私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
271 / 378

268話 ケル君とガーベラさんでございます!

しおりを挟む
【見ててね!】
「はい、見てますよ」
「あの子がまた強くなったって本当?」
「ええ」


 私たちはガーベラさんといっしょにケル君ができることになった行動のお披露目会をしている。
 ちなみにガーベラさんとは偶然遭遇した。よく考えたらロモンちゃんもリンネちゃんもぜんぜんギルドに顔を出してないことに気がついて、冒険者においてコミュニティは大切だから少しでも訪ねるようにと促し、三人と一匹で向かったらそこにいた。しかもまだ今日の仕事を受けている様子はなかったから私達に付き合うように言ったの。……ケル君が。
 ガーベラさんにプロポーズをするという宣言をされてから一週間、毎日会っているけどあれからそのことに関する話は一度しかしていない。それも私の確認程度のもの。ただ本気であることはわかったので良しとする。
 ただ一週間というのは大きすぎた。ケル君が私たちの訓練に参加しての日数でもあるわけだけど、私たちの三ヶ月を一気に追いつくかもしれないような成長速度を見せていった。もともと犬の魔物だし、その上意欲もすごいから色々あってたのかも。
 そしてこのお披露目会。ケル君は自分が強くなると見せたがる癖があるのよね。


【いくゾ……!】


 ケル君は助走を付けずに一気にトップスピードになった。リルちゃんに近い動きになってる。


「残像が見える……」
「そうですか?」
「アイリスはもう目が慣れちゃってるんだね」

 
 確かにそうなのかも。ケル君は30秒間も高速移動を続けると、急に立ち止まった。そして尻尾を振りながら私たちの方を振り返った。


【まだ見ててほしいんだゾ。スフェルオ!】
「いつの間に補助魔法を……」
【三ヶ月の間に補助魔法や補助魔法、アイリス達が覚えていた魔法は大体習得したんだゾ。なにも本をのんびり読んでたわけじゃないゾ。たぶん次進化したら回復魔法も補助魔法も追いつくゾ】


 得意げにそう言うと、ケル君は自身の補助魔法によりさっきより格段に早く動き始めた。私がいなくなっても、ゆくゆくはケル君が攻撃役で、ロモンちゃんが回復役、リンネちゃんがオールマイティな立ち役でやっていくなんて考えていたけれど……得手不得手はあるものの、まさか全員がそのオールマイティになるかもしれないなんて。


【ふぅーっ。ふぅーっ……どうだゾ?】
「とても良いと思いますよ。日々強くなって行きますね! ただ息切れしているようなので、あまり無理はなさらないように……」
【ふぅ……息切れじゃないゾ、集中してるんだゾ】
「まだ何かするの、ケル?」
【ゾ!】


 ケル君はオーラを全身にまとった。確か普段ならここから火属性や雷属性を付与させて攻撃力を増したり、風属性を付与して素早さの底上げをしたりするはず。その風属性による素早さの底上げかと思ったけれど、そうではないみたい。

【オイラのオーラは全員に見せたことあるはずだゾ】
「うん、頻繁に使うわけじゃないけどね」
【今まではオーラを魔法と属性付与の物理技と掛け合わせたの型にはめることでオーラに属性を付与してたんだゾ】


 これがなかなか難しくて、私とロモンちゃんとリンネちゃんではまだできていない。だからたぶん、私たちができなければ他の誰にもできない。強いて言うならそろそろ私がもう少しでできそうかなっていうくらい。それでも魔物状態の時にしかうまくいかない。


「なかなか難しいんだよね、それ」
「できたら便利なんだろうけど、俺はやろうとは思わないな」
【もしかしたら人間には難しいのかもしれないんだゾ。惜しいのがアイリスくらいだし。……ただオイラは簡略化より先にこの纏うオーラの強化をしてしまったんだゾ】
「というと?」
【オイラのオーラに、属性ではなく、魔法を付与できるようになったんだゾ。さらに一度の発動で複数属性をつけられるようになったゾ】
「えっと、つまり……?」
【見たほうが早いゾ】


 ケル君はまずふつうに魔力を浮き出したもの……オーラを全身にまとった。次にそのオーラを媒介にして背中から素早さが上がる補助魔法のスフェルオを唱えた。
 魔法陣が背中に現れる。ただそれが消える気配がない。普通は魔法が発動すると魔法陣はすぐに消える。なのに、ケルくんの背中に現れたオーラに包まれてる魔法陣は消える気配がない。
 さらにケル君のオーラが緑色に変わった。つまり風属性を付与したのね。


【今のオイラは、素早さ上昇魔法を自分にかけ、オーラを風属性にして直線的な速さを上げて、さらに素早さ上昇魔法をオーラに纏わせてる状態なんだゾ。こうなると……】
「こ、こうなると?」
【超早くなるゾ】


 今目の前のケル君と喋ってると思ったら、後ろから声が聞こえた。残像どころじゃない、今度は私も姿を捉えることができなかった。ただ反応できていたのはリンネちゃんだけ。


「すごいねケル!」
【やっぱりリンネはふつうに追いつけるのかゾ】
「たぶんもうぼくと同じくらいだよ!」
【現時点でガッチガチに補助魔法をかけてやっとだゾ。さすがリンネなんだゾ】

 
 なんだか二人とも生き物離れしてる気がする。今の特訓が一通り済んだら、ケル君みたいに私も別方向の強さを求めた方がいいのかもしれない。
 ガーベラさんは驚いた様子でケル君をじっと見てるので、声をかけてみることにした。


「ガーベラさん、どうですかケル君は」
「会うたびに強くなってて怖いな。本当にBランクの魔物なの?」
「はい」
「今からでも相性次第でSランクに単身で勝てるかもしれないよ」

 
 と、ダンジョンを一人でクリアできSランクの強さを持つであろうガーベラさんはコメントした。よくわかんないけどここにいる全員強いってことでいいのかしら。私ももっと頑張らなきゃ。『ケル君が戦力になるのはいつかな?』なんて思ってたら、追い越されちゃったわけだし。


【というわけでだゾ、ここでガーベラに用件があるんだゾ】
「な、なにかな?」
【オイラと戦うんだゾ。あ、もちろん本気じゃないよ?】
「つまり模擬戦をしてほしいと?」
【そうなんだゾ。ロモン達としてもいいけど、三人ともオイラにとって大事だから模擬戦の範疇だとしても実力が出しにくいんだゾ】
「気持ちはわかるよ。……わかった、付き合おう」
【恩にきるゾ!】


 なんか始まった。ケル君がガーベラさんを呼んだのはそういうことだったのね。模擬戦の範疇という話だったのに、ガーベラさんは装備をフルに着込んでケル君は幼体化を解いた上に鎧を装備した。


「なんか模擬戦って雰囲気じゃないよ!」
「ま、まって、二人とも怪我するようなことしないでよ!」
「【どうせアイリスが治してくれる(ゾ)】」
「「「ええっ……」」」
【離れててね】


 本当にやる気のようなので私たちは後ろに下がった。ケル君は先ほど見せてくれた新しいオーラを展開している。ガーベラさんは槍を構えた。


【いくゾ】
「……こいっ」

 
 ケル君がとんでもない速さで動いた。ガーベラさんの後ろに回り込み、魔法を唱える。でもガーベラさんはそれをみることなく腕だけ動かして盾でそれを弾き飛ばした。


【このくらいはやるんだね】
「まあね」
【それじゃあもっと攻撃を続けるんだゾ】


 ケル君はそういうと再びスピードを出し、ガーベラさんの周りをぐるぐると回り始めた。その状態から魔法を何連発も放っている。現れている魔法陣が連なって一本の線に見えるほど。
 ただガーベラさんもそれを一発一発、しっかりと防いでいた。そしてしばらくすると彼は反撃を開始したの。

「ふっ!」
【おわっとと……ギリギリなんだゾ】
「流石にかわすか」
【いやいや、惜しかったゾ】


 ……それにしてもガーベラさんとケル君っていつ仲良くなったんだろ?


#####

次の投稿は12/24ですよー!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

神様 なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか

佐藤醤油
ファンタジー
 主人公を神様が転生させたが上手くいかない。  最初は生まれる前に死亡。次は生まれた直後に親に捨てられ死亡。ネズミにかじられ死亡。毒キノコを食べて死亡。何度も何度も転生を繰り返すのだが成功しない。 「神様、もう少し暮らしぶりの良いところに転生できないのですか」  そうして転生を続け、ようやく王家に生まれる事ができた。  さあ、この転生は成功するのか?  注:ギャグ小説ではありません。 最後まで投稿して公開設定もしたので、完結にしたら公開前に完結になった。 なんで?  坊、投稿サイトは公開まで完結にならないのに。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

処理中です...