私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
178 / 378

177話 隠し部屋と中ボスでございます!

しおりを挟む
 ケル君が見つけ、私が爆破した壁。
 そこから現れた道をゴーレム状態の私を先頭にして2人と2匹で歩く。 
 過去に、出会い頭にいきなり毒を吐きかけるような中ボスもいたらしいから、そういう事態に備えて私が先頭にいるの。
 

「アイリスちゃん、見えてきた?」
【いえ…まだ先のようですね】


 ボスより劣るとはいえ、その度合いも千差万別。
 例えばボスがSランクの超越種などだったら、中ボスとしてAランク超越種が出ることだってある。
 逆にいえば中ボスでダンジョンの大ボスがどんなランクがわかるんだけど。


「どんなアイテムもらえるかな?」
「斧のアーティファクトとかだったらどうする? 私たち使わないよね」
「普通に売っちゃえばいいんだよ」


 うーん、私は売らずに取っておきたいけどね、アーティファクトは貴重だから何かに使えるかもしれないし。
 ……む、探知になにか引っかかった。


【探知に引っかかりました】
「どう?」
【おそらく…Bランクでしょう】
「ほっ…Bランクか、ならボスはAランクの可能性が高いね」


 一度普通のAランクよりも遥かに強い大ボスを倒している私たちにとって、中ボス程度のBランクは怖くない。
 寧ろあの時より強くなってるからもっと安全に倒せるでしょう。……相手によるけど。


【このまま突入しますか?】
【うん! ……ケル、敵がBランクなんだって。封書に戻っておいてくれる?】
【ゾ……デモ ケンガク シタカッタリ スルゾ】
【危ないからダメだよ。戻ってね】
【ぞぉ……】


 まあ封書の中にいても私たちの仲魔なら経験値は入るから。心置き無く戦えるぶん封書に戻っておいてもらった方がいい。


【ケル君、お願いです。戻って頂けませんか?】
【グムム……シカタナインダゾ。モドルゾ】


 ケル君は耳をくたんと畳み込み、残念そうな雰囲気を醸し出しながら封書に戻ってくれた。


【では行きましょう。あ、その前に補助魔法全般を掛けておきますね】
「「おおー!」」


 探知でボスが入り込んだ場所まで私達は駆けて行く。そして、2分経ったくらいにちょっとした広場に出た。
 広場は入ってきた入り口しかなく、ほかに出口になりそうなものはない。
 間違いなくここが中ボス部屋ね。


「うわ、地面が!」
【お二人とも警戒を!】


 いきなりこの部屋の地面中央が盛り上がる。
 どうやらこれは演出の一つみたいね。……中から出てきたのは1匹の茶色いトカゲ。

 大きさはヒュージリザードよりも、さらに何周りも大きい。四つ足で立っている姿ですらロモンちゃん、リンネちゃんよりそうかわらないように見える。

 それにトカゲだなんて見た目は可愛いものではない。
 寧ろ厳つさは恐竜やドラゴンに近いんじゃないかしら。


「……リスドゴドラムリザードだね」
「最上級魔法を持ってるだけでも警戒しなきゃね…」


 属性系の魔物はスライムやレディバ、今回みたいにリザードなど数多くに存在する。
 例外も多数あるけれど、だいたい初級魔法(ペアやファイなど)が名前の前に着けばEランク、中級魔法(リゴロゴやスバシャ)でDランク、上級魔法(リドゴドムやスビョウラ)でCランク、最上級魔法(リスペアラムなど)でBランク。

 Aランク、Sランクともなれば魔法名の代わりにその属性の…なんか強そうな言葉が前に着く。
 プレミネンスレディバ(火属性)みたいな感じでね。

 ちなみに名前についている魔法をその魔物は必ず使える。つまり目の前の奴は土属性の最上級魔法を撃ってくるってことね。
 

「シャアアアアアア!」


 リスドゴドラムリザードが咆哮をした。
 それとともに私たち3人の踏んでいる地面…足元から突如、巨大な岩が勢いよく現れる。


「ふっ…」
「うわっ!?」


 ロモンちゃんは取り出していたコロナの盾の効果で咄嗟にガード。リンネちゃんは流石の素早さで回避した。
 ちなみに私はモロに食らったけどダメージはあまりない。防御も最大まで上がってるから当然だけども。


「びっくりしたなぁ、もう!」
「アイリスちゃん大丈夫?」
【何も問題ありません】


 しかし不意をついて地面から岩のアッパーを喰らわせてくるとは中々やるわね。
 一方リザードは私たちが無事なのをみて目を細めると、また一つ咆哮をする。
 まるで自分を360度囲うように出現した岩の壁。
 基本的に知能が低いリザード系がここまで最上級魔法の自由性を使いこなすだなんて。


「す、すごいね、あのリザード」
【しっかり使いこなしてますね】
「私、ダンジョンの魔物じゃなかったらスカウトしてたかも…」


 残念ながらダンジョンの魔物は基本的に会話は無理。会話できても人に敵対心むき出しだから仲魔にするのは無理なのよね。


「くるよ!」


 リンネちゃんがそう言うとともに茶色い魔法陣がいくつか展開された。
 そこから槍状の最上級土魔法が連射される。
 流石の私達でも…特にロモンちゃんとリンネちゃんは一度くらって体勢を崩し、結果的に連続で浴びせられることになればもう大変。
 ……それならそろそろ、こちらも行動に移すしかないわよね。


【二人とも少し下がっててください! いきますよ……リスシャドヒョウラム!】


 闇氷魔法。
 私はそれで大きくて厚い壁を作り上げた。ついでにこの部屋の半分近くの地面も凍らせた。また地面を使って魔法を強力にされても困るし。


「おお…さすがアイリスちゃん!」
【この隙にでかいの1発いきますよ】
「やっちゃえー!」
【はい! リスシャイラム!】


 まるでドーム状の土壁に、上空からレーザー砲を放つようなイメージで私は得意な最上級光魔法を唱える。
 かなりの地鳴りがする。……私達自身に被害が出ないように撃ったつもりだけどちょっと強すぎたかな。


「……どうなったかな、ちょっと様子見てみるね」
「気をつけてね…」


 リンネちゃんが氷壁から少し顔を覗かせる。
 

「……目が動いた、まだ生きてる」
【なかなかにしぶといですね】
「ギシャアアアアア!」


 また一つ咆える。
 しかし今度は魔法ではなくただの咆哮だったようで、魔力を使わずに私達に突進をしてきた。
 氷の壁があるのにそうしてくる意図がわからないわね。


【何するつもりなんでしょう】
「血迷ったかな?」
【いえ、これほど魔法を有効に使えるのです、なにか策が…】


 ゴン、という大きな音がした。
 氷壁が揺れ、一部に亀裂が入ったみたい。…というか本当に突進してくるとは。


「あれ…自滅しちゃった?」
「ん…たぶん、ヤケクソじゃないかな」
【ヤケクソですか】


 私達は恐る恐る全員で氷壁の後ろから様子を見た。
 完全に気絶している。どうやらロモンちゃんのいう通りヤケクソってのが正解みたいね。


「……うん、まあまあ強かったね! あとはボクに任せてよ」

 
 そういうとリンネちゃんは素早く移動し、リザード系の魔物の心の臓を横腹から突き刺した。
 これで外傷が少なめに倒せたわけだ。
 ふふ、売るときに高くなるわね。

 そろそろ私も人間の姿に戻ろうかな。


「ふう。……それでお宝はどこでしょうか」
「んー、どこかなぁ」
「はいケル、もう出てきていいよ!」


 私たちが目だけでウロウロと周りを探してる間に、ロモンちゃんはケル君を封書から出した。


【ゾ…ゾゾ、ケッコウ アレテルンダゾ! ドンナ テキダッタノカゾ?】
【リスドゴドラムリザード、Bランクの魔物だよ】
【オイラ ヤッパリ タタカッテルトコ ミタカッタゾ…】


 そう言ってしょんぼりするケル君を、ロモンちゃんはごめんねと言いながらなでなでした。


【ゾォ…。ダカラ ハヤク ツヨクナルゾ! トコロデ リンネ ト アイリス ハ ナニヲシテルンダゾ?】
【お宝を探してるんだよ。でも中々見つからなくて】
【ナルホゾ……ゾ?】


 唐突に、思いついたようにケル君は、また鼻をすんすんと動かし始める。


【ゾ……コレガ 3ニン ノ ニオイ。コレガ…タブン トカゲノ ニオイ。ツチ……コオリ……! ゾ!】


 ケル君はロモンちゃんの元を離れ、テクテクとトカゲの死体の近くまで歩いて行った。
 そして立ち止まったのは、リスドゴドラムリザードが出てきたと思われる盛り上がった土の手前。


【ココホレ、ワンワン ナンダゾ!】
【さすがケル! ようし、任せてね! 今魔法で…】
【いえ、私がゴレームの姿で掘りますよ。その方がいい】


 もう一度ゴーレムの姿に戻り、土をほじくり返してみた。中から出てきたのは、やっぱり一つの宝箱。
 ケル君、またもや大手柄。

 
#####

次の投稿は10/7です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...