私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
177 / 378

176話 ダンジョンの隠し部屋でございますか?

しおりを挟む
【スゴロゴ! スゴロゴ! シャイ!】


 ケル君は張り切って魔物を倒していってる。
 まあ、今の所まだDランクの魔物とは遭遇してないけれどね。


【ゾ…ソロソロ シンカ シテモ イイコロ ダゾ。チョット レベル ヲ ミテミルゾ】


 そういうとケル君は立ち止まり、自分のステータスを確認した。たしかにあれだけたくさん魔物を倒してるのだから、ヘルドッグの通常種ならば進化に達していてもおかしくない。


【ゾ……16レベル? 16レベル ナンダゾ!】
【ってことは、亜種になるね! やったね!】
【ゾー! ウレシイゾー!】


 ぴょんぴょんとケル君は跳ね、尻尾はプロペラのごとくフルフルと回転している。
 ……うーん、本来ならそうやすやすと亜種以上になれるものでもないんだけどね。
 魔流の気のおかげか、それとも光魔法か。
 このどちらかが要因だって考えたほうがよさそうね。


「そっか、ケルも通常種じゃないんだ」
「やっぱり変わったものばっかり教えたからかな? 普通ならヘルドッグに教えるのなんて、牙や爪を使った技ばかりだもん」
「そういえばケルはまだ身体を使った特技ないよね」
「私は立ち回りしか教えられないよ」
「炎を纏った攻撃とかは教えられるから、そこらへんをぼくが中心に…」
「うん、進化したらお願いするね、お姉ちゃん」


 ふむふむ、こうやって手分けして育ててくのもいいよね。私からは次はお勉強を頑張ってもらうからね、ケル君には。
 

【ゾ、ゾー!】
【ケル、どうしたの?】
【イママデニ ナイ ハンノウ……キット、Dランクナンダゾ! チカクニイルゾ!】
【わかった、とりあえずそのまま進んで】
【ゾ!】

 
 気がつくといつの間にか先頭を歩いていたケル君と、用心のために私たちは並んで歩く。
 そして、身長130cmにも満たないくらいの子供のような体型の魔物がいた。

 リトルリザードマン、これが目の前にいる魔物の名前。
 ある程度の、そう低く無い知能を持ち、ほとんどの個体が(なんとか)時代の石器のようなものを持っている。
 また、属性種族でもないのに魔法を使う個体もたまにいるそうだ。

 あの個体が持っているものは石斧。
 魔法はわからない。
 

【ヤクソクダゾ! オイラニ ヤラセテ ホシイゾ!】
【ケル……。うん、約束だもんね、いいよ! でも全力で向かってね】
【リョーカイ ダゾ!】


 私も一応、臨戦態勢に入る。
 倒そうと思えば一撃で倒せるんだけど、今はケル君の修行。万が一の回復のために構えるの。


「ワンワン、ガルルルル!」


 ケル君はリトルリザードマンに向かって吠えた。
 挑発もなかなか手馴れてきたわね。


「キシャァ…? キシャッ!」


 構えてるケル君に向かって挑発にのったリトルリザードマンは、小さなその斧を振り下ろした。
 しかし、素早いケル君には当たらず、回避と同時に放たれたシャイが顔面に着弾。
 リトルリザードマンは仰向けに倒れた。


【……アンガイ イケルゾ? ……タタミカケルゾ!】


 もう少し苦戦すると思ってたケル君は一回首をかしげると、すぐに次の魔法を唱える。
 気を纏い、光魔法も混合させた炎魔法を。


「キ…キシャァ!!」


 しかし、Dランクは甘くない。
 身体をガクガクさせながらも立ち上がった。
 今までのコンボではEランク亜種くらいの敵までなら致命傷になっていたかも知れないけれど…。
 Dランクからランクを増すごとによって壁が高くなり始める。Cランクとなると数匹同時に現れれば十分、村を一つを滅ぼせる。
 一筋縄で行くはずがない。


【ゾ、ヤッパリ シブトイ ゾ】
「ギィシヤァァオ!」


 リトルリザードマンが斧を振り回す。
 無論、それらは私達と一緒に鍛えたケル君には当たらない。
 回避しながら魔法陣の組み方が簡単なファイ、ゴロゴという基本属性単発魔法を次々とはなって行く。
 

「ああやって回避しながら攻撃するの、お姉ちゃんみたいだね」
「まあ、ずっとぼくたちの練習みてたりしたわけだしなんら不思議じゃないよ。ただ、ケルは賢いよね」
「うんうん」
【……ゾ、モウイッパツ、デカイ ノ ウテレバ…】


 私達がケル君を高評価してるのと違い、ケル君自身はまだ倒れないのに少しうんざりしてきてるみたいだね。
 確かに中級魔法をあと1発放り込めば倒せると思う。
 それをどうするかはケル君次第だけど。


【シャイ……シャイハ ピカッ テ スルゾ。ピカッ テ スルト メヲツムルゾ。……フムム、ナルホゾ】


 何か閃いたのか、ケル君は大幅にリトルリザードマンから距離を取るとシャイを唱えた。
 また顔面にクリーンヒットする。
 そして最初と同じように地面に仰向けに倒れてしまった。


【コレデ オイラノ カチナンダゾ! リシャイゴロゴ!】


 雷光弾は倒れたリトルリザードマンにあたり、息の根を止めた。……私がやったことを…状況は優しいとはいえ、ケル君がやってのけた。
 

【エッヘン!】
【わぁぁ…! ほんとに一人で倒したね! すごいね!】
【エヘヘー、テレルンダゾ!】


 ケル君はロモンちゃんにぎゅーっと抱かれた。
 羨ましい。すごく羨ましい。


【うん、レベルも二つ上がってる!】
【ゾ! フタツモ!】
【あと少しで進化だよー】
【タノシミ ナンダゾ!】

 
 私達はリトルリザードマンを回収し、ケル君を天狗にしないように気をつけて褒めながら進んだ。
 その間に1回、低ランクの魔物の群れと遭遇。
 楽勝だと言いながら、あっという間にケル君が殲滅した。


【ゾー、コノチョウシ デ 3ニンヲ マモレル ヨウナ ツヨイオトコニ……ゾ?】
【ん? どうしたのケル】
【チョット、ニオイガ……スンスン】


 鼻をヒクヒクさせながら、唐突にケル君はあたりの壁を嗅ぎ始めた。謎の行動に私たちは首をかしげる。


「なんなんだろ」
「でも、ケルが臭いを嗅ぎ始めたら、何かあるってことだし」
「そうですね、あの時は助かりました。…ケル君の鼻は信頼できますよ」
「だねっ。もしかしたら隠し部屋かもねー」


 ダンジョンの隠し部屋。
 それはダンジョンが生成されると同時に自動的に作られるもの。
 魔物はどこからともなく一定間隔で際限なしに現れるけど、その部屋は一度入り、中のものの状況を変えると元に戻らない。

 でもこういう部屋はだいたいお宝が眠ってる。
 アーティファクトが出た報告も文献にあったし、オリハルコンが山盛りに出てきたなんてこともあるそう。
 
 そして共通するのは、とても見つけにくいことと、中には必ずそのダンジョンのボスより劣る、いわゆる中ボスが存在してること。
 後者はべつにいいとして、前者が隠し部屋と呼ばれる理由。中には最初からむき出しになってるのもあるし、ダンジョンの分岐先にあることもある。
 でも本気で隠れてるものは……ノーヒントで壁を壊さなければならなかったり、水の中にあったり。
 ともかく鬼畜なのよね。
 
 
【ウン、ココカラ イママデ ノ トカゲ トハ チガウ ニオイガ スルゾ! ココホレ ワンワン ナンダゾ!】
「アイリスちゃん、爆発させられる?」
「おまかせあれ」


 私は壁に手を当て、魔流爆を流し込んだ。
 そして距離を取り爆発させる。


【すごい、ケル! 大手柄だよ!】


 リンネちゃんはそういった。
 私が爆破した先には、新しい通路。そう、つまりこの先が隠し部屋へとつながっている。


【ホントによくわかりましたね】
【エッヘン、ナンダゾ!】
【今日は大活躍だねー! よしよし】
【ナデナデ ウレシイ ゾ!】
【夕飯もとびっきりの美味しいお肉にしてあげましょう。……では、乗り込みましょうか】
【うん!】

 
######

次の投稿は10/3です!

アルファポリスによるファンタジー小説賞の間の最後の投稿となります!
是非、いえ、何卒、投票をお願い致します!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...