私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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188話 ケル君の実力試しでございます!

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 ケル君が火属性の単体上級魔法と範囲上級魔法を覚えてから3日が経った。
 お父さんの方は特に問題なく探索は続いてるみたい。
 私達の方では、ケル君が雷属性の上級魔法二つをすんなりと覚えてしまった。さらに光魔法と闇魔法を付与させることも一回で成功させた。
 さすがに光魔法と闇魔法の上級を覚えることはできなかったけど、もう十分でしょう。


【というわけだからケル、どうする? 光魔法と闇魔法の練習するか、ダンジョンにまた行って実戦経験を積んでみるか】
【リンネ ト カラダヲ ツカッタ トクギ ノ レンシュウ モ、アイリス トノ おベンキョウ モ マダあルンダゾ。 ダカラ、キョウハ ヒサビサニ  ダンジョン ニ ユクゾ!】


 なるほど、これから練習はまだたくさん残ってるから、その前に一旦自分の実力をダンジョンで見てみたいというわけね。


【いいよ! じゃあ今日はダンジョンに行こう!】
【ヤッタゾ!】


 そんなわけで私達はちょっと久しぶりにダンジョンにやってきた。中断したところから再スタートね。
 と、行っても前は隠し部屋を出てから少し歩いただけのところだから、全然進んでないんだけれど。


【サッソク、リトルリザードマン ガ イタンダゾ!】
【よぉし、じゃあ覚えたてのリゴロゴムを撃ってみよう!】
【ゾッ!】


 ケル君はリトルリザードマンがこちらに気がついたのと同時に雷属性の単発上級魔法を唱えた。
 雷豪球は容赦なく的に当たり、その身を焦がす。
 まだ生きてはいるものの、ダメージと衝撃と、電気による痺れでもはや全く動けていない。


【ゾ……コレ、ツヨイゾ!】
「中級魔法の時はだいたい単発で2発半から3発で倒せて倒せていたものを、上級魔法なら1発で瀕死ですか。流石ですね」
「Dランクも楽勝になったねぇ!」
【ファイ……イヤ、フツウニ ツメデ タオスゾ】


 ケル君は爪を立て、動けないリトルリザードマンの首を引っ掻いて倒した。
 それからしばらく歩いて行くも、ケル君は次々とDランクの個体かEランクのグループを上級の単発魔法と範囲魔法を使い分け、倒していった。


「……それにしてもDランクの魔物、多いね」
「前のダンジョンもなかなか長かったけどね。まあぼく達が行った時はすでにアイリスちゃんがほとんど進めてたけど」
「そうですね……む、どうやら一つ段階が上がったようです」


 私は少し先にいるリトルリザードマンともう一匹、別の魔物に気がついた。
 あれはリゴロゴリザード、Dランク。
 なるほど、ついにDランクのグループになったか。


【モシカシテ、Dランク2ヒキゾ? ツギノ ダンカイゾ! ガンバンルゾ!】
【大丈夫だと思うけど、一応気をつけてね】
【ゾ!】


 ケル君は一匹で私達より先に、そいつらに向かって駆けていった。吠えて挑発し、対峙する。
 
 まず、ケル君はリファイムをリゴロゴリザードに向かって放った。
 相手はリゴロゴを唱えて抵抗しようとするもケル君は素早さが高いから難なく回避でき、逆に魔法を撃ったことで数秒の遅れが出たリゴロゴリザードは直撃し、即死。
 そのあとケル君は残りのリトルリザードマンもさっきまでの様に難なく倒してしまった。


【デキタンダゾ!】
【おおー! 一瞬で片付けたね!】


 進化する前の私と違って種族的に素早いから、あんなスピーディな動きができるのね。
 私の場合は基本的に避けずに受けて攻撃すればよかったから。素早いし小回りが利くから連続した攻撃もしやすくなるし。


【マダマダ キョウハ イケルゾ! ススムンダゾ!】


 ケル君のいう通りに再び歩み始めると、今度はスバシャリザードとリファイリザードが出現した。
 ケル君は生まれてからずっとおじいさんの元にいた手間、普通より魔物に詳しい方だけど、基本的に私達と比べると知識がない。だから範囲魔法を使う属性魔物か、単発を使う属性魔物かは判断ができない。


【ケル君、気をつけてください。青色のトカゲの方、今回は範囲攻撃魔法を使います】
【ワカッタゾ! アリガトナンダゾ!】

 
 さっきのトカゲより早く気がついたスバシャリザードは、ケル君に向かって自分の属する魔法を放った。
 しかしケル君はそれを素早く、難なく回避し、まずそいつにリゴロゴムを撃つ。
 ヒットしたのを軽く確認したら、続けざまにリファイリザードにもリゴロゴム。
 
 二匹ともそれでは絶命に至ってなかったから、ケル君は中級範囲魔法を一度だけ唱え、トドメを刺した。


【フゥ、エッヘンナンダゾ!】
【おお、すごいね! よく倒せたね!】
【マダ、ヨユウソウナンダゾ! Cランクナラ ナントカナルゾ!】


 素早い動きに一撃必殺。
 リンネちゃんの魔法バージョンみたいな感じになってきた。犬の魔物だから行動が早いのだとしたら、これからリンネちゃんと練習するにあたってもっと素早さは研ぎ澄まされるはず。
 

【MPは大丈夫?】
【マダ、ヨユウガ アルンダゾ! ダイジョーブソウ ナンダゾ! ア、デモ セツヤク シタイカモ】
【わかった。何か目新しいことがあるまでアイリスちゃん、お願いね。じゃあさきに進もっか】


 私たちはケル君を先頭にして進み始める。
 それからDランクのグループと3回、遭遇をした。ケル君とロモンちゃんからの要求で、Dランク2体を同時に相手して勝てることは十分にわかったからMPを温存したいらしく、その3回とも私が蹴散らした。


【ヤッパリ、アイリス ノ マホウハ キョウリョク ナンダゾ!】
【レベルとランクが違いますからね。おのずと、ケル君も強くなってゆくことができますよ】
【ウン!】


 しばらくして、ついに私たちはこのダンジョン初のCランクの魔物に遭遇した。ただのリザードマン。
 リトルリペアゴーレムの時ですら私は瞬時に倒すことができたCランクの中でも基本的に弱い魔物。
 でも、ある程度の知能はあるからどこかで武器の知識を得たり、魔法が使えたりすれば一気に強くなる、個体差が激しい魔物なの。
 そもそも知能の高い魔物や人形の魔物のほぼ全てにそれは言えるんだけど。

 過去に独自で覚えた魔法と拾った剣のおかげで、魔法剣士のような特技を持ち合わせた野生のリザードマンが、個体でBランクの魔物を討伐したという記録もある。
 魔物使いの仲間にならない限り、CランクがBランクを倒すことは困難を極める。

 ちなみにそのリザードマンは、のちにSランクになり、一つの地域の長のような存在になったらしい。
 つまり、あまり油断はあまりしない方がいいってことね。中には油断する人も多いけど。


【……ケル君、いかますか? 油断だけは絶対にいけませんよ】
【ワカッタゾ。……ヤッテミルゾ】
【では、念のために防御の補助を】
【ゾ】


 ケル君は私の補助魔法を受けてから、リザードマンの前に出た。


「ワン!ワンワン! グルルル」
「キシャッ…!」


 何を言ってるかわからないけど、魔物同士で会話するときもだいたい念話だから、ただ挑発してるだけね。
 ケル君はやる気満々だから、ランクが上のはずのリザードマンが根負けしてるみたい。

 小手調べにケル君はリゴロゴムを唱える。
 リザードマンは目を見開いて軽く吹っ飛び、転倒。

 さて、このままケル君はこのリザードマンに勝てるのかしら。もう、気合の入り方の時点でわかったようなものかもしれないけれど。


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