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196話 敵か味方か、謎の男の人でござます!
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【そこにいるのはわかってるんだゾ】
ケル君は唸りながら、木陰に向かってそう念話した。
……そんは言い方するってことは、発見したのは生き物ということになる。
私は小石視点をやめ、武器を取り出した。私以外もそれぞれ獲物ケル君が見ている方向に向かって構えている。
「……驚いた。僕のことがわかるんだね? 普通の探知じゃわからないはずなんだけど……。すごい子だ」
出て来たのは、肌が褐色の超イケメン。
こんな大物なかなかいない。
髪の毛は、私の銀髪とは違い、色素を抜かれたように白く、赤いメッシュが入っている。
腰にはかなりの業物と思える剣が一本。服装はちょっと古臭い感じがするかしら。だいぶ昔の貴族みたいな。
「アンタが……村を襲った半魔半人か?」
「違うよ、何一つ。僕はそもそも半魔半人じゃない。まあ本当にそうだったとしてもそんな聞き方じゃ言うわけがないと思うよう」
「じゃあなんなの? こんな森の中で一人でいるなんて。それに、それぞれの町や村にこの森に近づかないように御触れは出ているはずなんだけど」
「そうだったんだ。知らなかったよ」
こんな人に囲まれているのにやけに飄々としている。いえ、どちらかというと自分を見つけたケル君に興味はあるみたいで、他は気にしていないみたいな。
「それよりこの子だよ。すごいね……僕を見つけられるだなんて誇って良いよ。においかな?」
【……そうだゾ。たしかにお兄さんは良く嗅いだら虫の魔物の匂いはしないんだゾ。人間ともちょっと違うけど…。森の中で発見したから勘違いしちゃったんだゾ。ごめんなさいゾ】
「えらいえらい。でも匂いでも僕を見つけるのも相当難しいと思うんだけどな」
【オイラ、味方とこの土地の匂いはがんばって記憶してるんだゾ!】
「なるほどね、人間並みの知能と犬の魔物の鼻で……か」
なにか二人がすごい親しげに話している。
とりあえず、敵ではないってことで良いのかしら。ケル君の言うことが本当なら虫でもないんでしょ?
てか半魔半人から魔物の時の匂いってするのね。ケル君くらいしかわからないレベルだと思うけど、私、鉄くさかったりしないのかしら。
「この子のマスターは誰? そこのまっ白い子……それとも髪の長い方の水色の子? あとの子は剣士だよね」
「えっ……と、わ、私…だけど…」
「水色か。君は恵まれているね。そしてこの子がよく言うことを聞き、順調に育っているということは、相当な腕を持つ魔物使いなんだろう。将来有望な魔物使いを見るのは何十年ぶりだろうか」
彼は実に満足そうだ。
魔物使いの心得があるんだろうか。見たところ、冒険者なら剣士なんだけど。それに何十年って……見た目より歳食ってるのかしら?
20代にしか見えない40代も世の中にはいるし、おかしいことではないけどね。
「うんうん……うん! よく見たら水色の髪が短い方の子も相当な剣のセンスを感じるし、白い子は……ん、あれ、君もしかして元は人間じゃなかったりする?」
半魔半人だってことを、私の場合、外見の身体的特徴がないから普通は見抜けない。でもこの人は見抜いちゃった。やっぱり実力のある魔物使いなのかしらね。
「……ええ、その通り。ゴーレムの半魔半人ですが」
「なんと、ゴーレムの! ああ、その陶器のような肌と白い髪はゴーレムのか。……美しい」
「えっ」
「渦巻く魔力も相当なものだ。なあどうだろう、少し僕とデートしてみる気はないかい? 容姿も魔力も、タイプだ」
……これはナンパかしら。
ナンパなのよね。
イケメンからナンパされちゃった。どうしよう。
でもダメよアイリス。一度すごーく痛い目にあってるじゃない。もうあんな目は二度とごめんだわ。
「おうおう、私たちをないがしろにして、仲間をデートに誘うだなんてどういう了見だ! そもそも今あたい達は仕事中なんだよ!」
「それに、外見で相手を好きかどうか決める男はロクなものじゃないわ。きちんと中身を見てあげないと」
「……ね、今そういう話してるんじゃないんだけど」
「あら」
付いて来てくれた二人のこもはともかくとして、言ってることは正しい。ここは断らなければ。
すごく惜しいけど、エッチなことするだけして、そのあと殺すだなんて男じゃないとは限らない。グラブアみたいに。
「ごめんなさい、そういうことなので」
「そっか、仕事中じゃなかったら良いかな? それに、性格も世話好きで真面目。そして可愛いところもある……違う? タイプなんだけどなー」
【おお、当たってるんだゾ】
「ち、ちょっとケル君!」
仕事中だからダメ……なら、この仕事が終わった後に改めてデートに誘われたりするのかしら。
そもそもなんで私が……いや、それはこの人のタイプにぴったりなんだっけ。誰もかれもなんて物好きな。
私がうまいこと言い返せないでいると、ロモンちゃんがずいっと前に出て来て、かれにこう言った。
「あの……アイリスちゃんは私の仲魔ですので、そういうことは困るかな…」
「えっ、このアイリスって子も君の仲魔なの? 今日はなんて日だ! すごいぞ、こんなに将来性でワクワクしたのも数十年ぶりだ! 将来有望な魔物使いなんてものじゃない、約束されてるよ確実に!」
「え…えへへ、あ、ありがとうございます」
あーっと、魔物使いとして褒められたロモンちゃんも少しデレちゃったよ。どうしよう。
もう救いの手は3人にしかない。
実はかなり近くまで男の人にさまられてる私は、リンネちゃん達の方を見た。
「あの。もう一度聞くんですけど、村を破壊した魔物ではないんですよね?」
「ああ、水色の子の……双子の妹?」
「双子の姉だよっ! そ、それより一応ボク達、国から依頼を受けて仕事をしている手前、怪しい人に出会ったら本部の方に拘束して連れて行くか、その場で話をしてもらうかしないとダメなんですよ。ご協力お願いできますか?」
良いぞリンネちゃん!
その調子で私たちのテンポを戻すんだ!
「ふぅ……わかったよ。君たち、この国となにかしら関わってる人たちなんだね。連行されて大勢の目にさらされるのは良くないんだ、諸事情でね。あと何者か話しても信じてもらえないだろう。……だから、ここにいる事情だけ話させてくれないかな?」
「まあ、それで良いよ。話してる限り、悪いやつじゃなさそうだしな」
「ええ、それにとってもカッコいい……」
「確かに超かっこいいけど、今はそんな話してるときじゃないだろ!」
「あら」
イケメンに甘くなってしまうのは多少仕方ないわよね?
本当は事情説明だけなんてダメなんだけど……なんだかこの人、甘く見たらいけない気しかしないから。
只者じゃないオーラって感じかしらね。なんだか変なこと聞けない気がするし、聞いても飄々と聞き流されそう。
「じゃあ話すよ。僕がこの森にいる理由は、君たち兵士と同じ。蜘蛛の半魔半人を探してるんだ。この僕の目を騙すほど隠れるのが上手いから、そろそろ諦めようと思ってとんだけどね。その子……ケル君だったら見つけられるかもしれない」
「どうして聞きたいことがあるんですか?」
「……んー、本当はこの時代に居てはいけない魔物だからかな。どうして生きてるのかききたくて。あ、君たちの標的の正体って知ってる?」
どうやらこの人、生き返りつつある魔王の部下達に付いて何か知ってるみたいだ。
まさか個人的にそんなことしてる人が居ただなんて。
「知ってます。何百年も前の魔王の部下ですよね?」
「そこまで嗅ぎつけてるんだ。国のお偉いさんたちもしっかり仕事してるんだね」
「そのことを判明させたのはアイリスちゃんだけど……」
「わぁお! 君たちは本当に予想以上だね! ますます興味持った。お仕事終わったらまたデートを誘いにくるよ!」
それもすごーく困るんだけどね。
……ていうか、ますますききたいこと増えたわね。個人でそんなことわかるなんて、何者なのかしら。只者だけじゃないことは、わかるけれど。
「……お仕事の邪魔になるしそろそろ帰っていいかな?」
「あ、あの、まだききたいことが……!」
「怪しいけど敵じゃない、それじゃダメかな? ……きっとまたデートに誘うからね、アイリスちゃん」
そういうと、彼は一瞬のうちに消えた。まるで幽霊のように。なんか粘着されそう。
イケメンじゃなかったら本気で嫌がってるところだったわ。
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ケル君は唸りながら、木陰に向かってそう念話した。
……そんは言い方するってことは、発見したのは生き物ということになる。
私は小石視点をやめ、武器を取り出した。私以外もそれぞれ獲物ケル君が見ている方向に向かって構えている。
「……驚いた。僕のことがわかるんだね? 普通の探知じゃわからないはずなんだけど……。すごい子だ」
出て来たのは、肌が褐色の超イケメン。
こんな大物なかなかいない。
髪の毛は、私の銀髪とは違い、色素を抜かれたように白く、赤いメッシュが入っている。
腰にはかなりの業物と思える剣が一本。服装はちょっと古臭い感じがするかしら。だいぶ昔の貴族みたいな。
「アンタが……村を襲った半魔半人か?」
「違うよ、何一つ。僕はそもそも半魔半人じゃない。まあ本当にそうだったとしてもそんな聞き方じゃ言うわけがないと思うよう」
「じゃあなんなの? こんな森の中で一人でいるなんて。それに、それぞれの町や村にこの森に近づかないように御触れは出ているはずなんだけど」
「そうだったんだ。知らなかったよ」
こんな人に囲まれているのにやけに飄々としている。いえ、どちらかというと自分を見つけたケル君に興味はあるみたいで、他は気にしていないみたいな。
「それよりこの子だよ。すごいね……僕を見つけられるだなんて誇って良いよ。においかな?」
【……そうだゾ。たしかにお兄さんは良く嗅いだら虫の魔物の匂いはしないんだゾ。人間ともちょっと違うけど…。森の中で発見したから勘違いしちゃったんだゾ。ごめんなさいゾ】
「えらいえらい。でも匂いでも僕を見つけるのも相当難しいと思うんだけどな」
【オイラ、味方とこの土地の匂いはがんばって記憶してるんだゾ!】
「なるほどね、人間並みの知能と犬の魔物の鼻で……か」
なにか二人がすごい親しげに話している。
とりあえず、敵ではないってことで良いのかしら。ケル君の言うことが本当なら虫でもないんでしょ?
てか半魔半人から魔物の時の匂いってするのね。ケル君くらいしかわからないレベルだと思うけど、私、鉄くさかったりしないのかしら。
「この子のマスターは誰? そこのまっ白い子……それとも髪の長い方の水色の子? あとの子は剣士だよね」
「えっ……と、わ、私…だけど…」
「水色か。君は恵まれているね。そしてこの子がよく言うことを聞き、順調に育っているということは、相当な腕を持つ魔物使いなんだろう。将来有望な魔物使いを見るのは何十年ぶりだろうか」
彼は実に満足そうだ。
魔物使いの心得があるんだろうか。見たところ、冒険者なら剣士なんだけど。それに何十年って……見た目より歳食ってるのかしら?
20代にしか見えない40代も世の中にはいるし、おかしいことではないけどね。
「うんうん……うん! よく見たら水色の髪が短い方の子も相当な剣のセンスを感じるし、白い子は……ん、あれ、君もしかして元は人間じゃなかったりする?」
半魔半人だってことを、私の場合、外見の身体的特徴がないから普通は見抜けない。でもこの人は見抜いちゃった。やっぱり実力のある魔物使いなのかしらね。
「……ええ、その通り。ゴーレムの半魔半人ですが」
「なんと、ゴーレムの! ああ、その陶器のような肌と白い髪はゴーレムのか。……美しい」
「えっ」
「渦巻く魔力も相当なものだ。なあどうだろう、少し僕とデートしてみる気はないかい? 容姿も魔力も、タイプだ」
……これはナンパかしら。
ナンパなのよね。
イケメンからナンパされちゃった。どうしよう。
でもダメよアイリス。一度すごーく痛い目にあってるじゃない。もうあんな目は二度とごめんだわ。
「おうおう、私たちをないがしろにして、仲間をデートに誘うだなんてどういう了見だ! そもそも今あたい達は仕事中なんだよ!」
「それに、外見で相手を好きかどうか決める男はロクなものじゃないわ。きちんと中身を見てあげないと」
「……ね、今そういう話してるんじゃないんだけど」
「あら」
付いて来てくれた二人のこもはともかくとして、言ってることは正しい。ここは断らなければ。
すごく惜しいけど、エッチなことするだけして、そのあと殺すだなんて男じゃないとは限らない。グラブアみたいに。
「ごめんなさい、そういうことなので」
「そっか、仕事中じゃなかったら良いかな? それに、性格も世話好きで真面目。そして可愛いところもある……違う? タイプなんだけどなー」
【おお、当たってるんだゾ】
「ち、ちょっとケル君!」
仕事中だからダメ……なら、この仕事が終わった後に改めてデートに誘われたりするのかしら。
そもそもなんで私が……いや、それはこの人のタイプにぴったりなんだっけ。誰もかれもなんて物好きな。
私がうまいこと言い返せないでいると、ロモンちゃんがずいっと前に出て来て、かれにこう言った。
「あの……アイリスちゃんは私の仲魔ですので、そういうことは困るかな…」
「えっ、このアイリスって子も君の仲魔なの? 今日はなんて日だ! すごいぞ、こんなに将来性でワクワクしたのも数十年ぶりだ! 将来有望な魔物使いなんてものじゃない、約束されてるよ確実に!」
「え…えへへ、あ、ありがとうございます」
あーっと、魔物使いとして褒められたロモンちゃんも少しデレちゃったよ。どうしよう。
もう救いの手は3人にしかない。
実はかなり近くまで男の人にさまられてる私は、リンネちゃん達の方を見た。
「あの。もう一度聞くんですけど、村を破壊した魔物ではないんですよね?」
「ああ、水色の子の……双子の妹?」
「双子の姉だよっ! そ、それより一応ボク達、国から依頼を受けて仕事をしている手前、怪しい人に出会ったら本部の方に拘束して連れて行くか、その場で話をしてもらうかしないとダメなんですよ。ご協力お願いできますか?」
良いぞリンネちゃん!
その調子で私たちのテンポを戻すんだ!
「ふぅ……わかったよ。君たち、この国となにかしら関わってる人たちなんだね。連行されて大勢の目にさらされるのは良くないんだ、諸事情でね。あと何者か話しても信じてもらえないだろう。……だから、ここにいる事情だけ話させてくれないかな?」
「まあ、それで良いよ。話してる限り、悪いやつじゃなさそうだしな」
「ええ、それにとってもカッコいい……」
「確かに超かっこいいけど、今はそんな話してるときじゃないだろ!」
「あら」
イケメンに甘くなってしまうのは多少仕方ないわよね?
本当は事情説明だけなんてダメなんだけど……なんだかこの人、甘く見たらいけない気しかしないから。
只者じゃないオーラって感じかしらね。なんだか変なこと聞けない気がするし、聞いても飄々と聞き流されそう。
「じゃあ話すよ。僕がこの森にいる理由は、君たち兵士と同じ。蜘蛛の半魔半人を探してるんだ。この僕の目を騙すほど隠れるのが上手いから、そろそろ諦めようと思ってとんだけどね。その子……ケル君だったら見つけられるかもしれない」
「どうして聞きたいことがあるんですか?」
「……んー、本当はこの時代に居てはいけない魔物だからかな。どうして生きてるのかききたくて。あ、君たちの標的の正体って知ってる?」
どうやらこの人、生き返りつつある魔王の部下達に付いて何か知ってるみたいだ。
まさか個人的にそんなことしてる人が居ただなんて。
「知ってます。何百年も前の魔王の部下ですよね?」
「そこまで嗅ぎつけてるんだ。国のお偉いさんたちもしっかり仕事してるんだね」
「そのことを判明させたのはアイリスちゃんだけど……」
「わぁお! 君たちは本当に予想以上だね! ますます興味持った。お仕事終わったらまたデートを誘いにくるよ!」
それもすごーく困るんだけどね。
……ていうか、ますますききたいこと増えたわね。個人でそんなことわかるなんて、何者なのかしら。只者だけじゃないことは、わかるけれど。
「……お仕事の邪魔になるしそろそろ帰っていいかな?」
「あ、あの、まだききたいことが……!」
「怪しいけど敵じゃない、それじゃダメかな? ……きっとまたデートに誘うからね、アイリスちゃん」
そういうと、彼は一瞬のうちに消えた。まるで幽霊のように。なんか粘着されそう。
イケメンじゃなかったら本気で嫌がってるところだったわ。
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