私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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341話 いよいよでございます……!

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「ほっほっほ、無事じゃったか」
「おじいさん……!」


 おじいさんが私たちを分断していた溶岩の壁を破壊して現れた。見たところ土埃は付いているものの、傷は一つもない。そりゃあ、ナイトさんとおじいさんだから当然かしらね。
 ……オーニキスさんを倒してきたんだ。


「その、彼は最期になんて?」
「オーニキスのことか? 別に死んどらんよ。封印させただけじゃ。研究に使おうと思ってな」
「そ、そうなんですか」
「魔王を蘇らせるために敢えて先代の勇者と戦わず逃げ隠れした。そして復活の準備をこの国に潜伏して進めてきた。ただそれだけの存在じゃよ、彼奴は」


 たしかに簡単にまとめて仕舞えばそうなのかもしれない。ただその間が何百年とかかっただけで。最初からいい人なんかじゃなかった。少し前まで味方だと思っていた分ちょっと悲しいけど、それが事実。


「それよりアイリスや、痛むところや怪我はないかね? なんならワシが回復してやろう」
「相変わらず孫バカだなぁ。アイリスちゃんなら自分で回復できるでしょ」
「は、はい。たしかに私は大丈夫なのですが、ガーベラさんが少々魔力を多めに消費してしまいまして」
「敵が予想以上に強かったんです。勇者なのに不甲斐ない……」
「探知した限りではあの強さ、下手なSSランクより圧倒的に上じゃわい。むしろよくやった」


 私と付き合い始めたガーベラさんに強くあたっていたおじいさんがそう言って彼を褒めた。
 ガーベラさんはやっぱりすごいし、グラブアもそれ程の強さだったってわけよね。


「ぶっちゃけ魔王と同等かそれ以上の強さはあったと僕も思うよ、二人が戦った相手は。この調子なら魔王だって簡単に倒せるさ。……ところで、アイリスちゃんは実質魔力が無限だったよね?」
「ええ。その通りです」
「じゃあちょっと魔力もらってもいいかな? 僕の力でガーベラ君に分け与えよう」
「そんなことが!?」
「ま、最高峰のアンデッドだからね」


 ナイトさんは私達のそばにやってきて私の肩とガーベラさんの肩を掴んだ。そしてグッと力を入れる。
 私の中から魔力が抜き取られ始めた。はっきりとわかる。血を抜かれたりしたらこんな風に感じるのかしら。


「これがアイリスの魔力……!」
「すごいねアイリスちゃん。魔力が抜いた側から即座に回復していく。さすがは僕と同じ極至種」


 ナイトさんは1分ほどで私たちの肩から手を離した。ガーベラさんの顔色が明らかによくなっている。


「さて、それじゃあそろそろ皆の居る場所に戻るとするかの。このまま魔王の居場所に直行するより一旦全員で集まった方が良いじゃろう」


 おじいさんのその提案に従い、私たちは入り口付近へと戻ってきた。既にロモンちゃんとリンネちゃん、お母さんとお父さんも戻ってきており、その上、探知で見ても味方は誰一人欠けていない。
 多少傷を負っている人はいるけれど、そういった人は私が回復してあげれば何とかなる。


「アイリスちゃん! 無事だったんだね、よかったぁ!」


 ロモンちゃんとリンネちゃんが私に抱きついてきてくれた。細いのに柔らかい体。激しい戦いの傷が癒されていくよう。傷なんてついてないけど。


「アイリスちゃん達、なんか特別強い魔物と戦ってたよね? もしかして魔王?」
「いいえ、違いますよ。あの……記憶にあるでしょうか、あの蟹の……」
【ああ、アイツかゾ。あのクソ野郎が本気出してきってところかゾ?】
「はい、そんなところです」
【コラ、ケル。クチ ガ ワルイ ヨ】
【でもアイツほどクソ野郎なクソ野郎、アイツ含めまだ三人しか見たことないゾ。ただの事実ゾ】


 三人……? ああ私がロモンちゃんと初めてあった時にロモンちゃん達のことを襲っていたあの冒険者二人が入っているんだ。
 今思うとただのトゥーンゴーレムだった私に負けるなんて強さも性格も全てにおいてロクでもない二人だったわ。名前すら知らないけど。


「これで全員そろったかしら~?」
「敵は魔王以外全滅。俺たちは万全。勝てる気しかしねーな!」
「油断は……できない。だが、優位なのはたしか」


 もしかしたらこのままいけるんじゃないか、そういう雰囲気が漂っている。たしかに魔王軍幹部やSランクの魔物は全滅して私達は無事。となると少し調子に乗りたくなるのもわかる。
 さすがにここに来ている冒険者は高ランクのベテランばかりなので慢心まではしていないみたいだけど。


「それで、魔王はどこにいるの? ロモンわかる?」
「ううん、わかんない。勇者のガーベラさんならどうかな」
「実は俺も魔王の居場所が分からなくて」
【オイラが見たタペペドンの記憶の中にも無いんだゾ、その情報は】


 たしかに、これでは肝心の魔王のもとにはたどり着けない。魔王は自身の仲間を強制的に強くする能力の持ち主らしいから、魔王軍幹部みたいなのを再び作ってしまう可能性が高い。見つからない程度で撤退するわけにはいかないし……。


「タイガーアイさんは魔王の居場所が探知できていたりしませんか?」
「一応、できてはいる。たしかにこの下にいる……が、そこまでどうやって辿り着けるかがわからない」
「ほっほっほ。それがわかっただけでも十分。魔王の元へ行く方法はワシが把握しておる」


 そう、おじいさんが得意げに言った。勇者であるガーベラさんです知らない魔王の居場所をどうして知っているのかしら。


「ま、単純にオーニキスの記憶を見ただけじゃがな」
「ちゃんと見ておいてよかってね。あの亀の記憶。僕の時はあいつ、堂々と戦ってたんだけどな」


 なんだ、そういうことか。おじいさんならやりかねないことね。


「と、いうわけじゃから後は魔王のもとに向かうだけじゃ。ワシらは……」
「ジーゼフさん!?」
「な、なんじゃ?」


 ガーベラさんが唐突に慌てた様子でおじいさんの名前を呼んだ。本当に到達だから訳がわからない。ただ、彼が慌てているんだからきっと相当なことがこれから起きるのでしょう。


「全員を囲むような頑丈な水晶のドームを今すぐ作ってください!」
「なに? ……わかった。クロ」
【何だかわからないが、未来を見れる確かな力によるものだ。いいだろう】


 私達は皆、クロさんが水晶の壁を作りやすいように密集した。その瞬間、この天井に黒く巨大な魔法陣が描かれる。
 クロさんは体は黒いけど、得意な魔法の魔法陣の色は黒じゃない。つまりこの上にあるのって……!


「いかん、これのことか! 急ぐんじゃクロ!」
【わかっている!】


 私たちの周りをクリスタルが覆い出した。
 魔法陣ははっきりとわかるほど膨大な魔力を含んでおり、この勇者軍に直撃したら大惨事を迎えることは必須。

 しかしさすがはおじいさんとクロさん、クリスタルのドームの完成の方が早かった。天井までビッチリと水晶が覆ったのと同時に、激しい爆発音が響く。


「何という威力じゃ……!」
【ジーゼフの力と合わせたのに水晶に亀裂が入ったみたいだ。こんなこと初めてだよ】
「いや、僕からしてみれば今のを防ぎ切れる二人の方が化け物なんだけどな」


 ナイトさんのいう通り。結局このクリスタルの壁の展開は間に合い、私達は無傷。ガーベラさんの予知があったとはいえ相変わらずね。


「どう考えても魔王からの攻撃だよね……?」
「あ、あんなのを撃ってくるんだ。さすがに魔王って感じだね」
「……でも今の、頑張ればアイリスちゃんでもできそうだね?」
「それは、たしかに」


 双子がなんか言っている。まるで緊張感がない。やっぱりあのおじいさんの孫ってだけあるわね……。



#####


次の投稿は6/8です!

最新作を投稿しております!
よろしければご覧ください!


※6/8追記
申し訳ありません、明日から学校で久しぶりに登校するとなるとほぼ確実に体調を崩すため、今日はそれに備えて完全にお休みすることにしました。
そのため次話は6/15となります。
ご迷惑をおかけします。
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