私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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174話 ケル君の初ダンジョンでございます!

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【と、いうわけでケル君。今日はダンジョンに実戦しに行くことに決まりました】


 翌朝、起きてからすぐにケル君にそう伝える。
 昨日の夜、ご飯食べながら伝えればよかったんだけど言い忘れちゃったのよね。


【ゾ! ワクワクスルゾ! ダンジョンダゾ!!】


 ケル君にとっては生まれて初めてのダンジョンになるのよね。まあ、私たちもまだ2回目だし大差んだけど。
 すでに準備は完了している。
 そもそもスペーカウの袋に冒険用の装備一式揃え済みだから準備なんてほぼ要らない。
 あとは出発するだけよ。


【では行きましょう】


 街の外に移動しなければ転移魔法陣は作動しないから、部屋を出て街を歩き、門をくぐる。
 ケル君はロモンちゃんに抱っこされて、そして私達三人はそれぞれ身体のどこかを触れて転移をした。
 一瞬でダンジョンの目の前にやってくる。


【ここです】
【ココガ、ダンジョン…ゾ】
【前にもお伝えした通り、出現する魔物はヒュージリザード系とリザードマン系です。リザードマンは少々戦いにくいかもしれませんが、気を引き締めて行きましょう】
【【【  オー! 】】】


 今回は探索も兼ねているため、魔法陣を剥がし、中断したいダンジョン内の場所に貼り付けることができるようにしておく。
 やっぱりこれとスペーカウの袋は便利なんてレベルじゃないほどのすごいアイテムよね。


【さ、ケル】
【ゾ!】


 ロモンちゃんから降りたケル君は鼻をすんすんとならしながら歩いて行く。その真隣に並列するように私達は歩いていった。そして歩き始めて3分。


【ゾ、スコシナマグサイ……イルゾ!】
【いますね】
【ケルは倒せるかな? 反応的にFランクだけど】


 ケル君は少しだけ喉をならし、唸り始めた。
 別に威嚇するほどの敵ではないと思うんだけど、ケル君にとっては初めてのゴブリンや虫以外の魔物だし気持ちはわかる。


【どうします? ケル君1人でやってみますか】
【モンスアーガとか補助魔法は必要かな?】
【イラナイゾ。……Dランクノ マモノガ デルマデ オイラ、ホジョ ナシデ タタカウゾ】
【そうですか…では、頑張ってください。無理そうだったり、傷を負ってしまったらすぐに言ってくださいね】
【リョーカイダゾ!】


 ケル君はせっせと初のトカゲのもとまで駆けて行く。
 見失わないように後をついていった先には、一匹のトゥーンリザードマンが。


【ゾ…マズハ コテシラベ ナンダゾ! ゴロゴ!】


 魔流の気を纏わず、そのまま普通に放つだけの単純な雷初級魔法。それは真っ直ぐにトゥーンリザードマンへと飛んで行き、被弾。
 感電したように身体をびくりと震わせながら、相手は涙目になり転倒した。煙も出ている。


【モーイッパツ…ゴロゴ!】


 起き上がろうとしていたトゥーンリザードマンに襲いかかる無慈悲な雷球。身体をさらに大きくびくりと震わせると、今度は動かなくなってしまった。


【タオシタゾ! デモ……】
【どうかされましたか?】
【ショージキ、マホウ ツカワズニ イドンデモ カテタンダゾ。MPノ ムダ ダッタカゾ?】
【たしかにそうかもしれませんが、今のケル君はそんなこと気にしちゃいけません。遠距離から安全に倒すのは素晴らしいことですよ。もう少し強くなったらMPの節約を考えましょう】
【ワカッタゾ!】


 尻尾を振りながらコクリと頷いたケル君はおもむろに倒したトゥーンリザードマンの死体に駆け寄ると、それを頭で押してこちらに近づけてきた。


【カイシューシテホシイゾ! アト、ホメテ!】
【あ、うん! よく頑張ったね、ケル! この調子だよー】


 ロモンちゃんは回収したらすぐにケル君の頭を撫でる。
 ケル君、目を細めてすごく嬉しそう。


【ゾォ! ガンバルゾ!】
【くれぐれも無理はしちゃだめだぞ!】
【ゾ!】


 リンネちゃんからの注意にも元気良く頷いたケル君を少しだけ前に立たせ、私達は再び歩き始める。
 

【ゾ……。ゾゾ?】
【ケル、どうかしたの?】


 たった数歩歩いただけでケル君は立ち止まる。
 そして顔を左右にフリフリさせると、こちらを振り向いた。


【ロモン、オイラ、『タンチ』ヲ テニイレタンゾ! イマ!】
【ほんと? ああ、ほんとだね! おめでとう!】


 ロモンちゃんも確認。
 まだ魔流の気の練習をしていた頃に、ゴブリンを見つけようとして片手間に探知習得を目指してたケル君、ついにここで入手したんだね。
 鼻と探知、これはいいコラボレーションかも。


【ゾゾゾ! タンチ ッテ スゴインダゾ! ミエル、ミエルゾ!】
【なんか不思議な感覚だよね】
【そのうち慣れるよー】


 気を取り直して私達は再び歩いて行く。
 でもまたほんの数秒でケル君は立ち止まるの。そして軽く喉をならしてから今度は炎初級魔法を2発連続で唱える。


【ゾ、タオシタゾ!】
【あれ、ちゃんと場所の特定はできてたの?】
【ゾ、トオカッタケド、ハナデ バショハ オギナッタゾ!】


 やっぱり探知と鼻の良さのコンボは強いのね。
 まさか遠い的の正確な場所を側で補うだなんて。
 魔法の命中精度に関しては、ケル君曰く魔法を覚えたての時からおじいさんのアドバイスで散々当てる練習だけを繰り返してきたらしいから問題ないとしても。
 素直にすごいわ。


【ケルー、いいねー!】
【エッヘンナンダゾ! カイシューオネガイシマス ナンダゾ!】
【うん、任せてね】


 頭が焼け焦げたヒュージリザードを回収しつう、もう一度歩き始める。
 ダンジョンに入り始めて早6分。
 まだ2体だけだけど、順調、順調!
 でもここからが本番、そろそろ敵が一度に数匹出現したり、Eランクの属性持ちが出てくるはず。前に来た時はそうだった。
 そして案の定。


【止まって、ケル! ……3体居る。しかも1体はEランクだよ!】
【さすがにぼくが処理するよ】
【マッテホシイゾ! ヤラセテホシインダゾ!】


 ケル君がこちらを振り向いてそう言った。目が本気だし、自分が負けるだなんて想像すらしていない表情。


【あ、あぶないよ?】
【コノクライ ヤラナキャ、3ニンニハ オイツケナイゾ。シンパイ イラナイゾ。オイラ、ヤレバデキルカラ!】
【………ううん……】


 私達三人は顔を見合わせる。
 ちょっとした作戦会議よ。


「どうする?」
「まだ危険…かな」
「しかし、実戦訓練ですし、本人がやりたいと言ってます…でも」
「うん、でもEランクとさらに敵2体はあぶないよ」
「じゃあ、アイリスちゃんがケル君に防御補助魔法だけ限界までかけたら? それなら良いんじゃないかな」


 なんとグッドアイデア。
 防御なら素早さや攻撃力みたいにバトルテクニックには関係ない。


「それだ、そうしましょう。それなら万が一があっても大丈夫です!」
「たしかに。じゃあアイリスちゃんお願いね」
「はい!」


 私はケル君に軽く事情を説明した。
 ちょっと耳をくたりとさせて不満げにしてたけど、ロモンちゃんがなでなでしながら説得すると受け入れてくれた。


【ゾ…。デモキット イケルキガスルゾ】
【うん、頑張ってね。無茶してももう大丈夫だから】
【ゾォ……アイテノ コウゲキヲ クラウ ツモリハ ナインダケドナ…】


 私の防御魔法をフルに受け、ロモンちゃんの懐から離れたケル君は3体のトカゲのもとに歩む。
 ヒュージリザード2体に、ビュー(風属性)リザード1体。
 

【ゾオオオオ!】


 ケル君は全身に魔流の気を纏った。
 そして、その3体に向けて吠えるの。
 そうしたらその3体はケル君に注目を集める。標的を決めたみたいだ。

 ただのビュージリザード2体が口を大きく開けながら飛びかかってくる。
 しかしケル君は犬さながらの軽い身のこなしで半歩さがりそれを回避すると、魔法一括。


【スファイ!】


 小さな口から放たれた範囲火炎はその2体を飲み込む。魔流の気で威力が上がっていたからか、一撃でノックダウン。殺してはいないけど気絶はしたみたい。

 それを確認したケル君はビューリザードに向き直す。
 ビュウリザードは口から同じように、ビューを一発吐いて来た。しかしケル君は回避しようとせずにそのままどっしりと構えて、迎え撃つ。


【リゴロゴ!】


 今度放たれたのは雷の中級球。
 相手のビューはかき消され、代わりに雷球に被弾。衝撃でとりまき同様にひっくり返る。


【シャイ!】


 トドメのシャイでビューリザードを完全に殺め、仕上げに気絶して居るヒュージリザードの首元に噛み付くと、私達に向けて自慢げな顔を向けたの。
 ……なるほど、言うだけはあるじゃない!


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