私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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187話 ケル君と上級魔法でございます!

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【よーし、今日も特訓するよ!】
【ガンバルンダゾ!】


 お父さんの部隊を助けに行った翌日、私達はいつも通り森の中に特訓しにきている。
 また、魔王の幹部(仮に幹部じゃなくても強敵)と戦う可能性は高いけれど、この子の成長も大切だからね。


【じゃあケル、昨日一回だけできたリファイム、もう一回できるように練習しようか!】
【ゾ? モウ、ソレナラ デキルンダゾ。タブン】
【えっ】
【ミテテネ! リファイム!】


 ケル君は口を開け、魔法陣を展開し、上級魔法の巨火球を発射した。ちゃんと調節もしてあるのか、周りの木に当たる前に消える。
 正直言って、昨日一回だけでき、二回目を挑戦してみたとは思えない習得の速さ。
 何なんだろう、この子は。


【ええ……】
【ゾー! デキルンダゾ! あ、シュうトク モ デキタミタイダゾ! コレデイツデモ ツカエルゾ!】
【け、ケル……一体全体何でそんな…】
【キノウ MPガ キレテ ネムネムサンダッタゾ……デモ レンシュウ ハ シタカッタンダゾ! ソウオモッテタラ ユメノナカデ トックン デキタンダゾ!】 


 夢の中で特訓!?
 つまりそれって、ケル君はイメージトレーニングだけでここまで仕上げてきたということかしら。
 封書の中って私の特技の範囲外なんだけどなぁ……。自力でよくここまで。


「アイリスちゃん、夢の中で特訓できるなんてあり得るの?」
「え、ええ、まあ。できる人もいるみたいですね、個人差はありますが」
【イッカイ オコサレタケド ソノアトモ デキタンダゾ!  ショセン、ユメノナカ ダカラ イミガナイト オモッテタケド、ソンナコトナクテ ヨカッタゾ!】
【す、すごいねーっ、ケル!】


 天才だ、天才だなんて思ってたけどよもやここまでとは。下手したらしっかり勉強させたら人間より頭が良くなるかもしれない。
 元はと言えば、私が最初に会ったときも、まずロモンちゃんを助けるという判断があの幼さでできた子だから…素質は最初からあったのね。


【デモ…… MPガ マンタン二ハ ナラナカッタゾ。タブン、キョウハ ツカレルノ ハヤインダゾ……】 
【全然問題ないよ、うん! 普通だったら1日で習得できないし、それと比べたらMPなんて気にしなくていいって! なんなら今日はもう休んでいいし!】
【……ソウ? デモ スファイラ ノ キソ クライハ オボエルゾ! ガンバルンダゾ!】


 やる気もすごいし、もしかしたら将来はSSランクや超越種だなんて夢じゃないかもしれない。
 明日、もうすでにスファイラを習得しているかもしれない姿が安易に想像できる。


【でもね、ケル。やっぱり慣れるのは大切だから、リファイムの練習をとりあえずやっておいてね。MPが今残ってるのの半分になったら教えて?】
【リョーカイ シタンダゾ!】
 

 ケル君はリファイムの練習を始めた。もうすでにステータスに刻み込まれてるというだけあって、速攻で発動できている。
 ロモンちゃんが若干涙目で私に話しかけてきた。


「どうしたのですか、ロモンちゃん」
「……どうしよう、ケルが優秀すぎるよ」
「いいことだよ、ロモン」
「で、でも……ケルもアイリスちゃんもすごくって…私自身はちゃんとできてるのか……」


 確かにこうなってしまったら、自分でしきりに育てたがっていたロモンちゃんは自身喪失してしまうのも無理はない。でも、ロモンちゃんは自分の実力を気付いてないだけ。


「いえ、ロモンちゃんは十分一流の魔物使いですよ」
「そうかなぁ」
「そうだよ! まず知識ならまず、おじいちゃん以外に負けないし!」
「それに優秀な魔物を見つけた魔物使いの多くは、その強さに甘んじてしまい仲魔から舐められるか、過度な期待をするばっかりに潰してしまうかですからね」
「おじいちゃんだって言ってたじゃん、『本当に強い魔物を作るなら、その魔物が自主練習するようになれば良い』って書いた本のなかで」


 そう考えたらロモンちゃんは本当に優秀なの。この年齢でまず魔人融体ができるだけでもすごいんだから。
 目指すところが高すぎるだけなのよね。


「そ、そっか……二人がそういうなら私、もうちょっと自身持ってみるよ! ありがとっ」
【ロモンーッ! MPハンブンニ ナッタゾ!】
【あ、うん、今行くね!】


 ロモンちゃんはケル君の特訓に戻っていった。仲魔と共に成長するのも魔物使いの務め。
 それができてる時点でロモンちゃんはすごいの。
 ケル君を育てることによってロモンちゃんの優秀なところがだんだんとわかってきてるのも素敵だと思う。
 私は……中身は最初から小石、じゃなくて人間だから。


「んーっ、ぼくも頑張らないと」
「おや、リンネちゃんはあとはステータスが上がれば十分Sランク並みの強さだと思ってますが」
「そんなことないよ。素早さはアイリスちゃんのくれた腕輪で補強してるし、武器も最高だしね。これもアイリスちゃんがくれたものだね。それに技の練度もまだまだだよ」


 その道具を全てしっかり使いこなせるのがすごいと思うんだけどなぁ。もう腕輪と私の補助魔法合わせたらお父さんの素の速さと同じくらいにはなるもの。
 ここまでしないと追いつけないお父さんが人間を超えてるだけで。


「まだぼくもロモンも成長途中だからね。アイリスちゃんは自分のことどう思うの?」


 成長途中……そうね、成長途中ね。お母さんがあの大きさなのにこの二人が今の胸の大きさで終わるはずがない。
 ……おっと違った。


「魔物としての特性で戦えてますが……まだ強くなれるとは思いますよ」
「そっか。もう十分強いと思うけどね! もっと強くなるの楽しみだよー」


 そう言ってリンネちゃんはニッコリと笑った。
 一方ロモンちゃんはケル君に予定通りに範囲上級魔法の仕組みを教えていた。ウンウンと頷いてるところを見ると、一つ一つしっかりと理解しているみたいだ。


【ケル、ここわかった?】
【ジュウブンダゾ!】


 もしかしたら本当に明日には範囲上級魔法を覚えちゃうかもしれないわね。


◆◆◆


【スファイラ!】
【おおおおお!】


 次の日の、そろそろご飯にしようかなんて言っていたお昼どき。ケル君がもう範囲上級魔法を放ててしまった。
 予想はしてたけど、やっぱり優秀。
 口から灼熱を吐いてる姿がかっこいい。


【ゾー、エッヘン!】


 いつの間にか何回か試してて、すでにステータス上でもものにしてしまったみたい。リファイムとスファイラ、どちらも習得してしまった。


【ね、どうする? 今日はもう終わってゆっくり休んでさ、明日からまた雷魔法の上級を覚えようか】
【ウーン、デモマダ ヨユウガアルゾ。セッカクダカラ レンシュウ ダケデモ ヤルゾ】
【そっか。無理だけはしないようにね】


 もう今度は雷魔法の上級かぁ。
 このペースなら、もしかすると明日には雷魔法どっちも習得してるだなんて可能性もあるわね。
 私の特技とケル君の頭の良さ、ロモンちゃんの指導方法があればきっとできるはず。ていうかすでに火炎魔法ではできた。


「近いうちに、またダンジョン探索再開できそうですね」
「そうだね! この調子なら、ケル君をちゃんとパーティに入れてボスの部屋を攻略するだなんてこともできそう」


 もしそうなったら、ケル君ももっと自信がついてもっと強くなるかもしれない。
 それもまた、楽しみね。


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