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第6章 甘い計略
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「でも、わたしが宗太さんを好きになるとは限らない……ですよね」
「それでも構わないと思ってたよ。それにぼくのほうも、いくら初恋の相手とはいえ、実際に会って見ないと今のエリカを好きになるかどうか、わからなかったし」
彼は、結果的にわたしと恋愛関係にならないとしても、わたしを磨きあげて、それが今後の仕事につながるなら、それでいいと思っていたと言った。
「あの映画を観たとき、ものすごく歯がゆかったんだよ。エリカは、あのヒロインなんかより、よっぽど綺麗で演技だってうまいのに、なんであんな役に甘んじてるのかと思って」
わたしは顔を上げて、芹澤さんを見つめた。
「じゃあ、わたしは宗太さんの計略にきれいにハマったわけですね」
「そういうことになるね」
でも、と宗太さんはさらに握った手にさらに力を込めて、わたしの目を見つめた。
「でも、ぼくの直観は正しかった。大人になっても、きみはあのころと少しも変わっていなかった。誠実で、正義感が強くて、困った人がいたら助けないと気が済まなくて、そして、相変わらず意志が強いところも。改めて惚れなおした。いや、前より何倍も好きになった」
そうして、芹澤さんはわたしの手を取ったまま、椅子から立たせた。
「エリカ……」
感極まったように呟くと、彼はわたしを抱き寄せた。
「こんなに人を好きになったのは、生まれて初めてだ。ぼくと結婚してほしい。偽装なんかじゃなくて、本物の恋人、そして妻になってくれないか」
「宗太さん……」
ほんのついさっきまで、彼にプロポーズされるなんて思いもよらなかった……
天にも昇るような心地というのは、このことかと思った。
ありえないと思っていたことがにわかに現実になった。
嬉しいという言葉では表しきれないほど、気持ちが高揚している。
「それでも構わないと思ってたよ。それにぼくのほうも、いくら初恋の相手とはいえ、実際に会って見ないと今のエリカを好きになるかどうか、わからなかったし」
彼は、結果的にわたしと恋愛関係にならないとしても、わたしを磨きあげて、それが今後の仕事につながるなら、それでいいと思っていたと言った。
「あの映画を観たとき、ものすごく歯がゆかったんだよ。エリカは、あのヒロインなんかより、よっぽど綺麗で演技だってうまいのに、なんであんな役に甘んじてるのかと思って」
わたしは顔を上げて、芹澤さんを見つめた。
「じゃあ、わたしは宗太さんの計略にきれいにハマったわけですね」
「そういうことになるね」
でも、と宗太さんはさらに握った手にさらに力を込めて、わたしの目を見つめた。
「でも、ぼくの直観は正しかった。大人になっても、きみはあのころと少しも変わっていなかった。誠実で、正義感が強くて、困った人がいたら助けないと気が済まなくて、そして、相変わらず意志が強いところも。改めて惚れなおした。いや、前より何倍も好きになった」
そうして、芹澤さんはわたしの手を取ったまま、椅子から立たせた。
「エリカ……」
感極まったように呟くと、彼はわたしを抱き寄せた。
「こんなに人を好きになったのは、生まれて初めてだ。ぼくと結婚してほしい。偽装なんかじゃなくて、本物の恋人、そして妻になってくれないか」
「宗太さん……」
ほんのついさっきまで、彼にプロポーズされるなんて思いもよらなかった……
天にも昇るような心地というのは、このことかと思った。
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嬉しいという言葉では表しきれないほど、気持ちが高揚している。
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