私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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342話 爆発魔法の連鎖でございます!

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【今のを防いだのはいいけど、すぐに魔王の居場所を突き止めないと同じ攻撃を何度もやられてジリ貧になるゾ】


 ケル君が真面目な顔してそういった。たしかに、魔王が今の攻撃を何度も何度も繰り返して放って来たら流石のおじいさん達でも防ぎ切るのは難しい。かと言って、私の探知じゃどこにも魔王らしき反応は映らない。


「ケル君の言う通りよ~。でもそれっぽいのが見当たらないのよね~」
「ペリドットさんもですか」
「オレもだ。ったく、魔物の王のくせにこそこそ隠れやがって。ま、さすがにタイガーアイならわかんだろ?」
「……いや、正確な場所が不明だ……。この地下にいる。そんな、ぼんやりとした事しかわからない。相当奥深くにいるんだろう」


 タイガーアイさんほどの探知の達人がはっきりとはわからないほどの地下に潜んでるなんて、ランスロットさんの言う通りこそこそしてるわね。
 それに入り口らしきものもどこにもないし、となると、地下まで直接掘って行くしかないのかしら。


「そういえばオーニキスや魔王軍幹部の輩はどうやら幹部間だけで使える特殊な転移魔法陣で魔王の元に移動していたようじゃよ。おそらくタイガーアイのいう通りなのじゃろうな」
「前より慎重になってるなぁ」
「当然じゃろうて。普通復活したばかりなのにやられたくないじゃろ」


 ナイトさんの言う前っていつなのかしら。まあいいわ。
 とりあえず現状としては、私達が直接苦労せず魔王の元に行く方法はなく、おそらくかなりの距離、物理的に地面を掘り進めなければならない。
 

「誰かかなりの距離の穴を掘れる人っていないの?」
「ぼくたちじゃ無理だよね」
「スコップやツルハシも持ってきていないし……」


 穴を掘る手段といえば、スコップやツルハシで手動でやるか、ドリルで掘り進めるかだと思う。でも今までこの世界で過ごしてきてドリルなんて見かけたことがない。
 ドリルみたいに旋回して攻撃をする技なら槍使い系であったはずだけど、あれでタイガーアイさんの探知すらぼやけさせるほどの距離を掘り進められるとは思えない。


「んー、仕方ない。僕がやるかな。ちょっとみんな、隣の部屋の入り口あたりまで下がっていて欲しい」


 ナイトさんがそう言ってこの初期地点の真ん中あたりまで出てきた。勇者軍の部隊全員は言われな通り引っ込む。
 彼一人がポツンと真ん中に立っている状況になると、そのまま手を地面につけた。


「爆発って実は掘削に向いてるんだ。……これは僕が生み出し、世間に広めた魔法だ。エクスプロージョン」


 よく見知った赤黄色の巨大な魔法陣が地面に描かれる。そして、ナイトさんを中心に爆発。強大な破裂音、巻き上がる砂埃。
 魔法陣の真ん中にいたナイトさんは、なにか耐性があるのか探知で見てみても無事な様子。
 視界が明瞭になったその後に残っていたのは、本人とそこそこ抉れた地面。


「……と、まあ、これを繰り返せばそのうち地下にたどり着くと思うよ」
「たしかにそれは良い手だと思うわ~。でもナイトさん、それだとあまりに時間がかかりますわ~。私達が協力するにしても、貴方のように爆発に耐性があるわけじゃないし~」


 たしかにペリドットさんのいう通りナイトさんだけなら時間がかかりすぎるし、他の人は爆心地に立って自分が放った地面をえぐるほどの魔法に耐え切るなんてことは難しい。

 でも私ならどうだろう。魔力は無尽蔵、腕そのものを分離させたり、魔力の塊で腕を生やしたりして魔法を連発できる。そして、自分自身の魔法程度じゃ傷一つ付かないゴーレム態の身体。
 やってみるしかないわね。


「ロモンちゃん、魔人融体を」
「だよね! アイリスちゃんならできるよ!」


 私の中にロモンちゃんが入り込んだのがわかる。まだ人状態なんだけど、やはり問題ないみたい。これなら確実に行ける。
 私は窪んだ地面を降り、ナイトさんのもとに向かった。


「ナイトさん、私がやります」
「アイリスちゃんが? たしかに魔力的には君の方がいいかもね。わかった、やってみせてよ」
「はい」


 私はナイトさんの入れ代わりにクレーターの真ん中に立ち、ゴーレムに体を変化させた。ロモンちゃんの魔人融体は問題なく残っている。
 まずこのゴーレムの体の機能によって腕を4つに分離させる。次に背中から魔流創気で魔力の腕を生やす。……つい数ヶ月前までの私達とは違う。ロモンちゃんと私が修行を重ねた結果、この魔力の腕の本数は65本も生やせるようになった。
 特にロモンちゃんがおじいさんに近い力を手にしたことがここまでの飛躍を産んだんだとおもう。

 分離させた腕4つ、体から離れなかった腕の残骸、頭、そして魔力の腕65本。私とロモンちゃんが全力を使うことでこの体から出現させられる魔法陣の数は計72枚。
 側から見たから私の背中から出てる腕で私の本体が見えていないと思う。


【よし、じゃあアイリスちゃん、やっちゃおう!】
【ええ、いきますよ!】


 これだけの量、魔法を一気に放てば普通の生き物ならおそらく一度だけで死んでしまう。
 しかし、私はもともと魔力が膨大な上、ロモンちゃんが入り込むことで魔物としての性能が強化され、魔力回復の速度も速くなっておりより魔力無限に近づいている。そのため魔王の元に着くまでノンストップで爆破作業ができる。

 そして魔法陣から魔法が放たれるタイミングは数秒のズレがあり、さらに今回は素早く穴を掘りたいため、72つの魔法陣を3回、24ずつに分散して連続発動しその時間差を無くそうと思う。
 多分これが効率がいいし、万が一、魔法の一斉発動でロモンに反動があったとしても三分の一ずつなら何とかなる。


【【エクスプロージョン!!】】


 24つの魔法陣が出現した。その直後にまた次の24つの魔法陣が生み出される。そして最初の組が爆発する瞬間に三組目の魔法陣を生成する。

 まずは第一組が地面をえぐった。次に第二組、その直後に三組。
 地面に着いてる私の体が、数メートルずつ下降していっているのがわかる。

 24つの魔法陣が爆発した直後に24つの魔法陣が爆発するその様は、まるで地獄。鳴り止まない爆音と砂埃を常に生み出し続けている。私はゴーレムだからいいけど、生身だったら確実に視覚と聴覚がイカれていたと思う。


【アイリスちゃん、大丈夫?】
【ええ、問題ありません】


 私達は猛スピードで地面を爆破して掘り進んでいく。容量をうまく掴み、一度軌道に乗ってしまったら止まることはない。
 ……それにしても深い。もう既に爆発作業を始めて3分、毎秒数メートル掘り進んでるから1キロは超えてるはずなんだけれど。


【アイリスちゃん! 私の探知に引っ掛かった。もうすぐだと思うよ!】
【おや、そうでしたか】


 私が爆破している間にロモンちゃんが調べていてくれたみたいだ。となると、そろそろ魔王の元にこの身を投げ出すのは時間の問題。しっかりと気を引き締めなければ。


【……魔王の元にたどり着いたら、私達だけでみんながこの穴を降りてくるまで時間稼ぎしなきゃなんだよね】
【ええ、その通りです。不安ですか?】
【ううん。私とアイリスちゃんならやれるよ、絶対。魔王にだって負けないはず!】


 ロモンちゃんが私にそう言ったその時、私の手が地面につかなかったことに気がついた。つまり、下がない。広い空間に出たということだ。

 私は下ではなく、前を向く。
 爆発の発光により霞んでいた視界が晴れていく。
 先にいたのは、超巨大で禍々しい魔力を放つドラゴン。魔王。私達が倒すべき最終目標。





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