私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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231話 久しぶりの出会いをしたんですか?

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「うーん……」
「むーん……」


 ロモンちゃんとリンネちゃんが幼馴染のところに遊びに行ってから三時間後、悩み事があるかのような顔をして帰ってきたの。二人とも全く同じ顔をしている。いや、別にそれは今に始まったことじゃないけど。


「どうかされましたか?」
「……いや、ちょっとね。……あ!」
「色々とあってさ……お!」


 二人は顔を上げ、少し表情を明るくしながら私のことを見る。何か私に光明を見出したみたいだ。なんなんだろう。


「「ね、ね、聞いてもいいかな?」」
「ええ、いいですよ」
「「男の人と付き合うってさ、どんな感じ?」」
「ん?」
「む?」


 見事に声が重なった二人は首をかしげる。どうやら意図せず二人とも同じようなことを考えるような体験をしてきたらしい。さすが双子。
 それにしても男の人と付き合う……か、ヘマとタイトっていうあの二人の間と何かあったかな? 私もあまり恋愛に関しては苦手なんだけどなぁ。


「あの、普段ガーベラさんに対してガチガチな、こんな私の答えでよろしいんですか?」
「「もちろん!」」
「身近で恋人がいる人なんてアイリスちゃんしかいないもん」
「そうそう」


 二人は期待の眼差しで私なことを見続けている。質問に至った経緯を聞いてみたいけれど、まずは質問に答えたほうがいいわよね。


「そうですね……ドキドキするといいますか、なんていいましょうかね。甘酸っぱい……は違うな。とにかく特別な感じです。ロモンちゃんやリンネちゃん、いわゆる私にとっての家族と一緒にいるのとはまた違った感覚です」
「「ふーむ……」」


 二人はまた黙り込んでしまった。ほんとに、この三時間の間になにがあったのやら。私なんてガーナさんの草むしりを魔法で手伝いつつ、夕飯の仕込みをしてただけなのに。ちなみにケル君は今も寝てる。
 もういっそ直接聞いてみましょうかね。


「……双方、なにかあったんですか?」
「いや、なかったよ」
「なかったんだけどさ……」
「なんか……」
「なぜか……」
「「前に会った時と感覚が違って……」」
「ん?」
「む?」


 あ、ロモンちゃんとリンネちゃんもお互いどんな話の内容かは知らないのね。どうやらお互いにお互いが言ってることに驚いてるみたい。
 そんなことよりですよ、ちょっとこれは進展あったって言ってもいいんじゃないでしょうか!!
 もうちょっと詳しく聞けないかな?


「と、言いますと?」
「「詳しくはわからないんだ。でもなんだか変わった感じがするんだよ」」


 とっても漠然としている。でも私自身、その感覚はよくわかる。特にガーベラさん対して助けてもらった後にこんな感じになっていたかもしれない。
 これはもしかしてヘマとタイトって二人に脈が出てきたのでは? 追加で質問してみるか。


「今日、雑談している間に何かありました?」
「特別なことはなにも」
「いつも通りだったよ」
「でも感覚が変わったタイミングというものが必ずあるはずです」
「うーん、ぼくの場合……」


 リンネちゃんの場合。
 今14歳のリンネちゃんがまだ5歳だった頃、将来の夢としてお父さんと同様の立派な剣士を目指していると遊んでいた子供達に言ったところ「女の子がすることではない」と言われたが(実際はまあまあ女剣士っているんだけどね)、ヘマ(とロモンちゃん)だけは「運動すごくできるしなれるよ!」と言ってくれたことを思い出し、彼にその思い出を話したところ彼もそれを覚えていたとのことだった。それからなんか感覚が変わったんだって。

 ロモンちゃんもそう。
 魔物に関して周りにマイナスなことを言われた後、タイトに励まされたという思い出を語り合ったらしい。

 昔のことを思い出して、あるいは覚えていて好きになる……幼馴染ものの恋愛小説ならよくある展開ではありませんか?
 ここはいじりたい、すごーくいじりたいところだけどこの村に帰ってきてからあまり二人の恋愛に口を出さないって決めたばかり。下手なこと言ってこの雰囲気をぶち壊すのは私にはできない。


「なるほど……ちょっと私にはわかりませんね、ごめんなさい」
「ううん、いいの。ごめんね変な質問して。あの感覚がなんか、まさか私がタイトのこと好きになったとかなんじゃないかって気になっちゃて」
「アイリスちゃんもずっと色々悩んでたもんね。まだ付き合いたてなのに変な質問しちゃったよ。ぼくの方からヘマを恋愛的な意味で好きになるなんてありえないよねぇ」

 
 二人とも、相手に恋愛をするのはありえないと言っているけど、同じような内容を話す時の今までの表情とは明らかに変わっている。
 あー、甘酸っぱいなー! 
 ……私も側からみたらやっぱりこんな感じなの?


「ところでおじいちゃんは?」
「そうだよ、おじいちゃんの気配がないよ?」


 質問はあの時点で終わりなんだろう、ロモンちゃんとリンネちゃんは私におじいさんについて聞いてきた。
 だから私は昼におじいさんが旧友とばったり出会い、今頃は話し込んでいるだろうと答える。


「そっかーおじいちゃんのねー」
「今までそんなことあった?」
「ないよね?」
「ですから旧友なのではと。十数年ぶりにあった可能性もあります。夕飯時には帰ってくると言っていましたが、もっと遅く帰ってくる可能性もありますね」
「そうだね、友達は大事だもん!」
「おじいちゃんの友達ってどんな人だろ? とりあえず8時までに帰ってこなかったら先食べちゃおうよ」
「そうしましょうか」


 8時を目安に私は台所に立って料理を始めた。
 時間通りにきっかりと人数分の料理が出来上がる。机の上に料理を並べ終えても、まだおじいさんは帰ってきていない。


「先に食べちゃいましょうか」
「そだね」


 そう言い合っていた時、家の扉が開いた。もちろん帰ってきたのはジーゼフおじいさん。少し酔ってるのかとても晴れやかな顔で家の中に入ってくる。


「おーおー、ただいま!」
「おかえりなさい、おじいちゃん!」
「昔の友達と話してたんでしょ?」
「遅れてすまんな、会話が弾んでしまったな……ははは」


 さぞ楽しかったんだろう。足取りも軽い。
 おじいさんはそのまま上着だけ掛けると椅子に座ったので、私たちは夕食を食べ始めることにした。
 ロモンちゃんとリンネちゃんは興味津々で質問をする。


「おじいちゃんのお友達ってどんな人なの?」
「んー、友達というかワシがモンスターマスターとして名を馳せられたのは彼によるところもあると言って過言じゃないほどの恩人かの」
「へー!」
「にしてもワシは実に気分がいい。彼が見初めた魔物使いが現れた。つまり魔物使いという職の未来は明るいぞ」
「その人が誰かを認めるかどうかで魔物使いの命運が決まるほどの人なの!? すごいすごい! おじいちゃん、今度合わせてよ!」


 ロモンちゃんが身を乗り出してそういうと、おじいさんはちょっと困った顔をした。


「いや、彼は隠居中というか滅多に人前には出なくてな。今日街中で出会ったのも……そもそも街で出会ったこと自体片手で数えるぐらいしかないな。とにかく、ロモンでも紹介は無理なんじゃよ……一応自慢はしてきたけどな!」
「も、もう! おじいちゃんったら!」


 やはりすごい人の友人はすごいのね。私もあってみたいな、その人に。きっと威厳のある風格なんでしょう。



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