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2・意外な告白
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わたしは小さな鉄鍋でくつくつと音を立てているアヒージョのエビを頬張った。
どんな状況下であろうと、おいしいものはおいしい。
わあ、ぷりぷりだ。
「ここのアヒージョ、ほんとおいしいですよね」
そう言って、室長のほうに目をやると、彼は通常の何倍も優しげな瞳でわたしを見つめていた。
「その久保の食べっぷりも好みなんだよ、実は」
わーっ! どうしよう。
たぶん、暗い店内でも見分けられるほど、わたしの顔は赤くなっていると思う。
やはり、とりあえず今の正直な気持ちを伝えておかなければ。
「あの、室長にそんなふうに言ってもらえて、ものすごく光栄なんですけど」
「けど?」
「あまりにも急なお話すぎて……」
「もちろん、すぐに返事が欲しいなんて言わないよ。ゆっくり考えてくれればいいから」
「はい……」
まだ困惑を隠せないわたしを見て、彼の表情が少し曇った。
「それとも考えるまでもないのかな? 久保はやっぱり……」
室長の言葉に被せるように、わたしは断言していた。
「違います」
わたしの反応があまりにも早すぎておかしかったのか、室長はふっと口の端を引き上げた。
「まだ、『やっぱり』としか言ってないんだけど」
「あっ」
しまった。これじゃ、「そうだ」と肯定しているようなものだ。
室長はもう一度わたしの目をまっすぐ見据えた。
彼の瞳はとても澄んでいて、すべてを見透かされそうで、わたしは思わず目を伏せた。
「よくわからないんです。自分でも。あまりにも長く一緒に居すぎたから」
「君と都築のあいだに友情以上の何かが存在してるのは、僕も気づいてる。でも、君たちは付き合ってるわけじゃないんだし、僕が君を好きになっても悪いことは何もないだろう? できれば『よくわからない』で終わらせないで、自分の気持ちに正面から向き合ってほしい」
「……わかりました」
「真剣に考えて出した答えなら、すべて受け入れるから」
「はい……」
それにしても。
まさか、いきなり告白されるとは。
青天の霹靂とはこのことだ。
そのあとは、そのまま上の空で食事を済ませた。
頭がボーっとして、どんな会話を交わしたかも、よく覚えていない。
室長と別れ、電車にゆられながら、とにかく必死に頭を働かせた。
うーん。
佐藤室長は、容姿も能力も人格も超一流で非の打ち所がない人。
こんなふうに迷うことですらおこがましい、わたしにはもったいなさすぎる申し出だ。
なのに、こうして二の足を踏んでいる。
そして、今も心を占めているのは、やっぱり都築の顔だった。
どんな状況下であろうと、おいしいものはおいしい。
わあ、ぷりぷりだ。
「ここのアヒージョ、ほんとおいしいですよね」
そう言って、室長のほうに目をやると、彼は通常の何倍も優しげな瞳でわたしを見つめていた。
「その久保の食べっぷりも好みなんだよ、実は」
わーっ! どうしよう。
たぶん、暗い店内でも見分けられるほど、わたしの顔は赤くなっていると思う。
やはり、とりあえず今の正直な気持ちを伝えておかなければ。
「あの、室長にそんなふうに言ってもらえて、ものすごく光栄なんですけど」
「けど?」
「あまりにも急なお話すぎて……」
「もちろん、すぐに返事が欲しいなんて言わないよ。ゆっくり考えてくれればいいから」
「はい……」
まだ困惑を隠せないわたしを見て、彼の表情が少し曇った。
「それとも考えるまでもないのかな? 久保はやっぱり……」
室長の言葉に被せるように、わたしは断言していた。
「違います」
わたしの反応があまりにも早すぎておかしかったのか、室長はふっと口の端を引き上げた。
「まだ、『やっぱり』としか言ってないんだけど」
「あっ」
しまった。これじゃ、「そうだ」と肯定しているようなものだ。
室長はもう一度わたしの目をまっすぐ見据えた。
彼の瞳はとても澄んでいて、すべてを見透かされそうで、わたしは思わず目を伏せた。
「よくわからないんです。自分でも。あまりにも長く一緒に居すぎたから」
「君と都築のあいだに友情以上の何かが存在してるのは、僕も気づいてる。でも、君たちは付き合ってるわけじゃないんだし、僕が君を好きになっても悪いことは何もないだろう? できれば『よくわからない』で終わらせないで、自分の気持ちに正面から向き合ってほしい」
「……わかりました」
「真剣に考えて出した答えなら、すべて受け入れるから」
「はい……」
それにしても。
まさか、いきなり告白されるとは。
青天の霹靂とはこのことだ。
そのあとは、そのまま上の空で食事を済ませた。
頭がボーっとして、どんな会話を交わしたかも、よく覚えていない。
室長と別れ、電車にゆられながら、とにかく必死に頭を働かせた。
うーん。
佐藤室長は、容姿も能力も人格も超一流で非の打ち所がない人。
こんなふうに迷うことですらおこがましい、わたしにはもったいなさすぎる申し出だ。
なのに、こうして二の足を踏んでいる。
そして、今も心を占めているのは、やっぱり都築の顔だった。
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