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564 その頃、ジーニ様たちは?
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こちらは、天界
カッカッカッカッ
たたたたたたっ
〖お、お母様っ落ち着いてっ〗
〖⋯⋯〗
カッカッカッカッ
たたたたたたっ
〖お母様っ待っ⋯〗
ばーんっ!
〖主神っ!バートおおおっ!〗カッ!
ドンっ!
『おや』バシーンっ
ドカーンっ
〖ええ?魔神ちゃん?〗
突然の乱入に、目を見開いて驚くイル様。
〖ああああっ、もうっ落ち着いってって言いましたのにぃぃ〗ゼェゼェ
〖シアまで?どうしたの?〗きょとん
〖どうしたのって⋯お父様〗へたり
人の気も知らないで、どうしたの?って⋯
もくもく
『⋯ふぅ、まったく、いきなり何事ですか?』
扉を開けるなりバートさんに向かって攻撃したジーニ様。
バートさんも分かっていたかのようにはじき飛ばした。が⋯
〖けほっモクモクだねぇ〗
弾き飛ばした攻撃が壁に当たって煙が⋯
〖お父様、バート、ごめんなさい。止められなくて〗
シア様が帰って早々謝る羽目に⋯
〖うん。大丈夫だけどね。どうしたのかな?〗こてん
〖どうしたのって⋯〗へにゃ
サーヤのように首を傾げる父親に、気が抜けたシア様の眉毛がへゃっと下がった途端
〖どうしたもこうしたもないわよ!〗ぐいっ
〖ま、魔神ちゃん〗うぐぐ
ぎゅううう
〖お母様っ〗あわわ
今度はイル様とシア様の会話を遮って、ジーニ様がイル様の胸ぐらを掴んで⋯
〖まったく!なんでこんな所で仕事なんかしてんのよ!〗ぶんぶんっ
〖な、なんでって、待って、魔神ちゃ⋯ぐえっ〗ぎゅううう
〖おか、お母様っ!しまってます!首がしまってますから~っ〗ぐいぐいっ
〖ぐええっ〗ギリギリギリ
締め上げられてるイル様を、シア様が助けようとしているが、引き離そうとして
『シア、その首、かえってしまってますよ』
〖えっ?〗パッ
〖ぐえっ〗ドスンっ
〖きゃあっお父様っ〗あわわ
哀れ、イル様、踏んだり蹴ったり⋯頑張ったのに。
ジーニ様は今度はバートの襟首をとって
〖バート!あんたのせいでしょうがああっ〗ぐわんぐわんっ
『はて?なんのことです?』しれっ
〖鍛治神が言ったのよ!主神が無茶をしてボロボロなのに、あんたに正座させられて説教されてるって!私とシアと二人で、主神を休ませろって!だから、さすがにもう寝室にいるだろうと思ったのに!まだ執務室で働いてるってどういうことよおおお!〗がくんがくんっ
『おやおや。それは主神が勝手に飛び出して無茶をして帰って来るのが悪いのですよ。仕事も溜まったままなのに』ふぅ~
〖あんたねええっ〗ぶるぶる
しれっと答えるバートさんに、怒り心頭のジーニ様
〖ま、魔神ちゃんっ待って待って〗あわわ
〖お母様っ落ち着いてっ〗おろおろ
〖何を待つのよ!?主神ははやく休まないとダメでしょう!〗
〖大丈夫だよっお説教は終わったとこだからっ〗
〖じゃあ早く休みなさいよ!?〗
〖分かったから、分かったから落ち着いて!ね?〗
〖お母様っ落ち着いてっ〗
二人がかりでジーに様をバートさんから引き離そうとします。
〖⋯分かったわよ〗しぶしぶ
『ふぅ⋯終わりましたか?』しれっ
〖なぁんですってぇ?〗むかぁっ
〖バートっ蒸し返さないのっ〗
〖お母様もっいい加減怒りますよ!〗
〖⋯ごめん〗
『すみません』
ようやく大人しくなったジーニ様。と、無表情で謝るバートさん。そこへ
ばんっ
『おらおら!何やってんだ!久々に帰って来てよ!そんなとこいないで茶にするぞ!』
やっと落ち着いたと思ったら、乱入者が!救世主となるか?
〖料理長~〗
『何を情けない声出してんだ主神。おら!行くぞ!』ひょいっ
〖ちょ、ちょっと~?僕は荷物じゃないんだけど!?〗
気づけばイル様は料理長の肩に担がれて!?
『ほら!魔神とシアも行くぞ!』ズンズンズン
〖え、ええ?〗
〖ま、待ちなさいよ〗
〖お母様、とにかく行きましょう〗
〖分かったわよ〗
慌てて料理長の後を追うジーニ様たち。
『はあ⋯まったく帰って来るなり騒々しいですね』フッ
そう言いながらちょっとホッとしたような顔をするバートさんも後を追う。
そして、料理長が向かった先は、中庭の
『お~い、連れてきたぞ』
『お待ちしておりますましたぞよ。妾の庭へようこそ。魔神様、シア様、お帰りなさいませ。ささ、お茶の用意は出来てるゆえ、ゆるりとおくつろぎ下され』
〖おう!お帰り!〗
〖お待ちしてましたよ〗
天界樹の精の四阿。そこには天界樹の精様に工芸神、武神、それから
『あらあらまあまあ、魔神様にシア様ですね。ようやくお会い出来ましたわね』すっ
立ち上がる一人の女性
〖あなたは⋯〗
〖まあ!〗
ジーニ様とシア様が驚いた、その人は⋯
『いつも孫を、サーヤを守って下さってありがとうございます。こちらの私とは初めましてですね』にこり
〖凛、凛さんね。そうね、起きてるあなたとは、初めましてだわ〗
〖何だか奇妙な気分ですね。初めまして。凛さん〗
『ふふ。そうですね。確かに、妙な気分ですね』
そう。天界のサーヤのおばあちゃん。凛がいた。
〖まあまあ、立ち話もなんだから座ったら?料理長、お茶お願い〗
『はいよ。ただし、主神は薬湯だ』ドン!
〖ええ~〗
『ええ~じゃねぇよ。飲め!』
〖ううっ〗
『安心してたも主神様。薬湯と言っても、妾が庭で凛と育てたハーブと果実で作ったお茶。とても美味しいお茶じゃ。異世界の知識とは面白いもので、妾もすっかりハマってしまったのじゃ』くすくす
〖そう?なら安心だね〗
『あとな、薬膳がゆってのも作ったぞ。これも凛の受け売りだがな。食ってとっとと寝ろ』どんっ
〖ふふ。ありがとう。至れり尽くせりだね〗
良かった。イル様、ちゃんと労わってもらえてます。その脇では
『改めまして、いつも孫がお世話になっております』
〖いいえ。こちらこそ。お礼を言わなきゃいけないのはこちらよ。凛さん、サーヤを守って下さってありがとう〗
おばあちゃんと女神様たちが、ご挨拶をしています。
〖凛さん、サーヤを守って育ててくれて、ありがとうございます〗
〖そして、ごめんなさい。辛い最後を⋯〗
〖申し訳ありませんでした〗
頭を下げるジーニ様とシア様
『嫌ですわ。頭を上げてくださいな。それに、お礼と謝罪でしたら既に受け取ってます。聖域で。それから、凛で大丈夫ですよ。神様にそんなにかしこまれたら困ってしまいますよ』
〖凛さ⋯凛、ありがとう〗
〖ありがとうございます。凛〗
『はい』にっこり
手を取り合って、分かり合うことが出来た凛とジーニ様立ちを見て、イル様が話し出す。
〖うんうん。良かった。無事に顔合わせ出来たね。それじゃ、魔神ちゃん、シア、鍛治神から話しは聞いたんだよね?〗
いきなり核心に触れるイル様。
〖ええ。まさかヤツが出てくるなんてね。まだ時間があると思っていたのに〗
〖本当です。それよりお父様、お体は大丈夫なのですか?〗
〖うん。大丈夫だ⋯〗
『ではないでしょう』ひゅお~
『主神様、嘘はダメであろ?』
『主神、強がりもだめだな』
〖ええ~。そんなことぉ〗
『『『ある』』』
バートさん、天界樹の精、料理長からダメ出しが
〖お目付け役が沢山だな主神。ざまぁねえな〗ふんっ
〖私たちに何も言わずにいくからですよ〗つんっ
〖ええ~〗
武神と工芸神も怒っていた。今回のことだけでなく、サーヤの救出の時に置いていかれたことにも怒っているようだ。
『あらあらまあまあ、サーヤのために、本当にありがとうございました』
〖気にしないで、凛さん。サーヤのことが大事なのは僕たちも同じだからね。それでね?さっきバートと話してたんだけど〗
『ええ、ヤツがどこにいるのかと、本当に実体を取り戻したのか。ということですね』
〖そう。今思うと何かね、ヤツに魔力をぶつけた時の感覚がね、実体に当たったっていう感覚ではなかった気がするんだよ。いや、当たった感覚はあったんだよ。だけどその後の霧散の仕方がね?う~ん⋯上手く言えないんだけど。周りもなんて言うのかな、真っ暗でね、現実感がないというか⋯〗
う~んと唸りながらイル様が言うと
〖どういうこと?〗
ジーニ様の綺麗な眉が寄って眉間にシワが寄る
〖それがよく分からないから、バートと話してたんだよ。ほら、時間が経てば経つほど忘れちゃうでしょう?でも、鍛治神が聞いてきた話だと、実際にエルフの王の前に姿を現したわけでしょう?顔も見たらしいし〗
う~ん
と、イル様だけでなく、話を聞いていたみんなが考え込んでしまった。そんな中
『ねえ?何か依代を使ったとかいうことはないの?』
凛が思いついたことを、話し始める
〖え?〗
『依代、ですか?』
『そうよ。向こうの世界でね、まあ、お話の中の話だったりするんだけど、いえ、実際に信じている人もいたかもしれないんだけど、実体のない魂だとか精神なんかが、何か他のものに入って、蘇るって言う話があるのよ。人形とか、⋯死体とかにね』
しーん
『⋯中々、物騒な話なれど、有り得る話しではないかや?』
『そうだな。現に今回、精霊やエルフが殺されているんだろ?』
静まり返る中、天界樹の精と料理長が反応した。バートさんも
『ふむ。確かに。その中で使えそうな体を使ったのかもしれませんね』
その可能性は否定できないと言う。
〖ならよ、実体がないってことだから、ヤツがまた現れるまで、まだ時間はあるよな?〗
〖武神、甘いですよ。一度出来たんです。また同じことをやらない保証はどこにもありませんよ〗
〖そうか、そうだよな⋯〗
〖ヤツを捕まえるにしても、真っ暗な空間ってだけじゃね〗
〖下界のどこかなのか、どこか違う空間かも分からないということですよね〗
〖そうなんだよ。ごめんね。また仕留めきれなかった〗
申し訳なさそうにするイル様に
『何を仰っているのですか。今回はこれで充分ですよ』
〖バート?〗
『今回の一番の功績は、ヤツを退けたことでも、力を削いだことでもありません。囚われた罪の無い魂たちを救い出せたことです。今回はそれで充分ですよ』
〖バート⋯〗じーん
バートが優しい!何千年ぶりだろう?
〖確かにそうね。主神はヤツから可哀想な魂を取り戻せた。今回はそれが一番ね〗
ジーニ様も同意する。みんなも。そして
『あらあらまあまあ、今回のことで、いつか必ずヤツが現れると分かったのだから、その時に備えて、私たちが強くなればいいってだけよね』
凛さんも。
〖〖⋯ぷっ〗〗
でも、ジーニ様とシア様が、顔を見合わせてから吹き出した。
『あらあらまあまあ?私、何か変なこと言ったかしら?』
〖ふふ。いいえ。やっぱり凛は凛なのねと思っただけよ〗
〖聖域の凛も、同じことを言ってましたよ。ふふ〗
『あらあらまあまあ?そうだったの?残念だわ。真似したみたいじゃない』ぷー
凛がほっぺたを膨らますと
〖〖あっ!〗〗
『え?』
ジーニ様とシアさまが、その顔!と指を指す。
〖くすくす。そっくりでしょ?〗
『はい。そっくりですね』
〖そうね。くすくす〗
〖やっぱり、サーヤのおばあちゃんですね。そっくりです。サーヤの〗
〖〖ぶー〗〗
〖そう!その時の顔に!〗
ジーニ様とシア様、イル様にバートさんまで笑ってます。
『あらあらまあまあ?そうかしら?』
複雑な気持ちだわ~と言う凛の顔はやっぱりサーヤの顔に似ている。
〖ふふ。なんか、安心したわ〗
〖そうですね。それじゃ、安心したところでお母様?〗
〖そうね。さあ、行くわよ!主神!もう食べ終わったでしょ?〗
〖え?え?どこに?〗
〖寝室よ!休むに決まってるでしょ?逃げないように私が見張ってあげるわ!文句ないわよね!?バート!〗
『仕方ありませんね。魔神に殺されたくはないですからね。とっとと連れて行ってください』
〖決まりね!さあ!行くわよ!〗ずるずる
〖待って待って!僕歩けるから~!〗
抵抗虚しく引きずられていくイル様。
『あらあらまあまあ~』
〖バート、わざとね⋯〗
『ふふ。なんの事ですか?』
『魔神様は素直ではないからのぉ』
〖素直じゃない魔神に、素直に主神を任せても、反対のことをするだけだもんな〗
〖天邪鬼ですからね、魔神は〗
武神と工芸神も納得。
〖じゃあ、私は助けられたエルフたちの元へ行こうしら〗
『そうですね。お供いたしますよ。シア』
『あらあらまあまあ、私も行くわ』
〖ありがとう〗
さあ、お父様のことはお母様に任せて、私たちはできることから始めましょう。
そして⋯
〖魔神ちゃん、一緒に寝ようよ~〗
〖いやよ!どうして私がっ〗
〖くすん。魔神ちゃんと一緒じゃないと心から休めないのに。いいよ、一人で寝るよ、お休み〗
〖な、何よ!仕方ないわねそんなに言うなら、膝枕くらいしてあげてもいいわよ〗ふんっ
〖そんなの魔神ちゃんの綺麗な足が痺れちゃう。仕方ないからやっぱり我慢するよ〗くすん
〖な、何よ。仕方ないわね、なら添い寝してあげるから、ちょっと詰めなさいよ〗
〖ほんと?わ~い!やった~♪〗
〖はっ!しまった?〗
なんやかんや、イル様の方が上手だった?
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
カッカッカッカッ
たたたたたたっ
〖お、お母様っ落ち着いてっ〗
〖⋯⋯〗
カッカッカッカッ
たたたたたたっ
〖お母様っ待っ⋯〗
ばーんっ!
〖主神っ!バートおおおっ!〗カッ!
ドンっ!
『おや』バシーンっ
ドカーンっ
〖ええ?魔神ちゃん?〗
突然の乱入に、目を見開いて驚くイル様。
〖ああああっ、もうっ落ち着いってって言いましたのにぃぃ〗ゼェゼェ
〖シアまで?どうしたの?〗きょとん
〖どうしたのって⋯お父様〗へたり
人の気も知らないで、どうしたの?って⋯
もくもく
『⋯ふぅ、まったく、いきなり何事ですか?』
扉を開けるなりバートさんに向かって攻撃したジーニ様。
バートさんも分かっていたかのようにはじき飛ばした。が⋯
〖けほっモクモクだねぇ〗
弾き飛ばした攻撃が壁に当たって煙が⋯
〖お父様、バート、ごめんなさい。止められなくて〗
シア様が帰って早々謝る羽目に⋯
〖うん。大丈夫だけどね。どうしたのかな?〗こてん
〖どうしたのって⋯〗へにゃ
サーヤのように首を傾げる父親に、気が抜けたシア様の眉毛がへゃっと下がった途端
〖どうしたもこうしたもないわよ!〗ぐいっ
〖ま、魔神ちゃん〗うぐぐ
ぎゅううう
〖お母様っ〗あわわ
今度はイル様とシア様の会話を遮って、ジーニ様がイル様の胸ぐらを掴んで⋯
〖まったく!なんでこんな所で仕事なんかしてんのよ!〗ぶんぶんっ
〖な、なんでって、待って、魔神ちゃ⋯ぐえっ〗ぎゅううう
〖おか、お母様っ!しまってます!首がしまってますから~っ〗ぐいぐいっ
〖ぐええっ〗ギリギリギリ
締め上げられてるイル様を、シア様が助けようとしているが、引き離そうとして
『シア、その首、かえってしまってますよ』
〖えっ?〗パッ
〖ぐえっ〗ドスンっ
〖きゃあっお父様っ〗あわわ
哀れ、イル様、踏んだり蹴ったり⋯頑張ったのに。
ジーニ様は今度はバートの襟首をとって
〖バート!あんたのせいでしょうがああっ〗ぐわんぐわんっ
『はて?なんのことです?』しれっ
〖鍛治神が言ったのよ!主神が無茶をしてボロボロなのに、あんたに正座させられて説教されてるって!私とシアと二人で、主神を休ませろって!だから、さすがにもう寝室にいるだろうと思ったのに!まだ執務室で働いてるってどういうことよおおお!〗がくんがくんっ
『おやおや。それは主神が勝手に飛び出して無茶をして帰って来るのが悪いのですよ。仕事も溜まったままなのに』ふぅ~
〖あんたねええっ〗ぶるぶる
しれっと答えるバートさんに、怒り心頭のジーニ様
〖ま、魔神ちゃんっ待って待って〗あわわ
〖お母様っ落ち着いてっ〗おろおろ
〖何を待つのよ!?主神ははやく休まないとダメでしょう!〗
〖大丈夫だよっお説教は終わったとこだからっ〗
〖じゃあ早く休みなさいよ!?〗
〖分かったから、分かったから落ち着いて!ね?〗
〖お母様っ落ち着いてっ〗
二人がかりでジーに様をバートさんから引き離そうとします。
〖⋯分かったわよ〗しぶしぶ
『ふぅ⋯終わりましたか?』しれっ
〖なぁんですってぇ?〗むかぁっ
〖バートっ蒸し返さないのっ〗
〖お母様もっいい加減怒りますよ!〗
〖⋯ごめん〗
『すみません』
ようやく大人しくなったジーニ様。と、無表情で謝るバートさん。そこへ
ばんっ
『おらおら!何やってんだ!久々に帰って来てよ!そんなとこいないで茶にするぞ!』
やっと落ち着いたと思ったら、乱入者が!救世主となるか?
〖料理長~〗
『何を情けない声出してんだ主神。おら!行くぞ!』ひょいっ
〖ちょ、ちょっと~?僕は荷物じゃないんだけど!?〗
気づけばイル様は料理長の肩に担がれて!?
『ほら!魔神とシアも行くぞ!』ズンズンズン
〖え、ええ?〗
〖ま、待ちなさいよ〗
〖お母様、とにかく行きましょう〗
〖分かったわよ〗
慌てて料理長の後を追うジーニ様たち。
『はあ⋯まったく帰って来るなり騒々しいですね』フッ
そう言いながらちょっとホッとしたような顔をするバートさんも後を追う。
そして、料理長が向かった先は、中庭の
『お~い、連れてきたぞ』
『お待ちしておりますましたぞよ。妾の庭へようこそ。魔神様、シア様、お帰りなさいませ。ささ、お茶の用意は出来てるゆえ、ゆるりとおくつろぎ下され』
〖おう!お帰り!〗
〖お待ちしてましたよ〗
天界樹の精の四阿。そこには天界樹の精様に工芸神、武神、それから
『あらあらまあまあ、魔神様にシア様ですね。ようやくお会い出来ましたわね』すっ
立ち上がる一人の女性
〖あなたは⋯〗
〖まあ!〗
ジーニ様とシア様が驚いた、その人は⋯
『いつも孫を、サーヤを守って下さってありがとうございます。こちらの私とは初めましてですね』にこり
〖凛、凛さんね。そうね、起きてるあなたとは、初めましてだわ〗
〖何だか奇妙な気分ですね。初めまして。凛さん〗
『ふふ。そうですね。確かに、妙な気分ですね』
そう。天界のサーヤのおばあちゃん。凛がいた。
〖まあまあ、立ち話もなんだから座ったら?料理長、お茶お願い〗
『はいよ。ただし、主神は薬湯だ』ドン!
〖ええ~〗
『ええ~じゃねぇよ。飲め!』
〖ううっ〗
『安心してたも主神様。薬湯と言っても、妾が庭で凛と育てたハーブと果実で作ったお茶。とても美味しいお茶じゃ。異世界の知識とは面白いもので、妾もすっかりハマってしまったのじゃ』くすくす
〖そう?なら安心だね〗
『あとな、薬膳がゆってのも作ったぞ。これも凛の受け売りだがな。食ってとっとと寝ろ』どんっ
〖ふふ。ありがとう。至れり尽くせりだね〗
良かった。イル様、ちゃんと労わってもらえてます。その脇では
『改めまして、いつも孫がお世話になっております』
〖いいえ。こちらこそ。お礼を言わなきゃいけないのはこちらよ。凛さん、サーヤを守って下さってありがとう〗
おばあちゃんと女神様たちが、ご挨拶をしています。
〖凛さん、サーヤを守って育ててくれて、ありがとうございます〗
〖そして、ごめんなさい。辛い最後を⋯〗
〖申し訳ありませんでした〗
頭を下げるジーニ様とシア様
『嫌ですわ。頭を上げてくださいな。それに、お礼と謝罪でしたら既に受け取ってます。聖域で。それから、凛で大丈夫ですよ。神様にそんなにかしこまれたら困ってしまいますよ』
〖凛さ⋯凛、ありがとう〗
〖ありがとうございます。凛〗
『はい』にっこり
手を取り合って、分かり合うことが出来た凛とジーニ様立ちを見て、イル様が話し出す。
〖うんうん。良かった。無事に顔合わせ出来たね。それじゃ、魔神ちゃん、シア、鍛治神から話しは聞いたんだよね?〗
いきなり核心に触れるイル様。
〖ええ。まさかヤツが出てくるなんてね。まだ時間があると思っていたのに〗
〖本当です。それよりお父様、お体は大丈夫なのですか?〗
〖うん。大丈夫だ⋯〗
『ではないでしょう』ひゅお~
『主神様、嘘はダメであろ?』
『主神、強がりもだめだな』
〖ええ~。そんなことぉ〗
『『『ある』』』
バートさん、天界樹の精、料理長からダメ出しが
〖お目付け役が沢山だな主神。ざまぁねえな〗ふんっ
〖私たちに何も言わずにいくからですよ〗つんっ
〖ええ~〗
武神と工芸神も怒っていた。今回のことだけでなく、サーヤの救出の時に置いていかれたことにも怒っているようだ。
『あらあらまあまあ、サーヤのために、本当にありがとうございました』
〖気にしないで、凛さん。サーヤのことが大事なのは僕たちも同じだからね。それでね?さっきバートと話してたんだけど〗
『ええ、ヤツがどこにいるのかと、本当に実体を取り戻したのか。ということですね』
〖そう。今思うと何かね、ヤツに魔力をぶつけた時の感覚がね、実体に当たったっていう感覚ではなかった気がするんだよ。いや、当たった感覚はあったんだよ。だけどその後の霧散の仕方がね?う~ん⋯上手く言えないんだけど。周りもなんて言うのかな、真っ暗でね、現実感がないというか⋯〗
う~んと唸りながらイル様が言うと
〖どういうこと?〗
ジーニ様の綺麗な眉が寄って眉間にシワが寄る
〖それがよく分からないから、バートと話してたんだよ。ほら、時間が経てば経つほど忘れちゃうでしょう?でも、鍛治神が聞いてきた話だと、実際にエルフの王の前に姿を現したわけでしょう?顔も見たらしいし〗
う~ん
と、イル様だけでなく、話を聞いていたみんなが考え込んでしまった。そんな中
『ねえ?何か依代を使ったとかいうことはないの?』
凛が思いついたことを、話し始める
〖え?〗
『依代、ですか?』
『そうよ。向こうの世界でね、まあ、お話の中の話だったりするんだけど、いえ、実際に信じている人もいたかもしれないんだけど、実体のない魂だとか精神なんかが、何か他のものに入って、蘇るって言う話があるのよ。人形とか、⋯死体とかにね』
しーん
『⋯中々、物騒な話なれど、有り得る話しではないかや?』
『そうだな。現に今回、精霊やエルフが殺されているんだろ?』
静まり返る中、天界樹の精と料理長が反応した。バートさんも
『ふむ。確かに。その中で使えそうな体を使ったのかもしれませんね』
その可能性は否定できないと言う。
〖ならよ、実体がないってことだから、ヤツがまた現れるまで、まだ時間はあるよな?〗
〖武神、甘いですよ。一度出来たんです。また同じことをやらない保証はどこにもありませんよ〗
〖そうか、そうだよな⋯〗
〖ヤツを捕まえるにしても、真っ暗な空間ってだけじゃね〗
〖下界のどこかなのか、どこか違う空間かも分からないということですよね〗
〖そうなんだよ。ごめんね。また仕留めきれなかった〗
申し訳なさそうにするイル様に
『何を仰っているのですか。今回はこれで充分ですよ』
〖バート?〗
『今回の一番の功績は、ヤツを退けたことでも、力を削いだことでもありません。囚われた罪の無い魂たちを救い出せたことです。今回はそれで充分ですよ』
〖バート⋯〗じーん
バートが優しい!何千年ぶりだろう?
〖確かにそうね。主神はヤツから可哀想な魂を取り戻せた。今回はそれが一番ね〗
ジーニ様も同意する。みんなも。そして
『あらあらまあまあ、今回のことで、いつか必ずヤツが現れると分かったのだから、その時に備えて、私たちが強くなればいいってだけよね』
凛さんも。
〖〖⋯ぷっ〗〗
でも、ジーニ様とシア様が、顔を見合わせてから吹き出した。
『あらあらまあまあ?私、何か変なこと言ったかしら?』
〖ふふ。いいえ。やっぱり凛は凛なのねと思っただけよ〗
〖聖域の凛も、同じことを言ってましたよ。ふふ〗
『あらあらまあまあ?そうだったの?残念だわ。真似したみたいじゃない』ぷー
凛がほっぺたを膨らますと
〖〖あっ!〗〗
『え?』
ジーニ様とシアさまが、その顔!と指を指す。
〖くすくす。そっくりでしょ?〗
『はい。そっくりですね』
〖そうね。くすくす〗
〖やっぱり、サーヤのおばあちゃんですね。そっくりです。サーヤの〗
〖〖ぶー〗〗
〖そう!その時の顔に!〗
ジーニ様とシア様、イル様にバートさんまで笑ってます。
『あらあらまあまあ?そうかしら?』
複雑な気持ちだわ~と言う凛の顔はやっぱりサーヤの顔に似ている。
〖ふふ。なんか、安心したわ〗
〖そうですね。それじゃ、安心したところでお母様?〗
〖そうね。さあ、行くわよ!主神!もう食べ終わったでしょ?〗
〖え?え?どこに?〗
〖寝室よ!休むに決まってるでしょ?逃げないように私が見張ってあげるわ!文句ないわよね!?バート!〗
『仕方ありませんね。魔神に殺されたくはないですからね。とっとと連れて行ってください』
〖決まりね!さあ!行くわよ!〗ずるずる
〖待って待って!僕歩けるから~!〗
抵抗虚しく引きずられていくイル様。
『あらあらまあまあ~』
〖バート、わざとね⋯〗
『ふふ。なんの事ですか?』
『魔神様は素直ではないからのぉ』
〖素直じゃない魔神に、素直に主神を任せても、反対のことをするだけだもんな〗
〖天邪鬼ですからね、魔神は〗
武神と工芸神も納得。
〖じゃあ、私は助けられたエルフたちの元へ行こうしら〗
『そうですね。お供いたしますよ。シア』
『あらあらまあまあ、私も行くわ』
〖ありがとう〗
さあ、お父様のことはお母様に任せて、私たちはできることから始めましょう。
そして⋯
〖魔神ちゃん、一緒に寝ようよ~〗
〖いやよ!どうして私がっ〗
〖くすん。魔神ちゃんと一緒じゃないと心から休めないのに。いいよ、一人で寝るよ、お休み〗
〖な、何よ!仕方ないわねそんなに言うなら、膝枕くらいしてあげてもいいわよ〗ふんっ
〖そんなの魔神ちゃんの綺麗な足が痺れちゃう。仕方ないからやっぱり我慢するよ〗くすん
〖な、何よ。仕方ないわね、なら添い寝してあげるから、ちょっと詰めなさいよ〗
〖ほんと?わ~い!やった~♪〗
〖はっ!しまった?〗
なんやかんや、イル様の方が上手だった?
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
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そんな結衣に追い打ちをかけるように、ゾウほどもある大きな魔獣が襲いかかってきて。さらにドラゴンまで現れ、魔獣と激突。数分後、勝利したドラゴンが結衣の方へ歩み寄ってくる。
転生して数10分で命を落とすのか。そう思った結衣。しかし結衣を待っていたのは、思いもよらぬ展開だった。
「なぜ幼児がここに? ここは危険だ。安全な俺たちの巣まで連れて行こう」
まさかのドラゴンによる救出。さらにその縁から、結衣は最強と謳われるドラゴン騎士の家族に迎え入れられることに。
やがて結衣は、神から授かった力と自らの知識を駆使し、戦う上の兄や姉を支え、頭脳派の兄の仕事を手伝い。可憐で優しい姉をいじめる連中には、姉の代わりに子ドラゴンやもふ強魔獣と共にざまぁをするようになって?
これは神様の度重なるミスによって、幼児として転生させられてしまった結衣が、ドラゴンやもふ強魔獣に懐かれ、最強のドラゴン騎士家族と共に、異世界で幸せいっぱいに暮らす物語。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
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「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
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