私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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176話 ダンジョンの隠し部屋でございますか?

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【スゴロゴ! スゴロゴ! シャイ!】


 ケル君は張り切って魔物を倒していってる。
 まあ、今の所まだDランクの魔物とは遭遇してないけれどね。


【ゾ…ソロソロ シンカ シテモ イイコロ ダゾ。チョット レベル ヲ ミテミルゾ】


 そういうとケル君は立ち止まり、自分のステータスを確認した。たしかにあれだけたくさん魔物を倒してるのだから、ヘルドッグの通常種ならば進化に達していてもおかしくない。


【ゾ……16レベル? 16レベル ナンダゾ!】
【ってことは、亜種になるね! やったね!】
【ゾー! ウレシイゾー!】


 ぴょんぴょんとケル君は跳ね、尻尾はプロペラのごとくフルフルと回転している。
 ……うーん、本来ならそうやすやすと亜種以上になれるものでもないんだけどね。
 魔流の気のおかげか、それとも光魔法か。
 このどちらかが要因だって考えたほうがよさそうね。


「そっか、ケルも通常種じゃないんだ」
「やっぱり変わったものばっかり教えたからかな? 普通ならヘルドッグに教えるのなんて、牙や爪を使った技ばかりだもん」
「そういえばケルはまだ身体を使った特技ないよね」
「私は立ち回りしか教えられないよ」
「炎を纏った攻撃とかは教えられるから、そこらへんをぼくが中心に…」
「うん、進化したらお願いするね、お姉ちゃん」


 ふむふむ、こうやって手分けして育ててくのもいいよね。私からは次はお勉強を頑張ってもらうからね、ケル君には。
 

【ゾ、ゾー!】
【ケル、どうしたの?】
【イママデニ ナイ ハンノウ……キット、Dランクナンダゾ! チカクニイルゾ!】
【わかった、とりあえずそのまま進んで】
【ゾ!】

 
 気がつくといつの間にか先頭を歩いていたケル君と、用心のために私たちは並んで歩く。
 そして、身長130cmにも満たないくらいの子供のような体型の魔物がいた。

 リトルリザードマン、これが目の前にいる魔物の名前。
 ある程度の、そう低く無い知能を持ち、ほとんどの個体が(なんとか)時代の石器のようなものを持っている。
 また、属性種族でもないのに魔法を使う個体もたまにいるそうだ。

 あの個体が持っているものは石斧。
 魔法はわからない。
 

【ヤクソクダゾ! オイラニ ヤラセテ ホシイゾ!】
【ケル……。うん、約束だもんね、いいよ! でも全力で向かってね】
【リョーカイ ダゾ!】


 私も一応、臨戦態勢に入る。
 倒そうと思えば一撃で倒せるんだけど、今はケル君の修行。万が一の回復のために構えるの。


「ワンワン、ガルルルル!」


 ケル君はリトルリザードマンに向かって吠えた。
 挑発もなかなか手馴れてきたわね。


「キシャァ…? キシャッ!」


 構えてるケル君に向かって挑発にのったリトルリザードマンは、小さなその斧を振り下ろした。
 しかし、素早いケル君には当たらず、回避と同時に放たれたシャイが顔面に着弾。
 リトルリザードマンは仰向けに倒れた。


【……アンガイ イケルゾ? ……タタミカケルゾ!】


 もう少し苦戦すると思ってたケル君は一回首をかしげると、すぐに次の魔法を唱える。
 気を纏い、光魔法も混合させた炎魔法を。


「キ…キシャァ!!」


 しかし、Dランクは甘くない。
 身体をガクガクさせながらも立ち上がった。
 今までのコンボではEランク亜種くらいの敵までなら致命傷になっていたかも知れないけれど…。
 Dランクからランクを増すごとによって壁が高くなり始める。Cランクとなると数匹同時に現れれば十分、村を一つを滅ぼせる。
 一筋縄で行くはずがない。


【ゾ、ヤッパリ シブトイ ゾ】
「ギィシヤァァオ!」


 リトルリザードマンが斧を振り回す。
 無論、それらは私達と一緒に鍛えたケル君には当たらない。
 回避しながら魔法陣の組み方が簡単なファイ、ゴロゴという基本属性単発魔法を次々とはなって行く。
 

「ああやって回避しながら攻撃するの、お姉ちゃんみたいだね」
「まあ、ずっとぼくたちの練習みてたりしたわけだしなんら不思議じゃないよ。ただ、ケルは賢いよね」
「うんうん」
【……ゾ、モウイッパツ、デカイ ノ ウテレバ…】


 私達がケル君を高評価してるのと違い、ケル君自身はまだ倒れないのに少しうんざりしてきてるみたいだね。
 確かに中級魔法をあと1発放り込めば倒せると思う。
 それをどうするかはケル君次第だけど。


【シャイ……シャイハ ピカッ テ スルゾ。ピカッ テ スルト メヲツムルゾ。……フムム、ナルホゾ】


 何か閃いたのか、ケル君は大幅にリトルリザードマンから距離を取るとシャイを唱えた。
 また顔面にクリーンヒットする。
 そして最初と同じように地面に仰向けに倒れてしまった。


【コレデ オイラノ カチナンダゾ! リシャイゴロゴ!】


 雷光弾は倒れたリトルリザードマンにあたり、息の根を止めた。……私がやったことを…状況は優しいとはいえ、ケル君がやってのけた。
 

【エッヘン!】
【わぁぁ…! ほんとに一人で倒したね! すごいね!】
【エヘヘー、テレルンダゾ!】


 ケル君はロモンちゃんにぎゅーっと抱かれた。
 羨ましい。すごく羨ましい。


【うん、レベルも二つ上がってる!】
【ゾ! フタツモ!】
【あと少しで進化だよー】
【タノシミ ナンダゾ!】

 
 私達はリトルリザードマンを回収し、ケル君を天狗にしないように気をつけて褒めながら進んだ。
 その間に1回、低ランクの魔物の群れと遭遇。
 楽勝だと言いながら、あっという間にケル君が殲滅した。


【ゾー、コノチョウシ デ 3ニンヲ マモレル ヨウナ ツヨイオトコニ……ゾ?】
【ん? どうしたのケル】
【チョット、ニオイガ……スンスン】


 鼻をヒクヒクさせながら、唐突にケル君はあたりの壁を嗅ぎ始めた。謎の行動に私たちは首をかしげる。


「なんなんだろ」
「でも、ケルが臭いを嗅ぎ始めたら、何かあるってことだし」
「そうですね、あの時は助かりました。…ケル君の鼻は信頼できますよ」
「だねっ。もしかしたら隠し部屋かもねー」


 ダンジョンの隠し部屋。
 それはダンジョンが生成されると同時に自動的に作られるもの。
 魔物はどこからともなく一定間隔で際限なしに現れるけど、その部屋は一度入り、中のものの状況を変えると元に戻らない。

 でもこういう部屋はだいたいお宝が眠ってる。
 アーティファクトが出た報告も文献にあったし、オリハルコンが山盛りに出てきたなんてこともあるそう。
 
 そして共通するのは、とても見つけにくいことと、中には必ずそのダンジョンのボスより劣る、いわゆる中ボスが存在してること。
 後者はべつにいいとして、前者が隠し部屋と呼ばれる理由。中には最初からむき出しになってるのもあるし、ダンジョンの分岐先にあることもある。
 でも本気で隠れてるものは……ノーヒントで壁を壊さなければならなかったり、水の中にあったり。
 ともかく鬼畜なのよね。
 
 
【ウン、ココカラ イママデ ノ トカゲ トハ チガウ ニオイガ スルゾ! ココホレ ワンワン ナンダゾ!】
「アイリスちゃん、爆発させられる?」
「おまかせあれ」


 私は壁に手を当て、魔流爆を流し込んだ。
 そして距離を取り爆発させる。


【すごい、ケル! 大手柄だよ!】


 リンネちゃんはそういった。
 私が爆破した先には、新しい通路。そう、つまりこの先が隠し部屋へとつながっている。


【ホントによくわかりましたね】
【エッヘン、ナンダゾ!】
【今日は大活躍だねー! よしよし】
【ナデナデ ウレシイ ゾ!】
【夕飯もとびっきりの美味しいお肉にしてあげましょう。……では、乗り込みましょうか】
【うん!】

 
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