私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
137 / 378

136話 男性とお食事でございます…!!?

しおりを挟む
「いやぁ、ここはいい店だね」


 彼はスパゲティとハーフピザを食べ、微笑みながらそう語りかけてくる。
 ちなみに私の前には紅茶とケーキが。
 これは彼が奢ってくれるらしい。

 今私達がいる店は前にロマンちゃん達が食材を食べつくしてしまった店だ。
 普通においしいからそれなりの頻度で来てるの。


「うん、やっぱりアイリスちゃんはいい顔をしている」
「…またそうやって」


 でもさっきから男性特有の、女性の胸を見たり脚の方をチラチラ見たりだとかを一切せず、話す時にはまっすぐ顔を見てくれている。
 不快さを全く感じない男性との食事はおじいさんとお父さんを除いてこの人が初めてだ。
 うーん……なんか今まで申し訳なかったような。
 勝手に貞操を狙ってるだのと決めつけるのはよくなかったわね。
 心の中で謝っておこう。


「うん、美味しかった。ごちそうさま」

 
 ハンカチで口を拭く。
 食事のマナーもしっかりしてたわ。


「ところでアイリスちゃんは今いくつなの? 俺は21なんだけど」
「えっ…ああ18ですよ」
「へぇ、18か。確かにそのくらいにみえるね」

 
 グラブアさんは残っていた紅茶をすすりながらそんな質問をしてくる。この人、21か…。見た目より若いな。24くらいだと思ってたのに。


「よし、じゃあ案内してもらおうかな」
「わかりましたよ」


 グラブアさんが自分の食事代と私のケーキ代を出してくれてからお店から出た。


「ん~! 流石に港町より人が多いね! 人が多いから店が多い!」
「ええ、良い武器屋や防具屋もたくさんありますよ」
「そっかぁ…まあ俺はもう盾剣を持ってるから良いんだけど」


 あの盾剣ねぇ、それで満足してるってことはやはりこの人は盾剣使いなんだろうな。あれってどう使うのかしらね。今は訊かないでおくけど…。


「ところでアイリスちゃんはあのイダテンの腕輪を使ってるの?」
「いえ、あれは私の仲間に渡しました。じつにあおつらえむきでしてね、そのために買ったんです。グラブアさんはあの盾剣を喉から手が出るほど欲しがってるように見えましたが、どうしてですか?」
「あの盾剣は元々うちの家系の家宝でね。先先代が無くしちゃったから探してたわけよ。そんなもん無くすなって話だよね」


 なるほど、家にまつわる家宝だから扱いも上手いし執着してたわけだ。納得いった。


「それは災難ですね」
「まったく。俺がたまたま宝物船見つけて、たまたまオークションで買えたから良いけど」


 案外この人も苦労してんだなぁ。
 行動はチャラいけど、家の物を大切にするという点は見た目通りの好青年だ。


「っと、ここが冒険者ギルドの一つか」


 私達が通っている冒険者ギルドについた。


「はい、ここは私が通っているところですね」
「へぇ…ランクは?」
「パーティでCですよ」
「そうなんだ。俺はBだよ」


 Bランク……私達より高い。
 あれかな、やっぱりあのカニみたいな盾剣を買い戻すために頑張ってきたのかな。


「隣の店は冒険者用の?」
「そうですね」
「ちょっと中入って見てみようかな」
「ええ、どうぞお好きに。私は外で待っているので」


 私は建物の横で立ち止まるの。
 それと一緒にグラブアさんも立ち止まる。


「一緒に入らないの?」
「こ…ここら辺は知り合いが多いんです。勘違いされてからかわれたりしたくないので」
「でももう俺たちは友達だろ?」
「いえ、知り合いですね」
「そ、そっか」


 ちょっとしょんぼりした様子で冒険者の店の中へ入って行くグラブアさん。
 それにしても私に断られてしょんぼりするなんてね。
 私なんてどうでもいいじゃないの、ね?
 しばらくして彼は戻ってくる。
 思っていたより早い。


「お、ちゃんと待っててくれた」
「当たり前ですよ。酷いことしません。それよりもうちょっと時間かけて見ても良かったのでは?」
「いや、君を待たせたら悪いからさ」


 まあ確かにそっちから誘っておいて待たせるのは良くないわよね、うん。
 

「では次はこの街の中心にある噴水でも見に行きましょうか」
「じゃあ案内頼むよ」


 その噴水までの間にいくらか寄り道をして、やっと辿り着いた。……しかし困ったことにカップルが多い多い。
 私達もその一端として見られてたら……あんまりいい気分じゃないな。
 ついさっきまでこの人のことあまり好きじゃなかったわけだし。今は…普通だけど。


「いやぁ、綺麗だね」
「ですが水が吹き出すなんて港町では珍しいことではないのでは?」
「いやいや、こういう街並みの中にあるからこそ良いんだよ」
「そんなもんですか」


 じーっと噴水を見ていると、なんだか癒されるのはわかる。一回だけここにサンドイッチ持って来て3人で食べたこともあったっけ。休みの日に。


「ところでアイリスちゃんは普段から何してる? 趣味とか」
「そうですね…趣味は…読書、と言ったらあまりにも普通すぎますよね」
「いや、いいと思うよ読書。なんだかアイリスちゃんの見た目からそんな感じがしていた。ちなみに俺は断然水に潜ることだね」


 たしかにインテリな感じとはたまに言われるから、読書が趣味は予想がつきやすかったかもしれない。
 実際はロモンちゃんとリンネちゃんになでなでしてもらうのが一番なんだけど、こんな赤の他人に、甘えてる話なんてしなくていいでしょ。


「田舎の方から来たの? それとも最初から王都住み?」
「田舎からですね。パーティーメンバーも全員同じところからです」
「へえ、じゃあ君のパーティメンバーはいわゆる幼馴染ってやつなのか」
「………そうなりますかねー」

 
 この人にはわざわざ私や正体は言わなくていい気がするから言わないけれど……ロモンちゃんとリンネちゃんと幼馴染か。
 それも悪くないな。
 ロモンちゃんとリンネちゃんの本当の幼馴染は2人にアタックして爆散したけどね。


「………おっと、こんな時間まで付き合わせて悪かったね」


 グラブアさんはこの噴水公園の時計を見た。
 たしかにもう一緒に行動してから3時間が経ちそう。


「案内してもらってる最中にめぼしい宿も見つけたし、今日は解散。ありがとね」
「いえ、私も…思ったより楽しかったですよ」
「ふふふ、そっか。……また会ったらこんどは食事しない?」
「前向きに検討しておきます」
「……よっし」


 軽くガッツポーズ…そんな喜ばなくてもいいのに。
 グラブアさんからしてみたら私からの自分の好感度が上がったって感じなのかしら。
 思わせぶりな答えしちゃった?
 ……まあいいか。


「それじゃあね」
「はいっ!」


 私とグラブアさんは別れたの。
 うん、やっぱり人とはじっくり話してみるものね。
 印象がだいぶ変わっちゃった。

 私も心配しているかもしれないロモンちゃんとリンネちゃんの待ってる宿屋に早く帰ったの。


◆◆◆


 ある一室にて、1人の男は笑っていた。


「……この調子だな」


 自らの計画がうまくいっていることに、笑みを耐えきれないようだ。
 

「……絶望を見せて欲しいなぁ」


 彼は上着を全て脱いだ。
 そして力む。瞬間に蟹のような甲殻に皮膚の一部…背中や肩が変化する。手は一本一本がカニのハサミの片方のようになっていた。


「魔王様復活の為………俺の場合、生贄は少なくていいんだ。しっかりとこなして……美味しくいただかなくてはな」

 

#####

次の投稿は4/22です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...