神がまた何かやらかしたんだね。庭師長、代わりに説明してくれるかな?〗
『おいおいおいおいっ』
うん。天界樹ちゃんには無理だね。
『は、はい。実は先程、天界樹様が天庭で、精霊様たちと野点を楽しまれておりましたところ、武神様と工芸神様がおいでになりまして、あろうことか⋯』
ん?武神だけじゃなく工芸神まで?
『⋯あろうことか、どうしたのですか?』
言葉を詰まらせた庭師長に、バートが続きを促すと、内容はひどいものだった。
『は、はい。あろうことか、天界樹様の皮を剥いでしまいまして』
〖『は?』〗
皮を剥いだ?
『悲鳴をあげて止められる天界樹様に構わず、他にも香りの良い木の枝を折ったり、皮を剥いだりして立ち去ってしまわれたのです』
『今は、庭師総出で木々の治癒を施しているところでございます』
『うわぁぁぁんっ』
ああ、今度は床に突っ伏して泣き出しちゃった。一緒に野点をしてた精霊たちかな?天界樹ちゃんの周りをおろおろしながら、飛んでるね。しかし、
〖何してんのさ、あの二人は〗
そりゃ、泣くよね
『何たる暴挙。まったくもって理解に苦しみますね』
だよね。あ~あ、バートの眉間のシワがあんなに寄っちゃったよ。完全に怒らせちゃったね。
今はとにかく、天界樹ちゃんをどうにかしないと···
〖天界樹ちゃん、大変な目にあったね。大丈夫、僕も治療に手を貸すよ。調理場に行く途中で寄っていこう。いいよね?バート〗
『もちろんでございます。武神様と工芸神様にもしっかり反省して頂かないといけませんね。ふふふ⋯』
ほら、めちゃくちゃ怒ってる。
『ほ、本当に?ああ、妾と大切な子らの為にありがとうごじゃります』
『『ありがとうございます』』
『『感謝いたします』』
天界樹ちゃんと庭師たちが涙を流してお礼を言ってきた。
うん。かわいそうだし、武神たちを捕まえなきゃだし、行こうか。
〖それじゃ、バート、天界樹ちゃんたちも行こう。あ、天界樹ちゃんを支えてあげてくれるかな?〗
『もちろんでございます』
『ささ、天界樹様、お手を失礼致します。参りましょう』
『あ、あいわかった。よろしく頼むぞよ』ぐすっ
うんうん。女性には優しくしなきゃね。なのにあの二人は、まったく。
途中、天庭によると、みんなが必死に治癒を施していた。
〖ああ、たしかにひどいね。香りも良くて、綺麗な花が咲く木ばかり狙われたのかな?〗
『そうなのじゃ。何が目的なのか、中にはもうじき蕾を持つものもあったでおじゃるに。主神様よりお預かりしている大切な庭を⋯うううっ』
『『天界樹様っ』』
『『天界樹様のせいではございませぬっ』』
ああ、また泣いちゃった。
〖気にしないで。神二人相手じゃ何も出来ないでしょ〗
『そうですよ。あなた方は悪くありませんよ。···主神様』
〖分かってるよ〗
手をかざして神気を流すと、木々は元に戻った。
『ああ、ありがとうございますでおじゃ』
『『ありがとうございます』』
『『お流石でございます』』
必死に働いてた庭師たちも頭を下げてくれた。
〖気にしないで。こちらこそ、阿呆な神が迷惑かけてごめんね〗
『まったくです。さあ、行きますよ』
〖ええ!?バート、先に行くなんてひどい!〗
『はやく行かないと逃げられますよ』
まったく、僕、一応主神だからね?君の上司だからね?
天庭を後にして、厨房に近づくと
ドッカーンっ
〖え?なになに?〗
『おや、あれは?』
厨房のドアを突き破って何かが飛んできた?
〖うおおっ?〗
〖ま、待て、凛っ!話せばわかる!〗
武神に工芸神?
ゆら~
『あらあらまあまあ、私はたしかに、工芸神様に「工房に香りのいい木片が余ってたら少し分けていただけないかしら?」と、お願いしましたけど、天界樹様の大切なお庭から強奪してこいとはお願いしてないですよね?』
『してなかったなぁ。しかも凛は『無かったら別に大丈夫だから』とも言ってたなぁ』
あっ、料理長もいた。
〖だ、だからな?美味い飯が食えるなら、より香りが強いやつがいいかなと〗
〖ですから、庭に行けばたくさんあると思っ⋯〗
ドカーンっ
『り、凛、お前模擬戦の時より強えじゃないかっ』
『料理長も落ち着いてっ!その筋肉は凶器なのですからっ』
武神と工芸神が阿呆な言い訳をしていると、凛さんの回し蹴りと、料理長のパンチが飛んできた。
『あらあらまあまあ、そんな言い訳が通じるとでも?』ごごごご
『料理はみんなが幸せになるもんだ。それを、天界樹様になんて酷いことを』ずおおお
怒り心頭の凛さんと料理長。
『天界樹様と庭師さんたちに土下座して謝って来なさい!』
『出来ないなら飯抜きだ!』
『『そ、そんなっ』』
どうやら、凛さんたちが成敗してくれたようだけど、話は聞かないとね。
〖凛さん、料理長、何があったか聞かせてくれるかな?〗
『『え?あっ』』
声をかけた瞬間、二人は
シュバッ!ザザザーっ
〖『『『ヒイッ』』』〗
『おやおや』
『ごめんなさいっ!』
『すまんっ!』
二人が一瞬でも目の前に来て土下座した!?
『天界樹様、庭師さんたち、ごめんなさいっ!私が食材に浮かれて、軽い気持ちで工芸神様に聞いてしまったがばっかりに!』
『俺も新しい料理の可能性に浮かれてお二人の性格を忘れてたんだ!すまんっ!』
『『『え?え?』』』
あまりの勢いに、天界樹ちゃんたちがどうしていいか分からなくなってるね。
〖え~っとね?とりあえず、順を追って話してもらえるかな?〗
『『はい⋯』』
うん。ようやく話ができるかな?その前に⋯
そろ~
『おや、武神様、工芸神様、どこへ行かれるおつもりですか?』
ひゅおお~っ
〖〖バ、バート⋯いや、その、あのな〗〗ダラダラダラダラ
『御二方にもお聞きしたいことがございますので、お付き合いいただきます。よろしいですね?』
ヒュオオ~
〖〖いや、ちょっと〗〗ダラダラダラダラ
『よ・ろ・し・い・で・す・ね?』
ビュオオオッ
〖〖は、はい〗〗ダラダラぶるぶる
あ~あ、初めから素直にすればいいのに。
凛さんたちに話を聞くと、海鮮と一緒にたくさんのお肉や、ソーセージ?なるものなんかが送られてきたらしく、どうせなら燻製を作ろうということにしたらしい。
そこに料理の匂いに惹き付けられてきた二人に、香りのいい木片がないか聞いたところ、任せろ!と言った二人がとった行動があの暴挙。
意気揚々と戻ってきた二人の話を聞き、責任を感じた凛さんと料理長が、天界樹ちゃんたちに謝ったということみたいだね。
『あ、あの、妾の木は主神様が治してくださったのじゃ。それに話を聞く限り、凛や料理長のせいでは無いと思うのじゃ』
『『そうです。頭をあげてくださいっ』』
『『すみませんでしたっ』』
凛さんと料理長は頭を下げ続けてるけど、天界樹ちゃんたちも、凛さん達のせいじゃないと言ってるし···
〖ん~、凛さん、料理長、悪いと思うならさ、天界樹ちゃんたちにさ、その作ろうとしてた美味しいのをご馳走してあげたらどうかな?そうすれば、剥がされた皮や折られた枝も無駄にならないし。あと、できれば僕たちにもご馳走して貰えたら嬉しいな〗
『そうですね。庭師たち一生懸命治してましたしね。あっ、もちろんこの御二方の分は必要ありませんよ』
〖〖そんなっ〗〗
『何か?』
ビュオオオッ
〖〖いいえ⋯〗〗
バカだな~バートにかなうはずないのに
『それは、そんなことでいいなら』
『喜んで作るが⋯』
ほんとにそれでいいの?って顔だね。
『それがいいのじゃ!妾も皆も喜ぶのじゃ!』
『そうですね、できれば精霊様たちにも』
『よろしくお願い致します』
ほらね、大丈夫でしょ?
『分かりました!』
『全力で美味いもん作るぜ!』
『料理長っ』
『凜っ』
『『やるぞーっ』』
うんうん。良かった良かった。これで一件落着だね。
〖おーい、凛、頼まれてた、たこ焼き器ってやつ、作ってきたぞ。これでいいのか?って、なんじゃこりゃ?〗
あっ、鍛治神もしっかり巻き込まれてたんだね。
その後、広い庭でみんなで楽しくバーベキューを楽しんだのでした。
〖〖うううっ〗〗
『しかたねぇな、罰なんだからこれだけな』
大男二人がめそめそと鬱陶しいからな。お情けでひと皿ずつ渡すと
〖〖料理長~ありがとう~っ〗〗
『うおっ抱きつくなっ!鬱陶しい!離しやがれ!』
結局鬱陶しいのかよっ!
地上では、天界がそんなことになってることなど知る由もなく⋯
『あらあらまあまあ、次は何を送れるかしらね?』
『さあ?』
次は何が起こるのか⋯
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m
久々の天界の、凛さんたちでした。
ファンタジー大賞、投票下さった方々、ありがとうございます。とっても嬉しいです。まだ投票券ある方、もし良かったら、1票入れて頂けると嬉しいです。よろしくお願いしますm(_ _)m
『あらあらまあまあ、うふ、うふふふふふ』
『ぐふ、ぐふふふふふ』
二人の怪しい笑い声が⋯その正体は
『ぐふふふふ⋯凛、料理と食材が続々と届くな。もちろん、食わせてくれるんだろ?』
『あらあらまあまあ、もちろんよ料理長。あなたには、この食材たちを更においしい料理に、昇華させてもらわないといけないのだもの。期待してるわよ』
『おうよ!任せな!』
『それじゃ、まずは賄賂⋯コホン。味見しないとね』
『悪いな。ぐふ、ぐふふふふ』
『あらあらまあまあ、おほほほほほ』
天界のおばあちゃんと、料理長である。
あまりの不気味さに
『しゅ、しゅしゅ主神様っ、バート様っ、どうかお助け下さいっ』
『あの黒い笑いと、ゆらゆら揺れる不気味なオーラで調理場にいられませんっ』
『と、とにかく恐ろしくて⋯』
『『『『『どうかお助けを~っ』』』』』
調理場の料理人や給仕係たちが、イル様とバートさんに泣きついていた。
〖う、う~ん、そもそも、あのお供えって神にくれるものだよね?神ってぼくたちのはずなんだよね?ね?バート〗
『そうですね。本来であればそのはずなのですが⋯やはり、駄⋯主神様に威厳がないのが問題なのでは?』
〖ええ?バートひどいっ!それにまた駄神って言ったでしょ!?いい直せてないからね!?〗
『では、初めから言われないようになさって下さい。しかし、困りましたね』
〖そうだよね。ここで働いてくれてるたくさんの子たちの為にも、調理場に入れないのは困っちゃうよね。怖いけど様子見に行こうか。ボディガードに武神も連れてく?〗
『やめておきましょう。脳筋を連れて行っても、混乱を深めるだけです』バッサリ
〖そ、そうだね?じゃあ、二人で行こう⋯か?〗
イル様とバートさんが、重い気持ちで、料理人たちと調理場へ向かおうとした、その時
バタバタバタバタっ
『⋯⋯まっ』
『⋯ち、くださっ』
〖ねえ、バート?〗
『⋯なんでしょうか?主神様』
バタバタバタバタっ
『⋯⋯さまっ』
『⋯お待⋯くださっ』
〖混乱、手遅れな気、しない?〗
『⋯そうでございますね』
バタバタバタッ バンッ!
『主神様ーっバート殿っ!どうにかしてくだされ~っ!また、また武神共が~っっ!うわぁぁぁんっ』
『天界樹様っお気を確かにっ』ゼェゼェッ
『せめて入室のお伺いをっ』ハァハァッ
〖···やっぱり〗
『···手遅れでしたね』
『うぅぅ~っ』
『『え?』』
〖···こほん。大丈夫だよ。何かあったんでしょ?〗
『⋯天界樹様、如何されましたか?』
〖それに、今回は『武神共』っていったよね?〗
『『共』とは?』
泣きながら飛び込んできたのは、天界樹ちゃんと、天庭の庭師たち。また天界樹ちゃんの大事な枝を武神が折ったのかな?
『うううっ、聞いて下され、また武神が妾の大事な天界樹や、庭の木を~っ、う、うわぁぁぁんっ』
『『天界樹様っ』』
『『おいたわしいっ』』ううっ
う~ん、余程のことがあったのか、泣いてしまって話が出来ないね。
〖うんうん。武神がまた何かやらかしたんだね。庭師長、代わりに説明してくれるかな?〗
『おいおいおいおいっ』
うん。天界樹ちゃんには無理だね。
『は、はい。実は先程、天界樹様が天庭で、精霊様たちと野点を楽しまれておりましたところ、武神様と工芸神様がおいでになりまして、あろうことか⋯』
ん?武神だけじゃなく工芸神まで?
『⋯あろうことか、どうしたのですか?』
言葉を詰まらせた庭師長に、バートが続きを促すと、内容はひどいものだった。
『は、はい。あろうことか、天界樹様の皮を剥いでしまいまして』
〖『は?』〗
皮を剥いだ?
『悲鳴をあげて止められる天界樹様に構わず、他にも香りの良い木の枝を折ったり、皮を剥いだりして立ち去ってしまわれたのです』
『今は、庭師総出で木々の治癒を施しているところでございます』
『うわぁぁぁんっ』
ああ、今度は床に突っ伏して泣き出しちゃった。一緒に野点をしてた精霊たちかな?天界樹ちゃんの周りをおろおろしながら、飛んでるね。しかし、
〖何してんのさ、あの二人は〗
そりゃ、泣くよね
『何たる暴挙。まったくもって理解に苦しみますね』
だよね。あ~あ、バートの眉間のシワがあんなに寄っちゃったよ。完全に怒らせちゃったね。
今はとにかく、天界樹ちゃんをどうにかしないと···
〖天界樹ちゃん、大変な目にあったね。大丈夫、僕も治療に手を貸すよ。調理場に行く途中で寄っていこう。いいよね?バート〗
『もちろんでございます。武神様と工芸神様にもしっかり反省して頂かないといけませんね。ふふふ⋯』
ほら、めちゃくちゃ怒ってる。
『ほ、本当に?ああ、妾と大切な子らの為にありがとうごじゃります』
『『ありがとうございます』』
『『感謝いたします』』
天界樹ちゃんと庭師たちが涙を流してお礼を言ってきた。
うん。かわいそうだし、武神たちを捕まえなきゃだし、行こうか。
〖それじゃ、バート、天界樹ちゃんたちも行こう。あ、天界樹ちゃんを支えてあげてくれるかな?〗
『もちろんでございます』
『ささ、天界樹様、お手を失礼致します。参りましょう』
『あ、あいわかった。よろしく頼むぞよ』ぐすっ
うんうん。女性には優しくしなきゃね。なのにあの二人は、まったく。
途中、天庭によると、みんなが必死に治癒を施していた。
〖ああ、たしかにひどいね。香りも良くて、綺麗な花が咲く木ばかり狙われたのかな?〗
『そうなのじゃ。何が目的なのか、中にはもうじき蕾を持つものもあったでおじゃるに。主神様よりお預かりしている大切な庭を⋯うううっ』
『『天界樹様っ』』
『『天界樹様のせいではございませぬっ』』
ああ、また泣いちゃった。
〖気にしないで。神二人相手じゃ何も出来ないでしょ〗
『そうですよ。あなた方は悪くありませんよ。···主神様』
〖分かってるよ〗
手をかざして神気を流すと、木々は元に戻った。
『ああ、ありがとうございますでおじゃ』
『『ありがとうございます』』
『『お流石でございます』』
必死に働いてた庭師たちも頭を下げてくれた。
〖気にしないで。こちらこそ、阿呆な神が迷惑かけてごめんね〗
『まったくです。さあ、行きますよ』
〖ええ!?バート、先に行くなんてひどい!〗
『はやく行かないと逃げられますよ』
まったく、僕、一応主神だからね?君の上司だからね?
天庭を後にして、厨房に近づくと
ドッカーンっ
〖え?なになに?〗
『おや、あれは?』
厨房のドアを突き破って何かが飛んできた?
〖うおおっ?〗
〖ま、待て、凛っ!話せばわかる!〗
武神に工芸神?
ゆら~
『あらあらまあまあ、私はたしかに、工芸神様に「工房に香りのいい木片が余ってたら少し分けていただけないかしら?」と、お願いしましたけど、天界樹様の大切なお庭から強奪してこいとはお願いしてないですよね?』
『してなかったなぁ。しかも凛は『無かったら別に大丈夫だから』とも言ってたなぁ』
あっ、料理長もいた。
〖だ、だからな?美味い飯が食えるなら、より香りが強いやつがいいかなと〗
〖ですから、庭に行けばたくさんあると思っ⋯〗
ドカーンっ
『り、凛、お前模擬戦の時より強えじゃないかっ』
『料理長も落ち着いてっ!その筋肉は凶器なのですからっ』
武神と工芸神が阿呆な言い訳をしていると、凛さんの回し蹴りと、料理長のパンチが飛んできた。
『あらあらまあまあ、そんな言い訳が通じるとでも?』ごごごご
『料理はみんなが幸せになるもんだ。それを、天界樹様になんて酷いことを』ずおおお
怒り心頭の凛さんと料理長。
『天界樹様と庭師さんたちに土下座して謝って来なさい!』
『出来ないなら飯抜きだ!』
『『そ、そんなっ』』
どうやら、凛さんたちが成敗してくれたようだけど、話は聞かないとね。
〖凛さん、料理長、何があったか聞かせてくれるかな?〗
『『え?あっ』』
声をかけた瞬間、二人は
シュバッ!ザザザーっ
〖『『『ヒイッ』』』〗
『おやおや』
『ごめんなさいっ!』
『すまんっ!』
二人が一瞬でも目の前に来て土下座した!?
『天界樹様、庭師さんたち、ごめんなさいっ!私が食材に浮かれて、軽い気持ちで工芸神様に聞いてしまったがばっかりに!』
『俺も新しい料理の可能性に浮かれてお二人の性格を忘れてたんだ!すまんっ!』
『『『え?え?』』』
あまりの勢いに、天界樹ちゃんたちがどうしていいか分からなくなってるね。
〖え~っとね?とりあえず、順を追って話してもらえるかな?〗
『『はい⋯』』
うん。ようやく話ができるかな?その前に⋯
そろ~
『おや、武神様、工芸神様、どこへ行かれるおつもりですか?』
ひゅおお~っ
〖〖バ、バート⋯いや、その、あのな〗〗ダラダラダラダラ
『御二方にもお聞きしたいことがございますので、お付き合いいただきます。よろしいですね?』
ヒュオオ~
〖〖いや、ちょっと〗〗ダラダラダラダラ
『よ・ろ・し・い・で・す・ね?』
ビュオオオッ
〖〖は、はい〗〗ダラダラぶるぶる
あ~あ、初めから素直にすればいいのに。
凛さんたちに話を聞くと、海鮮と一緒にたくさんのお肉や、ソーセージ?なるものなんかが送られてきたらしく、どうせなら燻製を作ろうということにしたらしい。
そこに料理の匂いに惹き付けられてきた二人に、香りのいい木片がないか聞いたところ、任せろ!と言った二人がとった行動があの暴挙。
意気揚々と戻ってきた二人の話を聞き、責任を感じた凛さんと料理長が、天界樹ちゃんたちに謝ったということみたいだね。
『あ、あの、妾の木は主神様が治してくださったのじゃ。それに話を聞く限り、凛や料理長のせいでは無いと思うのじゃ』
『『そうです。頭をあげてくださいっ』』
『『すみませんでしたっ』』
凛さんと料理長は頭を下げ続けてるけど、天界樹ちゃんたちも、凛さん達のせいじゃないと言ってるし···
〖ん~、凛さん、料理長、悪いと思うならさ、天界樹ちゃんたちにさ、その作ろうとしてた美味しいのをご馳走してあげたらどうかな?そうすれば、剥がされた皮や折られた枝も無駄にならないし。あと、できれば僕たちにもご馳走して貰えたら嬉しいな〗
『そうですね。庭師たち一生懸命治してましたしね。あっ、もちろんこの御二方の分は必要ありませんよ』
〖〖そんなっ〗〗
『何か?』
ビュオオオッ
〖〖いいえ⋯〗〗
バカだな~バートにかなうはずないのに
『それは、そんなことでいいなら』
『喜んで作るが⋯』
ほんとにそれでいいの?って顔だね。
『それがいいのじゃ!妾も皆も喜ぶのじゃ!』
『そうですね、できれば精霊様たちにも』
『よろしくお願い致します』
ほらね、大丈夫でしょ?
『分かりました!』
『全力で美味いもん作るぜ!』
『料理長っ』
『凜っ』
『『やるぞーっ』』
うんうん。良かった良かった。これで一件落着だね。
〖おーい、凛、頼まれてた、たこ焼き器ってやつ、作ってきたぞ。これでいいのか?って、なんじゃこりゃ?〗
あっ、鍛治神もしっかり巻き込まれてたんだね。
その後、広い庭でみんなで楽しくバーベキューを楽しんだのでした。
〖〖うううっ〗〗
『しかたねぇな、罰なんだからこれだけな』
大男二人がめそめそと鬱陶しいからな。お情けでひと皿ずつ渡すと
〖〖料理長~ありがとう~っ〗〗
『うおっ抱きつくなっ!鬱陶しい!離しやがれ!』
結局鬱陶しいのかよっ!
地上では、天界がそんなことになってることなど知る由もなく⋯
『あらあらまあまあ、次は何を送れるかしらね?』
『さあ?』
次は何が起こるのか⋯
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m
久々の天界の、凛さんたちでした。
ファンタジー大賞、投票下さった方々、ありがとうございます。とっても嬉しいです。まだ投票券ある方、もし良かったら、1票入れて頂けると嬉しいです。よろしくお願いしますm(_ _)m
50
あなたにおすすめの小説
もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!
ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー]
特別賞受賞 書籍化決定!!
応援くださった皆様、ありがとうございます!!
望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。
そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。
神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。
そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。
これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、
たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。
転生先は海のど真ん中!? もふ強魔獣とイケオジに育てられた幼女は、今日も無意識に無双する
ありぽん
ファンタジー
25歳の高橋舞は、気がつくと真っ白な空間におり、そして目の前には土下座男が。
話しを聞いてみると、何とこの男は神で。舞はこの神のミスにより、命を落としてしまったというのだ。
ガックリする舞。そんな舞に神はお詫びとして、異世界転生を提案する。そこは魔法や剣、可愛い魔獣があふれる世界で。異世界転生の話しが大好きな舞は、即答で転生を選ぶのだった。
こうして異世界へ転生した舞。ところが……。
次に目覚めた先は、まさかの海のど真ん中の浮島。
しかも小さな子どもの姿になっていてたのだ。
「どちてよ!!」
パニックになる舞。が、驚くことはそれだけではなかった。
「おい、目が覚めたか?」
誰もいないと思っていたのだが、突然声をかけられ、さらに混乱する舞。
実はこの島には秘密があったのだ。
果たしてこの島の正体は? そして舞は異世界で優しい人々と触れ合い、楽しく穏やかな日々を送ることはできるのか。
ドラゴンともふ魔獣に懐かれて〜転生幼女は最強ドラゴン騎士家族と幸せに暮らします〜
ありぽん
ファンタジー
神様のミスで命を落としてしまった高橋結衣(28)。そのお詫びとして彼女は、様々な力を授かり、憧れだった魔法と剣と魔獣の存在する、まるで異世界ファンタジーのような世界へと転生することになった。
しかし目を覚ました場所は、街の近くではなく木々が生い茂る森の中。状況が分からず混乱する結衣。
そんな結衣に追い打ちをかけるように、ゾウほどもある大きな魔獣が襲いかかってきて。さらにドラゴンまで現れ、魔獣と激突。数分後、勝利したドラゴンが結衣の方へ歩み寄ってくる。
転生して数10分で命を落とすのか。そう思った結衣。しかし結衣を待っていたのは、思いもよらぬ展開だった。
「なぜ幼児がここに? ここは危険だ。安全な俺たちの巣まで連れて行こう」
まさかのドラゴンによる救出。さらにその縁から、結衣は最強と謳われるドラゴン騎士の家族に迎え入れられることに。
やがて結衣は、神から授かった力と自らの知識を駆使し、戦う上の兄や姉を支え、頭脳派の兄の仕事を手伝い。可憐で優しい姉をいじめる連中には、姉の代わりに子ドラゴンやもふ強魔獣と共にざまぁをするようになって?
これは神様の度重なるミスによって、幼児として転生させられてしまった結衣が、ドラゴンやもふ強魔獣に懐かれ、最強のドラゴン騎士家族と共に、異世界で幸せいっぱいに暮らす物語。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。