私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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162話 ケル君と魔流の気でございます!

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 今回の仕事場である森の中に着いた。 
 かなりの戦闘があった東の森の方は、今は整備中なの。


【モリノニオイ ガ スルゾー!】
【そうだね。懐かしい?】
【マダ、アノムラヲ ハナレテ イッカゲツ タッテナインダゾ。ソンナ シゼンガ ナツカシイッテ ホドデモ ナインダゾ】
【そっかー】


 探知を広げながら森の中を進んで行く。
 私も魔法の覚えたての時は村の森の中で特訓したっけ。そのおかげで今の私が居るんだけれど。


【ゾ! ミツケタンダゾ!】
【うん、見えたね! よぅし…じゃあ攻撃してみよう!】
【ゾッゾッゾ!】


 ゴブリンを見つけた私たちは立ち止まり、ケル君に魔法で攻撃するように指示をした。
 バレバレなのに気がつかず、茂みに隠れてこちらを伺っているゴブリンに向かってケル君はゴロゴを放つ。
 自分が実は危機にさらされてることにやっと気がついたゴブリンは逃げ出そうとするけど、まあ、ゴロゴの方が当たるのが早いからあっという間に被弾。軽く吹っ飛んだ。


【アタッタゾ!】
【おお、さっすがぁ!】
【じゃあケル、もう一発撃って倒しちゃお】
【ゾッ!】


 次に放ったゴロゴでケル君はゴブリンを完全に仕留めた。リンネちゃんが素早くゴブリンの死体を回収するの。


「んー、思ったより命中精度がいいなぁ。それに滞りなく発動できてる。威力も思ったより高いし」
「ほら、ケルさ、自分で練習してたって言ってたし、もう魔法を当てるのは十分できてるんじゃないかな?」
「そうかもしれない。あと2、3体ゴブリンを倒させて考えることにするね」


 そういうわけで私達は森の中を進み、さらに2体のゴブリンを発見したの。難なくケル君は魔法だけでそれらを撃退。口を媒体にして撃ってるのに当てるのがうまいわね。


【エッヘンナンダゾ!】
【すごいね、やるね!】
【ンフー】


 ロモンちゃんになでなでされて気持ちよさそうな顔をするケル君が可愛い。


「もう全然次の特訓に移れるよ」
「じゃあ次は魔流の気を教える?」
「うん、そうしようと思う。……アイリス先生、お願いします」
「ふふ、任されました」


 私の出番か。
 頼りにされてるからね、頑張るわ!
 

【ケル、もう雷の初級魔法はバッチリだよ! 次は魔流の気をアイリスちゃんから教わろうね】
【ゾッ、ウレシインダゾ! ガンバルンダゾ!】


 尻尾をちぎれんばかりにフリフリしてる。
 さて、教えるからにはしっかりやらなきゃね。


【じゃあここからは私が教えますよ】


 私はトゥーンゴーレムの時の大きさに戻ったの。
 ケル君との目線がすごく近くなる。


【チッコイ アイリス、オイラ ヒサシブリニ ミタンダゾ! ヨロシク ナンダゾ!】
【はい、よろしくお願いします】

 
 ケル君ったら私に身体をスリスリしてくるの。
 頑張って教えてあげないとね…。よし最初は。


【ケル君、まずはどういう原理で魔流の気を発動できるかお教えしましょう】
【オネガイシマス、ナンダゾ!】
【じゃあ、少し離れていてくださいね】


 私はケル君を離させると魔流の気を左腕にだけ纏わせた。そういえば最初も武器だったり手だけだったりしたっけ。


【魔法を放つ時、その放ちたい魔法の魔法陣を思い浮かべますよね?】
【ゾッ】
【それは自分のMPで作り出してるんです。これを応用します】
【フムフム、ゾ】


 どうやらちゃんと理解してくれてるみたいだ。というか、この歳でこんな一回聞いただけで理解できるなんて、もしかしたらケル君は天才肌なのかもしれない。
 よく考えたら、親はサラブレッドだし、育て親も、その預け先も超一流。
 なるほど、ステータス以外が優秀なのも頷けるわね。


【このMPが流れて外に出て行く感覚…これを掴みましょう】
【ゾー? トリアエズ マホウヲ ウチナガラ マジックパワーヲ カンジトレバ イイノカゾ?】
【そ、その通りです】


 いやいや、天才だからってこんな理解力があるのはすごい。もしかしたら
 もしかしたら私の話をロモンちゃんとリンネちゃんの二人がまだ冒険者になる前の特訓中に聞いていたか、見ていたかしていたのかもしれないわね。
 あとは私の特別な特技の力か。
 もう少しだけ説明を付け足してから実践させることにした。


【じゃあ、魔力とMPを意識して……ゆっくりとでいいので、それをとにかく感じ取るように私に向かってゴロゴを撃ってみましょう】
【ゾ? アイリス アタッテモ ヘイキゾ?】
【ええ、余裕のよっちゃんです】
【サスガナンダゾ! リョーカイナンダゾ】
【では、とりあえず三発。初めてください】


 ケル君は私に向かってゆっくり口を開き、絞り出すように魔法陣を形成し始めた。完成された魔法陣は光り、私に向かって雷球を放つ。
 

【えいっ!】
【ゾッ!】


 当たってあげようと思ったけど気が変わってとりあえずはたき落とすことにしたの。


【何か掴めましたか?】
【ゾ…! マジックパワー ガ ナガレル カンジ? チョッピリ ワカッタンダゾ! マルデ トイレ…】
【え、ええ。まあ言いたいことはわかります。では次の一発やってみましょう】


 さっきと同じようにケル君は私にゴロゴを撃ってくる。
 今度は受けて見た。ピリピリして感覚なんてないはずなのになんか心地いい。
 いや、耐性があるからこんな余裕をかましていられるんだけなんだけどね。生身だったらゴロゴでレベル差があっても最低でも静電気より少し弱いくらいの威力はある。


【ゾー、ウネウネ…? ゾー?】
【ウネウネとした感覚がわかりますか。ならば次は私の魔流の気をケル君に流し込みます】
【アイリス ノヲ、オイラニ? ドントコイ ナンダゾ!】


 私の魔流の気を流し込んで、ロモンちゃんとリンネちゃんは半分以上仕組みを理解できたの。
 理解力のあるケル君ならきっとすぐにわかってくれると思う。


【それでは】


 私はケル君の頭に手を置き、ちょっと撫でながら魔流の気を流して行く。
 数秒おきにケル君が驚いたようにビクビクするのが面白い。
 

【ゾッ! ゾゾッ!】
【ふふ、どうですか? わかりますか?】
【ビンビン ワカルゾ! ナルホゾ! ナルホゾ!】


 人にやった方法で犬の魔物にも伝わるものなのね。
 やがてケル君は私のMPによる水色の靄で包まれたわ。


【スゴイゾ…ワカルゾ! セナカヲ ササレタ トキニ チ ガ ナガレタンダゾ! ソンナ チ ガ カラダヲ ナガレテク ……コレニチカイゾ!】
【そう、自分の身体の血液が流れる感じ、それですよ、それ!】


 教え子が優秀だと教えがいもあるわね。
 

【ではその感覚を掴んだまま、掴んだまま、自分の魔流の気も少し出せるなら出して見ましょう。やり方はわかりますね? 最初のうちはMPをたくさん消費してしまうので気をつけて】
【ゾッ……ゾオオオオオ!】


 私の気に紛れてケル君がうりうりと自分の魔力を体から放出させ始める。ちょっと出し過ぎかな、と感じたところで放出を止めたの。


【イマナラ ツヨイ ゴロゴ ガ ウテルキガスルンダゾ! アイリス ハ ドウセ タエチャウ カラ、ゴブリン ガ ホシイトコロゾ…】
【はーい、持ってきたよー! そこらで街に入り込もうとしてたやつ】


 そう言ったのはゴブリンを縄で縛って持ってきたリンネちゃんだった。私がケル君に教えてる間にロモンちゃんと一緒に捕まえててくれたのね。さすが。


【ゾー! ウツゾ!ウツゾ!】
【準備オーケーだよ!】


 弱肉強食。リンネちゃんたちに見つかって捕まってしまった不運なゴブリンは縛られたまま地面に置かれた。
 なんかとっても不安げな表情してる……ごめんね。
 犠牲になって。


【……ゴロゴ!】


 さっきとは威力が段違いのゴロゴがケル君から放たれた。そして被弾。ゴブリンに大きな焦げ跡ができる。
 まあ生きてるけどね。かわいそうだから急いで魔流波を飛ばしてゴブリンの息の根を急いて止めてあげるの。


【ケルすごーい!】


 ロモンちゃんが褒めながらケル君を抱き上げてぎゅっとした。羨ましい。
 肝心のケル君はやっぱりMPを使い果たしちゃったようで、ぐったりしてる。
 今日の特訓はここまでかしらね。


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