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269話 ダンジョンをガーベラさんに教えてもらうのでございます!
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【いやー、良かったんだゾ! ありがとなんだゾ!】
「俺も思っていたより体を動かせたよ」
ケル君とガーベラさんはひと試合終えてから清々しそうに笑いあっている。……凄まじい攻防だった。ケル君は自分の速さになれるかのように移動を繰り返し、ガーベラさんは自身がその速さを出せない代わりに武器と盾を扱う技術で対応してみせていた。仮にリンネちゃんと試合してもガーベラさんは攻防を繰り広げられることができたと思う。お父さんはは流石に無理そうだけど。
【でもこんなに強くなったオイラでも、あと少し足りないんだゾ】
「大丈夫、新しい技を開発するばかりじゃなくて自分に定着させることも努めれば絶対強くなるよ」
【ゾ!】
ガーベラさんは戦闘モードをやめて幼体化したケル君の頭を撫でた。ケル君は普通の犬みたいに目を細めてる。しばらくしてガーベラさんは何かを思い出したように私の方を振り向いて呼びかけてきた。
「そうだアイリス! いや、二人にも関係のあることなんだけど、ちょっといいかな」
「なんですか?」
「ダンジョンをひとつ、攻略してみる気はない?」
「って言うと?」
「実は昨日、仕事中に二つ見つけちゃって」
そんなにダンジョンって見つかるものなのかしら。ガーベラさんは自力でダンジョンを見つけすぎだと思う。その上うまい具合にアーティファクトも毎回見つけてくるあたりきっとお宝運が凄まじいのね。
「つまり一方をガーベラさんが、もう一方を私たちが攻略すると、そういうわけですね?」
「その通り。あ、もし忙しいなら無理にやらない方が……」
「ううん、やるよ! ぼく達やる!」
「ダンジョンかぁ……久しぶりだね!」
ロモンちゃんとリンネちゃんがやる気だ。久しくダンジョンなんて行ってないから私も是非行きたい。ケル君の運動をしたいという欲求も十分満たされるでしょう。
「それなら良かった。地図に記しておいたから見せてあげる。でもほんとに城からの依頼や冒険者としての仕事はいいの?」
「そんなの関係ないよ、ガーベラさん」
「ダンジョンはまた別! 転移魔法陣さえあれば好きな時に中断したところから始められるし」
【オイラもいまの実力をそこでなら余すことなく出せそうなんだゾ。いい時にいい話を持ちかけてくれたんだゾ、ナイスなんだゾ】
「そっか、タイミングが良かったんだね」
それからガーベラさんは、どこからか武器を仕入れてきて武装してるAランクのゴブリンとその取り巻きの群れの討伐という仕事をしている最中に見つけたという二つのダンジョンを記した地図を見せてくれた。簡単に丸を打ってるだけだけどわかりやすい。ひとつは偶然見つけて、もうひとつはゴブリン達が奉っていたらしい。
「それでみんなはどっちがいい?」
【オイラはどうせならそのゴブリンが管理してたダンジョンがいいんだゾ。なんだか特別感があるし】
「ケルがそういうなら私たちも」
「じゃあこっちがアイリス達ね」
私たちはそのダンジョンの場所を持っていた地図に書き写した。ガーベラさんの仕事であった討伐対象のゴブリン達は、きっと武器をダンジョンから仕入れていたんだと思う。となると出てくるのは人型の魔物かしら。
「ありがとうガーベラさん!」
「ありがとうございます」
「いいんだよ。でも四人と相談できたから呼び出されて正解だったかな。本当だったら今夜、アイリスに相談するつもりだったんだ。攻略するのはいいけどくれぐれも無理はしないように」
すごく久しぶりのダンジョン攻略、ちょっとワクワクする。
ガーベラさんは前に私が彼に聞いたように、ロモンちゃんとリンネちゃんから四人と一匹で一緒に攻略しないかと誘われているけれど、単独で行った方が強くなるっていう特技の説明をして納得させていた。
でもよく考えたらとても便利な特技よね。単独だからダンジョンの敵から入る経験値もガーベラさんだけのものになるし。グングン強くなっていくのはそういうところもあるのかもしれない。
「じゃあ俺はそろそろギルドに戻るよ」
「ケル君に付き合ってくれてありがとう、ガーベラさん!
「ダンジョンのこともね。ところで、ついでにアイリスちゃんとデート行ったりしないの?」
「ガーベラさんはお仕事しようとしてたところに私たちが呼び出したわけですから……」
「んー……いや、別にあくせく働く必要もないから、アイリスがいなら」
この流れは私次第? それじゃあ甘えちゃおうかしら。多少着飾る時間は欲しいけどね。
◆◆◆
「準備できた?」
「オッケーだよ!」
昨日はガーベラさんといつもギルドで解散する時間まで一緒にいて楽しかったから、今日は教えてもらったダンジョンに行ってたっぷりと戦闘をしようと思う。
【やっと実戦なんだゾ。ダンジョンだから暴れ放題なんだゾ!】
「やっぱり、あと二週間くらい訓練した方が良かったかな?」
【わざとダンジョンを遅く進んで実戦を織り交ぜて訓練すんんだゾ、その方がいいゾ!】
「全力を出したくてうずうずしてるんだね」
今日のケル君は一段と血の気が多い。かくいう私も自分の格段に上がった速さを試してみたいし、気分が高揚するのもわかるわ。
「私も出てくる魔物によるけど、魔物使い専用魔法以外の魔法を封印して戦ってみようかな」
「いいんじゃないかな、何事もやってみるべきだよ! ぼくはみんなほど成長してないからいつも通り行くけどね」
【アイリス、どうせなら今回で魔流の気に属性をつけられるようになるんだゾ】
「なるほど、そちらも頑張ってみますか」
とにかく今回は大量に出現する魔物相手にどれだけ自分の実力をぶつけられるかっていうのが課題かしら。私たち三人と一匹でアーティファクトは5つ所持しているから、無理に狙う必要はなさそうね。
「じゃあそろそろ出発しよ!」
私たちは馬車に乗ってガーベラさんに教えてもらった場所まで向かう。といってもその場所まで直接向かうわけじゃなくて、近隣の村まで来たら徒歩でその場所を目指すのだけれど。
転移魔法陣さえ置いて仕舞えばもう直接移動する必要はないから、こんな面倒な移動をするのは今日だけね。
やがて小麦粉が主な名産らしい村にたどり着いた。ここで一昨日ガーベラさんが仕事したみたい。村内にあった喫茶店で移動の疲れを取ってから、村を出て地図通りに進んでいった。
村から一時間経つか経たないかくらい移動したところで、ゴブリンが住んでいたような形跡がある場所を見つけ、近くの断崖にくっついてるダンジョンも発見できた。奉られていたのは本当みたいで、動物の骨や歯で装飾が施されている。
「ここですね」
「秘境のダンジョンって感じがするね!」
「村からそんなた離れてないけどね。しっかり装備品を装備して中に入ってみよう」
ロモンちゃんが盾を装備し、リンネちゃんは腕はをはめ、ケル君は鎧を全身に身につけた。私は私専用のアーティファクトがないので、私の身体で作った杖剣を腰に下げる。
「それじゃあ出発!」
一歩中に入ると、壁一面に昔の人が描いたような絵が描かれているのが見えた。薄暗いからなんかちょっと気持ち悪い。ゴブリンが描いたというわけではなさそうね。多分、ダンジョンが生成された時の模様として作られたものだと思う。
「なんか気色悪いね……」
【それでこそ刺激が強そうな魔物がいそうなんだゾ!】
探知に反応があった。多分地面から這い出てくるタイプの魔物だと思う。まずはDランクが三匹ね。
【なんかちょっと嫌な臭いがするんだゾ】
ケル君が臭いを気にするのも当然かもしれない。小石視点で少し先を見てみたら、人型のアンデットがいるのが確認できた。……少しグロテスク。
#####
<クリスマス特別短編>
((アイリス達の世界にサンタクロースの概念はありませんが、今回だけあることにします、また本編とは一切繋がっておりません))
ワシはジーゼフ……じゃなくて魔物使いのサンタクロースじゃ。まだクリスマスまで時間があるのじゃが、今日は可愛い孫娘達が欲しいプレゼントを調べるためにこっそりやってきたのじゃ。
「すぅ……すぅ……そ、そんなに食べて良いの?」
「んー……ぼくもう食べられないよ……」
「へっへっへ……良い体つきになってきましたね……」
「ガルルルル」
相変わらず食い意地はっておるな。アイリスに関してはどんな夢を見ているかすらさっぱりわからんぞ。ケルはさすがに寝言まで念話というわけにはいかんかったか。
どれ、なんだか怪しいアイリスから見てみるとするかの。ワシは人のステータスを見るのと同時に考えてることも読めるのじゃ。こいつをつかって調べてやるわい。
『アイリスちゃん、こ、この格好恥ずかしいよ……』
『ぼ……ぼく達がこんな格好して何かいいことあるの?』
『えぇ、ええ、ええ! ありますともありますとも、露出した太ももと開いた胸元がたまりませんよ! ふへへへへへ』
……アイリスちゃんはロモンとリンネに何をやらせたいんじゃ。なんじゃこの裸に近い格好は。忘れよう、きっと変な夢を見ているに違いない。何をプレゼントしたらいいか分からん。普段の態度や見た目からは想像もつかんことを願っておるのじゃな。とりあえずノアに相談して服でも送っておけばええじゃろ。
次はロモンじゃ。ロモンが欲しいものはなんじゃろうか。
『わ、私が伝説の魔物使いの名前を引き継ぐの? わかった、やる、やるよ私!! あ、お祝いにバクレツマグロ二匹と牛丸々一頭分のお肉をステーキにして食べたいな!!』
ロモンらしい願いじゃの。ワシが選んだちょっと高めな魔物使いグッズか食事券十万ストン分のどちらかを贈ろうかの。にしても食べ過ぎじゃないか。でもこの量をロモンとリンネは一人で食べれるからの。次はリンネじゃな。
『ぼ、ぼくがお父さんに速さ対決で勝ったよ!? やった!! 偉い? すごい? えへへ、嬉しいなっ。じゃあ今日はお祝いに豚の丸焼き五匹分食べてもいい?』
ふむ、リンネも近いような内容じゃな。じゃがワシは剣士については詳しくないからの、グライドくんやあいつに相談してみるかの。次はケルじゃな。
『オイラ……いや、我はヘヴンケルベロスマグニフィセント。SSランク超越種の崇高なケルベロスなんだゾ。食らうんだゾ、オイラが編み出したこの十重魔法陣オーラを! ところでロモン、オイラもっと本が読みたいゾ、体も動かしたいゾ』
ケルは一番子供なだけあって願いがまともじゃの。とりあえず今は読んでてて魔法の練習にもなるような本を何冊かプレゼントしてやれば良いかの。
まあ……アイリス以外は概ね欲しいものがわかったし、当日、しっかり届けるとするかの。クロのやつにソリを引かせてな。
~数日後、クリスマス当日~
「わぁ! これ欲しかったやつだ!」
「ぼくも! すごーい!」
「お食事券5万ストン分も入ってるよ!?」
「おお、読んでみたかった本だゾ……この本にはまだ覚えてない魔法が記載されてるんだゾ」
なんだか知らないけど、私たちの元にいつのまにかプレゼントが送り込まれていた。それぞれ欲しかったものにぴったりだったようでとても喜んでいる。
でも私はなんだか微妙なのよね。いや、もらった服のデザインはいい感じだき、嬉しくはあるけど……服ってそんなに欲しかったわけでもないし……うーん、どういう基準で選んだのかしら?
#####
メリクリでござるよ!
次の投稿は12/31です! もしかしたら少し遅らせて1/1になったばかりに投稿するかもしれないですよ。
「俺も思っていたより体を動かせたよ」
ケル君とガーベラさんはひと試合終えてから清々しそうに笑いあっている。……凄まじい攻防だった。ケル君は自分の速さになれるかのように移動を繰り返し、ガーベラさんは自身がその速さを出せない代わりに武器と盾を扱う技術で対応してみせていた。仮にリンネちゃんと試合してもガーベラさんは攻防を繰り広げられることができたと思う。お父さんはは流石に無理そうだけど。
【でもこんなに強くなったオイラでも、あと少し足りないんだゾ】
「大丈夫、新しい技を開発するばかりじゃなくて自分に定着させることも努めれば絶対強くなるよ」
【ゾ!】
ガーベラさんは戦闘モードをやめて幼体化したケル君の頭を撫でた。ケル君は普通の犬みたいに目を細めてる。しばらくしてガーベラさんは何かを思い出したように私の方を振り向いて呼びかけてきた。
「そうだアイリス! いや、二人にも関係のあることなんだけど、ちょっといいかな」
「なんですか?」
「ダンジョンをひとつ、攻略してみる気はない?」
「って言うと?」
「実は昨日、仕事中に二つ見つけちゃって」
そんなにダンジョンって見つかるものなのかしら。ガーベラさんは自力でダンジョンを見つけすぎだと思う。その上うまい具合にアーティファクトも毎回見つけてくるあたりきっとお宝運が凄まじいのね。
「つまり一方をガーベラさんが、もう一方を私たちが攻略すると、そういうわけですね?」
「その通り。あ、もし忙しいなら無理にやらない方が……」
「ううん、やるよ! ぼく達やる!」
「ダンジョンかぁ……久しぶりだね!」
ロモンちゃんとリンネちゃんがやる気だ。久しくダンジョンなんて行ってないから私も是非行きたい。ケル君の運動をしたいという欲求も十分満たされるでしょう。
「それなら良かった。地図に記しておいたから見せてあげる。でもほんとに城からの依頼や冒険者としての仕事はいいの?」
「そんなの関係ないよ、ガーベラさん」
「ダンジョンはまた別! 転移魔法陣さえあれば好きな時に中断したところから始められるし」
【オイラもいまの実力をそこでなら余すことなく出せそうなんだゾ。いい時にいい話を持ちかけてくれたんだゾ、ナイスなんだゾ】
「そっか、タイミングが良かったんだね」
それからガーベラさんは、どこからか武器を仕入れてきて武装してるAランクのゴブリンとその取り巻きの群れの討伐という仕事をしている最中に見つけたという二つのダンジョンを記した地図を見せてくれた。簡単に丸を打ってるだけだけどわかりやすい。ひとつは偶然見つけて、もうひとつはゴブリン達が奉っていたらしい。
「それでみんなはどっちがいい?」
【オイラはどうせならそのゴブリンが管理してたダンジョンがいいんだゾ。なんだか特別感があるし】
「ケルがそういうなら私たちも」
「じゃあこっちがアイリス達ね」
私たちはそのダンジョンの場所を持っていた地図に書き写した。ガーベラさんの仕事であった討伐対象のゴブリン達は、きっと武器をダンジョンから仕入れていたんだと思う。となると出てくるのは人型の魔物かしら。
「ありがとうガーベラさん!」
「ありがとうございます」
「いいんだよ。でも四人と相談できたから呼び出されて正解だったかな。本当だったら今夜、アイリスに相談するつもりだったんだ。攻略するのはいいけどくれぐれも無理はしないように」
すごく久しぶりのダンジョン攻略、ちょっとワクワクする。
ガーベラさんは前に私が彼に聞いたように、ロモンちゃんとリンネちゃんから四人と一匹で一緒に攻略しないかと誘われているけれど、単独で行った方が強くなるっていう特技の説明をして納得させていた。
でもよく考えたらとても便利な特技よね。単独だからダンジョンの敵から入る経験値もガーベラさんだけのものになるし。グングン強くなっていくのはそういうところもあるのかもしれない。
「じゃあ俺はそろそろギルドに戻るよ」
「ケル君に付き合ってくれてありがとう、ガーベラさん!
「ダンジョンのこともね。ところで、ついでにアイリスちゃんとデート行ったりしないの?」
「ガーベラさんはお仕事しようとしてたところに私たちが呼び出したわけですから……」
「んー……いや、別にあくせく働く必要もないから、アイリスがいなら」
この流れは私次第? それじゃあ甘えちゃおうかしら。多少着飾る時間は欲しいけどね。
◆◆◆
「準備できた?」
「オッケーだよ!」
昨日はガーベラさんといつもギルドで解散する時間まで一緒にいて楽しかったから、今日は教えてもらったダンジョンに行ってたっぷりと戦闘をしようと思う。
【やっと実戦なんだゾ。ダンジョンだから暴れ放題なんだゾ!】
「やっぱり、あと二週間くらい訓練した方が良かったかな?」
【わざとダンジョンを遅く進んで実戦を織り交ぜて訓練すんんだゾ、その方がいいゾ!】
「全力を出したくてうずうずしてるんだね」
今日のケル君は一段と血の気が多い。かくいう私も自分の格段に上がった速さを試してみたいし、気分が高揚するのもわかるわ。
「私も出てくる魔物によるけど、魔物使い専用魔法以外の魔法を封印して戦ってみようかな」
「いいんじゃないかな、何事もやってみるべきだよ! ぼくはみんなほど成長してないからいつも通り行くけどね」
【アイリス、どうせなら今回で魔流の気に属性をつけられるようになるんだゾ】
「なるほど、そちらも頑張ってみますか」
とにかく今回は大量に出現する魔物相手にどれだけ自分の実力をぶつけられるかっていうのが課題かしら。私たち三人と一匹でアーティファクトは5つ所持しているから、無理に狙う必要はなさそうね。
「じゃあそろそろ出発しよ!」
私たちは馬車に乗ってガーベラさんに教えてもらった場所まで向かう。といってもその場所まで直接向かうわけじゃなくて、近隣の村まで来たら徒歩でその場所を目指すのだけれど。
転移魔法陣さえ置いて仕舞えばもう直接移動する必要はないから、こんな面倒な移動をするのは今日だけね。
やがて小麦粉が主な名産らしい村にたどり着いた。ここで一昨日ガーベラさんが仕事したみたい。村内にあった喫茶店で移動の疲れを取ってから、村を出て地図通りに進んでいった。
村から一時間経つか経たないかくらい移動したところで、ゴブリンが住んでいたような形跡がある場所を見つけ、近くの断崖にくっついてるダンジョンも発見できた。奉られていたのは本当みたいで、動物の骨や歯で装飾が施されている。
「ここですね」
「秘境のダンジョンって感じがするね!」
「村からそんなた離れてないけどね。しっかり装備品を装備して中に入ってみよう」
ロモンちゃんが盾を装備し、リンネちゃんは腕はをはめ、ケル君は鎧を全身に身につけた。私は私専用のアーティファクトがないので、私の身体で作った杖剣を腰に下げる。
「それじゃあ出発!」
一歩中に入ると、壁一面に昔の人が描いたような絵が描かれているのが見えた。薄暗いからなんかちょっと気持ち悪い。ゴブリンが描いたというわけではなさそうね。多分、ダンジョンが生成された時の模様として作られたものだと思う。
「なんか気色悪いね……」
【それでこそ刺激が強そうな魔物がいそうなんだゾ!】
探知に反応があった。多分地面から這い出てくるタイプの魔物だと思う。まずはDランクが三匹ね。
【なんかちょっと嫌な臭いがするんだゾ】
ケル君が臭いを気にするのも当然かもしれない。小石視点で少し先を見てみたら、人型のアンデットがいるのが確認できた。……少しグロテスク。
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<クリスマス特別短編>
((アイリス達の世界にサンタクロースの概念はありませんが、今回だけあることにします、また本編とは一切繋がっておりません))
ワシはジーゼフ……じゃなくて魔物使いのサンタクロースじゃ。まだクリスマスまで時間があるのじゃが、今日は可愛い孫娘達が欲しいプレゼントを調べるためにこっそりやってきたのじゃ。
「すぅ……すぅ……そ、そんなに食べて良いの?」
「んー……ぼくもう食べられないよ……」
「へっへっへ……良い体つきになってきましたね……」
「ガルルルル」
相変わらず食い意地はっておるな。アイリスに関してはどんな夢を見ているかすらさっぱりわからんぞ。ケルはさすがに寝言まで念話というわけにはいかんかったか。
どれ、なんだか怪しいアイリスから見てみるとするかの。ワシは人のステータスを見るのと同時に考えてることも読めるのじゃ。こいつをつかって調べてやるわい。
『アイリスちゃん、こ、この格好恥ずかしいよ……』
『ぼ……ぼく達がこんな格好して何かいいことあるの?』
『えぇ、ええ、ええ! ありますともありますとも、露出した太ももと開いた胸元がたまりませんよ! ふへへへへへ』
……アイリスちゃんはロモンとリンネに何をやらせたいんじゃ。なんじゃこの裸に近い格好は。忘れよう、きっと変な夢を見ているに違いない。何をプレゼントしたらいいか分からん。普段の態度や見た目からは想像もつかんことを願っておるのじゃな。とりあえずノアに相談して服でも送っておけばええじゃろ。
次はロモンじゃ。ロモンが欲しいものはなんじゃろうか。
『わ、私が伝説の魔物使いの名前を引き継ぐの? わかった、やる、やるよ私!! あ、お祝いにバクレツマグロ二匹と牛丸々一頭分のお肉をステーキにして食べたいな!!』
ロモンらしい願いじゃの。ワシが選んだちょっと高めな魔物使いグッズか食事券十万ストン分のどちらかを贈ろうかの。にしても食べ過ぎじゃないか。でもこの量をロモンとリンネは一人で食べれるからの。次はリンネじゃな。
『ぼ、ぼくがお父さんに速さ対決で勝ったよ!? やった!! 偉い? すごい? えへへ、嬉しいなっ。じゃあ今日はお祝いに豚の丸焼き五匹分食べてもいい?』
ふむ、リンネも近いような内容じゃな。じゃがワシは剣士については詳しくないからの、グライドくんやあいつに相談してみるかの。次はケルじゃな。
『オイラ……いや、我はヘヴンケルベロスマグニフィセント。SSランク超越種の崇高なケルベロスなんだゾ。食らうんだゾ、オイラが編み出したこの十重魔法陣オーラを! ところでロモン、オイラもっと本が読みたいゾ、体も動かしたいゾ』
ケルは一番子供なだけあって願いがまともじゃの。とりあえず今は読んでてて魔法の練習にもなるような本を何冊かプレゼントしてやれば良いかの。
まあ……アイリス以外は概ね欲しいものがわかったし、当日、しっかり届けるとするかの。クロのやつにソリを引かせてな。
~数日後、クリスマス当日~
「わぁ! これ欲しかったやつだ!」
「ぼくも! すごーい!」
「お食事券5万ストン分も入ってるよ!?」
「おお、読んでみたかった本だゾ……この本にはまだ覚えてない魔法が記載されてるんだゾ」
なんだか知らないけど、私たちの元にいつのまにかプレゼントが送り込まれていた。それぞれ欲しかったものにぴったりだったようでとても喜んでいる。
でも私はなんだか微妙なのよね。いや、もらった服のデザインはいい感じだき、嬉しくはあるけど……服ってそんなに欲しかったわけでもないし……うーん、どういう基準で選んだのかしら?
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メリクリでござるよ!
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