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アシェル視点
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僕は王国の伯爵家に生まれた。
母は僕を産んですぐに死んだらしい。
物心ついたときには、もう僕の居場所なんてどこにもなかった。
貴族の家に生まれたけど、僕はその一員じゃない。
離れで暮らして、食事は馬飼いの人が運んでくれる。
よく分からないまま……言われるがまま。
小屋の掃除や屋敷から出るゴミ処理みたいな仕事を与えられる度に黙ってこなして——ただ日を数えていた。
ある日。急に風呂に入れられて、髪を洗われた。
真新しいシャツをもらって、キツい靴を履いて、初めて屋敷の中に連れて行かれた。
「戦が始まるらしくてな、貴族の務めとして我が家からも人を出さなきゃならんのだ」
そう言って伯爵様は笑った。
「大事な子供達を戦地に行かせられるものか。そこで…お前を今日から“息子”にしてやる。教育はしてやるから、励むように。くれぐれもわが家の恥にならぬようにな」
……その時の意味を、子どもだった僕はちゃんとは理解していなかった。
その日からは毎日毎日、決まった時間に勉強をすることになった。
座学だったり、マナーの実技だったり。
失敗する度に先生は僕を叩いた。滲んだ血でシャツを汚して、また怒られた。
でも食事が決まった時間にもらえるようになった。浅ましいと言われても、今までのご飯よりずっと美味しくて、毎回全部食べた。
洗礼を受けなきゃいけないと言われて、教会に連れて行かれた。
身体検査を受け、魔力の測定をして。
そのあと、僕はすぐに売られた。
魔力が“人と違う”んだって。
珍しいから、高く売れるんだって。
伯爵様も最初は渋っていたけど、最後は汚く笑って、周りの人と握手を交わしてた。
それからの日々は、もっと、ツラかった。
妙な機械の前に連れて行かれて「魔力を出せ」と言われても、やり方を知らない。
言われた通りに力んでも、思ったような結果になってないらしい。
できないと、殴られる。
そのうち大人たちはあきれたのか、今度は髪を切られて、毎日少しずつ血を抜かれていった。
魔力を直接ちゅうしゅつ?するんだって。
生きながら、自分の命を削られていくようだった。
今日も殴られた。
上手くできない罰だと言って、今度はここに捨てられた。
……ガラクタの山の中に。
このまま、干からびて死ぬんだろうと思った。
周りに転がってる魔物の素材みたいに、僕もただのモノになって、ここで終わるんだって。
枯れ果てた気力の中、自分と一緒に、以外の全ても消えて、なにもかもなくなってしまえば良いのにとさえ思った。どうして……僕だけ……。
——そのとき。
近くで、微かに光が揺れたのが見えた。
薄暗い部屋の、雑に積まれた品々の中で、金色の光が息をしている。
痛む身体を起こして見てみると、僕の痩せた身体ほどもある、大きな卵だった。
殻の表面に刻まれた模様が、鼓動に合わせて淡く脈打つ。
まるで、生きているみたいに。
温かかった。
見ているだけで、胸の奥の凍りついた何かが溶けていく。
僕はどうしようもなく、それに触れたくなって
手を、伸ばした。
母は僕を産んですぐに死んだらしい。
物心ついたときには、もう僕の居場所なんてどこにもなかった。
貴族の家に生まれたけど、僕はその一員じゃない。
離れで暮らして、食事は馬飼いの人が運んでくれる。
よく分からないまま……言われるがまま。
小屋の掃除や屋敷から出るゴミ処理みたいな仕事を与えられる度に黙ってこなして——ただ日を数えていた。
ある日。急に風呂に入れられて、髪を洗われた。
真新しいシャツをもらって、キツい靴を履いて、初めて屋敷の中に連れて行かれた。
「戦が始まるらしくてな、貴族の務めとして我が家からも人を出さなきゃならんのだ」
そう言って伯爵様は笑った。
「大事な子供達を戦地に行かせられるものか。そこで…お前を今日から“息子”にしてやる。教育はしてやるから、励むように。くれぐれもわが家の恥にならぬようにな」
……その時の意味を、子どもだった僕はちゃんとは理解していなかった。
その日からは毎日毎日、決まった時間に勉強をすることになった。
座学だったり、マナーの実技だったり。
失敗する度に先生は僕を叩いた。滲んだ血でシャツを汚して、また怒られた。
でも食事が決まった時間にもらえるようになった。浅ましいと言われても、今までのご飯よりずっと美味しくて、毎回全部食べた。
洗礼を受けなきゃいけないと言われて、教会に連れて行かれた。
身体検査を受け、魔力の測定をして。
そのあと、僕はすぐに売られた。
魔力が“人と違う”んだって。
珍しいから、高く売れるんだって。
伯爵様も最初は渋っていたけど、最後は汚く笑って、周りの人と握手を交わしてた。
それからの日々は、もっと、ツラかった。
妙な機械の前に連れて行かれて「魔力を出せ」と言われても、やり方を知らない。
言われた通りに力んでも、思ったような結果になってないらしい。
できないと、殴られる。
そのうち大人たちはあきれたのか、今度は髪を切られて、毎日少しずつ血を抜かれていった。
魔力を直接ちゅうしゅつ?するんだって。
生きながら、自分の命を削られていくようだった。
今日も殴られた。
上手くできない罰だと言って、今度はここに捨てられた。
……ガラクタの山の中に。
このまま、干からびて死ぬんだろうと思った。
周りに転がってる魔物の素材みたいに、僕もただのモノになって、ここで終わるんだって。
枯れ果てた気力の中、自分と一緒に、以外の全ても消えて、なにもかもなくなってしまえば良いのにとさえ思った。どうして……僕だけ……。
——そのとき。
近くで、微かに光が揺れたのが見えた。
薄暗い部屋の、雑に積まれた品々の中で、金色の光が息をしている。
痛む身体を起こして見てみると、僕の痩せた身体ほどもある、大きな卵だった。
殻の表面に刻まれた模様が、鼓動に合わせて淡く脈打つ。
まるで、生きているみたいに。
温かかった。
見ているだけで、胸の奥の凍りついた何かが溶けていく。
僕はどうしようもなく、それに触れたくなって
手を、伸ばした。
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